気密性の高い家ってどんな家?注文住宅を建てる前に知っておきたいこと
注文住宅を建てるとき、間取りやデザインのことばかり考えてしまいがちですが、快適に暮らすためには気密性についてもしっかり考えておく必要があります。
「住宅の気密性」という言葉は耳にしたことがあっても、実際気密性が高いとどうなるのか、反対に低いとどんな不具合が起きてしまうのか、きちんと理解できていないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな住宅の気密性について詳しく解説していきたいと思います。
この記事がおすすめできる人
- 住宅の気密性について知りたい人
- 高気密住宅のメリット・デメリットが知りたい人
- 快適に暮らせる家を建てたいと考えている人
- これから注文住宅を建てようとしている人
- 気密性とあわせて、断熱性についても理解しておきたい人
なお以下の記事でも「注文住宅」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
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そもそも気密性の高い家とは
ハウスメーカーや建築事務所のサイトなどを見ると、「気密性」「高気密の家」「高気密住宅」などというワードを目にすることが増えてきました。
しかし、そもそも気密性の高い家とは、一体どんなものなのでしょうか。
簡単にいうと気密性は、どれだけ隙間がないか、ということ。気密性が高ければ高いほど、家の中の空気は外に漏れず、外の空気は中に入り込みづらいということになります。
住宅の気密性が取り上げられるようになったのは、地球温暖化を防ぐために、省エネ住宅が普及し始めた頃。
気密性が高いことでどんなメリットがあるのか、またどんなデメリットがあるのか見ていきましょう。
高気密住宅のメリット
まずは高気密住宅の7つのメリットについて解説します。
部屋の温度を快適に保つ
1番に挙げられるのは、室内の温度を快適に保つことができるということ。
気密性が低い家は、外気が室内に侵入しやすく、夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。冷房や暖房を使ってもなかなか快適な室温にはなりません。
高気密住宅なら、外気は侵入しにくく、室内の空気も漏れにくいので、どの季節でも快適に過ごすことができます。
光熱費が抑えられる
部屋の外の気温の影響を受けにくいため、冷暖房効率が上がるのが高気密住宅の特徴。
例えば気密性の低い家の場合、夏場外の気温が30度を越えるような真夏日には、エアコンをつけてもなかなか涼しくならず電気代がかさんでしまいます。
一方気密性が高い家なら、冷暖房効率が良いため、エアコンの稼働は最小限でOK。気になる電気代も安く済ませることができるでしょう。
ヒートショックを防ぐ
家の中で、暖かい場所から寒い場所へ移動した時に起こるヒートショック。
急激な温度変化によって血管が収縮し、血圧が一気に上がることで、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こしてしまう症状です。
特に高齢の方や生活習慣病に罹っている方は発症しやすいため注意が必要です。
気密性が高い家は、隙間風が入り込みにくいことによって、ヒートショックを起こしやすい風呂場やトイレなども暖かく保ってくれるのが特徴。
家の中の温度差が少ないため、ヒートショックの心配が少なく済みます。
防音効果がある
気密性が高いということは、遮音性の高さにもつながります。生活音や会話が外に漏れにくいことはもちろん、通行人の話し声や車の音など外からの音もシャットアウトすることができます。
特に小さなお子さんがいらっしゃるご家庭や、自宅で音楽や映画などを楽しみたいと考えている人にとっては嬉しいポイントですね。
断熱性能の低下を防ぐ
快適に過ごすことができる家を建てるために必要な断熱性能。断熱材などを使って室内の温度を保つという役割がありますが、気密性が高いことによって、断熱性能が低下してしまうのを防ぐことができます。
というのも、断熱材には風を防ぐという働きはありません。あくまでも室内外の気温差を維持するためのもので、家の気密性が低ければ、風は簡単に入り込んでしまいます。
気密性を高めると、風が入り込むのを防ぐことができるため、より断熱材の働きを高めることにつながります。
壁の中や床下の結露を防ぐ
冬場、室内と室外の気温差が大きくなると、結露が発生してしまいます。窓ガラスがびしょびしょに濡れてしまって大変!という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
実はこれが、壁の内側で起こってしまっているケースもあります。
普段壁の内側は目に見えませんが、室内の湿気が壁の内部に流れてしまい、結露が発生。カビが生えたり、建材が腐ってしまったりする可能性もあるのです。
気密性が高い家なら、室内の湿気が壁の内部に流れてしまう心配はありません。
嫌な臭いの発生を防ぐ
家の中の嫌な臭いを防ぐには、換気が大切です。室内に漂う嫌な臭いの原因を定期的に屋外に排出しなければいけません。
嫌な臭いが発生する原因のひとつが、家の中の気密性にばらつきがあること。家全体の気密性が高いと、効率よく換気を行うことができ、嫌な臭いの発生を防ぐことができます。
高気密住宅のデメリット
次に高気密住宅の3つのデメリットについて解説します。
開放感がなくなる
気密性を高めるためには、窓などの家の開口部分の面積を小さくしなければいけません。
しかし、それによって家の中が暗くなってしまったり、開放感が失われてしまったりする場合があります。
例えば冷暖房がいらない季節に、窓を開けて外の空気を取り入れようと思っても、窓が小さければなかなか気持ち良い風は通りません。
大きな窓を設置して開放感のある家にしたいと考えている方は、断熱性の高い窓を選ぶなどの工夫が必要です。
費用がかかる
気密性の高い家をつくるためには、使用する素材、設備などにもこだわらなければいけません。
そしてそのための素材や設備は、一般的なものよりも価格が高いことがほとんどです。
しかし、導入費用は高額になるものの、省エネ性能が高くなる高気密住宅には、光熱費を安く済ませられるというメリットもあります。
換気や日当たりの工夫が必要
外気の影響を受けにくい高気密住宅ですが、一度熱が入り込むとなかなか抜けにくいという特徴があります。
そのため、夏場日差しがたくさん入り込んでしまうと、家の中に熱がこもってしまうため、エアコンなどを使って室内の温度を調節しなければいけません。
また、すだれやグリーンカーテンなどを利用して、できるだけ日差しが入り込まないように工夫をすることがおすすめです。
高気密住宅で重要な換気の基礎知識
効率の良い換気が必要な高気密住宅。なぜ換気が必要なのか、換気の種類にはどんなものがあるのかなど詳しく見ていきましょう。
換気が必要な理由
メリットの項目でも解説したように、高気密住宅は外気の影響を受けることなく、いつでも室内を快適に過ごせるよう保ってくれるのが特徴です。
また、外気が入り込みにくいだけでなく、家の中の空気を外に漏らさないため、冷暖房の効率も良くなります。
しかしそれによって問題となるのが結露。家の中で発生した湿気を自然な形で外に出すことができないため、計画的に換気を行うことが重要となります。
義務付けられている「24時間換気システム」
住宅の建材などから発生するホルムアルデヒド、トルエンなどの化学物質が原因で頭痛、目のかゆみ、鼻水などの症状があらわれるのがシックハウス症候群。
このシックハウス症候群への対策として、2003年の7月1日に法令が施行され、住宅の24時間換気が義務付けられました。
「24時間換気システム」は、機械を使って計画的に室内の空気の入れ替えを行い、新鮮な空気を維持するというもの。外気を室内に設置された給気口から取り込み、部屋全体の空気を綺麗にして、排気口から排出するというのが一般的な流れです。
建築基準法では、1時間で0.5回以上、つまり部屋の半分の空気が入れ替わらなければいけないと決められています。
換気の種類
住宅の換気には、自然換気・パッシブ換気・機械換気という3つの種類があります。
自然換気とは、窓やドアなどの隙間を通して、室内と室外の空気が自然と入れ替わること。何も使わなくても、室内外の気温差や風圧などによって、自動的に換気されます。
パッシブ換気も、同じく機械に頼ることなく、自然な状態で換気を行うシステム。
まず給気口から取り込まれた外気は床下で温められ、家全体に行き渡ります。その後ハウスダストや有害物質などと一緒に、天井の煙突から排気。
暖かい空気が上昇するという性質を利用した換気システムで、省エネかつ安全な換気方法といえます。
最後に、最も一般的に利用されている機械換気。その名前の通り、送風機や排風機などの機械を使って強制的に換気を行う方法で、それにはさらに3つの種類があります。
以下でそれぞれ詳しく説明します。
第一種換気
室外の空気を室内に取り入れる「給気」、室内の空気を室外に出す「排気」という2つの役割を、どちらも機械で担っているのが第1種換気です。
この換気方法のメリットは、外から取り入れる空気を室内の温度に近い状態で取り込むことができるということ。
また室内の空気の流れが制御しやすいため、一般的な住宅の換気方法として最も適しているといえますが、他の方法に比べるとコストがかかるという懸念点があります。
第二種換気
給気は機械を使って行いますが、排気は排気口から自然に行うのが第2種換気。この方法を使うと、室内は常に正圧状態になります。
正圧状態とは、室内の空気の圧力が外よりも高くなることで、室内の空気が自然と排気口から押し出されるという状態です。
ただし、気密性能が低い家の場合、壁の中に湿気が入り込み、結露が発生する可能性があります。また、給気口付近の空気から排気されるため、給気口から遠い場所の換気がうまく行われないという心配もあります。
第三種換気
第2種換気と真逆の方法となるのが、第3種換気です。
というのも、第3種換気は機械を使って強制的に排気を行い、自然の力で給気口から給気を行うという方法。室内の空気の圧力が外の空気よりも低く(負圧状態)なることで、室外の空気を自然と給気口から取り入れます。
最も安価で施工が簡単なところがメリットですが、屋外からの汚染物質を取り込みやすいという心配があります。また、室内が負圧状態になることから、玄関などのドアが開けにくくなってしまうこともあります。
あわせて知っておきたい家の断熱性について
住宅の気密性とセットで考えられることの多い断熱性。気密性とはどんな関係があるのか、断熱性が低いとどうなるのか、詳しく解説します。
高断熱の家とは?
高断熱住宅とは、壁や床、天井などに断熱材を使って、室内への外気の影響を少なくしている住宅のこと。これによって、夏は涼しく、冬は暖かい家を保つことができます。
また、断熱性が高い家のメリットとして挙げられるのが、間取りの自由度の高さ。部屋を細かく区切らなくても快適な室温を保つことができるため、吹き抜けをつくったり、開放感のある広い部屋をつくったりと、自由な間取りが可能です。
さらに、光熱費などのランニングコストが安く済むことも大きなメリットです。
気密性との関係は?
高断熱と高気密は、室内の快適性を高めるという点では同じ。しかし異なるのはその仕組みです。
断熱は、外壁・屋根・窓などの外部と接する部分に断熱材や複層ガラスなどを使用して、外の熱が中に伝わるのを防ぎます。
一方気密とは、家中の隙間をなくして、外の空気が中に入り込んだり、中の空気が外に漏れ出すのを防ぐというもの。
断熱性と気密性どちらもきちんと両立していることが、より過ごしやすい家の条件となります。
断熱性が低いとどうなる?
断熱性が低い場合、外気の影響を受けやすいため、夏場や冬場は冷暖房が欠かせなくなります。また、部屋を細かく区切って個別にエアコンなどの設備を導入する必要があるため、間取りの自由度がなくなるだけでなく、コストもかかります。
さらに心配なのがヒートショックの問題。部屋を細かく区切って使用することで、ひとつの家の中でも場所によって温度差が発生しやすくなります。特にご高齢の方がいらっしゃるご家庭では注意が必要ですね。
断熱性を高める方法は?
家の断熱性を高めるためには、断熱材の使用が欠かせません。環境に適した断熱材を使用することで、効果的に断熱することができます。
また、それと同じくらい重要となるのが窓。そもそも窓は壁と比べると1/10程度の断熱性能しかないため、窓の面積を小さくする、断熱性能の高いガラスを採用するなどの工夫が必要です。
断熱性能を高めるためには、夏の日差し対策も重要です。空気の出入りがなくても、夏の強烈な日差しが室温を急激に上昇させます。軒や庇をつくったり、すだれなどの日よけを設置したりして、できるだけ室内に日差しが入り込まなくようにしましょう。
まとめ
快適に暮らすために重要な、家の気密性。気密性を高めるためには、専門的な知識が必要となりますので、ぜひ担当の住宅会社やハウスメーカーと相談して、満足のいく家を完成させてくださいね。
記事の内容まとめ
- 家の気密性とは「どれだけ隙間がないか」ということ。
- 気密性の高い家には、主に7つのメリットと3つのデメリットがある。
- 住宅には、24時間換気システムの導入が義務付けられている。
- 換気の方法には、3つの種類がある。
- 気密性とあわせて断熱性を高めることが大切。
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