住宅を購入するとき、ほとんどの人は住宅ローンを組むことになるでしょう。
そこで気になるのが、いったいいくら頭金があったら、住宅ローンを組めるのかということ。
生活のためのお金や、もしもの時の余剰資金、資産形成のための投資資金など、残しておきたいお金のことも考えると、貯蓄額によっては住宅購入のタイミングについても検討し直さなくてはならないかもしれません。
このページでは、そうした住宅購入にあたっての準備段階にいる人に向けて、住宅ローンの頭金についての情報をまとめています。
そもそも頭金とは
頭金とは、金融機関から融資をしてもらう際に、最初に支払うまとまったお金のことを指します。以前はほとんどのケースで必要とされるものでしたが、昨今は頭金なしで全額融資してもらえるケースも少なくなりました。
それでは、住宅ローンにおける頭金について、詳しく見ていきましょう。
メリット
頭金を支払うメリットとしては、以下のようなものが考えられます。
適用金利を下げられる
融資を申し込む金融機関にもよりますが、住宅購入費として見込んでいる金額の10〜30%を支払うことで、ローンの金利が引き下げられるケースもあります。
引き下げられるのは1%に満たないかもしれませんが、掛けられる金額が大きいため、適用金利については妥協なく吟味しておきたいところです。
支払い総額が抑えられる
もともと融資してもらうはずだった金額の一部を最初に支払う訳ですから、その分、全体の支払総額を抑えることができます。
支払う金額にもよりますが、頭金を入れるか入れないかで、トータル100万円単位の節約になることも少なくありません。
スパンが長いためなかなかイメージしづらいかと思いますが、自身のケースと照らして慎重にシミュレーションされることをおすすめします。
返済負担が減る
住宅ローンは、一番長くて35年もの長期間、コツコツ返済していくものです。30代半ば以降に住宅を購入した場合は、定年以降も返済が続いていくこととなります。
同じ期間融資を受ける場合、頭金を支払った方が、月々の返済負担が小さくなるというメリットがあります。
デメリット
続いて、頭金を入れるデメリットを見ていきましょう。
用意するのに時間が掛かる
相応の貯蓄がないと、頭金を用意するために住宅購入のタイミングを遅らせる、ということにもなりかねません。
頭金の金額はケースバイケースで変わりますが、それでもほとんどの場合、数百万円に上ります。それだけのお金を捻出するのは簡単ではありませんから、年単位の時間が掛かることも考えられます。
その間に発生する家賃の負担などを考慮すると、期待していたほど頭金のメリットを得られないこともあり得る訳です。
金利動向によっては必ずしも特をしない
現在の日本は低金利です。そのため、頭金に入れるはずだった資金で、頭金を入れた場合の金利を上回るだけの資産運用ができれば、トータルでプラスにすることも可能です。
運用によって将来的な資産形成を考えているなら、頭金を入れることで投資効率が下がってしまうという可能性も考えておく必要があります。
絶対に必要なものなのか
専門家はもちろん、夫婦間であっても議論が尽きないのが、頭金を入れるかどうかということ。
あくまで一般論ですが、以下のようなケースで、頭金の要不要が分かれます。
頭金を用意した方がいいケース
将来的に、収入のほとんどを生活費や教育費で消費してしまう可能性がある場合は、頭金を入れることが推奨されます。
月々の返済額が小さくなる、というのもそうですが、どれだけ節約しようと意識していても、お金というのはあれば使いたくなるのが人情です。
貯蓄に関する書籍などでも、財テクの1つとして、毎月一定の額を簡単には取り出せない場所(例えば定期預金口座など)に入れてしまうことが有効、というような主張がよく見られます。
返済についても同じで、最初にまとまったお金を支払い、残された分でやりくりする、という方針の方が、日々の負担を軽減できるでしょう。
なしでも問題のないケース
月々の収入が安定しており、万が一のことがあっても返済に困らないバックボーンがあるなら、頭金なしで借り入れても大きな問題はないでしょう。
また、資産運用を行っており、頭金を入れた場合の金利負担以上のパフォーマンスを継続する自信があるなら、頭金を入れない方が投資効率を高められるはずです。
いつ支払うのか
具体的にいつか、というのはケースバイケースですが、住宅購入の契約をしたタイミングから、引き渡し日までの間に支払うのが一般的です。
ただ気をつけたいのが、新居に入居する際に必要となる資金を十分残しておく、ということ。金利が低くなるからと無理して頭金を増やして、新生活のスタートで貧しい思いをするのは、ちょっと嫌ですよね。
返済負担を減らしたい場合は繰り上げ返済をするという手もありますから、ある程度余裕を持って資金を準備されることをおすすめします。
シミュレーションから見る頭金の有無による返済額の違い
物件価格を4000万円と考えて、頭金の有無で月々の返済額がいくら変わるのか、簡単にシミュレーションしてみましょう。
Aさんは400万円の頭金を用意し、Bさんは頭金を入れない、と仮定します。
- | Aさん | Bさん |
---|---|---|
頭金 | 400万円 | 0円 |
借入金 | 3600万円 | 4000万円 |
ローン金利 | 1% | 1.5% |
月々の返済額 | 約10万円 | 約12万円 |
簡便のためわかりやすい数字にしていますが、1割の頭金を用意することで、月々の負担が大きく変わることがお分かりいただけると思います。
頭金は用意すべきか
総括ですが、頭金を用意するかどうかは、各家庭の資産状況により大きく異なります。
特に資産運用を考えておらず、緊急で資金需要が発生することが考えづらければ、頭金なしで検討するのも手でしょう。
ただ、頭金を入れないと月々の返済額が膨らみ、家計を圧迫しないとも限りません。返済額については、自身のライフプランを慎重に吟味し、返済が滞らない範囲で設定されることをおすすめします。
一方、頭金を入れる場合、その後の生活費や教育費、万が一の資金需要に対応できるだけの蓄えを残しておくことが大切です。もしまだ十分な蓄えがないなら、住宅購入のタイミングも仕切り直す必要が出てくるかもしれません。
いずれにせよ、現在、そして未来の自分たちが、ある程度の余裕を持って生活できる形を模索することが大切です。
頭金はいくら用意すればいいのか
頭金を用意する場合、いくら用意すればいいのでしょうか。
一般に、物件購入費の2〜3割を充てるのが無難、と言われていますが、果たしてそれは本当なのか。頭金の金額について詳しく見ていきましょう。
相場についての嘘・ホント
住宅ローンの頭金の相場は、物件購入費の2〜3割と言われます。
現在、フラット35を民間の金融機関と共同で打ち出している住宅金融支援機構は、かつて借り入れの上限を8割に設定していました。
昔は、頭金について悩む余地はなく、問答無用で住宅購入費の2割を用意する必要があったわけです。
ちなみに、なぜ8割が上限だったかというと、新築の不動産は入居者が入ると価値が一気に2割減るため。
万が一債務者が返済できなくなった場合、物件を売却した時の価格が元手(融資額)を下回らないために、融資額の上限を8割としていた、ということです。
しかし現在、審査基準は多様化しています。仮に頭金が用意できなくても、融資を受けられるケースは少なくありません。
頭金のあり・なし、どちらを選択すべきかはケースバイケースで変わりますから、様々なシミュレーションを行い、最適な形を模索することが大切です。
頭金の決め方
頭金をいくら入れるべきか、というのは難しい問題です。ここでは、以下の3つのケースに分けて、頭金の算出方法を紹介してみたいと思います。
case1.月々の返済可能額から逆算
頭金を入れる大きな目的の1つは、月々の負担を減らすことです。そのため、妥当な頭金を考えるなら、月々の返済可能額を検討し、そこから逆算するのが早道です。
まずは借り入れ年数を35年と考え、自身が働きながら毎月支払える金額を割り出しましょう。
大前提は、無理なく返済できる範囲を意識する、ということです。返済を急ぐあまり、毎月手元にお金がほとんど残らない、という事態は絶対に避けましょう。
無理なく支払える金額を割り出したら、その金額×35で、金利分を含めて希望の物件が購入できるかを検討します。
もしはみ出てしまうようなら、頭金を入れた場合の金利で計算し直し、理想の返済額の範囲に収まるよう落とし所を探っていきましょう。
case2.借り入れ年数から逆算
40代以降に住宅を購入する場合、35年ローンでは、老後の生活に返済が食い込んでしまいます。
余裕を持って余生を送りたい、ということであれば、借り入れ年数から逆算して頭金を決めるのが良いでしょう。
借り入れ年数を決めたら、毎月に無理なく返済できる金額を割り出し、その金額を実現するためにはいくら頭金を入れたら良いのか、地道にちょうどいいバランスを見極めていくこととなります。
case3.年収から算出
住宅ローンの借入額は、年収によって大きく違ってきます。そのため、借入額、ひいては頭金の目安を、年収から考えることも可能です。
この場合の頭金は、「物件価格ー借入可能額」という簡単な式で表すことができます。
ただこの式だと、各家庭の個別の状況を判断することができません。仮に年収が高くても、片働きで毎月の生活費が大きければ、返済によって家計が圧迫されてしまうことも考えられます。
算出する数字をできるだけ現実に近づけるためにも、年収だけで判断するのではなく、ライフプラン等も踏まえて丁寧に計算されることをおすすめします。
住宅ローンの返済額シミュレータについて
手計算だけで住宅ローンを検討するのは手間が大きいでしょう。
昨今は、金融機関等がその公式ページで住宅ローンの返済シミュレーションツールを公開しているケースもよく見られます。
頭金や月々の返済額を考える際は、そうしたツールを活用されてみると良いでしょう。
ローンシミュレーションツールの例
頭金は多い方がいいのか
頭金が多ければ、返済の負担が減ることは間違いありません。ただ頭金を多くすると、その分初期費用を多く蓄えねばならず、住宅購入が遠のいてしまう可能性が。
また、仮に資金があっても、現金をそのまま使ってしまうより、住宅購入はローンで賄って、手元に残った分で金利以上の資産運用をした方が、将来的に得をする可能性があります。
低金利時代の昨今、手放しで運用できる投資信託であっても、金利より多くの収益が見込める銘柄は少なくありません。
毎月の返済額を負担のない範囲に収められるのであれば、無理をして頭金を増やす必要はないでしょう。
確保しておきたい非常用資金
無理をして頭金を入れて返済額を抑えるくらいなら、非常用の資金や、資産運用の元手となる資金を残しておくことをおすすめします。
住宅ローンの返済期間は、長ければ35年もの長期に及びます。その間、緊急でお金が必要になる可能性も十分に考えられます。
毎月の負担を軽減することでコツコツ貯蓄を増やす、という意図があれば、頭金を増やすのもいいかもしれません。しかしそれでも、非常時のことは常に頭の片隅に置いて準備しておきたいところです。
将来的な資産形成も要考慮
住宅ローンというのは、個人が大きいお金を金融機関から借りられる数少ない機会の1つです。
金融機関から融資を受けて投資効率を高めるというのは、資産運用のセオリー。住宅ローンで借りたお金を資産運用に回すことはできませんが、頭金を残しておいて、それを運用することは可能です。
大きいお金を動かせば、それだけ得られるリターンは大きくなります。
投資信託や不動産投資など、手間を掛けずに、金融機関の金利以上のリターンを出せる資産運用もありますから、借りられるお金は借りて、自由になる資金で別の資産運用を検討するのもおすすめです。
用意できない場合に考えたいこと
頭金を用意できない場合にどうすべきか、というのは、個々の状況によって異なります。
もし頭金を入れなくても月々の返済に無理がないようであれば、そのまま住宅ローンを組んでしまって良いでしょう。
ただ、返済が負担になるようなら、住宅価格の1〜2割ほどを用意できるまで待った方が無難です。
昨今は、頭金がなくてもお金を借りられるようになりました。しかしそれは、ある程度の貯蓄があるということが前提です。
貯蓄がないのに頭金なしでお金を借りるのは、少々無謀。購入時だけでなく、中・長期的な資金需要も考えて、借入額や頭金を決定されることをおすすめします。
頭金なしで住宅ローンを組む前に知っておきたいこと
続いて、頭金なしで住宅ローンを組む場合に知っておきたいポイントを見ていきましょう。
メリット
まずは、頭金なしで融資を受けるメリットについてです。
- 貯金が少なくても家を買える
- 若いうちに長期ローンを組めば毎月の返済額を抑えられる
- 残った分で資産運用ができる
月々の負担額が大きくなるため、一概にメリットとは言えませんが、住宅を購入するために貯蓄する期間を短縮できる、というのは、頭金なしで住宅ローンを組む際の利点の1つです。
もし現在住んでいるのが賃貸住宅であるなら、貯蓄する際に掛かる家賃分の節約も見込めます。目標金額までの貯蓄に時間が掛かるようなら、頭金なしで借りてしまった方が、トータルで考えた場合に費用を抑えられる可能性も。
とくに、20代、30代の若い世代であれば、時間を武器に長期的な返済プランを組むメリットは大きいでしょう。
頭金なしで浮いた資金を運用する手も
頭金なしで住宅ローンを組んだ場合、入れる場合よりも金利が高くなります。ただし、現在の日本は低金利政策の真っ只中。
増えた金利分以上のリターンを、手元に残った資金を運用することで得られれば、トータルではプラスとなります。
投資信託や不動産投資をはじめ、低リスクかつ手間なしで運用できる投資商材は無数にあります。
不動産は物件購入費が大きいため、単純なパーセンテージでは損益がわかりづらいですが、頭金なしの月々の金利を算出した場合に、その金額を上回るパフォーマンスの投資商材を見つけられるのであれば、頭金分をそちらに回すというのも良いでしょう。
リスク
続いて、頭金なしでローンを組んだ場合のリスクを見ていきましょう。大まかには、以下のような事項が考えられます。
- 頭金がないと返済額が膨らむ
- 借り入れ時の審査が厳しくなる
- 売却するのが難しくなる
頭金なしで住宅ローンを組むと、月々の返済額が膨らみます。単純に借りたお金が大きくなることに加え、それに掛けられる金利も大きくなります。
負担が大きくなる、というのが、まず第一のリスクと言えるでしょう。
ただ、返済の負担が大きくなるというのは、債務者だけのリスクではありません。金融機関としても、返済が滞るリスクを負うことになります。
そのため、必然的にローンの審査が厳しくなることに。この、審査が厳しくなるという点が、第二のリスクと言えるでしょう。
借りたいときにすぐに借りられずに、物件購入のタイミングを逸してしまう可能性があるからです。
また、万が一物件を売却することになった場合、残債によっては簡単に売れない、というのもリスクと言えるでしょう。
新築の物件は、入居者が入った時点で価値が2割下がります。したがって、売却してもマイナスになってしまう可能性が高いのです。
売却をした上で、自己資金で残債を一括返済しないと、物件を手放すこともできません。あとで後悔しないよう、ローンを組む前にあらゆる可能性を検討しておくことが大切です。
意外に知らない繰り上げ返済のきほん知識
頭金は、主に住宅ローンの月々の返済負担を軽減することを目的に、最初に支払うまとまったお金のことです。
これと同じような効果が得られるものに、繰り上げ返済があります。以下に、繰り上げ返済の基本知識をまとめてみます。
繰り上げ返済とは
繰り上げ返済とは、当初の予定よりも多くの金額を返済に充てることで、その後の負担を減らせる返済形式です。
頭金なしでローンを組んだとしても、後から繰り上げ返済を行えば、同じような結果が得られるわけです。
メリット
繰り上げ返済の大きなメリットは、前倒しで返済を行うことで、金利が掛けられる元金を減らし、利息の負担を軽減できることです。
長期間返済を続けていると、ローンを組んだ時には想定していなかった資金需要が発生することがあります。そういった場合に繰り上げ返済を行うことで、将来的に見込まれる家計の負担(たとえば教育費や介護費等)を軽減することができます。
デメリット
一方のデメリットは、運用効率の悪化です。まとまったお金を投入するということは、自由に使える大きなお金を減らすということです。
日本では、今後もしばらくは低金利が見込まれています。借りられるお金は借りて、自由にできるお金で資産運用を行うことで、将来的により多くの資産を築ける可能性も。
もちろん、手持ちの資金や資産運用に関する知識によっては、金利以上のパフォーマンスを上げることは難しいかもしれません。
しかしある程度の元手を用意できるなら、繰り上げ返済を行う前に資産運用を検討されてみることをおすすめします。
種類について
繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額軽減型の2つの種類があります。単に繰り上げ返済という場合は、期間短縮型を指すことが多いです。
とはいえ、それぞれの概要を知っておくことで、効果的に使い分けられる可能性も高まります。以下に概要をまとめますので、これから住宅購入を考えている方はぜひチェックしてみてください。
期間短縮型
期間短縮型の繰り上げ返済は、繰り上げ返済を行うものの、その後の返済負担を変えない、というものです。
つまり、繰り上げ返済を行なった分、当初の予定より完済までの期間が短くなるわけです。もちろん、相応の額の返済を行わなければ、目に見えるほど返済期間を短縮することは難しいでしょう。
しかしローンの負担は、意外にストレスとなるものです。そうした重圧から早く解放されたい人は、コツコツ繰り上げ返済をして、早期に完済することを選ぶケースが少なくありません。
返済額軽減型
返済額軽減型は、返済期間を変えずに、その後返済するはずだった負担を前倒しで支払うというものです。
どういった返済方式を選ぶかにもよりますが、多くの場合、住宅ローンの月々の返済額は一定です。そのため返済途中で想定外の事態が起った際に、家計の負担が大きくなってしまうことも。
こういった場合に備えて返済額軽減型の繰り上げ返済を行うことで、家計のキャッシュフローを改善する、というケースもよくあります。
繰り上げ返済のやり方
繰り上げ返済のやり方は、借り入れする金融機関によって異なります。以下に示すのはあくまで一例ですので、具体的な手順は借り入れる際に金融機関の担当者に問い合わせされてください。
フラット35
フラット35で借り入れした場合、繰り上げ返済は100万円以上から受け付けてもらえます。返済日は、毎月の所定の返済日となります。
やり方ですが、繰り上げ返済を行う1ヶ月前までに、借り入れしている金融機関に申請を行えばOKです。
民間融資
民間融資の場合、インターネットを介して手続きをするのが一般的です。
フラット35と違い、即日〜5日前程度までに申し込みをすれば、その月の返済日には繰り上げ返済が実施されます。
見逃すと怖いリスク
繰り上げ返済に付きまとう、単純ながら怖いリスクが、手持ちの資金が減ってしまうというものです。
将来的な負担と交換した、と考えることもできますが、資金を減らしすぎると、もしまとまったお金が必要になった場合に、新たに借金をしなければならない、という事態に陥らないとも限りません。
想定外の資金需要についてもある程度対応できるほどの現金は、常に確保しておきたいところです。
また、繰り上げ返済で負債が減るのが楽しくなってしまい、日々の生活を犠牲にしてしまう、というケースも稀にですが見られます。
価値観は人それぞれですが、自由になるお金と心の負担は反比例します。あくまでも生活の余裕を犠牲にしない範囲で、計画的に返済できる形を模索されてみてください。
住宅を購入する際に必要な頭金以外の費用
住宅を購入する際にかかる費用は、頭金だけではありません。
物件購入費が大きいため、感覚が狂ってしまいがちですが、細かい諸費用についてもしっかり把握して、あらかじめ準備されておくことをおすすめします。
仲介手数料
仲介で物件を購入した場合に、不動産会社に対して支払うお金です。
不動産の仲介手数料については、法律で「物件価格の3.24%+6万4,800円+消費税」と上限が決められています。
ほとんどの不動産会社はこの上限金額で請求を行いますが、交渉することも可能。予算に余裕がない場合は、金額について担当者と交渉してみるのも良いでしょう。
ちなみに、支払いのタイミングは売買契約や物件引き渡し時となるのが一般的です。
印紙税
不動産の売買契約書や住宅ローンの契約書には、収入印紙を添付する必要があります。収入印紙の代金は、添付する契約書の金額によって、以下のように定められています。
- 500万円以下の場合:2,000円
- 1,000万円以下の場合:1万円
- 5,000万円以下の場合:2万円
ローンの諸経費
住宅ローンを借りる際にも、手数料等が発生します。
まずは、住宅ローンの融資事務手数料。これは文字通り、融資手続きに関して支払う必要がある手数料です。定立型と定額型があり、どちらのタイプかによって料金が変わってきます。
- 定率型…「借入額×手数料率」で算出。
- 定額型…借入額に関わらず一律。
一般に、金利の高いローンほど定額型、金利の低いローンほど定率型となっています。定率型の手数料は数十万円単位となりますから、手数料だけで考えると定額型を選択したくなるかと思います。
ただ、金利負担は継続的に発生していくものです。あるタイミングだけでコストを判断するのではなく、トータルでいくら掛かるのかを前提に、ローンを選択されることをおすすめします。
手数料以外の費用には、保証料があります。これは、ローンが返済できなくなった場合の備えとして徴収されるもの。前払いと、月々の返済に上乗せする、という2つの支払いパターンがあります。
前払いした方がお得になるケースが多いですが、こちらも自身のケースに照らして、より負担のない方を選ばれることをおすすめします。
登記の諸経費
住宅ローンを組んで不動産を購入する場合、その不動産には所有権と抵当権が発生します。この権利を公に示すために、登記という手続きが必要です。
自分で手続きを行うこともできますが、司法書士や土地家屋調査士といった専門家に委託するのが一般的。費用は依頼先によってまちまちですが、多くとも2~30万円以内には収まるはずです。
また、登記の際には、登録免許税という税金も支払う必要があります。税率は物件の種類によって異なりますが、新築物件の場合は、固定資産税評価額の0.4%相当の税金が発生しますから、こちらもぜひ把握しておきましょう。
保険料
住宅ローンを借りる際、ほぼ確実に火災保険への加入が求められます。
また、民間の金融機関で住宅ローンを借り入れる場合、団体信用生命保険への加入が条件となることがほとんどです。
加入する保険によって、掛け金や補償内容が大きく違いますので、勧められるものを鵜呑みにするのではなく、自身の希望に適ったものであるか、しっかり確認することを心掛けましょう。
各種税金
その他に掛かる税金としては、不動産取得税や、固定資産税が上げられます。
不動産取得税は、物件を購入した場合にかかる税金で、入居後数ヶ月したら納税通知書が送られてきます。こちらも、固定資産税評価額に所定の税率を掛けて算出されます。
ただ、不動産取得税は、住宅の床面積が50平方メートル以上、240平方メートル以下であれば、軽減措置を受けられる可能性も。
負担をゼロにできるケースもありますから、自身の物件が軽減措置の要件を満たしているかどうか、支払いまでに確認されることをおすすめします。
また、固定資産税は、毎年支払う必要のある税金です。初年度の場合は、引き渡し日から日割りで計算されますので、いざ請求が来ても驚かないよう、こちらも事前に確認しておきましょう。
まとめ
住宅ローンの頭金は、返済の負担を軽減したり、金利を引き下げたりすることを目的に、最初にまとめて支払う数百万円単位のお金のことです。
一見、お得のようにも思えますが、低金利時代の昨今、頭金に入れる分で別の資産運用を行なった方が、トータルで資産を増やせる可能性も。
ある統計によると、日本人の50%以上の人は、資産運用をしていないとされています。この数字は欧米に比べて明らかに低く、将来的な資産額にも差が出ているとのこと。
国もこの事態を問題視しており、国民に資産運用を促すためのさまざまな施策を打ち出しています。
もちろん、手持ちの資金額にもよりますが、ある程度生活に余裕があるなら、頭金を入れてローンを組むより、資産運用を検討されてみることをおすすめします。
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