住宅を購入したりリフォームしたりする際に気になるのが減税制度です。私たちが利用できる減税制度は実は非常に幅広く、特に住宅購入をする際には覚えておきたい減税制度がたくさんあります。なかには併用できるものもあるので、賢く活用すれば非常に大きな金額を減税してもらえる可能性があります。
こちらの記事では新築住宅に限らず、中古住宅を購入する際やリフォームをする際に利用できる減税制度についても紹介しています。税金や減税の仕組みについては少し難しい話になりますが、初心者の方でもわかりやすいように解説しているのでぜひ最後までご覧ください。
新築や住宅取得時に受けられる減税制度
まずは住宅を新築した際や取得した際に受けられる減税制度を紹介します。これらの減税制度を知っているだけで得をすることも多いので、マイホーム購入を考えている方はきちんと理解しましょう。
年末の残高の1%を税額控除!住宅ローン減税
私たちが住宅を購入する際に受けられる減税制度として最も知名度の高いものが「住宅ローン減税」です。正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言い、その他には「住宅ローン控除」と呼ばれる場合もあります。住宅ローン減税の内容を簡単に説明すると、毎年の住宅ローン残高の1%に相当する金額を所得税から控除してもらえる制度です。
所得税とは
サラリーマンであれば毎月の給料から自然と引かれている所得税。所得税とは、収入から社会保険料や生命保険料など様々な項目を控除した「課税所得」の金額に応じて課せられる税金のことです。サラリーマンの方は源泉徴収税として毎月の給料から所得税が天引きされ、残った金額を手取りとして受け取っています。その際収める源泉徴収税はあくまで概算でしかないので、年末調整の際に収めた税金に過不足がないかを確認するのです。
中古住宅でも利用可能!住宅ローン減税の詳細
課税所得の金額を計算する際に様々な項目が控除されますが、それらは全て「所得控除」であるため直接的に減税が行われるものではありません。一方、住宅ローン減税の場合は所得控除ではなく「税額控除」になるため、本来課せられる税額から控除額がそのまま引かれるシステムとなっています。
住宅ローン減税は初年度から10年間は適用される減税制度であり、1度でも適用が認められればその後10年間はずっと減税を受けられます。もし所得税から控除しきれない場合は住民税から控除されるため(上限あり)、住宅ローンを組む人にとっては非常にありがたい制度となっています。なお、住宅ローン減税は条件を満たせば中古住宅を購入する場合やリフォーム・増改築をする場合でも利用できる制度です。
- 一般住宅の場合
最大控除額 400万円
- 長期優良住宅の場合
最大控除額 500万円
- 低炭素住宅の場合
最大控除額 500万円
高性能な住宅を取得した際に受けられる!投資型減税
「長期優良住宅」や「低炭素住宅」を購入・取得した際に利用できる減税の精度が「投資型減税」です。通常の住宅には適用されず、長期優良住宅・低炭素住宅のどちらかにしか適用されません。また、住宅ローン減税との併用ができないため、住宅ローンを組んで新築する場合などは住宅ローン減税の方が控除額は大きくなります。
1年間だけの控除!投資型減税の詳細
投資型減税で受けられる優遇措置の詳細は、認定に適合するために住宅の性能を強化する際に必要となる「かかり増し費用」の10%を所得税から控除してもらえるというものです。10年間減税を受けられる住宅ローン減税と異なり、投資型減税の控除期間は1年間となっています。
- 一般住宅の場合
減税なし
- 長期優良住宅の場合
最大控除額 65万円
- 低炭素住宅の場合
最大控除額 65万円
登記の際にかかる税金を減税!登録免許税の軽減措置
住宅を購入する時の諸費用に含まれる「登録免許税」には、減税制度が用意されています。登録免許税の詳細と減税を受けるための条件について見てみましょう。
登録免許税とは
不動産を取得した際に行う登記手続きにかかる税金が登録免許税です。住宅はもちろん、その他建物や土地など不動産を取得する際には必ず必要になる税金です。新築建物を取得した時には「所有権の保存登記」、土地・中古建物を取得した時には「所有権の移転登記」、住宅ローンを借りる時には「抵当権の設定登記」を行います。それぞれの税額を決める計算式は、「課税標準×税率」となっています。
税率が軽減される!登録免許税の軽減措置の詳細と条件
登録免許税には、ある条件を満たすと軽減措置を受けることが可能です。その条件とは次の通りです。
住宅の床面積(登記簿面積)が50平米以上
自宅として住む住宅であること
取得後1年以内の登記
中古住宅の場合は以下のいずれかを満たすもの
(1)マンションなど耐火建築物は築25年以内、木造などは築20年以内
(2)一定の耐震基準を満たすことが建築士などにより証明されたもの
参考:登録免許税(SUUMO)
これまでの住宅ローン減税や投資型減税が所得税から控除されるタイプであったのに対して、登録免許税の軽減措置の場合は税率が軽減される仕組みです。一般住宅・長期優良住宅・低炭素住宅のそれぞれが軽減措置を受けた場合の軽減税率は次の通りです。
- 一般住宅の場合
所有権保存登記:軽減税率 0.15%(新築)
所有権移転登記:軽減税率 0.3%(新築・中古)
抵当権の設定登記:軽減税率 0.1%(新築・中古)
- 長期優良住宅の場合
所有権保存登記:軽減税率 0.1%
所有権移転登記:軽減税率 0.2%(戸建住宅)
抵当権の設定登記:軽減税率 なし
- 低炭素住宅の場合
所有権保存登記:軽減税率 0.1%
所有権移転登記:軽減税率 0.1%
抵当権の設定登記:軽減税率 なし
建物や土地を取得した際の税金を減税!不動産取得税の軽減措置
次にお伝えする減税制度は、「不動産取得税」の軽減措置です。不動産取得税という名前からも分かる通り、これは不動産を手にした時には必ず支払わなければならない税金です。その軽減措置について解説します。
不動産取得税とは
購入・贈与・交換など手段に関わらず不動産を取得した時にかかる税金が不動産取得税です。建物だけでなく土地を取得した際にも必要となりますが、毎年かかる固定資産税とは違い1回きりの税金です。
固定資産評価額から控除!不動産取得税の軽減措置の詳細
「固定資産評価額×税率」の計算式で求められるのが不動産取得税の税額です。原則、建物の税率は4%と定められているものの、住宅であれば税率は3%まで引き下げられています。そして、不動産取得税の軽減措置の内容としては「固定資産評価額から一定額の控除を受けられる」というものです。
つまり、固定資産評価額が2,000万円であれば本来「2,000万円×3%=60万円」の税額が必要であったところが、一般住宅の場合「(2,000万円−1,200万円)×3%=24万円」の税額まで減税されているということです。具体的な控除額については次の通りです。
- 一般住宅の場合
固定資産評価額からの控除額 1,200万円
- 長期優良住宅の場合
固定資産評価額からの控除額 1,300万円
- 低炭素住宅の場合
固定資産評価額からの控除額 1,200万円
数年間の税額を半額に!固定資産税における新築住宅の特例
憧れのマイホームを手に入れたら毎年支払うことになるのが「固定資産税」です。固定資産税は住宅維持費の1つであると捉えられることもありますが、新築住宅の場合は税額を軽減する制度が用意されています。ちなみにその制度とは別に、住宅用に使用している土地の場合は「住宅用地の特例」という軽減措置が適用され、固定資産評価額が6分の1まで軽減されています。
固定資産税とは
毎年1月1日現在で、土地や建物、償却資産などの固定資産を所有している人が支払う税金です。固定資産税の金額は固定資産評価額をもとにして計算され、納付先は固定資産のある市町村となります。不動産取得税が1度きりの税金であったのに対して、固定資産税は毎年かかるランニングコストのような存在です。
長期優良住宅の方が有利!固定資産税における新築住宅の特例の詳細
新築住宅の場合、固定資産税が数年間にわたり半額まで減額される軽減措置が用意されています。詳しい減額の内容は次の通りです。
- 一般住宅の場合
固定資産税が2分の1に減額(3年間/戸建住宅)
- 長期優良住宅の場合
固定資産税が2分の1に減額(5年間/戸建住宅)
- 低炭素住宅の場合
固定資産税が2分の1に減額(3年間/戸建住宅)
住宅のリフォーム時に受けられる減税制度
次に、住宅のリフォーム時に受けられる減税制度を紹介します。どの減税制度にも条件が設けられていますが、基本的に住宅の性能を向上させるリフォームに限定されていると考えておけばいいでしょう。例えば、「バリアフリー性」や「耐震性」などの性能を向上させるためのリフォームであれば、減税を受けられる可能性は高いです。
住宅ローン減税
新築の項目でも触れたように、住宅ローン減税はリフォーム時にも利用することのできる減税制度です。10年以上のローンを組むことが前提になるため、大規模な改修をする際にはぜひ利用したいものです。なお、リフォームで住宅ローン減税を受けたとしても最大控除額400万円や控除期間10年などの詳細は変わりません。
参考:No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
特定増改築等住宅借入金等特別控除
ローンを5年以上組み、条件を満たした時に利用できるのが特定増改築等住宅借入金等特別控除です。特定増改築等住宅借入金等特別控除は最大控除額が25万円に設定されていて、5年間の控除期間が用意されている減税制度です。こちらの減税制度は「バリアフリー改修」や「省エネ改修」、そして「多世帯同居改修」などを目的としてリフォームする場合に利用できます。なお、住宅ローン減税との併用はできません。
No.1218 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)(国税庁)
投資型減税
新築時にも利用できた投資型減税は、リフォーム時にも利用することが可能です。「耐震改修」や「長期優良住宅化」などリフォームの内容によって最大控除額は変わりますが、基本的な控除率は共通して10%となっています。
参考:No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)(国税庁)
固定資産税の軽減措置
「耐震改修」や「バリアフリー改修」など一部のリフォームにおいて、固定資産税が軽減される減税制度が用意されています。減税される期間は工事完了翌年の1年間だけですが、条件を満たすならばぜひ利用したい制度です。
参考:リフォームの減税制度(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会)
贈与税の減税!住宅取得等資金に係る非課税措置
自分が住むための住宅をリフォームする際に親などから資金提供を受けた場合の贈与税について、非課税措置が設けられています。一般の住宅と質の高い住宅ごとにそれぞれ非課税の金額が設定されているので、結果的に贈与税を減額してもらうことが可能です。
参考:リフォームの減税制度(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会)
買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置
個人が不動産業者などからリフォーム済みの中古住宅を取得した際などに、所有権移転登記にかかる登録免許税を軽減してもらえる制度です。通常であれば0.3%の税率が0.1%にまで軽減されます。また、不動産業者に対して不動産取得税が軽減される制度も用意されています。
参考:リフォームの減税制度(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会)
住宅を買い換えた時の所得税の減税
この制度をわかりやすく言えば、買い替えのために5年以上住んでいた住宅や土地を売却した際に「譲渡損失」が発生した場合、その額を給与所得から差し引いてもらうことが可能であるという減税制度です。譲渡損失とは購入時の金額よりも売却時の金額が低かった場合に損をした金額のこと。この減税の仕組みを「損益通算」と言い、所得税が軽減されるというメリットがあります。
本来であれば「分離課税」の仕組みに従って、住宅を売却した際の譲渡損失があったとしても給与所得はそのまま全額が課税対象となってしまいます。しかしこの損益通算の仕組みであれば、これらを1つのものと捉えて給与所得から譲渡損失を差し引いてもらえるということです。
参考:No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁)
控除しきれなければ翌年以降へ繰り越せる!繰越控除とは
この減税制度の素晴らしい点は、1年間で給与所得から控除しきれなかった分は翌年以降3年間にわたり繰越が可能であるポイントです。これを「繰越控除」と呼び、仮に譲渡損失が大きくなってしまった場合であっても減税制度を十分に受けられるということになります。
住宅ローン減税と併用可能
こちらの減税制度は買い替えの時に損益通算を行えるというものですから、住宅ローン減税と併用することが可能です。住宅ローン減税には「所得税から控除しきれない分を住民税から控除する」という仕組みがあるため、仮に所得税を超える分の控除額があってもまだメリットがあるのです。
まとめ
いかがでしたか。新築住宅や中古住宅を購入する際や、リフォームの際に利用できる減税制度について解説しました。特に性能の高い住宅を購入する場合や、住宅性能を高めるためのリフォームをする際には活用できる減税制度が多くなっています。しかし、そうでない一般の住宅であっても利用できる減税制度はたくさんあります。「自分には関係ないだろう」と諦めずに、それぞれの制度の詳細を確認することが大切です。
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