いくら必要?住宅ローンで発生する諸費用の目安と節約のコツ

いくら必要?住宅ローンで発生する諸費用の目安と節約のコツ

家づくりの費用の大半を占めるのは土地購入や建築費ですが、実は住宅ローンを借りる際に掛かる諸費用もなかなか侮れません。

金額の大きい取引をしていると感覚が鈍ってしまいますが、十万円単位のお金がコンスタントに飛んでいき、単位が1つ変わってしまうことも少なくないのです。

ここでは、住宅ローンで発生する諸費用について取り上げ、それぞれの概要と費用目安、節約のコツなどについて解説してみたいと思います。

ちなみに当サイトでは、注文住宅の購入を検討している方に向けた様々な情報を発信しています。もし興味があるようでしたら、他のページにもぜひ目を通されてみてください。

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住宅ローンに掛かる諸費用の早見表

まずは、住宅ローンを申し込む際に一般的に必要とされる諸費用を一覧表で紹介します。

費用項目支払先費用目安
契約書の印紙税コンビニ・郵便局等(厳密には国)借入額によって以下のように異なる。
100万円超~500万円以下:2,000円
500万円超~1,000万円以下:1万円
1,000万円超~5,000万円以下:2万円
5,000万円超~8,000万円以下:6万円
抵当権設定のための登録免許税司法書士(厳密には国)借入額の0.4%
(現在対象物件の場合、2020年3月31日まで0.1%)
登記手続き代理人への報酬司法書士5〜20万円前後
融資手数料金融機関借入額の1.5〜2%前後
(定額の場合3〜10万円)
保証料保証会社借入額の2%前後
(諸条件により異なる)
火災保険料保険会社10〜40万円
(建物やプランにより異なる)
団体信用生命保険料金融機関、または保険会社借入額の0.3%前後

これらのうち、保証料や団体信用生命保険料については、金利に上乗せする形で支払い、金融機関から関係先へお金が支払われるのが一般的なのですが、場合によっては一括や、年単位での分割払いもあるため、諸費用に含めています。

ざっと見てみると、税金にせよ、手数料にせよ、借入額によって大きく金額が違ってくることが伺えますね。

住宅ローンの契約時に掛かる諸費用

続いて、住宅ローンの各費用項目について簡単に見てきましょう。

住宅ローン契約書の印紙税

契約書

印紙税とは、お金をやり取りする何らかの取引を行う場合、その取引の裏付けのために作成する文書に課せられる税金です。

対象となる文書は、不動産の譲渡契約書や請負契約書、定款、保険証券など20種類あり、契約金額に応じて課税される金額が細かく決められています。

支払いは、財務省が発行している収入印紙という金券を購入することで行い、収入印紙を契約書に添付することで、納税の証明とします。

ちなみに、印紙税を添付しなくとも文書は効力を発揮しますが、もし明るみになった場合、本来徴収されるはずだった印紙税の最大3倍の税金(過怠税)が徴収されることとなります。

また、ネットを通した契約を行い、契約書が形として存在しないような場合は、印紙税が課税されることはありません。

費用の目安と支払うタイミング

住宅ローン契約書に課せられる印紙税の金額は、以下のような基準で決められます。

1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円超50万円以下400円
50万円超100万円以下1千円
100万円超500万円以下2千円
500万円超1千万円以下1万円
1千万円超5千万円以下2万円
5千万円超1億円以下6万円
1億円超5億円以下10万円
5億円超10億円以下20万円
10億円超50億円以下40万円
50億円超60万円
契約金額の記載のないもの200円

参考:印紙税の手引|国税庁

多くの場合、1万円か2万円のどちらかとなるでしょう。

また、支払いのタイミングですが、住宅ローン契約書を記載・提出する時に添付するのが一般的です。収入印紙は、郵便局やコンビニなどで購入することができます。

抵当権の設定登記に掛かる登録免許税

taxの文字

抵当権とは、お金などを借りる場合に差し出した担保について、貸し手が優先的に債権を主張できる権利のこと。

住宅ローンを組む場合、土地や建物を担保にして融資してもらうことになります。そのため、法的に金融機関に抵当権があることを証明するために、登記簿に抵当権の権利者を記載する必要があります。

この手続きに必要な税金が、登録免許税です。

費用の目安と支払うタイミング

登録免許税の税率は、以下のように定められています。

通常の税率0.4%
住宅用家屋の軽減税率0.1%
(2020年3月31日までに新築・居住した場合)

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

住宅ローンを借り入れる場合、まず金融機関と金銭消費貸借契約を結んだ上で、抵当権設定契約を結びます。

登録免許税を支払うタイミングは、この抵当権設定契約を結んだ後に、管轄の法務局に登記申請をする時です。

納税は現金で行います。自身で書類を作成して手続きをすることもできますが、司法書士に手続きを代行してもらい、報酬と合わせて支払いを行うのが一般的です。

抵当権の設定登記に掛かる専門家への報酬

前述の通り、抵当権の設定は、司法書士に代行してもらうケースが多いでしょう。

金融機関と契約を結んだ後、以下のような書類を用意した上で、任意の司法書士事務所を選び手続きを依頼します。

金融機関が用意する書類登記原因証明情報、または抵当権設定契約証書
3ヶ月以内に作成した代表事項証明書
抵当権設定手続きの委任状
自分で用意する書類登記済証、または登記識別情報
3ヶ月以内に発行した印鑑証明書

費用の目安と支払うタイミング

登録免許税分の費用はどこに依頼しても変わらないのですが、手数料は事務所によって異なります。相場も5〜15万円と幅があるため、できるだけ安いところを探して依頼するのがベターでしょう。

代行される手続き自体は、どこに依頼しても変わらないからです。

支払いのタイミングも事務所によるのですが、必要書類を提出する時に振り込むというケースが多いようです。

融資事務手数料

銀行のプレート

住宅ローンの手続きに必要な諸費用の中でも、特に金額の大きい費用項目の1つが、融資事務手数料です。

融資事務手数料は、その名の通り、金融機関に支払う手数料です。

借入額に対するパーセンテージで金額が決まる定率型と定額型の2つのタイプがあり、プランによって大きく支払い金額が違うケースも見られます。

費用の目安と支払うタイミング

費用は、定率の場合は借入金額の1〜2%。定額の場合は、5〜10万円ほどとなることが多いでしょう。

融資金額が数千万円にのぼることを考えると、定額の方がお得に見えますが、この場合、金利が高いケースがほとんどのため、支払い総額ではむしろ損をしてしまう可能性も。

定率にしても、金利によってパーセンテージが上下することが多いため、手数料だけでなく、返済総額全体を見て、自分たちにとって本当にメリットのあるプランを選ぶことが大切です。

ちなみに、融資事務手数料は、融資が実行されるタイミングで支払う(正確には融資額から差し引かれる)のが一般的です。

保証料

保証料は、万が一住宅ローンの支払いが滞ってしまった場合に、金融機関への返済を肩代わりする保証会社に支払うお金です。

この保証というのは、金融機関に対する保証であって、お金を借りた側の保証ではありません。返済をしなくて良くなるわけではなく、返済先が金融機関から保証会社に切り替わるだけです。

費用の目安と支払うタイミング

保証料には、金利に上乗せするタイプと、一括で前払いするタイプがあり、どちらを選ぶかによって、支払いのタイミングはもちろん、費用の目安も変わってきます。

金利に上乗せをするタイプでは、金利負担が0.15〜0.45%ほど上乗せされるケースが多いです。

また、一括前払い型の場合は、借入額の2%ほどが目安と言えるでしょう。

火災保険料

電卓

火災保険への加入は義務ではありません。しかし、多くの金融機関は、火災保険への加入を前提に審査を行っています。

基本的に、加入は必須と考えておいて良いでしょう。

費用の目安と支払うタイミング

火災保険は、5年、10年といった期間でプランが組まれていることが多いです。

費用も条件によりまちまちなのですが、10年で10〜15万円程度が相場と言えるでしょう。

また、支払いのタイミングですが、一括払いと分割払いから選ぶことができます。一括払いの方が保険料が割安になるため、一括払いを選ぶ人が多数派です。

ただ、契約自体は融資実行前までに済ませておかないと、万が一金融機関に保険証券の提出を求められた場合に困ってしまいます。

金融機関から斡旋されることもありますが、なるべくなら、自身で保障内容や保険料を吟味し、余裕を持って加入するプランを選ばれることをおすすめします。

団体信用生命保険料

団体信用生命保険とは、住宅ローンを契約した人が重度の障害を負ってしまったり、死亡してしまったりした場合に、残債を清算することができる保険です。

基本的には、高度障害と死亡の2つを保障する保険ですが、昨今はこれに3大疾病やガンなどの保障がついた特約付きの住宅ローンも多く打ち出されており、一般的な保険を見直して1本化することで、万が一の備えを盤石にしている人も少なくありません。

原則加入が必須ですが、フラット35の場合は、任意で加入するかしないかを選択することができます。

費用の目安と支払うタイミング

団信は、返済に組み込む形で支払うのが一般的です。特約のない団信は無料、という金融機関もありますが、金利を考えると実はあまりお得ではないというケースも。

団信に限った話ではありませんが、住宅ローンに関連する費用は、一方の費用項目は割安だがもう一方は割高、ということが少なくありません。割安な料金は裏を取っておかないと、実質的には損をしてしまっている可能性も考えられます。

細かい費用に捉われず、トータルで見たときにお得かどうかを抜かりなくチェックすることが大切です。

また、団信の費用目安ですが、何も特約をつけない場合、借入額の0.3%前後が相場と言えるでしょう。

住宅ローンの諸費用を節約する5つのコツ

pointの文字

最後に、住宅ローンの諸費用を節約するポイントを紹介します。

節約できる費用とできない費用を知る

まず知っておきたいのは、節約できる費用とできない費用についてです。

基本的には、税金か、それ以外の費用かで考えると良いでしょう。

税金も、種類によっては節税ができるのですが、住宅ローンの申し込み手続きで課される税金に限って言えば、難しいと言えるでしょう。居住用の不動産の場合は、支払った税金も経費計上はできません。

一方、税金以外の諸費用については、選ぶプラン次第でかなり変わります。

たとえば団信の加入。一見強制加入のようにも思われますが、フラット35であれば加入は任意です。そのぶん金利が高くなるため、入らないことで得をするかどうか慎重に検討する必要はありますが、選択肢の1つとして知っておいて損はないはずです。

また、民間の金融機関が住宅ローンとセット売りしている団信にしても、現在加入中のプランを見直しながら保険を1本化することで、トータルの費用を節約することができます。

諸費用のことを考えて依頼業者を選ぶ

住宅ローンで頼る業者には、金融機関、司法書士、保険会社があります。いずれにせよ複数の業者の料金を比較・吟味することで、諸費用の節約が見込めます。

ただ注意したいのは、初期に掛かる費用に気を取られて、返済総額や保障内容のチェックを疎かにしてしまうこと。どこに頼んでも結果が変わらない手続き(司法書士に依頼する登記手続きなど)の場合は、費用で選んで問題はないのですが、金融機関や保険会社の良し悪しは、単純には判断できません。

金融機関の場合は、返済負担(場合によっては団信の保障内容)。保険会社の場合は、保障内容を、抜かりなくチェックしておくことが大切です。

大局的に判断する

上述の内容とも重なりますが、1つの要因だけで依頼する金融機関を決めるのは禁物です。

たとえば保証料。いくつかの金融機関では、保証料無料をアピールして利用者の獲得を図っています。ただ、よくよく調べてみると、保証料こそ無料であるものの、融資事務手数料が他と比べてかなり高い、というケースも見られます。

住宅ローンの手続きには複数の費用が発生しますから、本当に得をしているかどうか、総合的に判断することが大切と言えます。

諸費用を住宅ローンに組み込む時は慎重にシミュレーションする

住宅ローンの手続きに掛かる諸費用は、住宅購入全体を通した費用の、5〜10%にも及ぶとされています。

プランによっては、この諸費用を住宅ローンに含められるケースも。5〜10%と言えども、決して安い金額ではないため、手元にお金を残しておくためにこうした手段を検討したくなる気持ちもわかります。

しかし新築の場合、ただでさえ人が入居した瞬間に資産価値が3割下がるとされています。諸費用を住宅ローンに含めると、手持ちの不動産の価値よりも負債がさらに大きくなってしまうことに。

この場合、何らかの事情で住宅を売却することになったとしても、売却益だけでは借金を相殺できないかもしれません。

返済額が増えるということは、その分金利も増え、返済期間、ないし返済負担が増えることを意味します。

諸費用を住宅ローンに組み込む場合は、それで本当に望むメリットが得られるかどうか、慎重にシミュレーションされることをおすすめします。

加入する保険を吟味しておく

   住宅ローンに申し込む際に、ほとんどの人が加入する保険が2つあります。団体信用生命保険と火災保険です。団信は、原則必須。火災保険は任意なのですが、事実上必須と言えるくらい、多くの金融機関が加入を前提とした住宅ローンを組んでいます。

ただ、加入は避けられないにせよ、プラン自体は任意で選ぶことが可能。金融機関に勧められるままに契約するのではなく、自身でもしっかり下調べをしておくと、無駄な費用を節約できる可能性があります。

また、現在、別の保険に加入しているようなら、住宅ローンをきっかけに見直しを行うことで、さらなる節約が見込めることでしょう。

まとめ

  • 住宅ローンの手続きに掛かる主な費用は、「契約書の印紙税」「抵当権の設定のための登録免許税・司法書士報酬」「融資手数料」「保証料」「火災保険料」「団体信用保険料」といったもの。
  • 借入額に連動して費用が変わるものが多いが、諸費用全体では、家づくりの総費用の5〜10%に落ち着くことが多いとされる。
  • 支払いのタイミングは、融資が実行される前が多い。
  • 現金で支払うものもあるが、多くは振り込みか、住宅ローンに組み込まれる形で支払われる。
  • 諸費用は相互に関連していることが多く、一部、例えば手数料の安さだけに注目して加入するローンを選ぶとトータルで損をする可能性がある。

住宅ローンの諸費用は、一見するととても複雑に思えます。とは言え、知識なしで手続きに臨むと、実は自分たちの望んでいない、損な契約をしてしまうリスクが。

特に金利周り、保険周りの事柄は返済負担に直結するものですから、基本的な知識は妥協なく押さえておくことをおすすめします。

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