住宅を購入する際、全額預貯金から支払うという方はほとんどおらず、多くの方が住宅ローンを利用します。
中でも利用する方が多いのが、住宅ローンの「フラット35」。一般的な住宅ローンに比べて審査に通りやすいと言われていますが、中にはそこから漏れてしまう方もいるようです。
今回はフラット35の審査基準や、審査に通るために知っておきたいことをわかりやすく解説します。
これからフラット35の借入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
この記事がおすすめできる人
- フラット35について知りたい方
- フラット35の借入を検討している方
- フラット35の審査に通るか心配な方
- フラット35の審査に通りやすい方法を知りたい方
- フラット35の審査に落ちてしまった時の対策を知りたい方
なお以下の記事でも「注文住宅」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
・ 借入れ前にチェック!0から分かる賢い住宅ローンの選び方
・ 加入必須?住宅ローンにおける団信(団体信用保険)とは
・ 【初心者向け】優しくわかる住宅ローンの頭金ガイド
フラット35とは?長期固定金利住宅ローンの仕組み
フラット35とは、住宅金融支援機構という独立行政法人が販売している住宅ローン。名前の通り、最大35年にわたってローンの返済をすることができるという特徴があります。
目的やメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
住宅金融支援機構とは?
2007年4月に設立された独立行政法人。
旧住宅金融公庫の業務を継承し、民間金融機関と提携して全期間固定金利のフラット35を提供することで、省エネ住宅などの優良住宅の普及を促しています。
営利目的で商品を扱っている民間の金融機関に対して、住宅普及支援を目的としているのが住宅金融支援機構です。
フラット35の目的
フラット35は、住宅の普及支援を目的として作られた住宅ローンです。住宅金融支援機構と民間の金融機関が協力して、提供を行っています。
民間の金融機関は、貸し倒れのリスクを伴うため、長期固定金利型の住宅ローンを売りたがらないということも少なくありません。
短期間で資金を回収できる商品、もしくは変動金利型の商品に注力したいと考えている金融機関が多いのです。
そこで誕生したのがフラット35という住宅ローンです。
住宅金融支援機構が金融機関から住宅ローンの債券を買い取り、その債券を担保とした証券を投資家に販売することで、長期的な資金調達を実現。
金融機関は、返済管理をすることで管理回収業務料を、回収した額は債券を購入した投資家が受け取ることができるという仕組みです。この仕組みを「証券化」と言います。
つまり、フラット35の契約は民間の金融機関などで行いますが、そこはあくまで窓口であり、実際には住宅金融支援機構から融資を受けているということになります。
フラット35のメリットとデメリット
フラット35を利用するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
メリット
フラット35のメリットは、主に以下の4つです。
- 金利が変わらない
- 省エネ住宅などの優良な住宅取得は金利が引き下げられる
- 保証料、繰上げ返済手数料が無料
- 返済中のサポートも充実
まずもっとも大きなメリットは、フラット35の1番の特徴である「長期固定金利型」という点。
最大35年間という長期間の借入が可能なことはもちろん、借入時の金利が固定されるため、返済中に市場金利が上昇した場合でも返済額が変わることがありません。
そのため、将来の資金計画が立てやすいというメリットがあります。
また、省エネ、バリアフリー、耐震、耐久性、可変性など、所定の技術基準を満たす住宅を購入・新築する際には、借入金利を一定期間引き下げる制度を用意し、優良な住まいづくりを支援しています。
さらに保証料、繰上げ返済手数料が無料という点や、返済中に万が一のことがあった場合の生命保険制度なども幅広く用意されています。
デメリット
フラット35のデメリットは、主に以下の4つです。
- 金利が高めに設定されている
- 固定金利が裏目に出ることも
- 団体信用生命保険が任意加入
- 審査基準が物件に依存している
フラット35の1番の特徴である長期固定金利は、変動金利や固定金利期間選択型などの住宅ローンに比べて、金利が高めに設定されています。
つまり、今後金利が上昇した場合は返済額が変わらず得をすることになりますが、もし低金利が続いた場合は、割高な金利を支払い続けなければならず、結果的に損をする可能性もあるということです。
また、自己資金が1割未満の場合金利が割高になるという点も覚えておきましょう。
万が一に備える団体信用生命保険については、民間の金融機関が無料で強制加入なのに対して、フラット35の場合は有料の任意加入。
3000万円の借入をしたとすると、団体信用生命保険の保険料に200万円ほど支払わなくてはいけません。
加入しないという方法もありますが、万が一のことがあった場合、家族に大きな負担を負わせてしまうことになるため、例え保険料がかかっても加入しておいた方が安心です。
最後に、物件の審査について。一般的に住宅ローンの審査は返済できる能力があるかによって判断されますが、フラット35の場合は物件が基準を満たしているかどうかが主な判断基準となります。
物件が基準を満たしていない場合は、返済していくための十分な収入があるにも関わらず、審査に通らないという可能性もあります。
フラット35の審査基準
フラット35の審査基準と借入条件について解説します。
以下の5つの項目について、基準を満たしているかどうかが審査に通るための判断材料となります。
年齢
申し込み時現在、70歳未満。親子リレー返済を利用する場合は、70歳以上でも申し込み可能です。
返済負担率
年収のうちの年間合計返済額の割合を返済負担率と言います。
返済負担率の基準は、年収400万円未満の場合30%以下、年収400万円以上の場合35%以下となります。
例えば年収300万円の場合、年間合計返済額は年収の30%以下の、90万円以下に留めなければいけません。つまり、35年ローンを組むとすると借入可能な金額は3,150万円となります。
さらに、返済額には住宅ローンだけでなく、自動車ローンやカードローンなども含めて考えなければいけないため、これらの返済もある場合、借入可能額はさらに少なくなります。
借入期間
借入期間は15年以上(申し込み本人もしくは連帯責任者が満60歳以上の場合は10年)で、かつ以下の2つのうち短い方の年数が上限となります。
- 80歳-申し込み時の年齢
- 35年
例えば、申し込み時の年齢が60歳だった場合、借入期間の上限は20年。45歳以下なら最大の35年ローンを組むことができるというわけです。
親子リレー返済を利用する場合は、後継者の年齢を基準に期間を決定します。
借入額
1,000万円以上8,000万円以内で、建設費(土地取得費含む)または購入価額以内の金額。
店舗や事務所など、住宅部分以外の建設費または購入価額は借入の対象外です。
借入対象となる住宅
借入対象となる住宅の条件は以下の2つです。
- 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している住宅
- 住宅の床面積が、一戸建て、連続建ておよび重ね建ての場合70㎡以上、共同建て(マンションなど)の場合30㎡以上
- 住宅の建設費(土地取得費含む)、または購入価額が1億円以下の住宅
店舗付き住宅などの場合は、店舗や事務所などの床面積が住宅部分の床面積よりも狭いことが条件となります。
フラット35の借入に必要な期間
実はフラット35は審査期間が長い住宅ローンとして知られています。
その理由は、金融機関と住宅金融支援機構の2箇所で審査を行うから。
審査のスピードは金融機関ごとに異なりますが、最終的に住宅金融支援機構の審査にもクリアしなければいけないため、融資の実行に時間がかかってしまうのです。
多くの場合、審査にかかる期間は1週間〜2週間程度。購入するのが新築の住宅か、中古の住宅かによっても違いますが、全ての手続きを含めて1ヶ月〜2ヶ月くらい見ておくと安心です。
注文住宅の場合は、着工前から事前手続きを行い、竣工後に本契約。物件の引き渡し日が融資実行の日となります。
ただし、着工時や上棟時など本契約より前につなぎ融資を受けることも可能です。
フラット35の審査に通るかシミュレーションしてみよう!
フラット35の公式サイトでは、必要事項を入力するだけでフラット35を利用できるかどうかチェックできる「【フラット35】 らくらく診断」が用意されています。
入力する項目は、年齢、年収、他の借入金、住宅の種類、面積、借入希望額、返済期間、融資金利、返済方法の9項目。
これらの必要事項を入力すると、その条件での借入限度額、毎月の返済額、総返済額などがわかります。
数分で簡単にチェックすることができるため、ぜひ利用してみてください。
フラット35の審査で必要な書類
借入までに必要となる書類について、住宅を建設する場合、新築住宅を購入する場合、中古住宅を購入する場合の3つに分けて解説します。
ここで紹介するのは金融機関で共通して必要となる書類ですが、これに加えて金融機関ごとに用意しなければいけない書類もあるので、詳しくは借入の申し込みをする金融機関にお問い合わせください。
住宅を建設する場合
住宅を建設する際には、着工前の設計検査・工事中の中間現場検査・竣工時の竣工現場検査という3つの申請をする必要があります。
これらの検査の申請や書類の準備は、大体の場合依頼している建築会社が引き受けてくれますが、フラット35を利用したことを伝え、流れや進み具合を確認しておくと安心です。
必要となる書類は以下の通りです。
- 借入申込書
- 所得を証明する書類
給与所得のみの場合:特別徴収税額の通知書、住民税納税通知書、住民税課税証明書等の公的収入証明書
給与所得のみ以外の場合:納税証明書および確定申告書など - 建設費の確認書類
- 土地の登記事項証明書
- 土地取得費の確認書類(土地取得費に対する借入を希望する場合)
新築住宅を購入する場合
新築住宅を購入する際は、住宅を建設する場合と同じく、工事に合わせて検査を行います。ただしマンションの場合は、マンション全体が検査済みであれば、購入時に個別で申請する必要はありません。
必要となる書類は以下の通りです。
- 借入申込書
- 所得を証明する書類
給与所得のみの場合:特別徴収税額の通知書、住民税納税通知書、住民税課税証明書等の公的収入証明書
給与所得のみ以外の場合:納税証明書および確定申告書など - 売買金額の確認書類
- 住宅の登記事項証明(申し込み時に既に竣工している場合)
- 土地の登記事項証明書
中古住宅を購入する場合
中古住宅を購入する際には、フラット35の定める住宅基準をクリアしているかを確認する必要があります。
これは住宅ローンの申し込みとは別の作業となり、並行して行わなければいけません。
もしローン審査にクリアしたとしても、物件自体が住宅基準をクリアしていなければフラット35を利用することはできないということを頭に入れておきましょう。
必要となる書類は以下の通りです。
- 借入申込書
- 所得を証明する書類
給与所得のみの場合:特別徴収税額の通知書、住民税納税通知書、住民税課税証明書等の公的収入証明書
給与所得のみ以外の場合:納税証明書および確定申告書など - 売買金額の確認書類
- 住宅の登記事項証明(申し込み時に既に竣工している場合)
- 土地の登記事項証明書
フラット35の審査で注意したいポイント
フラット35の審査において、最も注意しなければいけないのが返済負担率について。
「フラット35の審査基準」の項目でも解説しましたが、借入額にはフラット35の返済額だけでなく、車のローンやカードローン、ブランド品の分割払いの残額、奨学金など、あらゆるものが総返済額に当てはまります。
借入扱いとなっている項目を見逃さないためにも、年間で支払わなければいけない金額を書き出して、「総借入額÷年収」の式に当てはめてみてください。
もし年収400万円未満で30%、400万円以上で35%という数値を越えてしまっていたら、可能な限りすぐに完済することをおすすめします。
また、様々な支払いの遅延は、ローンの審査に大きく関わります。
税金やクレジットカードの支払いの遅延があると悪印象。毎回滞りなく返済をしているということが、とても重要なのです。
次に、物件の技術基準についても注意が必要です。
フラット35はもともと優良な住まいづくりを支援するために作られたものなので、物件の基準が細かく設定されており、それにクリアしなければ融資を受けることはできません。
適合しているかどうかの検査は、専門機関に依頼しなければいけないということも頭に入れておきましょう。
フラット35の審査に落ちた時の対策
フラット35の審査に落ちてしまった場合、基本的には再審査を受けることが可能です。
再審査を受ける場合は、1度目の審査から半年以降に受けるようにしましょう。
なぜ半年後かというと、半年間は審査をした履歴が残ってしまっているから。2回目の審査では前回の申し込みでなぜクリアできなかったのかを含めて審査をするため、一般的には不利になってしまいます。
自己資金が大幅に増えたなどの大きな変化がない限り、半年後以降の再審査がおすすめです。
また、フラット35の審査基準は物件に依存している面が強いため、物件を変更するというのもひとつの手。中には物件を変えただけで、審査を通過することができたという方もいます。
まとめ|フラット35の審査基準は民間住宅ローンの審査基準と異なるため審査は通りやすい
記事の内容まとめ
- フラット35は長期固定金利住宅ローン
- 「【フラット35】 らくらく診断」を使ったシミュレーションがおすすめ
- 返済負担率に要注意
- 用意すべき書類がたくさんあるため、早めの準備が必要
- 1度審査に落ちても諦める必要はない
フラット35の審査は、ほかの住宅ローンと比べて通りやすいと言われていますが、全ての人が必ず融資を受けられるというわけではありません。
大切なのは、融資を受ける本人が正しい知識を持ち、やるべきことをきちんとこなしていくということです。
このサイトでは、住宅ローンなどマイホームを手に入れるための基礎知識をたくさん紹介していますので、ぜひほかのページも参考にしてみてくださいね。
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