よくわかる!シロアリ駆除ガイド

よくわかる!シロアリ駆除ガイド

シロアリについてよく知っている、という人は、きっと少数派でしょう。

そもそも、小さくて白くてウネウネしていて、たくさんいるとなかなか気持ち悪いです。接することなく過ごせるなら、それに越したことはありませんよね。

しかし悲しいことに、シロアリは極端に寒い一部の地域を除いて、日本全域に生息しています。つまり、家を持っていれば、でもその被害に遭う可能性があるということです。

このページでは、万が一被害にあってしまった場合に知っておきたい、シロアリ駆除に関する基本的な知識を解説してみたいと思います。

自分で対策する場合

木のブロックで作ったDIY

多くの場合、シロアリ駆除には専門的な技術、知識が求められますが、市販品の駆除剤も販売されており、被害状況によっては自分で対策することもできます。

対策方法の種類

自分でシロアリ駆除をする場合に考えられる方法としては、以下のようなものがあります。

スプレー剤木材や土壌に薬剤を散布し、直接シロアリを駆除する。巣にいる膨大な数のシロアリには効果が見込めないのが難点。
毒餌遅効性の毒餌をシロアリの生活圏に設置し、巣に持ち帰らせて駆除する。スプレー剤のように住環境に漏れ出ることもなく、処理も簡単に済む。

基本的には、市販の駆除剤を購入してきて、自身でそれを使うことになります。

熱湯を掛けたり、観葉植物用の木酢液を噴霧したり、といった方法も考えられますが、根絶を考えるならやはり薬剤に頼った方が無難でしょう。

かかる費用の相場

どういった製品を選ぶかにもよりますが、概ね数千〜1万円以内のアイテムが多いため、複数を組み合わせて使う場合でも大きな負担にはならないでしょう。

ただ、自身の安全を守るためにも、万全の防御態勢を整えられることをおすすめします。

シロアリは多くの場合、床下から侵入してきます。駆除をする際は、床下に潜り込んで作業することになるでしょう。

十分な明かりも空間も望めませんし、床下にはシロアリ以外の昆虫が住み着いている可能性もあります。

長袖長ズボンの防護服はもちろん、手袋やマスク、ゴーグルなども、抜かりなく用意しておきたいところです。

注意点

シロアリは、木材を齧り取って巣へ引き上げていきます。表にいる個体をいくら駆除しても、巣を根絶しない限り高い確率で再びやってくるでしょう。

そのため、シロアリがどこからやってくるのかをまず確認し、薬剤と合わせて侵入経路を塞いだり、通路となっている土のトンネルを破壊したりといったことも重要になってきます。

また、駆除できたかどうかは、時間を置かないと確認できません。できるなら最初の状態を写真などに残しておき、その後の経過を定期的にウォッチされることをおすすめします。

業者に依頼する場合

防護服を着た人

シロアリ対策は、ただ床下に潜って薬剤を撒けばいい、というものではありません。被害状況を確認し、侵入経路、ひいては巣を特定して根絶しなければ、結局シロアリは戻ってきてしまいます。

巣を見逃してしまうリスクや、シロアリの生態について学習したり、自分で床下に潜ったりする手間などを考えると、信用できる業者を探して任せてしまう方が、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。

駆除業者が行う施工

駆除業者が行う施工も、基本的にはDIYと変わりません。薬剤や毒餌を使って、シロアリを駆除していきます。

ただ、単純に外部から散布するだけでなく、シロアリが潜り込んでいる木材や、巣のある土壌を特定して、そこに直接アプローチしていきます。

特に木材の場合、むやみに穴を開けると住宅の耐久性を損なってしまいますから、知識と経験を踏まえた慎重な判断が必要。専門家にしかできないテクニックと言えるでしょう。

また、散布される薬剤についても、家の構造や巣食っているシロアリの種類、被害状況などに応じて、複数の種類を柔軟に組み合わせて使ってもらうことができます。

実態の見えづらいシロアリの被害や薬剤について、専門スタッフから直接説明が受けられる、というのも、業者に依頼する利点です。

掛かる費用の相場

シロアリ駆除を業者に依頼した場合の費用相場ですが、被害の規模や掛かる期間、シロアリの種類などによって異なってきます。

以前に法人経済調査会という一般財団法人が行ったリサーチによると、ヤマトシロアリの駆除にかかる施工費用の平均値は1坪あたり10,725円という結果が出ています。

1平方メートルあたりに換算するとおおよそ3,000円ですね。あくまで目安ですが、この数字を頭に入れた上で、目ぼしい業者に相見積もりを依頼して、相場感を把握されてみると良いでしょう。

駆除業者に頼る場合の注意点

悲しいことですが、業者の中には、詐欺まがいのやり方で本来不要な工事を行ったり、安い見積もりを提示して後から請求金額を釣り上げたりといった悪徳業者も存在します。

もちろん、シロアリの被害が明らかになるにつれて必要な工事が増える、ということは考えられるため、後から金額を変更する業者が全て悪徳業者というわけではありません。

ただ、説明が曖昧で根拠がわかりにくい場合は要注意。安易に同意せず、納得できるまで腰を据えて話し合われることをおすすめします。

駆除業者を選ぶときのチェックポイント

チェックリストとペン

続いて、優良業者を見極めるために知っておきたいチェックポイントを解説します。

公式サイトに実績や施工事例が載っているか

まずチェックしたいのは、業者の実績です。昨今はウェブ上に公式サイトを公開している業者が多いため、まずは公式サイトを訪れて、実績や施工事例をチェックしましょう。

その際、公式サイトのコンテンツの充実度や、スタッフが持つ資格(スタッフ紹介文に記載されていることが多いです)なども合わせて確認されてみることをおすすめします。

ほか、口コミサイトなどで評判を確認してみるのも手です。

聞いたことにしっかり答えてくれるか

家の中に入ってもらうことになりますから、実績はもちろん、対応面がしっかりしているかどうかもチェックしておきたいところ。

相談時に、聞いたことに対する答えが得られるか。礼節を持って顧客に対応しているか、などを意識して、話を聞いてみてください。

対応が誠実だから技術力に優れる業者、というわけではありませんが、技術力に優れる業者は、顧客対応にも妥協しないことが多いです。業者の良し悪しを見極める1つの指針となるでしょう。

専門資格者が在籍しているか

シロアリ駆除には、しろあり防除施工士という資格があります。

これは、日本しろあり対策協会という協会が認定している資格で、その人がシロアリの生態や、薬剤、施工等に求められる安全管理知識を持っていることを証明するもの。

民間の認定資格ですが、創設は1964年と古く、業者の実力を見極める際のバロメータとして参考になるはずです。

信用に足る見積もりを出すか

シロアリを確実に駆除するためには、現場をしっかり点検した上で、状況に応じて柔軟に施工をプランニングする必要があります。

無闇に契約を迫らず、しっかり根拠のある見積もりを提示した上で、こちらの自由意志を尊重してくれるかどうか、という点も、業者の実力を判断するための参考情報と言えます。

保証内容がしっかりしているか

シロアリ駆除は、専門家であっても100%の確率で成功するとは限りません。そのため、どのような保証が用意されているか、という点にもしっかり目を向けておきたいところ。

通常、5年の保証期間が設けられるのが一般的ですが、その内容は様々。期間だけでなく、どういった内容が保証されているかを確認の上で、依頼するかどうかを検討されると良いでしょう。

駆除後のリフォームは必要か

木のブロックで作ったクエスチョンマーク

シロアリ被害に遭った際に気になる事項の1つに、駆除後の修繕・リフォーム工事が挙げられます。

駆除自体にもお金が掛かりますから、できることなら余分な出費は抑えたいところですよね。シロアリを駆除した後は、必ず修繕が必要なのでしょうか。

リフォームや修繕が不要なケース

結論から言えば、シロアリ被害に遭ったからといって、駆除後に必ず修繕やリフォームが必要とされるわけではありません

被害の度合いによっては、簡単な補修工事で済んでしまう場合もあります。

たとえば床材や、住宅の耐震性に柱の下部などのごく一部しか食害に遭っていない場合は、大規模なリフォームは不要でしょう。

畳や床板の張り替え、柱の補強程度であれば、ホームセンターで材料を調達すればDIYで十分に対応可能です。

専門家に点検をしてもらい、意見を聞いた上で判断する、というのが前提ですが、修繕・リフォームはコストを掛けずに自分たちで行う方法もある、ということは知っておくと良いでしょう。

リフォームが必要なケース

建物の構造を支える部位が広範囲にわたって被害に遭ってしまっている場合は、専門知識や技術がなければ対応できません。この場合は、業者を入れて耐震補強工事をしてもらう必要があります。

もちろん義務ではありませんが、地震や台風などのダメージで、シロアリによって弱った構造が崩れてしまわないとも限りません。被害が大きい時は、シロアリを駆除した後に可能な限り早めに対策を行うことが賢明です。

シロアリ予防の方法には、寄り付かないように薬を撒く方法の他に、そもそもシロアリが嫌う構造に床下を変えてしまう、という方法も。リフォームは、そうした予防策を検討するちょうど良いタイミングとなります。

中には、シロアリの駆除とリフォームを同時に請け負っている業者もありますから、シロアリに強い住宅にしたい、という要望があれば、リフォーム前に一度相談されてみることをおすすめします。

掛かる費用

リフォームに掛かる費用は、被害状況や部位によって大きく変わるため、一概には言えません。

たとえばトイレをリフォームする場合は、多くとも50万円前後、キッチンをリフォームする場合は、50〜150万円前後がボリュームゾーンと言われています。

もちろん、地域性なども関係してくるため、業者選びの際は複数社に相見積もりを取り、妥当な費用感をまず把握されることから始めると良いでしょう。

再発の可能性

駆除を行い、リフォームをしたからといって、絶対に再発しないと言い切ることはできません。数年で戻ってくる可能性は小さいですが、10年、15年と経過するうちに、再度被害に遭うこともあり得ます。

そのためリフォーム時には、被害を早期発見できるような、点検しやすい造りに変えてしまうことがおすすめ。

また、コネクションのできた信頼できる駆除会社に、定期的に住宅をチェックしてもらうようにしましょう。

駆除せずに放置するとどうなる?

モノクロの時計

シロアリ被害は、放置していても解決することはほとんどありません。種類によらず、放置しているだけでは被害が拡大する一方です。

具体的には、以下のような影響が考えられます。

耐震性や資産価値が下がる

日本にいるシロアリは、主に土の中に巣を作って、エサ場となる住宅と巣を往復します。

一匹一匹は小さくとも、膨大な数のシロアリが柱や床材を削り取っていくわけですから、その被害は馬鹿にできません。住宅の柱が少しずつ細くなっているようなものです。

じっくり時間を掛けて、住宅の内側がスポンジのようにスカスカにされてしまいます。

初期の段階であればさほど影響はありませんが、被害が進むにつれ、住宅の耐震性は損なわれ、資産価値も目減りしていきます。

戸やドアが開きにくくなる

被害状況によっては、食害によって構造が歪んでしまい、戸やドアが開きにくくなってしまうことも考えられます。

また、歩く際に床の軋みが激しくなったり、一部だけくぼんで感じたり、体感できる影響が随所に見られることがあります。

他、屋内にある木材でできた家具にまで被害が及ぶことがあり、精神的にも気持ちの悪い思いをすることになってしまいます。

住宅が倒壊する?

シロアリによって住宅が蝕まれる、ということの連想から、シロアリ被害を放置すると住宅が倒壊する、というようなイメージを持っている人もいるかと思います。

ただ実際は、シロアリが直接的な原因となって住宅が倒壊する可能性は非常に小さいと言えるでしょう。地震や台風など、その他の不運が組み合わさった結果そうなるリスクはありますが、食害の影響だけで住宅が崩れるということは考えづらいです。

それよりも、身近にグロテスクな昆虫が大量に棲み着いているという精神的な負担、駆除・修繕に掛かる金銭的な負担といった影響の方が、家主にとっての懸念事項となるはずです。

シロアリの生態について

シロアリ軍団

駆除を考える際は、シロアリの生態を知っておくことも重要です。というのも、一口にシロアリといっても種類があり、種類Aの対策を種類Bに施しても十分な効果が見込めないことがあるから。

日本にいる、住宅にダメージを与える主なシロアリの種類や生態を解説します。

種類

日本にいるシロアリは17種類に及びますが、中でも注意すべきは以下3種類です。

ヤマトシロアリ北海道の一部を除き、全国に幅広く生息しているシロアリ。暗闇と湿気を好み、数万匹のコロニーが分散して巣を作る。日本で最も被害が多い。
イエシロアリ神奈川県以南の太平洋沿岸に生息しているシロアリ。暗闇と湿気を好み、百万匹にも及ぶ大集団で1つの巣を作る。数が多い分、被害が出るのも早く、被害も大きい。
アメリカカンザイシロアリ本州各地で被害が拡大している外来種。在来種と違って乾燥した木に好んで生息する。また、1つのコロニーは多くても1万匹以下のため、被害が拡大するまで気づきにくい。

駆除を考える際は、種類別の生態の違いをよく知り、巣をしっかり特定した上で処理を行うことが大切です。

活発に動く季節

シロアリは基本的には年中活動しています。ただ、シロアリ被害に気づくタイミングで多いのは、羽アリが飛び立つ季節。

種類によって違いますが、ヤマトシロアリは4〜5月、家シロアリは5〜7月、7〜9月に巣から羽アリが飛び立ちます。

この季節に羽アリが家の中にいたら、一度床下や天井裏など、シロアリに蝕まれやすい箇所を点検した方が良いでしょう。

侵入経路

シロアリの侵入経路で最も多いのは、床下です。

古い家では、土から直接。比較的新しい家でも、ひび割れたコンクリートから床下へと侵入し、柱や床下を侵食して行きます。

また昨今は、購入した輸入家具などに、すでにシロアリが巣食っていた、というケースも増えています。

前者を予防するには、基礎や床下の定期的な点検・補修、後者を予防するには、購入時の入念な確認が効果的でしょう。

繁殖について

恐ろしい話ですが、シロアリは常に繁殖しています。1つの巣が窮屈になってくると、成長した個体が羽アリとなって巣を離れ、全体の数のバランスを保っています。

羽アリが飛び立つタイミングはシロアリの種類によって違い、ヤマトシロアリの場合は4〜5月、イエシロアリの場合は6〜7月に大発生します。この時期に家の中に羽アリを発見したことで、シロアリ被害に気がつくというケースも少なくありません。

まとめ

  • シロアリ駆除は、市販の薬剤を使えば自分でもできる。ただし確実に根絶するにはプロに頼った方が無難。
  • プロの駆除業者に頼った場合の費用相場は、1平方メートル当たり3000円程度。
  • ただし中には悪徳駆除業者も存在するため、業者の実情をしっかりチェックしてから依頼先を決めることが大切。
  • 駆除後のリフォームが必要かどうかは、シロアリの被害状況によって異なる。不安な場合は、第三者の点検業者に依頼し、耐震性をチェックしてもらうと良い。
  • シロアリを放置しても建物が倒壊する可能性は小さいが、ゼロではない。地震や台風に弱くなるため、早期に駆除することが肝心。

シロアリ駆除は早めの対策が肝心です。放置すればするほど、駆除のために必要な手間とコストが増えていきます。

これは、自分で対応する場合も、業者に依頼する場合も変わりません。もし少しでも不安を感じたら、可能な限り速やかに行動されることをおすすめします。

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