【最新版】最大400万円の所得控除!住宅ローン減税まるわかりガイド

【最新版】最大400万円の所得控除!住宅ローン減税まるわかりガイド

「家を買うと減税になる」というイメージを持っている方も多いであろう「住宅ローン減税」。

住宅ローンはそのほかにも「住宅ローン控除」という呼び方で認知されています。
これからマイホームを購入しようと考えているのであれば、住宅ローン減税についてチェックしておきたいポイントがいくつもあります。

こちらの記事では、住宅ローン減税について総合的な内容を解説しています。
受けるための条件から具体的な控除額、そして知っておかないと損をしてしまうかもしれないポイントまで幅広く説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。

正式名称は住宅借入金等特別控除!住宅ローン減税(控除)とは

簿記

最近ニュースで話題になっている「住宅ローン減税」。

この制度を簡単にいえば、条件を満たせば所得税の一部を控除してもらうことができ、住宅購入の負担を軽減してくれるというものです。正式名称は「住宅借入金等特別控除」と呼ばれ、その詳細は国税庁により定められています。

1度適用されれば10年間は控除

住宅購入の負担を軽減してくれる住宅ローン減税は、その大きな特徴として「1度適用されれば10年間は控除を受け続けられる」というものがあります。

つまり、最初の年に申請して住宅ローン減税が認められれば、その後10年間は制度の恩恵を受けられるのです。ただしこの際注意したいのは、その後10年間全く手続きがいらないというものではない点です。手続きについては後半の項目で詳しく説明しています。

所得税で控除しきれなければ住民税からの控除も

毎年末の住宅ローン残高の1%を所得税から控除してくれるというのが住宅ローン減税の仕組みです。

控除には限度額が定められていて、その金額は400万円です。限度額があるとはいえ、最大400万円の所得税を控除してくれるのは非常にありがたいですよね。ここで覚えておきたいのは、住宅ローン減税は「所得控除」ではなく「税額控除」であることです。

「控除」と聞いて思い浮かぶのは「配偶者控除」や「生命保険料控除」などかもしれませんが、これらの控除はあくまで所得控除であり、税金がそのまま控除されるというものではありません。一方、住宅ローンの場合は税金から直接的に控除されるため、所得控除よりも恩恵は大きくなるのです。

なお、万が一住宅ローン減税の控除額が所得額を上回り控除しきれない場合は、一部住民税からも控除してもらえます。ただし住民税からの控除にも規定の限度額があり、それは「前年課税所得の7%」または「1年あたり13.65万円」となっています。これを上回る分の控除額は消えてしまうので注意しましょう。なお、住宅ローン減税の申請を行っていれば、控除額が住民税へスライドされる際は特に手続きは必要ありません。

長期優良住宅の場合は控除額が増える

先ほど、住宅ローン減税の限度額は400万円とお伝えしました。

しかし、実はこの限度額を引き上げる方法が存在しているのです。それは、「長期優良住宅」または「低炭素住宅」であることを国に認めてもらう方法。多くのハウスメーカーが「長期優良住宅に対応!」などと宣伝しているので、この言葉を耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

長期優良住宅・低炭素住宅の場合は控除の限度額が500万円に引き上げられます。その差はなんと100万円となっており、この100万円が家計に与える影響は非常に大きなものです。しかし、注意したいのは住宅ローン減税の限度額を引き上げるために無理な資金計画を立てるのは危険だということ。

100万円の控除を受けるために多額の費用を投じていては元も子もありません。もし長期優良住宅の性能に魅力を感じ、多少の費用を追加してでもその住宅を購入するメリットがあるのなら、住宅ローン減税の限度額引き上げを狙ってみてもいいかもしれません。

家づくりに関する住宅ローン減税以外の制度とは

新築・リフォームなど家づくりに関する制度は住宅ローン減税以外にも色々あります。

その中でも代表的なのは「投資型減税」と「特定増改築等住宅借入金等特別控除」です。投資型減税は住宅ローン減税と併用ができませんが、特定増改築等住宅借入金等特別控除は覚えておくと将来役立つかもしれませんね。

投資型減税(認定住宅新築等特別税額控除)

投資型減税は正式名称を「認定住宅新築等特別税額控除」と呼び、新築または未使用の長期優良住宅・低炭素住宅を取得し、条件を満たすと一部費用を所得税から控除してもらえる制度です。
控除の限度額は65万円と定められていて、住宅ローン減税との併用は不可能です。

特定増改築等住宅借入金等特別控除

特定増改築等住宅借入金等特別控除は、「バリアフリー」や「省エネ」、「耐震」などに配慮してリフォームローンを組んだ場合、条件を満たせば所得税控除を受けられる制度です。

リフォームの際に適用される制度なので、「マイホームを建てよう」と考えている方には今すぐに関係のあるものではありません。

住宅ローン減税の対象になる住宅と控除を受けるための条件

ペンとお金

それでは次に、住宅ローン減税の対象になる住宅や控除を受けるための条件について確認してみましょう。住宅ローン減税はそれほど条件の厳しい制度ではないため、よほど特異な例でない限り控除を受けることができます。

  • 平成33年(2021年)の12月31日までに入居すること

住宅ローン減税は永続的に続く制度ではありません。その期間は2021年の12月31日までとなっていて、しかもその日までに工事が完了し入居する必要がります。

  • 自分がその住宅へ住むこと

「自分がその住宅へ住むこと」というのも、住宅ローン減税を受けるための条件の1つです。「初めてのマイホーム」であれば問題ありませんが、別荘や賃貸用の住宅は住宅ローン減税の対象にはなりません。

  • 床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上が居住用であること

この場合の「床面積」の測定方法は、不動産登記上の床面積と同じです。また、床面積全体のうち半分以上が居住用になっていることも条件です。

  • 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること

住宅ローン減税による所得税控除を受けたい年の合計所得金額が3,000万円以下である必要があります。合計所得金額とは「給与所得」や「不動産所得」などを全て合算した金額のことです。通常の「収入」や「手取り」とは意味が違うので注意しましょう。

  • 住宅ローンの期間が10年以上であること

前提として、住宅ローンを借り入れる期間が10年以上でなければなりません。一般的には35年などの住宅ローンを組むはずなので、この条件も難なくクリアできるでしょう。

参考:No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)

新築以外でも対象になる?住宅ローン減税を受けられる工事の種類

「自分は中古住宅を購入するから」「家を買うときにしか適用されないんでしょ」と諦めてはいませんか。実は、住宅ローン減税は新築以外でも制度の対象になる場合が存在しています。

中古住宅の場合

古い家

中古住宅を購入する際に住宅ローン減税を利用しようと思ったら、まずは物件の築年数を確認しましょう。「木造住宅の場合は築年数20年まで」、「鉄筋コンクリート造などの場合は築年数25年まで」などの規定があります。ただし、規定の築年数を超えてしまうような物件であってもまだ住宅ローン減税を受けられる可能性は残っています。その条件は次の3つです。

  • 耐震基準適合証明書がある
  • 既存住宅性能評価書において耐震等級1以上
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入している

詳しくは、国税庁にて詳細条件が定められています。

参考:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)

増改築・リフォームの場合

住宅ローン減税は新築・中古住宅の購入以外に「増改築」や「リフォーム」の場合にも使用できます。その条件にはいくつかのものがありますが、まずはどんな工事が対象になるのかを確認しましょう。

> 次のいずれかの工事に該当するものであること。
イ 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
(注) 「建築基準法に規定する大規模の修繕又は大規模の模様替え」とは、家屋の壁(建築物の構造上重要でない間仕切壁を除きます。)、柱(間柱を除きます。)、床(最下階の床を除きます。)、はり、屋根又は階段(屋外階段を除きます。)のいずれか一以上について行う過半の修繕・模様替えをいいます。
ロ マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事(イに該当するものを除きます。)
ハ 家屋(マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事(イ及びロに該当するものを除きます。)
ニ 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事(イからハに該当するものを除き、その増改築等をした部分を平成14年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)
ホ 一定のバリアフリー改修工事(イからニに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成19年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)
ヘ 一定の省エネ改修工事(イからホに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成20年4月1日以後の居住の用に供した場合に限ります。)

No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)

それ以外の条件はほぼ新築住宅を購入する場合と同じです。

ただし、1点注意したいのは「リフォームにかかる費用が100万円以上であること」「工事費用の半分以上が居住部分に使用されていること」という条件がある点です。また、新築時と同じく10年以上の住宅ローンを組んでいなければなりません。

住宅ローン減税を受けるための手続き方法まとめ

手続き

次に、住宅ローン減税を受けるための手続き方法について知りましょう。今回は、サラリーマンの方が申請を行う手続きについて解説しています。

サラリーマンでも住宅購入後1年目は確定申告が必要

自営業や個人事業主にとって確定申告はお手の物かもしれませんが、サラリーマンにとって確定申告は「ちょっとよくわからないもの」ではありませんか。しかし、住宅ローン減税の恩恵を受けるためには勇気を出して確定申告をする必要があるのです。なぜなら、確定申告の際には具体的な所得金額を申告する以外に税金の還付を申請する還付申告も行うからです。

平成30年分の確定申告をする場合、その期間は2019年2月18日(月)〜3月15日(火)と予定されています。初日や3月に入ってからは税務署が混雑するため、空いている日を狙って手続きに向かうのがおすすめです。手続きの方法は次のいずれかとなります。

> 【手続きの方法(以下のいずれか)】
(1) 税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に持参
(2) 税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送
(3) 税務署に行き、税務署の確定申告書作成コーナーでe-taxを使用して確定申告書を作成・申請
(4) 国税庁のサイトから確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送
(5) 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送
(6) 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、インターネット(e-tax)で申請

参考:会社員が住宅ローン控除を受けるための「はじめての確定申告」(住宅金融支援機構)

2年目以降は年末調整でOK

サラリーマンでも住宅ローン減税を受けるためには確定申告が必要ですが、それは1年目だけの話です。2年目からは年末調整のみで手続きを終えることができます。1年目の確定申告を済ませれば、その年の10月下旬頃には「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」が税務署から届きます。また、金融機関からは住宅ローンの「残高証明書」が届きます。これらの書類を年末調整のタイミングで会社へ提出すれば2年目以降の手続きは完了します。

そもそも年末調整とは

余談ですが、サラリーマンのみなさんは「年末調整」について正しく理解していますか?年末調整とは、給料から差し引かれた源泉徴収税に過不足がないか調節する手続きのことです。毎月の給料からは「税金」や「保険料」などが引かれ、手取りとしてサラリーマンの手元にやってきます。このとき徴収されている「税金」は、あくまで概算でしかありません。そのため1年の終わりに確定の税額を申告し、納めた税額が不足していないか、または納め過ぎていないかを確認するのです。

いくら減税される?住宅ローンの控除可能額を計算しよう

住宅ローンの控除可能額計算は非常に簡単で、次の通りです。

住宅ローン控除可能額=年末の住宅ローン残高×1%

もっと簡単に言えば、年末の住宅ローン残高を100で割った金額が控除可能額となります。例えば、年末の住宅ローン残高が2,000万円であれば20万円が所得控除の対象となります。

ただし、先ほど説明したように住宅ローン減税には限度額が400万円と定められています。これは10年間での限度額であり、毎年の限度額は40万円と決まっています。そのため、年末に4,000万円以上の住宅ローン残高があればそれを超える分は控除を受けられません。

住宅ローン減税で損をしないための注意点

悲しむ子供

それでは最後に、住宅ローン減税に関して損をしないために覚えておきたい注意点を解説します。特に、「12月や1月に入居予定の方」「将来的に専業主婦(専業主夫)になる可能性がある方」「消費税増税後にマイホーム購入を考えている方」は要チェックです。

「入居の年」と「住宅ローン契約の年」が違うと控除期間が1年短縮

年末年始にマイホームの完成が控えている方は特に注意すべきポイントがあります。それは、「入居の年」と「住宅ローン契約の年」が違うと控除の期間が1年間短くなってしまう可能性があるということです。例えば、「12月に入居をしたものの住宅ローンの契約は1月からである場合」はこの場合に当てはまります。

というのも、住宅ローン減税は入居した日から10年間受けられる制度なのです。12月に入居しても住宅ローンの契約がされていなければ、年末の住宅ローン残高はなし。つまり、初年度の住宅ローン減税を受けられないのです。もし年末に入居する可能性がある方は、この点を十分に注意しましょう。

連帯債務で借入する人へ!妻が専業主婦になる場合は注意が必要

夫婦で連帯債務により住宅ローンを借入すると、「夫婦どちらも住宅ローン控除を受けられる」というメリットがあります。例えば、年末に4,000万円の住宅ローン残高が残っていて、夫婦で半分ずつ住宅ローンを負担している場合、夫婦どちらも20万円ずつの所得税控除を受けられます。

仮に夫が1人で住宅ローンを負担していると40万円の所得税控除になりますが、もし所得税と住民税から40万円を控除しきれなければ残りの控除額は無駄になってしまいます。夫婦2人で控除額を分配することで、住宅ローン減税を最大限に活用できるという具合です。

ただし、妻(または夫)が将来的に専業主婦(専業主夫)になる場合は注意が必要です。仮に夫婦どちらかが仕事を辞めて収入がなくなった場合、税金を控除してもらうことができなくなるかもしれません。というのも、住宅ローン減税は収めるべき所得税・住民税を軽減してもらえる制度なので、そもそも所得税非課税になってしまっては控除もなにもなくなってしまいます。住宅ローン減税はあくまで「減税」であり、補助金や助成金のように「もらえるお金」ではないことを覚えておきましょう。

消費税増税後に住宅を購入した方が得?

ハウスメーカーによっては2019年10月からの消費税増税を見越して、「増税前の駆け込み購入」を勧めていることがあります。しかし、実は消費税増税後に住宅を購入した方がお得になる場合があるので早まってはいけません。例えば、3,000万円の住宅を購入した場合について見てみましょう。

3,000万円の住宅を購入すると、消費税8%なら240万円が消費税の負担額です。一方、消費税10%なら300万円が消費税となり、60万円負担が増えることになります。これだけを見ると確かに増税前の方がお得に感じられますが、2018年12月4日に「消費税増税に伴い、住宅ローン減税の控除期間を10年から13年へ引き延ばす方向で調整に入った」と報じられました。

参考:住宅ローン減税期間を3年延長へ 消費増税対策で(Yahoo!ニュース)

ただしこの制度はまだ確定ではないためしばらく様子を見る必要がありますが、もし住宅ローン減税の期間が延長されれば消費税増税により負担額が増えた分を、住宅ローン減税でまかなえる可能性があります。

さらに、「すまい給付金」という住宅購入に関する給付金制度(住宅ローン減税と併用可能)においては、消費税増税後は内容が拡充されることが決定しています。すまい給付金は消費税8%の場合、収入額の目安が510万円以下の人しか対象になりませんでしたが、10%に増税後はこれが775万円にまで引き上げられます。つまり、消費税が増税になることで給付金を受けられるようになるかもしれません。

このように、住宅ローン減税とすまい給付金を活用すれば消費税増税は全く怖くないのです。

まとめ

いかがでしたか。住宅ローン減税について総合的な内容を解説しました。毎年数十万円の所得控除を受けられる住宅ローン減税は、マイホーム購入を考える人にとって見逃せない制度です。数千万円という金額が必要になる住宅購入ですが、それでも住宅ローン減税で控除される金額は非常に大きなもの。細かい部分までしっかりとチェックし、賢くマイホームを購入しましょう。

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