注文住宅を建てようと考えたとき、多くの人がまず気にするのが、一体どのくらいの値段で建てることができるのか、ということだと思います。
特に2019年、2020年は、駆け込み需要や増税の影響を抑えるための優遇制度の充実によって、不動産業界が沸き立っている時期。家づくりの費用についての基本知識を抑えることで、場合によっては数百万円以上、お得に住宅を取得できるかもしれません。
このページでは、そんな注文住宅の値段に関する情報をお届けします。
この記事がおすすめできる人
- 注文住宅の値段について興味がある人
- 注文住宅を建てる時の相場が知りたい人
- 家づくりでコストを抑えるポイントを知りたい人
- 注文住宅に関わる費用項目にどう言う種類があるのか知りたい人
なお以下の記事でも「注文住宅」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
・ 【2019年最新】注文住宅の価格2,000万円と3,000万円では間取りと仕様がどう変わる?
・ 注文住宅の予算はこう決める!押さえたい4つのチェックポイント
・ 楽しいけど超重要!注文住宅づくりの打ち合わせの流れとは
注文住宅の値段はいくらが相場か
注文住宅の値段は、住宅建築資金と土地購入資金によって構成されます。
まずは、住宅建築資金の相場について紹介します。
住宅建築資金の相場は3000万円前後
国土交通省が発表している統計データ、平成29年度住宅市場動向調査報告書によると、住宅建築資金の全国平均は3,073万円。
このうち、自己資金は907万円。住宅資金に対する割合は29.5%という結果となっています。
画像引用元:平成29年度住宅市場動向調査報告書
過去5年間を遡っても、3000万円を挟んでプラスマイナス100万円程度の幅で推移していることが伺え、3000万円前後が相場と考えることができそうです。
場合によっては1000万円でも建てられる
上記の建築費は、あくまで相場の話です。では、最安の値段はどのくらいなのでしょうか。
ケースバイケースですが、ローコストを意識して住宅会社を選んだ人の中には、1000万円台で理想の住まいを手に入れた人もいます。
もちろん、正攻法では不可能に近いため、コストを抑えるための様々な工夫を経た結果ですが、手間を惜しまなければ限られた予算でも注文住宅は建てられる、ということは知っておくとよいでしょう。
ちなみに、コストを抑える方法の例としては以下のような事項が挙げられます。
- 外壁の凹凸を無くし、四角形にする。
- 1.と同じ理由で、総二階にする。
- 設備のメーカーや新旧にこだわらず、コストパフォーマンスを重視する。
- 配管のコストを下げるため、水回りはまとめる。
- 収納スペースをオープンにして閉じた空間を作らない。
注文住宅のコストダウンの方法については、別ページ「注文住宅コストダウンの方法11個|予算オーバーを防ぐ節約のポイント」でも詳しく解説していますので、興味がある人はぜひこちらも読んだ見てください。
土地購入資金の相場は1400万円前後
続いて、土地購入資金の相場を見ていきましょう。
全国平均は、1374万円。過去5年の推移を見ても大きく変動はしておらず、相場は概ね1400万円前後と考えてよいでしょう。
画像引用元:平成29年度住宅市場動向調査報告書
このうち、自己資金は606万円で、土地購入費に対する割合は44.1%となっています。
ちなみに、三大都市圏では、全国平均から200万円近く多い1586万円という結果に。都市部は土地が高いため、その分を織り込んで予算を見積もっておくとよいでしょう。
注文住宅の値段を左右する4大要因
注文住宅を建てる時は、自分たちの希望と用意できる予算の折り合いをどうつけるか、という問題に必ず突き当たります。
自由に設計できる分、実現できる希望も多いのですが、予算という制限をクリアするために何を削るのか、という検討も当然ながら必要になってくるわけです。
ここでは、注文住宅の値段を左右する大きな要因を4つピックアップして解説してみたいと思います。
建物の大きさ
単純な要因ですが、無視できないのが建物の大きさや形です。建物が大きくなればなるほど、資材費・人件費共に大きくなります。
内部の細かい設計であれば後から調整もできますが、枠組みとなる建物の大きさについては、修正に大きな手間が掛かります。
そのままスケールを小さくすればいい、と考えてしまいますが、多くの場合、設計時は収納や動線などのことを考えながら、生活に不都合が生じない形で各部のサイズを決めていきます。
ただ大きさを小さくするだけでは、不恰好な過ごしづらい住宅になってしまうでしょう。
ちなみに、住宅の平均的な坪数は35〜40坪前後と言われています。そのため要望を伝える時にもこの数字を出してしまいがちなのですが、最適な住空間の大きさは人によってまちまち。
大きなコストの関係する部分でもありますから、自分たちにとって必要十分な広さはどのくらいなのか、事前にモデルハウスなどで吟味されておくことをおすすめします。
建物の形
建物の形、というと少し分かりづらいかもしれませんが、要は角の数です。
1階部と2階部で凹凸のない、四角形のシンプルな家(総二階と言います)が、最も値段を小さく抑えることができます。
一方、例えばL字型など角のある住宅の場合は、角に合わせた資材を調達の上で施工しなければなりません。
具体的な金額は住宅会社によって変わってきますが、1つ角が増えるだけで10〜30万円ほどコストが上乗せされます。
もちろん、見た目にこだわりたい場合や、土地の形が特殊な場合は別ですが、限りある予算を有効に使うなら、建物の形はシンプルにする方が効果的です。
部材の値段
住宅は、様々な部材を組み合わせて作られます。たとえば骨組みに使う木材、断熱材、外壁材と言ったものです。
これら部材は、一見同じように見えますが、素材によって大幅に値段が変わります。特に、柱や土台など、家の構造に関する材料は使われる量が多く、素材の種類によって数百万円の違いが生まれることも。
部材については、耐震性や断熱性など、住宅性能に直接関わってくる部分でもありますから安易な判断は禁物ですが、かと言って標準のままだと、オーバースペックということも考えられます。
最小限のコストで必要十分な住宅性能を実現できるよう、住宅会社の担当者としっかり話し合うことが大切です。
部屋の数
部屋が多いと、その分だけ人件費・材料費が嵩みます。部屋ごとに空調や照明も設置しなければならず、コストパフォーマンスが高いとは言えません。
都心への一極集中が進み、限られた土地を効率的に使う需要が高まったこともあってか、近年は、細かい部屋をたくさん作るのではなく、一続きの空間を上手に区切ったデザインが注目されています。
大きな部屋は、開放感を演出できるだけでなく、特定の目的に縛られずに柔軟な使い方をすることができます。
仮に将来的に個室が必要になったとしても、比較的簡単に仕切りを追加できますし、単純にコストダウンできるだけでなく、自由度が高い構造という意味でも、部屋数を抑えるのはメリットが大きいと言えるでしょう。
注文住宅を手に入れるために掛かる費用項目の内訳
注文住宅を手に入れるためのコストとして最も大きいのは建築費用、次いで土地代でしょう。
しかし見逃したくないのが、それ以外に細々と掛かってくる費用項目です。
人間というのは不思議なもので、数千万単位のお金について考えていると、10万円単位のお金すら少額に感じてしまうようになります。
とは言え、当たり前のように組み込まれている細かい費用項目の中には、少しの手間で節約できるものも少なくありません。
日常的な感覚を取り戻した時に悔やまないよう、細かい費用項目をしっかり意識して、無駄のない支払いをしたいところです。
土地取得に関わる値段項目
まずは、土地購入に掛かる諸費用を見ていきましょう。
仲介手数料
- (土地の値段の3%×6万円)×1.05%+消費税
ほとんどの場合、不動産会社に仲介してもらう形で土地を購入することとなります。
その際の仲介手数料として、(土地の値段の3%×6万円)×1.05%+消費税を、不動産会社に支払います。
ちなみに、この手数料を算出する数式は、法律で定められた不動産売買仲介の上限です。
基本的にはどの会社もこの上限の金額を請求していますが、厳密なルールがあるわけではないため、業者によっては交渉で引き下げることもできます。
ほか、不動産会社が直接不動産を販売しているケースもあり、この場合には手数料は掛かりません。
不動産取得税
- 固定資産税評価額×4%(2021年3月31日までは軽減措置で3%)
その名の通り、土地などの不動産を購入した場合に掛かる地方税です。
基準となるのは、売買価格ではなく、固定資産税評価額という公的な価格。場合によって異なりますが、概ね売買価格の7割くらいとなっていることが多いです。
ちなみに、住宅購入のための土地取得であれば、所定の条件を満たすことで軽減措置を受けることができます。
不動産取得税の軽減を受けるためには、住宅や住宅用土地を取得した日から原則として60日以内に、不動産取得税申告書に必要な書類を添えて、土地・家屋の所在地を所管する都税事務所(都税支所)・支庁に申告してください。
売買契約書の印紙代
- 1000万〜5000万の取引の場合1万5000円
- 5000万〜1億の取引の場合4万5000円
売買契約書に貼る印紙代です。土地代を元に代金が決まるため、節約することはできません。
住宅ローンに関わる値段項目
住宅ローンの手続きは、単純に手数料を払えば終わり、というものではありません。
意外に馬鹿にならない費用が掛かりますので、しっかりチェックしておきましょう。
住宅ローン契約書の印紙代
- 1000万〜5000万の取引の場合1万5000円
- 5000万〜1億の取引の場合4万5000円
土地の売買契約書と同じで、契約書に記載されている取引金額に応じた印紙代が掛かります。
抵当権設定手続き費
- 登録免許税:借入額×0.4%
- 司法書士報酬:5〜20万円
住宅ローンを借りる際は、購入する建物と土地に、借り入れ先の金融機関に担保権があることを設定する必要があります。
その際の登記手続きに掛かる費用です。
登録免許税は借入額から算出されるため節約できませんが、司法書士報酬に関しては、依頼先によって節約が可能です。
手続き自体は変わりませんので、なるべく安い事務所を探されると良いでしょう。
融資手数料
- 定額タイプの相場:3万円(税抜)
- 定率タイプの相場:借入額×2%(税抜)
借り入れ先の金融機関に支払う手数料です。定額と定率の2つの支払いタイプがあります。
ただ、定率の場合は、最低ラインが設けられているところが多く、必ずしも借入額に比例して手数料が小さくなるわけではありません。
具体的な金額は、選ぶ金融機関や住宅ローンのプランによっても違ってくるため、申し込み時にしっかりチェックされておくことをお勧めします。
保証料
- 一括前払いの場合、60〜80万円
- 利息組込み型の場合、0.08〜0.4%
住宅ローンを万が一支払えなくなった場合、金融機関は保証会社が債権を引き継ぎます。つまり、返済先が保証会社に切り替わります。
ちょっと不思議な構図ですが、そのための備えとして、借り入れた側が保証料としてその料金を負担することになります。
ちなみに、最近は保証料無料の金融機関も増えていますが、その分を事務手数料で徴収しているところも。保証料が無料だからといって必ずしも得とは限らない、ということは知っておくと良いでしょう。
団体信用生命保険料
- 借入額×0.3%程度
住宅ローンを組む場合、債務者が死亡時や高度障害を負ってしまった時の備えとして、団体信用生命保険に加入するのがほとんど義務になっています。
フラット35系のプランは希望すれば加入しなくても申し込めますが、全体からすれば少数派でしょう。
金利に組み込まれているためほとんど意識することはありませんが、参考までに知っておくと、保険の特約などを検討するときに役立つはずです。
火災保険料・地震保険料
- 年間の相場:3〜5万円
以前は決められた火災保険・地震保険にしか加入できなかったものですが、昨今は任意で加入する保険を選ぶことができます。
月々の負担は大したことがなくとも、長期間支払っていく必要のあるものですから、じっくり比較、検討して、負担の小さい商品を選びたいところです。
建築に関わる値段項目
建築に関する項目はケースバイケースによって大きく違ってきますが、ここでは特に代表的なものをピックアップして紹介します。
手続きに掛かる費用
- 建築工事費の約2割(3000万円で考えれば約600万円)
建築時の手続きで掛かる費用には、以下のようなものがあります。
建築確認申請手数料 | 建築確認申請とは、設計が法律等の規定に違反していないかを確認してもらうための申請です。手続きに掛かる手数料は、広さや申請するエリアによって異なります。 |
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工事請負契約書の印紙代 | 契約署に添付する印紙代です。費用の目安は、土地の売買契約書や住宅ローンの契約書と同じです。 |
家屋の登記費 | 建物表示登記と、所有権保存登記が必要です。建物表示登記には税金は掛かりませんが、所有保存登記には不動産評価額の0.15%の税金を納める必要があります。 |
敷地・地盤調査費用 | 住宅を建てられるほど地盤が安定しているかを確かめるための調査に掛かる費用です。概ね、5〜10万円掛かります。 |
建築工事に掛かる費用
- 建築工事費の約8割(3000万円で考えれば約2400万円)
建築工事は、大きく本体工事と、別途工事に分けられます。
本体工事とは、骨組みや設備、仮設工事、各種建具工事、各種ライフライン設備の工事など、家そのものを作る工事です。建築工事費の大部分を占めるのがこの工程です。
別途工事は、本体工事のための前提になる敷地整備や、外構工事、照明器具工事などのことを指します。
本体工事と別途工事の費用の割合は、概ね7:3程度に収まることが多いでしょう。
まとめ
記事の内容まとめ
- 注文住宅の値段の相場は、3000万円前後。また、ほとんどの人が、3割程度の自己資金を用意して家づくりに臨んでいる。
- 正攻法では難しいが、手間と時間を惜しまなければ、1000万円台で注文住宅を建てることも可能。
- 家づくりのコストを抑えるためには、シンプルな外観にすることが大前提。また、昨今は連続した大空間をうまく仕切って、使い勝手を高めつつ低コスト化を図る手法も人気となっている。
- 家づくりに掛かる費用項目は膨大に思えるが、各ステップで区切って見ると、何にいくら掛かっているのかが見えてくる。
立地や業者、素材、デザイン、間取り等々、関わってくる項目が多いだけに、実際の注文住宅の値段は千差万別です。
大切なのは、普遍的な知識を軸に、ケースバイケースで考えること。このページで解説した知識を、そうした際に少しでも活用していただけたら嬉しいです。
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