住宅にも消費税ってかかるの?知っておきたい7つの重要項目

住宅にも消費税ってかかるの?知っておきたい7つの重要項目

消費税はもっとも身近な税金と言えますが、それが住宅にも掛かるのかどうか、自信を持って答えられる人は少ないのではないでしょうか。

基本的には課税対象なのですが、場合によっては非課税となるケースもあり、しっかりした知識がないといざという時に戸惑ってしまう可能性も。

また、住宅購入を考えているなら、消費税が10%になった後の2020年以降、住宅市場がどうなるのかについても気になるところでしょう。

そこでこのページでは、そうした住宅に関係する消費税についての基本的な知識を、わかりやすさを心がけてまとめてみました。

この記事がおすすめできる人

  • 住宅に10%の消費税が適用されるタイミングを知りたい
  • 住宅購入に関する費用項目の中で、何に消費税が掛かるのか知りたい
  • 増税後の住宅購入で、気をつけることがあれば知りたい
  • 増税によってどの程度負担が増えるのか知りたい

なお以下の記事でも住宅購入についてのお役立ち知識を解説しています。ぜひ、本記事と併せてご覧ください!

住宅にも消費税は掛かるの?

計算機

住宅は、もっとも大きい消費財です。そのため、消費税も当然掛かる…かと思いきや、実は必ずしもそういうわけではありません。

消費税は、課税事業者が販売している消費財に対して掛かるもの。事業者でない、一般の人と取引する場合は、消費税は掛からないのです。

まずは、住宅と消費税の関係について解説します。

新築の場合

新築物件を建てたり、購入したりする時は、よほど特殊なケースでない限りハウスメーカーや工務店を頼ることになります。

そのため、新築物件を購入する場合は、消費税が掛かります。

ちなみに、建売住宅の場合、表示されている価格は税込の場合がほとんどです。オプションを追加すれば別ですが、基本的に消費税を別途計算する必要はない、ということは知っておくと良いでしょう。

中古の場合

中古住宅の場合は、売主が不動産会社か一般オーナーかによって消費税の有無が異なります。

たとえば業者が直接買取を行い、リフォームやリノベーションを経て売りに出されている物件は、課税対象となります。

一方、一般人がオーナーで、不動産会社が仲介する形で取引される中古物件は、住宅に対する消費税は不要となります。もちろん仲介手数料には消費税が掛かりますが、金額の大きい住宅本体に掛かる費用には課税されません。

土地の場合

土地は消費されるものではなく、権利が移転されるものです。そのため、売主が業者か一般人かを問わず、土地には消費税が掛かりません

一ヶ月未満の土地の貸付や、駐車場などで土地が使われる場合は課税取引と判断されますが、住宅目的の土地であれば消費税を心配する必要はないでしょう。

まとめると、以下のようになります。

売主/物件の種類新築住宅中古住宅土地
事業者
個人

もしかして住宅ローンの金利負担も増える?

人生ゲーム

増税の影響によって、直接的に住宅ローンの金利が増えることはありません。

ただ、住宅ローンに上乗せされることの多いローン申込時の手数料には、消費税が掛かります。そのため、月々の返済負担は、若干上昇するでしょう。

とは言えこれは、借り入れする住宅購入費が増税によって上振れするのと同じことです。金利が上がったわけではありません。

想定される負担の目安

当たり前のことですが、消費税額だけを考えるなら、増税によって2%負担が増えます。

1000万円あたり20万円ですね。

平均的な住宅の購入価格は3000〜3500万円ですから、60〜70万円ほど余分にコストが掛かることになります。

これを大きいと取るか、小さいと取るかは個人的な感覚によるでしょう。これまでの2回に及ぶ増税では、どちらも駆け込み需要が発生し、消費税率が引き上げられる前に住宅がよく売れました。

ただ今回は、前2回とは少し状況が違います。政府も増税の負担を軽減するさまざまな対策を打ち出しており、必ずしも増税前に住宅を購入するのがお得、とは言い切れません。

目先の数字に騙されず、それぞれの状況に合わせた最適な選択をしていくことが大切です。

逆に負担が増えない費用項目は?

クエスチョンマークを持つ男性

住宅購入に関係する費用項目で、消費税の影響を受けない主な費用項目は以下の通りです。

  • 印紙税…売買契約書や、工事請負契約書に添付する印紙代です。
  • 登録免許税…保存・移転登記や、抵当権設定登記などを行う際に支払う税金です。
  • 不動産取得税…不動産を取得した後に、1度だけ支払う税金です。
  • 保険料…プランに応じて保険会社に支払う保険料です。加入は任意ですが、住宅ローンを組む場合は、火災保険への加入はほとんど義務となっています。

当然ながら、税金の支払いには消費税は掛かりません。

また、保険料は、非課税取引に当たり、こちらも消費税は発生しません。ただ、増税により保険会社側のコストが増え、保険料が値上げされる、というケースは考えられます。

増税の対象かどうかを把握することは重要ですが、たとえ非課税の費用項目であっても、他の部分で増税の影響を受けているかもしれません。コストについて考えるときは、全体と部分を交互に見て、トータルで損のない選択をすることが大切です。

消費税10%が適用されるタイミングは?

コインとお札で作った家

基本的には、2019年の10月1日以降に引き渡しされるかどうかで決まります。

ただし注文住宅の場合は例外も

住宅を購入した場合に掛かる消費税は、基本的には引き渡し日が2019年9月30日を跨ぐかどうかで決まります。9月30日引き渡しなら8%、10月1日引き渡しなら10%、という形です。

ただ、住宅はモノが大きい分、取引が簡単には終わりません。注文住宅のように契約してから建築を行う場合、戸建てを購入する人より早く行動していたにも関わらず、10%の消費税率が課せられてしまうことになります。

これは不公平ですよね。

そのため、注文住宅を建築する場合は、2019年の3月31日までに請負契約を結んでいれば、9月30日を過ぎてもOK、という特例が設けられています。

少々複雑ですが、住宅に税率が適用される基準はこの2パターンしかありませんので、覚えておくと良いでしょう。

ちなみにインターネット通販はケースバイケース

住宅の新築にあたり、家具や家電を新調するのはよくあることです。増税前にまとめ買いを考えている人も少なくないでしょう。

ただ注意したいのが、インターネット通販の場合、購入のタイミングではなく、発送のタイミングで課税される税率が決まるということ。

たとえ早めに購入したとしても、駆け込み需要などで発送が10月にずれ込んでしまった場合は、10%の税率が加算されます。

業者によっては、こういった場合の消費税を負担しているところもありますが、全てではありません。業者によって対応が異なりますから、購入前に業者の方針をしっかりチェックされることをおすすめします。

やっぱり増税前に購入すべき?

懐中時計

必ずしもそうとは言えません。

わずか2%とはいえ、住宅は数ある中でも最も金額の大きい買い物です。

増税前と後とでは、数十万、場合によっては100万円以上の負担が見込まれますから、増税前に急いで購入したほうが良い、と考えるのも当然のことです。

しかし、住宅の価格以外の所に目を向けると、急いで購入するのが得とは言い切れない事実があります。

増税後は住宅購入の消費が冷え込む

国土交通省がまとめている資料によると、直近2回の増税では、いずれも住宅の新築着工数が減少しているという結果が出ています。

たとえば消費税が3%から5%になった1997年は、その前の年の着工数が164万戸であったのに対して、135万戸と約15%も減少しています。

また、5%から8%になった2014年には、前年が98万戸であったのに対して89万戸と、約10%の落ち込みとなっています。

背景となる経済状況が違うため断定はできませんが、今回も増税後に住宅の消費が落ち込む可能性は高いと言えるでしょう。

消費が落ち込むと住宅価格が下がる可能性が

物が売れなくなると、売り手はあの手この手で消費者の購入欲を煽ろうとします。

直接的に値下げされることもあれば、なんらかの付加価値を付けて、それまでよりもコストパフォーマンスを高めようとすることもあります。

ギャンブルに近い判断にはなりますが、ハウスメーカーや工務店のそうした動きを待ってから購入する、というのも1つの手段と言えます。

今回は政府による支援策も豊富

住宅市場は、動くお金が大きい分、元気がなくなると日本経済にも小さくない影響が出てしまいます。

これまでの増税で、その影響を身を以て知った政府は、今回の消費税率引き上げに当たってさまざまな対策を打ち出しています。

何もしないで自動的に適用されるものは少ないですが、知識を得た上できちんと手続きすれば、間違いなく得をするものばかり。上手に利用すれば、増税前よりお得に住宅を手に入れられる可能性すらあります。

こういった背景から、増税前に住宅を購入すべき、とは必ずしも言い切れないわけです。

増税後に利用できる優遇制度はある?

コイン

政府は、消費税引き上げの影響を和らげるために、いくつもの対策を打ち出しています。

新設されたものもあれば、これまでの制度を拡充したものもあります。以下に、代表的な制度をまとめてみます。

すまい給付金

すまい給付金は、消費税10%が適用される住宅を購入する場合に利用できる、現金の給付制度です。

令和3年12月まで実施されており、所定の申請書、確認書類を提出することで手続きを行います。

利用するためには以下のような条件をクリアしている必要がありますが、厳しいものではないため、これから住宅の新築・購入を考えている人はぜひ検討してみると良いでしょう。

対象者
  • 登記上の持分を保有していて、かつその住宅に住んでいる(住民票で確認できる)
  • 収入が、消費税8%の時に510万円以下、消費税10%の時に775万円以下である
  • 住宅ローンを利用していない場合、年齢が50才以上である
  • 住宅の床面積が50平方メートル以上である
  • 第三者により、住宅の品質が保証されている

住宅ローン減税の延長

住宅ローン減税とは、借り入れから10年間、毎年残っている住宅ローンの返済額に応じて、所得税(はみ出る場合は住民税も)が控除されるという制度です。

増税の前からある制度ですが、今回の消費税率の引き上げに伴って、利用できる期間が10年から13年に延長されます。減税される範囲は住宅購入額の2%までとなっていますが、住宅ローンを借り入れるなら検討して損のない制度と言えるでしょう。

ちなみに申請は、新居に入居した翌年の確定申告の時に、必要書類を提出することで行います。

対象者
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上
  • 各年の所得の合計が3000万円以下
  • 居住が確認できる
  • 床面積が50平方メートル以上ある
  • 中古住宅の場合、法定耐震性能をクリアしている

次世代住宅ポイント制度

次世代住宅ポイントは、所定の条件に応じて、1ポイント1円で使えるポイントを発行してもらえるという制度です。

上限は1戸あたり35万ポイントとなっており、貯まったポイントは所定の商品と交換することが可能。実際にお金として使えるわけではありませんが、ラインナップされているアイテムは幅広く、通販サイトのような感覚で希望の商品を手に入れることができます。

申請方法にはいくつかパターンがあり、どれを選ぶかによって手続きの方法や必要書類が変わります。利用メリットの大きい制度ですから、申請忘れがないよう、あらかじめ業者に確認されておくことをおすすめします。

ちなみに、申請期限は2020年3月31日(予算の消費状況に応じて調整あり)となっています。

対象者
  • 居住が確認できる
  • 次のいずれかに該当している
  • 認定長期優良住宅
  • 認定低炭素住宅
  • 性能向上計画認定住宅
  • ZEH
  • 断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上(共同住宅及び長屋については、一定の更新対策を含む)
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級3以上
  • 法定耐震性能を満たさない住宅の建て替え
  • 家事負担軽減に資する設備の設置

贈与税の非課税枠の拡大

贈与税とは、1年以内に110万円以上の財産を誰かから受け取った場合に、金額に応じて課される税金です。

この贈与税、住宅購入が目的であれば、1200万円までなら非課税という特例があるのですが、今回の増税に伴って、非課税枠が最大3000万円まで引き上げられることになっています。

非課税となる金額は契約時期や住宅性能などによって違ってきますが、資金援助を受ける予定があるなら、利用することで相当額のお金を浮かせられる可能性も。

贈与してくれる相手が直系の父母(または祖父母)という制限はありますが、検討する価値は十分にあると言えるでしょう。

消費税率が上がった後に家を買うときの注意点は?

本を開くサボテン

フラットな目線で、自分たちが本当に納得できる住宅を考えることです。

確かに、消費税の引き上げは重要なイベントです。ただ、上昇幅は2%。予算5000万円の住宅を購入する場合でも、100万円しか変わりません。

もちろん日常生活の基準からすれば大金ですが、家づくりにおいては、やりよう次第で削減できる金額です。

選ぶ業者、立地、間取り、建材、設備、住宅ローンのプラン、等々、コストを左右する要因は無数に考えられます。その選択一つ一つを、コスト意識を持って丁寧に吟味すれば、100万円以上の節約も十分可能でしょう。

それよりも、コストに振り回されて、一家が望む住宅像が曖昧になってしまうことの方が問題です。

増税で増えた分は、国が用意する軽減措置を利用することでも少なからず回収が見込めますので、家づくりの目的をしっかり見据えるよう、意識されることをおすすめします。

政府が用意する負担軽減措置を上手に活用する

すまい給付金や次世代住宅ポイント制度、住宅ローン減税の拡充など、増税の負担を軽減するための制度が無数に用意されています。

対象者だけでなく、物件にも要件が定められている制度が多いため、住宅性能を絞ったローコスト住宅ではあまりメリットは受けられません。

しかしある程度の予算を用意して住宅を建てるつもりなら、制度の使い方次第では増税前よりお得に理想の住宅を建てられる可能性があります。

政府が提供する制度だけあって、説明にも難しい表現が多いのですが、昨今は難しい制度をわかりやすく解説しているウェブサイトも増えています(当サイトでも、「注文住宅づくりで得する補助金・助成制度ガイド【2019年版】」や「知っておくとトクする各自治体の新築補助金まとめ【全国版】」といったページで解説しています)。

専門用語に負けず、ぜひ勉強されてみてください。

プロに意見を聞く

制度が入り組んでいてよくわからなければ、依頼する業者の担当者や、フィナンシャルプランナーに相談を持ち掛けてみるのも手。

相談料が掛かるケースもありますが、得られるメリットや、思い悩んでいる時間のロスを考えたら、トータルでは得をするはずです。

まとめ

  • 住宅を購入する場合、基本的には消費税が掛かる
  • ただし売主が個人の時は、建物価格に関しては非課税(業者の仲介手数料には消費税が掛かる)
  • 消費税が8%か10%かは、引き渡し日が2019年9月30日を跨ぐかどうかで決まる
  • 注文住宅の場合、2019年3月31日までに契約を結んでいれば、10月1日以降の引き渡しでも消費税は8%
  • 増税により増える負担は、60〜70万円と言われている
  • 政府が用意している負担軽減制度を利用すれば、負担をゼロ、場合によってはプラスに持っていくことも可能

消費税の引き上げにより、今後どのような影響が出てくるかは未知数です。ただしどんな状況にあっても、目的を見失わなければ最適な選択肢が見えてくるもの。

資金繰りに囚われ過ぎず、「家族の理想の住宅を叶える」という点をしっかり見据えて、家づくりを楽しんでいただければと思います。

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