簡単なようで意外と難しいのが、建て替え時の仮住まい探しです。
建て替えのプランニングにばかり集中していて、土壇場になって困ってしまうというケースも十分考えられます。
半年〜1年という短期間の入居は、賃貸オーナーからも歓迎されませんから、可能な限り早めに行動を起こして、仮住まいを押さえておくことが肝心。
このページでは、そうした仮住まいに関する基本的な知識を解説してみたいと思います。
この記事がおすすめできる人
- 建て替えを考えていて、仮住まいをどうすべきか検討している
- 仮住まいをどう探せばいいのか知りたい
- 仮住まいに引っ越しするのに必要な準備が知りたい
- 安く済ませる方法があれば知りたい
- よくある失敗を知り、同じ轍を踏まないようにしたい
なお以下の記事でも「建て替え」に役立つ情報を解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
まず仮住まいの種類を知ろう
建て替えの際、仮住まいと聞いてまず思い浮かぶのは、賃貸アパート、ないしマンションかと思います。
もちろん、仮住まいに一般の賃貸物件を選ぶケースは多々ありますが、実際は他にもいくつか選択肢はあります。簡単に見ていきましょう。
賃貸アパート・マンション
一般的な賃貸物件です。選ぶ不動産業者や物件にもよりますが、入居にあたっては敷金・礼金、仲介手数料といった費用が発生します。
初期費用の相場は、引っ越し費用も含めて50〜100万円といったところでしょう。
自分たちで探すのは手間も時間も掛かりますが、その分、数ある候補の中から好みに適う物件を選べるというのがメリットです。
仮住まいとはいえ生活の利便性を犠牲にしたくないなら、第一の選択肢となるでしょう。
ただ、多くのオーナーは短期間の賃貸に消極的です。手配に時間が掛かることが予想されるため、早めに準備をしておくことが大切です。
マンスリーマンション
1年に満たない仮住まいであれば、敷金、礼金や仲介手数料を支払って一般賃貸の物件に住むより、マンスリーマンションを利用した方がお得になる可能性があります。
マンスリーマンションで発生する初期費用は、数万円の契約手数料のみ。家賃相場も、一般賃貸より割高とはいえ、10〜20万円です。
激安という訳ではありませんし、物件の数が限られるのですが、上手に使えば、コストを抑えて仮住まいを確保できる可能性があります。
仮設住宅(プレハブ)
土地の広さに余裕がある、業者が仮設住宅に対応している、予算に余裕がある、等、いくつかの条件をクリアする必要はありますが、建て替える土地の一角に仮設住宅を建ててもらい、そこに住むという選択肢もあります。
メリットとしては、引っ越しの手間がないこと。住環境が変わらず、また新規に光熱費等の契約をする手続きが要らないことなどが挙げられます。
ただ、対応してもらえるかどうかは業者により異なり、また仮設住宅の住み心地にも大きなバラつきがあります。加えて、仮設住宅を建てる場合、賃貸を借りるより費用が掛かることがほとんど。
一般にメリットよりデメリットの方が多い仮住まいとされており、慎重な検討が必要です。
ホテル
身軽さを重視するなら、ホテルに宿泊するというのも手。
多くの場合、荷物保管用にトランクルームも利用する必要があり、また宿泊費も安くありませんが、いきなり行ってもすぐに泊まれ、気に入らなければチェックアウトするだけでOK、という身軽さは魅力的です。
一生に何度もない贅沢と考え、旅行感覚でホテル生活を楽しんでみるのも、検討する価値はあるのではないでしょうか。
親族・知人友人宅を間借りする
少子高齢化の背景もあり、特に地方では、無人の物件を持て余しているケースが少なくありません。
身近にそういった心当たりがあるなら、相応の家賃を支払うことを条件に、仮住まいとして提供してもらうという方法もあります。
不動産業者に依頼する場合、仲介手数料や敷金、礼金といった家賃以外の費用が少なからず発生します。直接借りることができれば、大幅なコスト削減が見込めることでしょう。
探し方のポイントを押さえよう
続いて、仮住まいを探す際に押さえておきたいポイントを解説します。
1.仮住まいの情報源を知る
建て替えはハウスメーカーや工務店の業務範囲ですが、仮住まい探しについては、任せられるのか、それとも施主が自分で行うのか、曖昧な人も多いのではないでしょうか。
実際は、ケースバイケースで異なります。業者の担当者が候補を探してくれることもありますが、必ずそこに住まなければいけない訳ではなく、家族がより過ごしやすい物件を探して、自分たちで不動産屋を回ることも多いです。
物件の主な情報源としては、以下のようなものが挙げられます。
賃貸情報サイト
情報化が進み、端末を少し操作するだけで膨大な数の物件情報が手に入るようになりました。
仮住まいのように短期の賃貸は少々特殊ですので、普通に賃貸する場合に比べて交渉の手間は掛かります。ただそれでも、まずインターネットで情報収集を行っておくと、仲介業者と直接やりとりするときにもスムーズに話を進めることができるでしょう。
仲介会社
賃貸物件を探す場合、実店舗を持っている不動産会社に相談するのがもっとも手っ取り早いです。
業者により手持ちの物件に違いはありますが、それでも大部分の物件は、仲介業者間で情報が共有されています。
もちろん最初に信用できる仲介会社かどうか慎重に見極めておく必要がありますが、ネットで細々作業するのが手間、というような場合は、いきなり店舗を訪ねて相談してしまうというのも手です。
ハウスメーカー/工務店
ハウスメーカーや工務店は、少なからず不動産会社とつながりを持っています。
依頼する業者に相談し、コネクションを活用して物件を融通してもらうのも、手間を最小限にして優良物件を発掘する手段の1つ。
物件の質や掛かるコストはケースバイケースですが、いずれにせよ、最初から仮住まい前提の賃貸物件を紹介してもらえるため、入居期間につきまとう面倒な交渉が要らないというメリットがあります。
物件仲介Webサービス
これまで、賃貸物件を契約する際は不動産会社に仲介してもらう必要がありました。
しかし昨今は、ウェブを介して、賃貸オーナーと直接やりとりできるサービスも登場しています。
店舗に出向いて、スタッフに話をし、スタッフがオーナーと交渉して、それをまたフィードバックし…。というような手順を丸ごと省いて、直接条件の交渉を行えるというのが、大きなメリット。
オーナーがどういう人か。またこちらがどういう状況にあるのかを共有して、無理のない範囲で落とし所を探ることができます。
ウェブを介したサービスに抵抗がなければ、仮住まいを確保するチャンネルの1つとして、利用を検討されてみるのも良いでしょう。
2.予算のシミュレーション
建て替えに掛かる費用は、数百万〜数千万円に及びます。そのため、仮住まいに掛かる費用は、どうしても小さく感じてしまいます。
とは言え、普段の生活費を基準にすると、決して軽視できる金額ではありません。しっかりシミュレーションを行い、必要十分な予算計画を練っておくことが大切です。
シミュレーションのために押さえておきたい、仮住まいに掛かる主な費用の内訳を紹介します。
引越し費用
依頼する業者にもよりますが、1回あたり10万円前後が相場と言えます。入居時と退去時、都合2回の引っ越しが発生しますから、トータルで20万円前後は見ておくと良いでしょう。
家賃
エリアにもよりますが、概ね5〜15万円の範囲に収まるはずです。
もちろん、物件に求める条件が多ければ、家賃もその分上がる傾向にあります。予算と生活の利便性を考えて、ちょうどいい落とし所を探りましょう。
敷金・礼金
最近は敷金・礼金を取らないケースも増えていますが、実際にどうなるかは蓋を開けてみないとわかりません。万全を期して、あらかじめ予算に組み込んでおきましょう。
こちらも金額はケースバイケースですが、家賃の1ヶ月分で設定しているところが多いです。家賃の相場は5〜15万円ですから、敷金・礼金の費用としては、10〜30万円ほどと想定できます。
仲介手数料
仲介手数料は、賃貸物件を紹介してくれた不動産会社に支払うものです。
不動産の取引には重要事項の説明というものが義務付けられており、多くの場合、業者の仲介は避けて通れません。
仲介手数料の有無は業者によりますので、コストを抑えたければ予め相談するか、仲介手数料が無料の業者を吟味することをおすすめします。
ちなみに、仲介手数料の相場は、家賃0.5ヶ月分〜1ヶ月分です。
3.家族構成から仮住まいの条件を絞る
大まかな予算を固めたら、仮住まいに求める条件を絞っていきます。
仮住まいとは言え、短くても半年は過ごすことになります。生活の利便性を考えて物件を選ばないと、思わぬところで負担を強いられる可能性も。
年齢によって、生活に求めるものも大きく変わります。家族構成を踏まえながら、予算と条件を擦り合わせて行くことが大切です。
4.荷物(家具・家電等)の置き場を検討
建て替えに当たっては、荷物の置き場も考慮しなければなりません。
主な選択肢としては、以下のようなものが挙げられます。
- 仮住まいへ保管
- 置きっ放し
- トランクルームを利用
引っ越し先に持っていければそれに越したことはないのですが、荷物の量によっては、生活空間が圧迫されてしまうことも考えられます。
建て替えをする土地に、荷物を保管できるような建物があれば、土地に置きっ放しにするのも手。簡易的な物置なら数万円で購入できますから、コストを削減できそうならそうしたアイテムを活用されてみるのも良いでしょう。
スペースに余裕がない、というようであれば、トランクルームをレンタルしたり、建て替えパック(荷物を預かってくれるサービス)のある引っ越し業者を選んだり、といった選択肢もあります。
必要な手続きの種類を知ろう
現在住んでいる土地ではない、別の住所を仮住まいとする場合、各種ライフラインや電話・FAXなどの契約者情報も更新しなければなりません。
忘れてはいけない主な手続きを以下にリストアップしてみます。
ライフライン
建て替えの間、電気・ガス・水道の契約をそのままにしていると、使っていないのに基本料金が請求されてしまいます。
業者の方で使う可能性もありますから事前に確認は必要ですが、こうしたライフラインの停止手続きを取っておくと、余分な出費を避けることができます。
郵便物・宅配物
どのような形の建て替えを行うかにもよりますが、工事中に郵便受けが無くなってしまったり、自宅と仮住まいが遠く、気軽に取りに行けなかったりする場合は、郵便局で転送手続きを行うことをおすすめします。
また、何らかの定期サービスを利用している場合なども、忘れずに届け先の変更手続きを行いましょう。
電話・プロバイダ
電話回線やインターネット回線は、移転ができます。仮住まいで使う予定があるなら、こちらも忘れずに手続きしておきましょう。
ただ電話回線の場合、移転によって電話番号が変わったり、余分な工事が必要になったりといった可能性も。移転ではなく、携帯電話への転送するという手もありますから、状況に合せて柔軟に選択されることをおすすめします。
番外・手続きが不要なもの
免許証や住民票といった公的な証明書は、1年未満程度であれば手続きは不要とされています。
クレジットカードや銀行といった、身分証明書によって利用のための信用を得ているサービスも同様です。
よくある失敗を避けよう
何事もそうですが、失敗にはパターンがあります。続いては、仮住まいに入居する際に、後悔しやすいポイントをチェックしてみましょう。
ギリギリで探し始めて条件の悪い物件に入居
仮住まいは、建て替えが終わったら引き払います。しかし、半年〜1年という短期間での賃貸を良しとする不動産オーナーは、多くありません。
仮住まい探しを一般の賃貸物件と同じ難易度で考えていると、想定以上に時間が掛かり、ろくな吟味もできないまま条件の悪い物件に入居する、という自体になりかねません。
ある程度余裕を持ってスケジュールを考えておくことをおすすめします。
立地を考えず、買い物・通勤・通学に困る
期間が短いからと、節約を重視して立地を軽く見ると、生活の不便さに苦しむことになります。
物件を選ぶときは、想像だけで条件を絞らず、候補となるエリアを実際歩き回ってみたり、不動産のポータルサイトなどで地域住人の声をチェックしてみたり、なるべく具体的な情報を下地に実生活をイメージすることが大切です。
狭すぎて生活が不便
広さも妥協しがちなポイントです。
仮住まいに持ち込む荷物の量をあらかじめ把握してシミュレーションしておかないと、引っ越してみたら窮屈でストレスが溜まる、ということにもなりかねません。
ただ寝るだけなら狭くても構いませんが、そうでないなら、家族がリラックスして過ごすのに十分な広さを確保できているか、入念なチェックを心掛けましょう。
設備が足りず、家具・家電を追加購入する羽目に
賃貸物件によっては、エアコンやコンロ、照明といった設備が付帯しておらず、入居の際に購入しなければならないことも。
建て替えで家具や家電を一新する人は少なくありませんが、仮住まいで同じような買い物をしてしまうのは、ちょっと興ざめですし、お金も勿体無いですよね。
なるべくなら、必要な設備の揃った物件を吟味したいところです。
疑問点・不安点を潰しておこう
仮住まいを探すにあたって不安なことや、疑問に思うことは、なるべく早めに解決しておきましょう。
考えたり、調べたりしてわからなければ、業者さんに直接聞いてしまうというのも手。ほとんどの業者は、契約の前段階であっても、相談に乗ってもらうことができるはずです。
以下に、よくある疑問とその回答をまとめてみますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
賃貸で借りる場合、建て替えの件は言わないとダメ?
必ず伝えなければならないわけではありませんが、たとえ審査で不利になるとしても、あらかじめ伝えておいた方が後のストレスは小さいです。
嘘をついて入居している、という後ろめたさを感じずに済みますし、解約の際もスムーズに話を進めることができるからです。
ペットがいる時はどうする?
数は少ないですが、ペット可の物件も少なからずあります。
特に不動産投資熱の高い、物件が余っているエリアでは、他と差別化を図るためにペット可、楽器可、といった特定の人にフォーカスした経営を行っているオーナーも少なくありません。
建て替えにあたっては、そうした物件にある程度検討をつけた上で、業者探しをされることをおすすめします。
どのタイミングで探し始めればいい?
厳密なルールはありませんが、短期間の賃貸はオーナーが敬遠しがち。希望の物件が見つかっても、必ずしも審査に通るとは限りません。
解体のスケジュールが明らかになったら、なるべく早めに行動を起こすことをおすすめします。
引越し・入居の大まかな流れが知りたい
まず物件を探し、内覧を経て、納得できたら入居申し込み。審査を経て、問題がなければ契約となります。
その後は、引っ越し業者を探して、所定の日取りまでに荷造りや、ライフライン等の手続き(必要な場合)を済ませておきます。
当日になったら、引っ越し業者との取り決めに従って仮住まいに移動。入居となります。
工期が延びた場合、施工業者からの金銭的支援はある?
工期が延びた場合でも、施工業者に仮住まいの費用を支援してもらえることは、基本的にありません。
ただ、契約内容や工期延長の理由によっては、一部支援してもらえる可能性も。万全を期すなら、事前に業者に確認されておくことをおすすめします。
まとめ
- 仮住まいの候補は、賃貸アパート・マンション、マンスリーマンション、仮設住宅、ホテル、親族・友人宅など
- 賃貸の場合、短期間で貸し出してくれるオーナーは少ないため、早めに行動することが大切
- 賃貸物件の情報源としては、賃貸情報サイトや、不動産会社、建て替えを依頼する業者などが考えられる
- 引っ越しの際、住民票や免許証の届出は不要だが、ライフラインや郵便物等は、利用停止や転送の手続きを忘れずに行うことが大切
仮住まいでの生活は、新居に対する期待が大きく膨らむ、楽しくももどかしい時間となるはず。一生に何度もない素敵な状況を存分に楽しむためにも、万全の準備をして仮住まい探しに臨みましょう。
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