基本はこれ!住宅ローンの計算方法ガイド

基本はこれ!住宅ローンの計算方法ガイド

住宅ローンは、返済期間が最長35年にも及ぶ、息の長いローンです。

数千万単位の借金を負うわけですから、多くの人にとって、人生を左右する一大事、と言っても過言ではないでしょう。

万が一にも後悔することのないよう、可能な限り手広く情報収集を行い、借入額や返済額等を慎重に決定していきたいところです。

このページでは、そうした住宅購入に関するお役立ち知識として、住宅ローンの計算方法について解説しています。現在検討中の人も、将来に備えて勉強中の人も、ぜひ参考に目を通してみてくださいね。

住宅ローンを借りるときに知っておきたい2つの計算方法

カラフルな数字

住宅ローンを検討する際に知っておきたい項目として、返済可能額借入可能額の2つが挙げられます。

住宅ローンを組む目的は、当然ながら住宅の購入です。しかし、その住宅を手に入れるために、日々の生活に無理が出てしまっては本末転倒でしょう。

自身、そして家族の人生を最大限有意義にするためにも、無理のない返済計画を立てることが大切と言えます。

そして、無理のない返済計画を立てるためには、「無理のない範囲で返せるのはいくらか」「トータルで借りられるのはいくらか」という2つの項目について、具体的な金額を出す必要があるわけです。

それではまず、返済可能額の計算方法について見ていきましょう。

返済可能額

住宅ローンを組む際、いくら借りられるのか、というのは多くの人が気になるところかと思います。年齢や健康状態、信用情報など、金融機関がチェックするポイントは様々ですが、まず見られるのが、年収と見込み返済額の割合です。

そのため、諸々の数字を集める前に、まずは自身の年収に目を向けて、返済可能額を割り出しておくと、後々のシミュレーションがスムーズです。

算出する式

  • 年間の返済可能額 = (税込年収×返済額の割合)-その他の借入の年間返済額

年間の返済可能額は、上記の数式で算出することができます。

年収と、住宅ローン以外の借入の返済総額は、自身の状況にあわせて適宜埋められるかと思います。返済額の割合については、住宅ローンを組む金融機関によって変わってきます。

民間の金融機関の場合は、25% 〜35%。フラット35の場合は、30%〜35%となっています。一般に、年収が低いほど返済割合の上限も低く、反対に年収が高いほど、上限も高くなる傾向にあります。

もちろん、この数式はあくまで目安です。たとえば教育にお金を掛けたかったり、介護等で何らかの出費が見込まれる場合は、返済率を下げて、家計の負担を抑えることを検討する必要があります。

無理のない返済額は、各家庭の状況によって大きく変わります。算出した返済額で、「本当に自分たちの望む生活が末長く続けられるか」という点を、常に念頭に置いておくことが大切です。

一般的に言われていることを参考にはしても、それをそのまま適用しないよう、気をつけましょう。

借入可能額

年間の返済可能額が割り出せたら、次は借り入れ可能額を計算していきましょう。

式を立てるのに必要な項目

式を立てるのに必要な数字ですが、まず、月々の返済可能額が必要です。これは、先述の年間返済可能額を12で割って算出します。

返済可能額は、見方を変えるとそのまま月々の借入限度額と考えることができます。住宅ローンの借入可能額を算出するには、これに加えて、金利と返済期間を考慮すれば良いことになります。

ただ金利については、固定金利と変動金利の2種類がありますし、返済方式についても、返済額が一定の元利均等返済方式と、返済額のうちの元金が一定の元金均等返済という、2つの種類があります。

どういった組み合わせを選択するかで返済額も変わってきますので、借入可能額を検討する際は、複数のパターンを考えなくてはなりません。

金利について

住宅ローンの金利には、固定金利と変動金利があります。固定金利は、文字通り借り入れから完済まで、掛けられる金利が変わらないタイプの金利。

返済額が常に一定となるため、返済計画が立てやすいというメリットがあります。

一方の変動金利は、経済の動向によって金利が変動するタイプの金利。当然ながら、適用される金利が変わるたびに返済額も変わってしまうため、返済計画を立てにくいというデメリットがあります。

ただ、変動するリスクがある分、固定金利よりも低い金利が設定されている点がメリット。

また、金利が見直されたとしても、引き上げ率は25%までと定められているため、青天井に金利が上がっていくということはありません。

民間の金融機関で用意されている住宅ローンは基本的には変動金利型ですが、固定金利選択型という、固定金利と変動金利の合いの子のような金利タイプも用意されています。

これは、所定の期間は固定金利で、それ以降にまた改めて金利タイプを選ぶ、というもの。変動金利よりも固定金利の方が家計の見通しが立てやすいですから、なるべくなら低金利の長期固定金利を活用されることをおすすめします。

返済期間について

フラット35を提供している住宅金融支援機構機構が2018年度に行った調査によると、平均的な返済期間は26.4年とされています。

一般に、返済期間が長くなるほど、月々の支払い額は小さくなります。

一見するとメリットが大きいように感じられますが、利息が掛かる期間が増えている分、トータルで支払う金額が大きくなってしまうという落とし穴が。

上記の統計では、30年以上ローンを組んだ人の割合が20.8%という割合となっており、もともと短い返済期間でローンを組んだか、繰り上げ返済をする人が多数派であることが伺えます。

手元のお金を増やして、それを元手に金利分以上の金額を資産運用で得る、というのであれば別ですが、いたずらに返済期間を延ばすとトータルで損をしてしまう可能性がある、ということは知っておくとよいでしょう。

返済方式について

住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と、元金均等返済の2つの種類があります。

元利均等返済

元利均等返済は、月々の返済額(元金と利息の合計)が、最初から最後まで同じという返済方式です。

返済計画が立てやすいのがメリットですが、元金均等返済よりも、トータルの返済金額が多くなってしまうというデメリットがあります。

元金均等返済

元金均等返済は、月々に返済する元金を一定にして、残債から上乗せする利息を計算するという形の返済方法です。

最初こそ元利均等返済より返済額が大きくなりますが、返済が進むにつれて徐々に負担が減っていきます。

同じ条件の場合、元金均等返済の方が、トータルで支払う金額が小さくなるのが、大きな特徴です。

ただ、民間の金融機関の場合、ほとんどが元利均等返済方式を採用しています。元利均等返済と元金均等返済は、必ずしも選択できるものではない、ということは、知っておくとよいでしょう。

算出する式(元利均等返済の場合)

  • 借入可能額 = ((毎月の返済可能額)×((1+利率)^返済回数-1))/(利率×(1+利率)^ 返済回数)

算出する式(元金均等返済の場合)

  • 借入可能額 = (初回返済額×返済期間)/(1+利率×返済回数)

月々の返済額の早見表

メモ帳と電卓

住宅ローンの返済額を検討するとき、1回1回手計算で算出していくのは非常に手間が掛かります。

以下に、簡単な早見表を作成しましたので、大まかな目安を把握されたい方はこちらに目を通してみてください。

それぞれ、15年、25年、35年、といった返済期間ごとに、フラット35の固定金利、および金利選択型の変動金利、固定金利を選んだ場合の月々の返済額となっています。

また、丸括弧の中の数値は、返済総額です。月々の支払額と返済総額を見比べてみると、各金利タイプの特性が見えてくるかと思います。

ちなみに算出には、楽天銀行の住宅ローンシミュレータを使用させていただきました。

元利均等返済

まずは、月々の返済額が返済開始から完済まで変わらない、元利均等返済のケースを紹介します。

3500万円の場合

金利タイプ15年25年35年
固定金利(20年以下1.26%/21年以上1.33%)21万3,499円(3,842万9,852円)13万7,199円(4,115万9,672円)10万4,273円(4,379万4,884円)
変動金利(0.527%)20万2,273円(3,640万9,191円)12万4,546円(3,736万3,759円)9万1,273円(3,833万4,482円)
固定金利10年1.112%21万1,201円(3,801万6,203円)13万3,687円(4,010万6,077円)10万637円(4,226万7,495円)

5000万円の場合

金利タイプ15年25年35年
固定金利(20年以下1.26%/21年以上1.33%)30万4,999円(5,489万9,822円)19万5,999円(5,879万,9,593円)14万8,962円(6,256万4,147円)
変動金利(0.527%)28万8,962円(5,201万3,168円)17万7,923円(5,337万6,858円)13万390円(5,476万3,649円)
固定金利(10年1.112%)30万1,716円(5,430万8,894円)19万982円(5,729万4,448円)14万3,767円(6,038万2,244円)

元金均等返済

続いて、残債に対して金利が掛かり、元金の返済額が一定の返済方式、元金均等返済のケースを見ていきましょう。

3500万円の場合

金利タイプ15年25年35年
固定金利(20年以下1.26%/21年以上1.33%) 23万1,194円(3,832万5,800円)15万5,457円(4,083万8,029円)12万2,124円 (4,316万5,468円)
変動金利(0.527%) 20万9,814円(3,639万974円)13万2,036円(3,731万3,173円)9万8,703円(3,823万5,364円)
固定金利(10年1.112%)22万6,877円 (3,793万5,133円)14万9,099円 (3,988万1,097円)11万5,766円(4,182万7,037円)

5000万円の場合

金利タイプ15年25年35年
固定金利(20年以下1.26%/21年以上1.33%)33万277円(5,475万1,190円)22万2,082円(5,834万91円)17万4,463円(6,166万5,059円)
変動金利(0.527%)29万9,735円(5,198万7,136円)18万8,624円

(5,330万4,593円)

14万1,005円(5,462万2,044円)
固定金利(10年1.112%)32万4,110円(5,419万3,088円)21万2,999円(5,697万3,047円)16万5,380円(5,975万3,007円)

オススメの住宅ローン計算シミュレータまとめ

ロボットの手

より細かく住宅ローンの返済額や借入額を検討したい場合は、ウェブ上に多数公開されている住宅ローンシミュレータを活用するのがおすすめ。

ここでは、住宅ローンのシミュレーションツールを無償で利用できる、主だった金融機関を紹介したいと思います。

住宅保証機構

住宅保証機構のキャプチャ

※画像引用元:住宅ローンシミュレーション

住宅保証機構は、財団法人住宅保証機構を前身とする株式会社で、住宅瑕疵担保責任保険の提供をはじめ、地盤保証制度、住宅完成保証制度等の実施を主な事業としています。

同社が用意する住宅ローンシミュレーションでは、返済額や借入可能額、繰り上げ返済をした場合の返済額や期間などを試算可能。

また、固定金利型と変動金利型、それぞれで返済した場合の返済額の違いや、複数ローンを組み合わせた場合の比較など、ニーズに応じて柔軟なシミュレーション計算を行うことができます。

住宅金融支援機構

住宅金融支援機構のキャプチャ

※画像引用元:住宅ローンシミュレーション:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)

住宅金融支援機構は、住宅金融公庫を前身とする独立行政法人です。

住宅建設に必要な資金が、広く一般に行き渡るよう、民間の金融機関を支援したり、不動産の建設費等を直接融資することを主な事業としています。

同法人が公開しているシミュレーションツールでは、フラット35を利用した場合の融資額、返済額。住宅購入のためのキャッシュフロー。借り換えをした場合の返済額、機構団信・3大疾病付特約団信の特約料シミュレーション等々、痒いところに手が届くきめ細かい計算を行うことができます。

楽天銀行

楽天銀行のキャプチャ

※画像引用元:住宅ローンシミュレーション|楽天銀行

楽天銀行は、言わずと知れた日本を代表する大手ITグループ、楽天グループに属するネットバンクです。

店舗を持たないため、人件費や諸手続きに関するコストが抑えられ、その分質の高いサービスをリーズナブルに提供しています。

楽天銀行が公開している住宅ローンシミュレータでは、月々の返済額や年収から借入可能額を、借入希望額から、月々の返済額を算出することが可能。

金利タイプや借入期間、ボーナス月の返済についてなど、必要に応じて任意で数値を追加することもできます。

金利計算の基本知識

黒板

住宅ローンについての計算を行う際、知識がないと混乱しやすいのが、金利に関する基本知識です。

ここでは、金利計算の基本知識を解説します。

金利と利息の違い

まず混乱しやすいのが、金利と利息の区別です。

簡単に言えば、金利は元金に対する利率。利息は、元金に金利を掛けて算出される、いわばお金のレンタル料のようなものです。

利息の計算式

  • 利息額 = 元金×金利

利息を算出するための利率が金利で、毎月の返済額には利息が上乗せされる、というイメージです。

金利の種類

ひと口に金利といっても、いくつかの種類があります。それぞれの違いは、返済期間中に利率がどう変わるか、という点。

以下に、主だった金利の種類とその概要を解説します。

変動金利

変動という名前の通り、経済動向などを受けて、適用される利率が半年に1回見直されるタイプの金利です。

ただ、返済額まで半年に1回のペースで変更してしまうと返済計画の見通しが悪くなってしまうため、返済額については5年ごとの見直しとなります。

また、金利の上昇率についても、変更前の返済額の125%までが上限となっており、金利変動によって大幅な損失を被らないよう配慮されています。

上変動金利は昇のリスクがある反面、金利が低いという点が大きなメリット。民間の金融機関が用意する住宅ローンに変動金利のものが多いというのもあって、多くの人が変動金利を選んでいるという事実もあります。

ただ注意したいのが、現在の日本はギリギリの低金利であるということ。変動金利の魅力の1つに、将来的に金利が下がったら負担が減る、というものがありますが、もはやこれ以上、金利は下がらないでしょう。

まだしばらくは低金利の時代が続くことが予想されますが、住宅ローンの返済は長期に及びます。これから加入する際は、金利が上昇する可能性も視野に入れて、慎重に返済プランを練られることをおすすめします。

固定金利特約型

固定金利特約型は、たとえば3年、5年、10年など、所定の期間だけ金利を固定し、それ以降は金融機関が定める金利タイプに移行する、という形をとります。

その際、変動金利とするか、改めて固定金利特約型を選ぶことも可能。もちろん、金利は選択した期間が経過した後に見直されます。

金利動向を見極めつつ、加入者が任意で金利タイプを選択できるため、固定金利選択型と呼ばれることもあります。

最長10年程度にはなりますが、返済額が固定されている分、変動金利よりも返済プランが立てやすい点が、この金利タイプのメリットです。

全期間固定金利

住宅ローンを完済するまで、金利が変更されない金利タイプです。

これから金利が上昇する、というタイミングでは、他の金利タイプよりも小さな負担で住宅ローンを返済していくことができます。

また、完済までの返済プランが容易に立てられるというのもメリットと言えるでしょう。

ただ、もし途中で金利が下がってしまうと、相対的に損をしてしまうという点がデメリット。万が一、市場の金利と乖離しすぎてしまった場合は、別の金利タイプに変更するために借り換えも視野に入れる必要があります。

繰り上げ返済はすべきか

繰り上げ返済とは、その後の返済負担を軽くしたり、返済期間を短くするために、前倒して行う返済のことです。

たとえばボーナスなどでまとまった収入が入った際に検討するケースが多いでしょう。

基本的に繰り上げ返済を行うことで損をすることはありませんが、注意したいのが、本当にまとまったお金を返済に充ててしまって大丈夫なのか、ということ。

たとえば教育費や介護費など、場合によっては将来的に大きな資金需要が発生するかもしれません。

そうした事態に対する備えを十分にしていないようなら、有事の蓄えとして確保しておく、という選択肢も検討しておきましょう。

また、まとまったお金を資産運用に回し、金利負担以上の利益を出す、という手もあります。利回りだけを見れば、金利より利率の高い投資商材は無数にあります。

大きなお金を動かす際は、有事のための貯蓄と、将来のための資産運用、この2つの可能性を意識されることをおすすめします。

押さえておきたい繰り上げ返済のこと

時計

前述の通り、まとまった額を前倒しで返済することを、繰り上げ返済と言います。ここでは、そんな繰り上げ返済について、押さえておきたいポイントを紹介します。

繰り上げ返済の種類

繰り上げ返済には、期間短縮型と、返済額軽減型の2つの種類があります。

期間短縮型

期間短縮型は、文字通り返済期間を短くするタイプの繰り上げ返済です。

月々の返済額は変えずに残債を減らす、ということです。

例えば「12万円を借りて、毎月1万円ずつ返す」という契約をしている場合、6ヶ月目の時点で3万円を返し、そのまま毎月1万円ずつ返していけば、本来12ヶ月掛かるはずだった完済までの期間を9ヶ月までに短縮できます。

簡便のために金利は考慮していませんが、上記のようなイメージで完済までの期間を前倒しするのが、期間短縮型の繰り上げ返済です。

返済額軽減型

返済額軽減型は、完済までの期間を変えずに残債を減らすことで、月々の返済額を軽減するタイプの繰り上げ返済です。

返済額軽減型の繰り上げ返済をする場合、先の「12万円を借りて毎月1万円ずつ返し、6ヶ月目の時点で3万円を繰り上げ返済する」という例で言えば、残りの返済期間は6ヶ月のままであるものの、その間の返済額は5000円になる、というイメージです。

やり方と費用

繰り上げ返済のやり方は、金融機関によって異なります。ただ、所定の期日(返済日の1ヶ月前から即日)までに申し込みを行う、という点はどれも共通しています。申し込みすると、その月の返済日に引き落としがなされるわけです。

最近はウェブで手軽に申し込みができるところも多く、手間もほとんど掛かりません。

また、費用についてですが、一部の地銀や信用金庫を除いて、ほとんどの金融機関は無料で対応してくれます。

繰り上げ返済の注意点

繰り上げ返済を行う際の注意点ですが、まず知っておきたいのが、残りの返済期間が長ければ長いほど、お得になるということ。

もちろん、繰り上げ返済せずに、その資金で資産運用をする、と言った選択肢を除いた場合の話ですが、金利が残債に掛けられるものである以上、その後の支払い負担を軽くするには残債を減らすしか方法がありません。

毎月継続的に出て行く性質のものである以上、早く返済すればそれだけ得をするわけです。

ただ、気をつけたいのが住宅ローン控除を受けている場合。住宅ローン控除は、年末の残債で計算されますから、繰り上げ返済のタイミングによっては、その年の控除額が減ってしまう可能性もあります。

年末に繰り上げ返済を行うのはできるだけ避け、年を跨いでから手続きされることをおすすめします。

住宅ローンを組むに当たって押さえておきたい5つのポイント

ポイント

住宅ローンを考える上で、ぜひ知っておきたい5つのポイントを解説します。

返済額と収入のバランス

冒頭でも触れましたが、金融機関が融資審査でチェックする点に、返済比率というものがあります。返済比率とは、年間の返済額と年収のバランスのこと。

一般に、年間の返済額の割合が年収の30〜35%を超えると返済が厳しくなると言われており、返済比率が大きくなるにつれて融資に通る可能性も小さくなっていきます。

返済比率の上限については、借入をする金融機関や年収にもよりますが、住宅ローンを組む上では必ず考えなければならないことですので、基本的な傾向は知っておきましょう。

ちなみに、フラット35の返済比率の基準は以下の通りです。民間住宅ローンの場合は、これより多少基準が厳しく、また年収によって数字が細分化されています。

フラット35の返済比率の基準

年収返済比率の基準
400万円未満30%以下
400万円以上35%以下
※引用元:10月よりフラット35のご利用条件を簡素化します(【フラット35】(保証型)も同様に簡素化します):長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

返済額の内訳

審査時に見られる返済率(年間の返済額と年収の割合)についてですが、注意したいのが、この数値の算出に使われる年間返済額の内訳は、住宅ローンの返済分だけではない、ということ。

たとえば車等、何らかのローンをすでに組んでいる場合は、住宅ローンの返済額と合算されて計算されます。リボ払いや、携帯電話の分割払いなども組み込まれますので、あらかじめ知っておくと良いでしょう。

また、当然ながら金利についても上乗せして計算されます。気をつけたいのが、審査の時に適用される金利は利用者が検討している金利ではない、ということ。

審査の際は、金利変動のリスク等も考慮して、高めの金利が適用されます。このように金融機関が審査のために設けている金利を、審査金利と言います。具体的な審査金利は金融機関によってまちまちですが、概ね3〜4%と言われることが多いです。

住宅ローンの借入額を検討する際は、自身が考えている適用金利はもちろん、審査金利で計算しても返済に無理がないかどうか、チェックされると良いでしょう。

住宅ローンの種類

住宅ローンは、公的ローンと民間ローンの2種類に分けることができます。それぞれさらにいくつかの種類に分かれ、特徴も異なります。

大まかな概要を以下にまとめますので、参考にしてみてください。

公的ローンの種類

  • フラット35…独立行政法人住宅融資支援機構が、民間の金融機関と組んで提供しているローン。
  • 財形住宅融資…財形貯蓄を1年以上続けた場合に利用できるローン。住宅融資支援機構に申し込む。
  • 自治体融資…居住、または勤務先の自治体で受けられるローン(用意していない自治体もある)。

民間ローンの種類

  • 提携ローン…金融機関と住宅の売り手が提携し、購入者に提供しているローン。
  • プロパーローン…提携ローンではないローン。
  • 社内融資…勤め先が独自用意しているローン。直接融資のほか、民間ローンと組むケースも。

付帯する保険

住宅ローンを組む際、民間の金融機関の多くは、団体信用生命保険(団信)への加入を条件としています。

しかし団信で保障されるのは、加入者が死亡した場合か、働けなくなるほどの高度障害を負ってしまった場合のみ。何らかの病気や怪我で長期間働けなくなってしまうようなケースまではカバーできません。

そこで最近注目されているのが、疾病保障付きの住宅ローンです。

疾病保障付きの住宅ローンに加入すると、たとえば、がんと診断された場合や、三大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞)によって働けなくなってしまった場合などに、住宅ローンの残債を軽減、あるいは免除してもらうことができます。

保障内容や加入、支払いの諸条件等は、金融機関によってまちまちですので、もし保障内容を拡大されたいようであれば、チェックしてみると良いでしょう。

手数料・諸経費の種類

住宅ローンに関連する費用としてまずあげられるのは、融資手数料です。これは銀行に対して支払うもので、5万〜数十万円まで、金融機関によって大幅に違います。

また、金融機関とローン契約を結ぶ際に、契約書に添付するための印紙代が掛かります。ちなみに印紙代は、5000万円以下なら2万円、1億円以下なら6万円といった具合に、融資額によって金額が変わってきます。

ほか、住宅ローンに関連する支払いの中で最も大きいのが、保証会社に支払う保証料。いくら支払うのかは金融機関により違いますが、融資額1,000万円あたりに対して、およそ20万円が掛かるとされています。

住宅自体の購入額が大きいため、感覚が狂ってしまいますが、こうした諸経費についても抜かりなくチェックし、可能な限り出費を抑えたいところです。

まとめ

住宅ローンに関する計算は、手計算ではかなり大変です。各金融機関が公開している住宅ローンシミュレータを活用されると良いでしょう。

ただ、住宅ローンの審査では、利用者が検討している金利ではなく、審査金利という、金利変動分のリスクを上乗せした金利が適用されます。

したがって、現実的な借入額を検討する際は、多少多めに見積もった金利(3〜4%前後)でシミュレーションされることをおすすめします。

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