注文住宅を購入する際には、「注文住宅にかける予算」を計算しなければいけません。 注文住宅の建築や購入にかかる費用を把握して、無理のない予算計画をすることで、住宅ローンの返済に悩むことなく、理想的な注文住宅を購入することができます。
この記事では、注文住宅の予算を把握したい方のために、予算の計算方法を紹介します。 また、具体的なイメージが湧きやすいように予算別ごとに建てられる住宅の例(実例写真付き)、予算をオーバーにならないためのコツなども合わせて紹介していきます。
1,注文住宅の予算の計算方法
住宅購入予算は「年収×年収倍率+自己資金-諸費用」で求めることができます。
年収倍率
年収倍率とは、年収の何倍で住宅を買ったかという数値です。
住宅の購入価格と購入した人の年収の比率で割り出しています。
「2015年度フラット35利用者調査」によると、2015年度の年収倍率の全国平均は約6.1倍になっています。
参考元:住宅金融支援機構
自己資金
自己資金は、貯金や投資資産など、注文住宅の購入に充てられる資金のことです。
諸費用
諸費用とは、工事請負契約に含まれる以外の経費のことです。
- 不動産仲介料
- 登記手続き費用
- 住宅ローンを利用する時にかかる手数料
- 新居に引っ越すための費用
- 仮住まい費用
などの費用が含まれます。
諸費用は建築費の5〜7%が目安です。
住宅金融支援機構がフラット35の利用者を対象に行った、2017年の統計調査によると、注文住宅の建築費の平均が3353万円という結果でした。
参考元:住宅金融支援機構 住宅ローン関連調査 フラット35利用調査
その結果から、3353万円(建築費)×6%=約200万円となりますので、諸費用の総額は、「200万円」が一つの目安となります。
例えば、以下の条件で住宅購入予算を計算するとします。
年収:659万円(注文住宅を購入する人の世帯平均年収)
年収倍率:6.1倍
自己資金:1,000万円
諸費用:200万円
659万円(年収)×6.1倍(年収倍率)+1,000万円(自己資金)-200万円(諸費用)=約4,920万円
約4,870万円の予算を住宅購入に充てられることになります。
1-1.年収別の予算額(目安)
下記の条件で、目安となる予算額を記載しておきます。
年収倍率:6.1倍
自己資金:1,000万円
諸費用:200万円
年収300万円:約2,230万円
年収400万円:約2,840万円
年収500万円:約3,450万円
年収600万円:約4,060万円
年収700万円:約4,670万円
年収800万円:約5,280万円
ただし、年収が多い家庭であっても、子供の多い家庭であれば、それだけ生活費の負担が大きくなります。
上記の計算方法はあくまでも年収を目安にして、予算額を算出する方法です。
実際には、年収や月々の生活費などを考慮しつつ、計算していくことになります。
例えば、土地と住宅を購入した場合、購入費用や借入金額が高くなりやすいです。
そのため、住宅ローンの月々の返済額も10万円を超えるケースが多く見られます。
実際に、総務省が行っている「平成29年家計調査(2人以上世帯)」によると住宅ローン返済世帯全体の返済月額は90,723円です。
参考元:e-stat
年収500万円の場合の手取りは、月30万円程度(税引後)になると思います。
手取り額から毎月10万円近い返済額を差し引くと、残りは20万円ほどです。
総務省による家計調査によると、一世帯(2人以上)当たりの平均支出額は月28万円となっているため、4人家族の場合、月20万円の生活費では少し厳しいです。
参考元:e-stat
そうなると住宅の購入予算を下げるか、住宅ローンの借入期間を伸ばして月々の返済金額を下げる必要があります。
注文住宅の予算を計算するときは、世帯年収・生活費・家族構成を参考にしつつ、計画するようにしてください。
なお以下の記事でも注文住宅に係る補助金、助成金について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください! 注文住宅づくりで得する補助金・助成制度ガイド【2020年版】
1-2.注文住宅の平均購入費用(土地あり・土地なし)
次に全国の平均や首都圏、東海圏における注文住宅の平均購入費用を紹介します。
全国的に見て、どれくらいの予算の家を建てているか、参考にしていただければと思います。
以下のデータは、住宅金融支援機構(フラット35の金融機関)の利用者調査によるものです。
土地なしの注文住宅の平均購入費用
土地がない場合の注文住宅の平均購入費用は以下のような金額になります。
首都圏:4,652万円
近畿圏:4,077万円
東海圏:4,122万円
全国平均:3,955万円
土地の購入費用と建物の費用が加わるため、費用は4,000万円を超えるケースが多いです。
全国平均で見ると、約3,900万円ほどの予算で住宅を購入しているようですね。
さきほどの年収別予算の計算では、年収600万円の予算目安は約4,000万円ほどだったので、年収600万円の家庭であれば、全国の平均購入額と同じくらいの金額になります。
土地なしで注文住宅をお考えの方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
土地ありの注文住宅の平均購入費用
土地がある場合の注文住宅の平均購入費用は以下のような金額になります。
首都圏:3,615万円
東海圏:3,414万円
近畿圏:3,452万円
全国平均:3,320万円
土地を持っている方は、約3,200~3,600万円の住宅を購入しているようです。
土地の購入費用が必要ないため、建物にお金をかることができます。
土地ありで注文住宅をお考えの方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。 土地ありで注文住宅を建てる時に知っておきたい6つのこと
2.購入予算別の間取りと実例写真
この章では購入予算別に、実際に建てられた注文住宅の外観・内観写真と間取りをご紹介します。
それぞれの購入予算でどのような住宅が建てられるのか、参考にしていただければと思います。
(こちらで提示している金額は、建物本体の価格になります。実際には、建物本体の他にも、土地の購入費用が必要になりますので、提示価格は目安にしてください。)
2-1.1000万円の注文住宅の実例
外観
外観のデザインは、全体をスッキリさせて、無駄を省いた箱型形状となっています。
窓材を節約するために、窓の数も少なめです。
このようにシンプルな外観にすることが、大きなコスト削減につながっています。
さらに、凹凸がなく、箱型の住宅にすることによって、住宅内の空間が広く使うことができます。
内観
内装の大部分をシンプルな白一色にすることによって、内装費用を抑えています。
キッチンや浴室の設備もグレードを抑えることで、予算削減に貢献しています。
間取り
主寝室が1部屋、子供部屋が2部屋あるため、夫婦2人と子供2人の家庭におすすめの間取りです。
各部屋にそれぞれ人数分の収納スペースがあり、さらに1階部分にも収納スペースが複数あるため、収納スペースにはかなり余裕を持たせてあります。
そして、2階部分の廊下以外は通路をなくし、居住スペースを広めにとっているのも大きな特徴です。
本体価格 | 1080万円 |
坪単価 | 37万円 |
延床面積 | 98.55m2 |
敷地面積 | 記載なし |
建築地域 | 愛知県春日部市 |
1000万円台の注文住宅については、以下の記事でもたくさんの事例を紹介しています。 スタイル別にチェック!1000万円台で建てた注文住宅のデザイン事例10選
参考元:suumo
2-2.2000万円の注文住宅の実例
外観
こちらの住宅は2階部分に広めのバルコニーが設けられています。
天気が良い日には洗濯物や布団を干すことができます。
さらに、住宅に凹凸を作ることで、おしゃれな印象を受ける外観になっています。
1,000万円の予算では、外観をシンプルにして費用を抑える設計になっていましたが、2,000万円あれば外観にもこだわることができます。
内観
もともとは日当たりの悪い立地でしたが、リビングと吹き向けの配置を工夫することで、部屋全体が明るい空間となっています。
オープンキッチン採用することで、子供がどこにいても見守ることができる間取りとなっています。
間取り
寝室が1部屋、子供部屋が2部屋あり、夫婦2人と子供2人のご家庭が住むのにおすすめの住宅です。
1階には家事スペースや子供の遊びスペース、客間などに使える和室を採用しています。
トイレが1階と2階の両方に1つずつあるため、トイレ待ちが起こりにくくなっています。
2階の寝室に設置されたウォークインクローゼットの他にも、収納スペースが各階に多数設けられているため、荷物が増えても収納に困ることはありません。
本体価格 | 1950万円 |
坪単価 | 57万円 |
延床面積 | 113.43m2 |
敷地面積 | 192.80m2 |
建築地域 | 滋賀県草津市 |
2000万円台の注文住宅については、以下の記事でもたくさんの事例を紹介しています。
参考元:suumo
2-3.3000万円の注文住宅の実例
外観
3,000万円の住宅は2,000万円の住宅よりも、さらに外観にこだわることができます。
玄関の色や外壁の塗装以外にも、外観の一部にレンガを用いてモダンな雰囲気を醸し出すこともできます。
内観
1,000万円台、2,000万円台の注文住宅に比べ、内装の色やデザインにバリエーションがあることがわかります。
この住宅では、キッチン一体型のカウンターテーブルの上に、3つのランプシェードを設置、さらに真鍮製の照明、プライバシーを守りながら室内に光を導くスリット窓を設けるなど、こだわりのある空間が作られています。
3,000万円台の予算があれば、写真のように内装のデザインにもさまざまこだわりを採り入れることができます。
間取り
LDKにはオープンキッチンを備えており、子供を見守りつつ家事をすることができます。
各階の洋室に収納スペースがあり、主寝室にはウォークインクローゼット、キッチンの横にはパントリーも備えているため収納には困りません。
玄関からリビングまで間に角度をつけることによって、玄関から室内が見えない工夫もされています。
本体価格 | 記載なし |
坪単価 | 記載なし |
延床面積 | 123.12m2 |
敷地面積 | 182.31m2 |
建築地域 | 岡山県岡山市 |
参考元:suumo
3000万円台の注文住宅については、以下の記事でもたくさんの事例を紹介しています。
2-4.4000万円の注文住宅の実例
外観
4,000万円の予算があれば、予算に余裕があることから、さまざまなこだわりや希望を採用した住宅を建てることが可能です。
写真の住宅は重厚感や統一感のある美しいデザインを採用しています。
内観
二世帯住宅となっているため、1階と2階にLDKがあります。
1階にある和室は真壁仕様で、珪藻土の壁も和風の色となっています。
両親の将来を考え、床は段差をなくして廊下は広めに設計。
子世帯が使う2階のLDKは太い梁を渡した吹き抜けとなっており、とても開放的な空間となっています。
間取り
各世帯が干渉しあわないために玄関を2つ設けてあります。
生活スタイルがバラバラであってもストレスなく快適に過ごすことができます。
屋根裏が収納スペースとなっているため、普段使わない物は屋根裏に閉まっておくことで、スペースを有効活用できる間取りとなっています。
本体価格 | 4730万円 |
坪単価 | 77万円 |
延床面積 | 204.90m2 |
敷地面積 | 645.69m2 |
建築地域 | 東京都 |
参考元:suumo
4000万円台の注文住宅については、以下の記事でもたくさんの事例を紹介しています。
3.購入予算をオーバーさせないコツ
注文住宅の計画を立てるとき、予算オーバーは避けたいところです。
注文住宅の建築で予算オーバーしないためのコツとして、以下のような方法があります。
- シンプルな設計にする
- 設備・材料のグレードを抑える
- 家の面積を小さくする
- 複数社に見積もりを依頼して比較する
1つずつ説明していきます。
3-1.シンプルな設計にする 注文住宅を購入する場合は、できるだけシンプルな設計にすることで建築費用を抑えることができ、予算オーバーを防げます。
理由は、間取り設計が複雑なほど、材料費や工事費が増えてしまい、建築費用が高額になるからです。
たとえば、屋根の形を「切妻屋根」から、「片流れ屋根」にすることで、屋根の材料費と工事費を削減することができます。
他にも、コの字型やL字型のように凹凸がある住宅よりも、正方形や長方形のシンプルな外観の住宅を採用したほうが、建築費用が安く抑えられます。
予算オーバーさせないためには、シンプルなデザインを採用しましょう。
3-2.設備・材料のグレードを抑える
設備や材料を低いグレードにすることで、予算を抑えることができます。
たとえば、大手メーカーのユニットバス設備でも、数百万円単位の設備から、数十万円の設備まで幅広く取り扱っています。
参考元:ホームプロ
低価格で高品質の設備を採用することで、建築費用を安く抑えることができます。
また、内装にも高額な自然の内装材は使わず、シンプルな内装材だけを採用することで、建築費用を低くすることができます。
予算オーバーしそうな場合には、耐久性や使いやすさ支障がでない範囲で、設備や材料のグレードを下げることをおすすめします。
3-3.家の面積を小さくする
家の面積を小さくすることでも予算を抑えることができます。
たとえば、坪単価が50万円であれば、1坪分だけ家を狭くすることで、50万円のコスト削減ができます。
また、住宅の中でも、使用頻度が少ない部屋があれば、その部屋の面積を小さくすること材料費や工事費を抑えられるのでコストを削減できます。
日常生活への支障がない出ない範囲で、家自体の面積を狭くするのもおすすめです。
3-4.複数社に見積もりを依頼して比較する
複数社に見積もりを依頼して、見積もり金額を比較することで、安く建ててくれるメーカーを見つけることができます。
安いメーカーに依頼すれば、予算を抑えることができます。
注文住宅には建売住宅のように定価がないため、メーカーによって差が出やすい傾向にあります。
たとえば、A社という住宅メーカー見積もりを依頼したところ、2,000万円の価格が提示されたとします。
一方で、B社、C社に見積もりを依頼したところ、B社は1,800万円、C社は1,600万円という提示がされました。
A社:2,000万円
B社:1,800万円
C社:1,600万円
上記の場合であれば、A社の提示した価格が最も高いことがわかりました。
さらに、複数見積もりを依頼したことによって、C社が一番安いことも判明しました。
複数社に対して見積もりを依頼することで、低価格や適正価格で工事を引き受けてくれる業者を見つけることができます。
ただし、注意しなければいけないのは、価格だけに注目しないことです。
建築費用が安いメーカーによっては、手抜き工事で価格を抑えている悪徳業者であるの可能性もあるからです。
また、建築費用はハウスメーカーよりも工務店に依頼したほうが安い傾向にあります。
ハウスメーカーと呼ばれる大手住宅会社は、広告宣伝費に多額の費用を投入しており、その費用が建築費用に上乗せされているからです。
注文住宅の予算を抑えたい場合には、工務店に依頼したほうが、予算を抑えることができます。
4.購入予算がオーバーした時の対策方法
注文住宅を建てる際に予算オーバーは避けたいですが、実際は予算オーバーしてしまうケースも多々あります。
その時の対策を紹介しますので、参考にしてください。
4-1.廊下の不要な部分を削る
間取りを削るとなるリビングや和室、子供部屋に注目してしまいますが、一番不要な箇所は廊下です。
廊下の不要な箇所を削ることで、建築費用を抑えることができます。
例えば、下記の間取り図は2階の廊下を最小限まで削った例です。
廊下を削れば住宅の面積も減ります。
坪単価50万円だったとして、廊下を減らし1坪でも削減できれば、50万円も予算を削減できます。
廊下スペースはどの家でも0.5坪ほどカットできることが多いので、間取り図を確認して、廊下スペースに無駄な箇所がないかチェックしておきましょう。
4-2.構造や仕上げ材を見直す
一般的に和室は洋室よりも構造が複雑なため、コストが高くなります。
そのため、コストを削減するために和室をなくす、もしくはリビングの一角に畳スペースを作るなどの構造を検討してみましょう。
また、壁や天井、床などに使用する仕上げ材も、グレードを下げることによりコスト削減が見込めます。
壁の仕上げ材で安いのはクロス仕上げで、工事期間も短縮できるのでおすすめです。
ただし、すべて塗り壁にしたいけど、コストカットを考えて一部分だけクロス仕上げにするのはやめましょう。
材料費がかかる、職人の工数(人件費)が増えるなど、費用が増えてしまうからです。
浴室や洗面所などの水回り以外の仕上げ材を統一することでもコスト削減が見込めます。
木造住宅と鉄骨住宅については、以下の記事でも詳しく解説しています。
4-3.後付できる設備は付けない
家具や家電、カーテンに照明器具など、引渡し後でも揃えられる設備は後回しにすることで、予算を削減できます。
特に家具類は、新築にあわせて新品を購入したくなりますが、今まで使用していた家具を優先的に使い、後から買い替えていくこともできます。
食器棚は寸法によって買い換える必要があるかもしれませんが、タンスやベッドなどの家具類は、新居と同時に買い換える必要はありません。
予算オーバーした際は、後回しにするようにしましょう。
注文住宅における防犯・セキュリティ面については、以下の記事をチェックしてみてください。
戸建ての防犯対策!侵入されにくい家にする物件選びと防犯のコツ
5.まとめ
注文住宅の予算の計算方法や予算別に建てられる住宅を紹介しました。
適正な予算を把握できれば住宅ローンも組みやすくなります。
注文住宅を購入するときに住宅ローンを組んだら、最後まで無理なく返済をしていくことが大切です。
せっかく住宅を購入しても、生活に負担のかかる返済計画では、精神的にも肉体的にも負担になります。
用意できる予算は年収以外に、家族構成や生活費を考慮することも大切です。
今回の記事を参考に、適切な予算を把握していただければ幸いです。
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