みんないくらで建ててるの?統計から見る注文住宅の費用相場

みんないくらで建ててるの?統計から見る注文住宅の費用相場

注文住宅を建てる際には費用について考えないわけにはいきません。自己資金はどの程度準備すればよいのか、住宅ローンを組めば何とかなるのか、都会だと高くて手が出ないのではないかなど考え出すと不安が募るばかりです。

そこで公的機関の統計データをもとに注文住宅の費用相場についてまとめました。また相場をチェックする時に知っておきたいことや価格帯別の注文住宅の特徴、コストを抑える方法についても紹介しています。

この記事がおすすめできる人

  • 注文住宅の費用相場が知りたい人
  • 自己資金をいくら用意すれば良いか知りたい人
  • 価格帯別の注文住宅の傾向が知りたい人
  • これから注文住宅を建てようと考えている人
  • コストをなるべく抑えて家が建てたい人

※本記事は平成30年度 住宅市場動向調査~調査結果の概要~(国土交通省)の情報を元に作成しました。

統計から見る注文住宅の費用相場

棒グラフ

広告や宣伝はいいことばかり書いてあるけど、注文住宅を建てるには本当はどのくらいお金が必要なの?という疑問や不安を解消するため、国土交通省や住宅金融支援機構などの調査データから費用相場をまとめました。

国土交通省による調査

平成30年の住宅市場動向調査報告書によれば、注文住宅の建築資金(土地代を除く)の全国平均額は3,205万円、三大都市圏平均で3,431万円。自己資金はそれぞれ922万円、1,102万円なので約30%の割合になっています。

土地購入資金は全国平均だと1,317万円、三大都市圏平均は1,644万円で、自己資金はそれぞれ528万円、732万円で40~45%。建築資金と土地購入資金を合わせた総額は全国平均で3,971万円、三大都市圏平均だと4,418万円になります。

住宅金融支援機構による調査

2018年度のフラット35利用者調査によれば、注文住宅の所要資金の全国平均は3,395万円、首都圏だと3,694万円、近畿圏が3,504万円で、その金額は2014年度から全国的に上昇傾向が続いている状況です。

土地付き注文住宅においても金額の上昇が続いているのは同じで、全国平均だと4,113万円、首都圏の場合は4,775万円となっており、近畿圏が4,227万円ということから考えると都心部の価格は突出しています。

土地なしは3,000万円台、土地付きは4,000万円台が相場

国土交通省や住宅金融支援機構による調査データから総合的に注文住宅の平均相場を考えると、全国平均では土地なしだと3,000万円台、土地付きになると4,000万円台になるということが言えます。

したがって注文住宅を検討する場合は、5,000万円の予算があれば土地を含めて考えても余裕を持ってできますが、3,000万円台ではすでに土地所有者でないと厳しくなってきます。地域差があるため候補地の相場は事前に調査しておくことが必要です。

その他気になる家づくりの統計データ

国土交通省の住宅市場動向調査はもともと国の住宅政策のために行われるものですが、報告書には購入資金だけでなく、他にも注文住宅を検討する上で参考になるデータがいくつか掲載されているので簡単に紹介します。

年齢・世帯年収

注文住宅取得者の平成30年度の世帯主年齢の全国平均は44.1歳で、三大都市圏でも44.0歳。最近5年間の推移を見ても40代前半になっています。ただ年代比率データは30代が一番多く40%近くを占め、住宅ローンの完済を定年前までに終えたい人が多いことが予想されます。

世帯年収は全国平均だと400万~600万円未満が最も多く、三大都市圏では600万~800万円未満の方が多くなります。ただ全国平均の推移を見ると600万~800万円未満の比率が年々高くなってきています。これは不動産価格の上昇が影響していると考えられます。

建築費用の相場

建築費用は新築でも土地購入がある場合と無い場合では全く異なります。住宅建築と土地購入を合わせた総額の全国平均は3,971万円ですが、住宅建築だけだと全国平均3,205万円になります。自己資金比率はどちらも30%前後になっています。

また工事の種類別に見た時に、新築と建て替えでは金額に差が出ます。建物だけの新築の場合は3,158万円ですが、建て替えは3,491万円。自己資金比率はそれぞれ22.7%、64.2%です。これは建替えの場合、仮住まいや旧物件の取り壊しなど、より多く費用がかかり準備金があるためだと考えられます。

住宅ローンの有無と返済期間

注文住宅を購入する際の住宅ローン利用がある割合は全国で75.2%、三大都市圏で72.9%となっており、7割以上の世帯が住宅ローンを使って家づくりをしていることがわかります。これが新築になると79.9%が住宅ローン利用で、建替えの場合の43.6%と比べかなり差があります。

住宅ローンの返済期間については35年以上が全国で65.7%と最も多く、大都市圏でも60.7%を占めます。次に多いのは20~35年未満で、平均返済期間が全国は31.6年、大都市圏31.3年になるため30~35年くらいで返済を終えたいと考えていることがわかります。

住宅ローンに通らなかった人の割合

民間金融機関に住宅ローンの申込みをした際に、希望額融資を断られる経験をした割合は全国で10.4%、三大都市圏で10.3%となっています。エリアには関係なく新築注文住宅で住宅ローンを希望しても10人に1人はローンの審査が通らないということになります。

この中には、過去にローン等で事故があって融資が一切できないといったケースと、担保を追加しないとローンが組めないなど条件を厳しく設定されるケースがあります。過去を振り返ってみて不安な場合は、融資の審査を受ける前に、不動産会社などに相談してみましょう。

※参考:平成30年度 住宅市場動向調査~調査結果の概要~

建築費用の相場をチェックする時に知っておきたいこと

注文住宅のイメージ

予算や資金計画を立てる際は建築費用の相場を調べることも多いと思いますが、あまりその数字だけに注目していると思わぬ落とし穴にハマることもあります。ここでは相場チェックのポイントや基礎知識について紹介します。

エリアによって大幅に費用が変わる

注文住宅にかかる費用は地域差があることは何となく理解している人が多いでしょう。都市部は高く、地方に行くほど安くなることは予想できる範囲内ですが、もう少し細かく見ていくと隣接している県の間にも大きな差があることがわかります。

都道府県別の注文住宅住宅平均相場(2017年度)は東京都は3,936万円ですが、隣接する埼玉県は3,462万円と500万円近く差があります。また山梨県になると3,082万円とさらに金額差が大きくなります。同じエリアと考えがちでも場所によって大幅に費用が変わることは理解しておくべきです。

依頼する業者によってクオリティは違う

一口に注文住宅といっても、建築事務所、工務店、ハウスメーカーのどこに依頼するかによって費用や仕上がりが違ってきます。したがって相場が高いと思われるエリアでも業者によっては安くなることもありますし、その逆のパターンで予算オーバーになってしまう可能性もあります。

建築費用の相場というのは全体の平均額を算出しただけですので、あくまで参考データとして考えた方が無難です。大切なことは自分が理想とする家が予算内で実現できることですから、希望する業者何社から相見積もりをとって見比べながら最終的な判断をすることです。

建築費以外にも必要な費用がある

注文住宅の建築費をどこまでの範囲で考えるかにもよりますが、土地がない場合は土地代、建て替えの場合は仮住まいや解体費用といったように、建物以外のところで必要になる費用があることを知っておくべきです。後からこんなはずではなかったと後悔しないためです。

また注文住宅の建築費用は建築工事費用と諸費用に分かれており、建築工事費用の内訳は建物本体の工事費用と地盤改良や外構工事など別途工事費となっています。諸費用とは不動産登記費用や保険料など細々したものですが、それだけで百万単位の費用がかかることもあります。

用意しておくべき自己資金の割合

一般的に注文住宅を建てる場合は、自己資金と住宅ローンなどの借入金を含めて資金計画を立てます。自己資金ゼロや住宅ローンを組まないパターンもありますが、イレギュラーなものと考えた方がよいでしょう。

自分で用意する自己資金の割合の目安は、総費用の20~30%と言われています。国土交通省のデータでも自己資金比率は30%前後になっていますので、実際にその範囲に収まるようにしている人が多いということです。

また借入金の総額は年収の5倍程度まで、返済額は年収の25%以下になるように調整すると資金計画に無理が生じません。

価格帯別に見る注文住宅の傾向

マイホームのイメージ

注文住宅は自由に設計できるという性質から予算として考えられる価格帯も、1000万円台でできるリーズナブルなものから4000万円以上の高級住宅までさまざま。そこで価格帯別にどんな特徴があるのか整理して紹介します。

~1000万円台

コスト重視であまり建築費をできるだけ抑えたいという人には、1000万円台でできる注文住宅もあります。この価格帯の特徴は外観や間取りがシンプルなことです。建築費は凹凸が多く表面積が大きくなるほど高くなるため、形状が正方形や長方形のものが多くなります。

安かろう悪かろうと思われがちですが、広告宣伝費を抑えたり大量仕入れによる資材費のコストダウンにより低価格を実現している工務店やハウスメーカーもあります。安いというだけで決めるのではなく理由を聞いて納得するものであれば、性能にも満足できる注文住宅になります。

2000万円台

どうしても外すことができないこだわり部分は残しつつも、低価格なものを希望する人はこの価格帯の注文住宅を選ぶことになります。要望するものが多くなればなるほど価格は上昇していくため、予算オーバーにならないための妥協点を見つけることが重要になります。

予算配分さえ間違わなければ、2000万円台の注文住宅でも十分にこだわりを組み込むことができますし、施工会社の設計デザインの方向性が自分の好みと一致する部分が多ければ、オプションなしの標準仕様だけで満足のいく家づくりができますので業者選びに力を入れたいところです。

3000万円台

注文住宅で最も多い価格帯が、この3000万円台になります。国土交通省の調査データでも土地代を除く注文住宅の住宅建築資金の全国平均は3,205万円(平成30年度)ですので、予算としてこのくらいの価格帯のものを考えている人が多いということになります。

設計自由度も2000万円台以下に比べ高くなりますので、注文住宅で実現したい要望を満たすために積み上げていくとこの価格帯に落ち着くとも考えられます。自然素材の家にしたり、設備を充実させたい、生活動線を考えた間取りにしたいなど注文住宅らしさを感じる家になります。

4000万円台~

4000万円台以上になると、高級注文住宅の部類に入ります。複雑な形状・デザインの建物にしたり、無垢材のフローリングやウッドデッキ、高級なキッチン・バス設備などあらゆるこだわりを実現するための結果としてこの価格帯になったということもあるでしょう。

予算に余裕がありますので要望をすべて叶えることも不可能ではありませんが、こだわり部分を整理せずに建ててしまうと、お金をかけたのにも関わらず統一感のないものになるリスクもあります。建築家や設計担当者と十分に相談した上で広げるよりも絞り込むことが必要です。

注文住宅のコストを抑えるコツ

コストカット

少ない予算でできるだけ理想に近い家を完成させることは施主が最も求める点でしょう。そのためには要望を出すだけでなくコストを抑える工夫も必要です。そこで覚えておくとよいコストダウンの基礎について解説します。

家の形をシンプルにする

家はカタチが複雑で凹凸が多く表面積が大きくなるにつれて建築費も上がっていきます。したがってシンプルな形状にすることがコストを抑えるコツです。立方体が最小コストの家だと考えて、いかにその中にこだわりを組み込めるかが低コスト注文住宅の1つのテーマとなります。

また四角っぽい外観の家は見た目にもオシャレですし、安定した形状であるため耐震性にも優れているというメリットもあります。低価格を謳ったキューブタイプの注文住宅を得意とするハウスメーカーも数多くありますので、モデルハウスを見学してもよいかもしれません。

水回りを一箇所にまとめる

注文住宅のコスト削減の基本は工事費を下げることが基本です。つまり職人さんの工数を減らすことができれば、建築費を安くできるということです。そのための簡単な工夫としてキッチンやバス、トイレ、洗面台などの水回りを一箇所にまとめるというのがあります。

なぜコストダウンにつながるかと言うと、水回りの設備がバラバラで離れた場所にある場合と比べて配管作業が簡単になり工事費が節約できるからです。2階建てで同じフロアにできず分かれてしまう場合も水回りの上下の位置が重なるようにすると、無駄に配管工事をしなくて済みます。

後から調整できない部位にコストを集中する

住宅は一度造ったら大規模なリフォーム工事を行わない限り変更できない箇所と、定期的にメンテナンスが必要だったり、家が完成して何年か経ってからでも交換が簡単にできる箇所があります。ということはコスト配分をバランス良くすれば初期費用を抑えることができることになります。

例えば壁クロスはどんなに高級なものを使用しても5~10年ごとに必ず張り替えることになりますし、室内扉もインテリアを変更した時に交換するかもしれません。そうした後から調整できそうな部分にお金をかけるより、別の部位にコストを集中した方が効率的です。

坪単価の意味を間違えない

まず坪単価というのはそもそも曖昧なものと理解しておきましょう。明確な定義付けがないために坪単価に対する考え方がハウスメーカーや工務店ごと違うのです。坪単価とは建物の本体価格を延床面積で割ったもので、一見わかりやすそうですが実は明確ではありません。

販売側としてはできるだけ安く見せたいため、延床面積に通常は加えないベランダやポーチなどを含めて坪単価を算出することがあります。また本体価格の中に後から必要となる追加工事を入れずに坪単価を下げることもします。したがって算出根拠をしっかり確認することが必要です。

まとめ

注文住宅を建てる場合は建築費用の相場を知っておくと、適正な価格かどうか判断するのに大変役に立ちます。ここで紹介した国土交通省や住宅金融支援機構の調査データは信頼できる数字として大変参考になります。

ただ注意しなければいけないことは、エリアによっても相場は変わりますし平均値を知ることはできても個別の事情は反映されていない点です。また業者によって建てる家のクオリティは違いますから判断基準は一つではありません。

価格は重要なことですがそれだけ決めるのではなく、様々な情報から総合的に検討することです。相場をチェックする上で役に立つポイントもまとめしたので注文住宅をこれから建てようとする人は是非参考にしてください。

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