家づくりの際に住宅ローンを組む場合は、どのくらい借り入れをしていくらずつ返していくか、返済計画を立てます。通常はローンを組む際に金融機関にシミュレーションしてもらいますが、自分で計算することも可能です。
ただ、金利や返済に関する専門用語をある程度理解しておかないと、何の計算をしているのかわからなくなることがあります。そこでここでは、自分でシミュレーションをする時も迷わずできるように、頻出用語を中心に解説します。
この記事がおすすめできる人
- 注文住宅の資金計画を建てようとしている人
- これから住宅ローンのシミュレーションをしようと考えている人
- 住宅ローンの入門書を開いたが、専門用語が多くて挫折してしまった人
- 住宅ローンを申し込む流れが知りたい人
なお以下の記事でも「住宅ローン」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
住宅ローンのシミュレーションに使う主な項目まとめ
金融機関によって住宅ローンの金利や諸費用は変わるため、自分にとってどこが有利か比較し検討する必要があります。そこで、シミュレーション時によく使われる用語をピックアップし、その意味や特徴などを解説します。
自己資金(頭金)
住宅を購入する際に、ローン以外に自分で用意する現金のことを自己資金と言います。住宅を購入する際には建築費以外にもさまざまな税金やローン手続き、保険料などの諸費用がかかりますが、これらは自己資金から支払います。
住宅ローンの頭金はそのまま購入費用に反映されるため、自己資金とは少し意味合いが異なります。頭金+ローンの借入額が購入予算になりますが、自己資金はこれに諸費用を加えたものになります。
したがって住宅ローンの頭金として物件価格の10~20%とした場合には、それ以外に諸費用分として5%~10%程度も入れた自己資金を用意することになります。自己資金の全額を頭金に設定すると、諸費用が払えなくなるので要注意です。
年収
住宅ローンを組む場合にどのくらい借り入れができるかは、年収が大きく影響します。本人の借入状況や金融機関の審査基準よっても変わってきますが、年収に占める年間返済額の割合である、返済負担率が重視されるからです。
例えばフラット35では毎月の返済額の4倍以上の月収があることと、年収によって年間合計返済額の割合(総返済負担率)の基準が明確に決まっていて年収400万円未満は30%、400万円以上は35%となっています。
このような住宅ローンの判断基準となる年収とは税引き前の総支給額になります。但し自分で住宅ローンの資金計画を立てる場合は所得税、住民税、社会保険料を引いた手取り年収も把握した上で検討することが大切です。
金利方式
住宅ローンの金利方式は、変動金利と固定金利に大きく分けることができますが、その中間に位置する固定期間選択型も合わせると3種類。これらの違いをきちんと理解しておくために、それぞれの特徴について解説します。
変動金利
借入期間中に6ヶ月ごと金利が見直される金利方式です。金利の動きに合わせて返済額も見直されますが、すぐに変動するわけではなく、5年後です。以降5年ごとに返済額が見直されますが、返済額の上限は1.25倍までと定められています。
このような上限設定は、返済額が急増することを防ぐ効果がありますが、金利が上昇し続けると返済額に占める元金分割合が小さくなるため、借入元金がなかなか減らず負担を先送りにしていくリスクもあります。
固定期間選択型(変動固定金利)
2年、3年、5年、10年というように、一定期間の金利が固定される金利方式です。期間が終了する時に金利を見直し、それに合わせて返済額も見直します。固定期間の選択は住宅ローンを組む金融機関によって異なります。
変動金利型と固定金利型の中間に位置づけられますが、変動金利型のような返済額の上限設定がないため、返済負担を先送りするリスクがない代わりに金利の上昇局面では急激に返済額が増えてしまう可能性があります。
当初固定金利
金融機関で当初引下げプランといった名称で案内されているものは、当初固定金利と呼ばれるもので、一定期間金利が固定されます。固定金利期間終了後は変動金利(半年型)になるのが原則で、金利上昇局面では後から負担が大きくなる可能性があります。
固定金利
借入期間中の金利がずっと固定される金利方式です。借入申込み、または融資実行時に金利が確定するため、返済額が完済まで変わることはなく、金利上昇リスクがないため資金計画が立てやすくなるというメリットがあります。
一方で、適用金利が高めに設定されるため、金利が下がっていく局面では変動金利型の住宅ローンに比べて返済額が多くなるリスクも。固定金利型はフラット35がよく知られていますが都市銀行にも独自のものがあります。
返済方式
住宅ローンの返済方式には、元利均等返済と元本均等返済の2種類があります。毎月の返済額や総返済額に違いがあり、後々の返済計画にも影響するため、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて以下に解説します。
元利均等返済
元金と利息を合わせた毎回の返済額が一定となる返済方式です。毎月の負担額が変わらないので返済計画が立てやすいというメリットがあり、当初は元金均等返済方式よりも返済額が少ないというのがメリットになります。
その一方で、当初は毎月返済額のうち利息が占める割合が高く元金(借入金残高)がなかなか減っていきません。そのため同じ借入期間の場合には元金均等返済よりも総返済額が多くなってしまうというデメリットもあります。
元本均等返済
元金部分を返済期間で按分するため毎回の返済額のうち、元金の額が一定となる返済方式です。返済額(元金+利息)が少なくなっていくので後から負担が軽くなり、同じ借入期間の場合、元利均等返済よりも総返済額が少ないのがメリットです。
元金(借入金残高)に応じた利息が上乗せされるため当初は返済額が高くなり、負担が重くなるのがデメリットです。借入時に必要な収入も高くなるので、借入可能額が少なくなってしまう可能性もあります。
繰り上げ返済
通常の毎月返済とは別に、まとまった金額を支払うことで残元金を減らすことを繰り上げ返済と言います。繰上返済の支払いはすべて元金の返済に充てられるため、本来支払うべき利息を減らすことができるのがメリットです。
返済方法には期間短縮型と返済軽減型の2種類があり、期間短縮型は毎回の返済額を変えずに返済期間を短くするもので、その期間に支払うはずだった利息分が軽減されることになります。完済までの期間を短くしたい場合に向いています。
返済軽減型は残りの返済期間を変えることなく、毎月の返済額を引き下げるものです。利息軽減効果については期間短縮型の方が高いですが、資金計画上で毎月の負担額を減らしたい場合に向いています。
ボーナス返済
住宅ローンで毎月の返済と併用して、年2回のボーナス月にまとまった額を支払う返済方式です。毎月の返済分にボーナス返済分が加算されるためボーナス月の返済負担が大きくなります。
ボーナス月だけ返済金額を増額する代わりに、毎月の返済額を減らすものと考えた方がわかりやすいかもしれません。金融機関によって異なりますが、ボーナス時に加算できる返済分は返済住宅ローン契約額の40~50パーセントに制限しています。
年収の中でボーナスの割合が高い人が利用するケースが多くなっています。ボーナス返済をしても総返済額はそれほど大きな違いはありませんが、ボーナス返済により返済期間が短くできるなら、負担の軽減につなげることができます。
保証料
住宅ローンを組む際には手数料や税金などさまざまな諸費用が発生しますが、中でも高額になりやすいのが保証料です。保証料とは、住宅ローンの返済ができなくなった時に、債権者を金融機関から保証会社に切り替えるための手数料のようなお金です。
金融機関にとっては、連帯保証人の役割を担う法人に住宅ローンを保証してもらう保険のようなものです。返済ができなくなった場合、契約者の代わりに保証会社が全額を返済しますが、契約者は保証会社に対して支払う義務が発生します。
保証料は借入金額や返済期間、金融機関によって計算方法が異なります。一括前払い型と利息組込み型の2種類があり、利息組込み型では一時的な負担がない代わりに返済額に保証料を含むため、住宅ローン金利が高くなります。
融資手数料
住宅ローンを組む際に金融機関に支払う手数料のことで、融資事務手数料と呼ばれることもあります。保証料が0円の金融機関でも融資手数料は必ず発生するものと考えてよいでしょう。
融資手数料は金融機関によって違いますが、定額型と定率型があり定率型の場合は、借入額の1.5~2%くらいで設定されるケースが多くなっています。仮に2,000万円の住宅ローンを組んで融資手数料が2%だとすると40万円になります。
融資手数料は、融資が実行されるタイミングで支払いが求められます。保証料が求められる金融機関では融資手数料は低めに設定されることが多いですが、手数料の金額だけでなく金利なども含め総合的に判断して決めることが大切です。
住宅ローンの主な種類
住宅ローンは公的ローンと民間ローンの2種類に大きく分けることができますが、中間的な位置づけとして長期間固定金利のフラット35があります。ここでは違いを理解するためそれぞれの特徴について解説します。
公的ローン
公的機関による住宅ローンのことを指します。2007年に公庫融資が廃止されてから縮小傾向にありますが、代表的なものに、財財形貯蓄を1年以上継続していて、残高が50万円以上あるなどの条件を満たす人に向けた財形融資があります。金利は5年ごと見直され、財形貯蓄額の10倍(最高4,000万円)まで借り入れができます。
その他にも、各自治体が行っている融資制度を利用できる場合があります。一定の収入以下で住民税を滞納していないなど、条件付きでの融資や利子補給、住宅取得に対する助成など自治体によって内容は異なります。
フラット35
民間金融機関と住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)との連携で行われる全期間固定金利(最長35年)の住宅ローンのことを言います。申込要件は申込時の年齢が満70歳未満で日本国籍の方、永住許可を受けている人、または特別永住者です。
借入対象となる住宅は住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅(一戸建ての場合は70㎡以上)で、省エネルギー性、耐震性など、質の高い住宅を取得する場合はフラット35の金利から1.25%金利を引き下げたフラット35Sが利用できます。窓口は民間の金融機関ですが、金融機関によって金利や手数料は異なります。
民間ローン
銀行や生命保険会社などの民間金融機関による住宅ローンのことです。
最近は店舗を持たないネット銀行でも取扱いを初めており、条件に合わせて自由に選べるなど、公的ローンより魅力的な商品が多いため利用者が増えています。
審査は厳しいですが、融資限度額が高めに設定されていて物件に対する条件が緩い、金利面での優遇があるなど、利用のしやすさに力を入れています。
変動型や固定期間選択型の住宅ローンが多く固定金利型のフラット35と組み合わせ可能なものもあります。また住宅を販売する不動産会社の提携ローンも民間ローンの中に含まれます。
ペアローン・親子ローンについて
ペアローンは収入合算の方法の1つで、同一物件に夫婦などの親族がそれぞれ住宅ローンを契約して、お互いに連帯保証人になる住宅ローンです。身内が協力し合うことで、単独で住宅ローンを組むよりも有利な条件で借り入れが受けられるメリットがあります。
親子ローンには親子ペアローンと親子リレーローンがあり、親子ペアローンは親と子どもがそれぞれ住宅ローンを組み同時に返済していくもので、二世帯住宅を建てる際などに利用されます。
親子リレーローンは最初は親が住宅ローンの返済を行い、子がその返済を引き継ぐもので、親と子が連帯債務者となります。
住宅ローンを申し込む主な流れ
注文住宅が完成するまでは様々なステップを踏み進められます。いくつかの手続きや交渉を同時並行しなければならないこともありますが、ここでは住宅ローンを中心に申込みから融資実行までの大まかな流れを解説します。
土地購入&プラン決め
土地を所有していない場合は土地購入からスタートしなければなりません。
土地代と建築費をあわせて予算を組み、信頼できる施工会社を選んでプランを決定します。土地購入をサポートしてくれる会社なら家づくりと同時並行で進められます。
申し込みたい住宅ローンをいくつかピックアップ
住宅の建築プランがまとまったら、金融機関などの窓口でどのような住宅ローンが組めるかを確認していくつか候補をピックアップします。
融資条件や諸費用などをチェックして自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
仮審査の申し込み
ピックアップした住宅ローンの中から2~3つ選んで、金融機関に仮審査の申込みを行います。
年収や勤務先、勤続年数など申込者の情報から、金融機関による融資可否の審査が行われます。結果が出るまでに1週間程度かかると考えてください。
工事請負契約
金融機関に仮審査の申込みをする時期に施工会社と工事請負契約を結びます。
設計や施工プラン、完成予定などが決まる段階です。建築費やその他にかかる諸費用もしっかり確認していよいよ工事がスタートします。
本審査の申し込み
仮審査の後に行う2段階目の審査の申込みを行います。仮審査と違って本審査は銀行などの金融機関ではなく信用保証会社が行います。
したがって仮審査に通っていても本審査で落とされることもありますので注意が必要です。
住宅ローンの契約
本審査に通ったら住宅ローンの契約を行いますが、住宅ローンが実行されるのは住宅引き渡し時です。
注文住宅ではすでに工事が始まっていて、中間金などの支払いも発生するため必要に応じてつなぎ融資を受けて対応します。
住宅の引き渡し&融資の実行
建物が完成したら建築会社によるチェックや竣工検査、建築基準法に基づく検査などを経て納得の上で住宅の引き渡しが行われます。
残金(完了金)を支払ったら引き渡しが完了し融資が実行され、つなぎ融資を受けている場合は返済します。
返済開始
融資の実行は具体的には金銭消費貸借契約を結ぶことが必要で、事前に住宅ローンの内容はわかっているはずですが、正式には金利もこの時に確定します。
物件を登記し、抵当権が設定されたら返済が開始することになります。
住宅ローン減税の手続き
住宅ローン減税については入居年の翌年の確定申告時に税務署に必要書類を提出して申請します。
給与所得の源泉徴収票や借入金の年末残高等証明書などが必要になりますが、2年目からは年末調整で控除を受けられます。
まとめ
家づくりについては主に住宅会社と打ち合わせをしながら進めていくことになりますが、施主としては同時に予算組みや住宅ローンのシミュレーションなど資金計画についても検討が必要で、住宅ローンについては相手が金融機関です。
あまり馴染みのない専門用語で慌てることがないように、知っておきたい基礎知識を項目ごとにまとめましたので、今までモヤモヤしていたことが明確になりローンシミュレーションの際に活用いただければ幸いです。
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