多くの人がマイホーム購入時に申し込む住宅ローン。明治時代にスタートして戦後の景気復興策の一環として急速に普及した住宅ローンは、現在マイホーム取得時の資金調達の代表的な手段となっています。
「マイホーム取得=住宅ローンの返済スタート」という図式が成り立つほど広く普及している住宅ローンですが、この住宅ローンが支払えなくなった時、どうなってしまうのか想像したことはありますか?
まず最初に覚えておきたいことは、「住宅ローンが支払えない=即マイホームを失う」というわけではないことです。もちろん住宅ローンの返済不能な状況をそのまま放置していればマイホームに住み続けることはできなくなりますが、住宅ローンの返済が難しい人たちにはいくつかの救済措置が用意されています。
この記事では、住宅ローンが支払えなくなったそのとき、あなたがすべきことは何かについてお伝えします。
住宅ローンを払えないとどうなる?
住宅ローンの借り手からの返済が滞ると、貸し出しを行っていた金融機関は様々なアクションで借り手に支払いを続けるように促しはじめます。
しかし、金融機関からの督促に応えないまま住宅ローンの入金を行わずに事前に何の相談もしなかった場合、住み慣れたマイホームが競売に出され、退去せざるを得なくなることが現実に起きるのです。
では、実際に月々の住宅ローンの支払いを続けられずに住宅ローン破綻に陥った場合、どのような流れでマイホームを失うことになるのでしょうか?
ここでは、住宅ローンを返済することが困難な状況に陥ったにも関わらわず、自分からは金融機関に何も相談しなかった人(仮名:Aさん/4人家族の父親)がたどったケースを例に挙げてご紹介します。
Aさんのケース:住宅ローン滞納発生~自宅競売までの軌跡
住宅ローンの返済が出来なくなった場合、それから一年後にはまず確実にマイホームを失うことになります。毎月支払うことになる住宅ローンの金額は、本当にこれから数十年の長期にわたって支払える範囲の金額でしょうか?営業マンの甘い言葉に踊らされず、よく考えてみてください。
実は住宅ローンをはじめとした経済破綻に陥りやすいと考えれられているのは都市圏に暮らす「一部上場企業」「子どもが全員私立」など、恵まれたイメージを想起させるサラリーマン家庭です。いくら名の知れた企業に勤めているといっても、サラリーマンとしての年収が何千万円に達することは今の日本の現状では考えにくいことです。それなのに高級車に乗り、旅行や外食を繰り返していたのでは家計破綻も不思議ではありません。住宅ローン破綻は決して他人事ではないのです。
交通事故入院中に住宅ローン滞納発生!
Aさんが家計破綻を予感しはじめたのは1年前。小学生の娘2人を同じ学習塾とピアノ教室に通わせることにした結果、毎月の教育費は10万円をオーバーしてしまったのです。同じ年齢の妻は「子供が小学生のうちはパートタイムだけにしたい」と主張し、月5万円程度の給与のみ。しかも家計には一切入れずに自分の小遣いにしていました。
このころすでに年に二回のボーナスはすべて毎月の赤字補填に消えており、家計には全く余裕がありませんでした。そして、折悪しくAさんが見通しミスのため仕事中に交通事故を起こし1ヶ月入院することとなりました。病院への支払いを済ませると財布はほとんど底をつき、住宅ローン引き落としのための残金を口座に残すことができなかったのです。
こうしてAさんが退院するまでに2ヶ月間の住宅ローン未払い期間が発生することとなりました。Aさんが病院から退院したとき、待っていたのは銀行からの呼び出しでした。驚いたAさんが妻を問い詰めると、Aさん宅の家計の預貯金はゼロ。しかもたまりにたまったクレジットカードの支払い残額が、100万円近いことがわかったのです。
滞納が続くと何が起きる?
金融機関によって多少の差はありますが、住宅ローン未払いが発生したからといって即督促が自宅に送られてくるわけではありません。しかし、未払いが数ヶ月に及ぶと深刻な事態を引き起こします。ここでは未払い期間ごとに金融機関の対応を時系列にまとめました。
遅延回数 | 遅延で起きる事態 |
---|---|
1度目の 支払い遅延 | 住宅ローンの支払い(引き落とし)が行われないと、手紙で口座残高不足を知らせる通知がはいります。はじめて遅延した場合は、通知に記載された期日までに支払えばなんらかの理由で入金漏れによる口座残高不足として処理されるのみに終わります。 |
2度目の 支払い遅延 | 複数回の支払い遅延の履歴がある、あるいは二回目の支払期日にも引き落とされなかった場合は「来店依頼状」「督促」通知が届きはじめ、処置の早い金融機関なら担当者からの確認電話が入ります。 |
3~5度目の 支払い遅延 | 金融機関担当者からの連絡が頻繁に入るようになります。同時に個人信用情報機関に「金融事故」として記録されるのもこの頃です。信用情報に傷がつくタイミングは住宅ローン未払い期間が3ヶ月を超えた時と覚えておきましょう。 |
競売開始決定の通知
住宅ローンの入金を行わないまま、金融機関からの繰り返し入る督促を無視し、何の相談もしないまま半年が経過した頃、いよいよマイホームを手放さざるを得なくなることが現実味を帯びてきます。
両親が深刻な顔で話し合う様子を子供たちが不安そうに見守っています。退院仕手から体調がすぐれないAさんですが、今や自分の体よりも子供たちに家を残したい、その思いでいっぱいです。しかし借金を申し込むあてもなく、今回の交通事故によって社用車を失って職場にも居づらい雰囲気のAさん。まさに八方ふさがりの状況です。
そんな中、Aさん宅に一通の封筒が舞い込みました。「担保不動産競売開始決定通知書」です。
ついに住宅ローン保証会社が裁判所に競売入札の申し立てを行ったのです。Aさんが競売の開札日までに「競売の取り下げ」を成立させない限り、Aさんの自宅は競売にかけられてしまうことが決定しました。
半年以上の滞納が続くとローンの一括支払いを請求される
とうとう住宅ローンの未払い期間が半年となる6度目の支払い遅延以降では、分割払いすなわち住宅ローンの利用権利を失う「期限の利益」が喪失した状態を迎えます。こうなってしまうと金融機関から「ローンの一括支払い」を請求されることになります。もちろん一括支払いができるわけはありませんから、住宅ローンの保証会社が債務者に代わって返済を行う「代位弁済」の措置を取ることとなります。
マイホーム売却(最悪の場合強制退去)
結局Aさんは「競売の取り下げ」を成立させることはできませんでした。裁判所からの現地調査が入る旨の連絡があった後、ほどなく調査員がやってきて家の中を隅から隅まで写真撮影して帰りました。
住み慣れたマイホームが競売に出され、退去せざるを得ないということが分かっていても、まだ頭の中では現実感がわかなかったAさん夫婦も、ここに至って本当に自分たちがマイホームを失うのだということを自覚したのです。
その後AさんたちはAさんの職場の近くの小さな賃貸アパートに引っ越し、夫婦共働きをスタートして子供たちも転校することとなりました。Aさんはもう一度マイホームが持てるように固く決意しています。
マイホーム売却をお考えの方は、【不動産売却の教科書】のサイトをチェック!
自宅が競売にかけられると取り戻すことは不可能になる
この時期すでに住宅ローンは保証会社が肩代わりしているわけですから、マイホームの所有権はあなたのものではなくなっています。
保証会社は裁判所に対してマイホームの競売を申し立てることとなり、「担保不動産競売開始決定通知書」が届きます。この時点で代わりに自宅を買い戻してくれる親族(買戻しと呼ぶ)がいれば、競売の開札日までに「競売の取り下げ」を成立させて、マイホームを手放さなくて済む可能性はまだ残されています。
しかし、何も手を打つことができなければ裁判所からの現地調査員の調査が自宅に入り、ほどなくして自宅が競売にかけられます。自宅が落札された後は競売手続きも終了。あとは居住者の立ち退きということになり、これをもってマイホームは完全に他人の手に渡ることとなります。
住宅ローン破綻の末路は?自己破産、離婚、一家離散
住宅ローンが支払えずにマイホームを手放したからといっても、家族がバラバラになると決まったわけではありません。しかし、そのような状況に陥る可能性があるのもまた事実です。
なぜならマイホームを失うことによって転居は必須です。かつ両親の援助に頼るしかないなど、家庭をとりまく環境が大きく変化せざるを得なくなるからです。住宅ローン破綻によって、配偶者の浪費などの問題が表面化することが多く、その後の離婚の原因となることが多々あります。
そして、子供たちがこれまでと同じ学校に通うことが難しくなり、結果として親子で暮らすことすら難しくなり、住宅ローン破綻が原因による一家離散という最悪の事態になることも考えられます。
また、住宅ローン返済が破綻してしまった人たちが取る行動で少なくないのが「残された手段は自己破産しかない」と思い込み、熟慮しないままに性急に自己破産の手続きを取るケースです。特に「担保不動産競売開始決定通知書」受領後にそのような行動をとる場合が多いようです。
しかし、安易な自己破産は「連帯保証人」に多大な迷惑をかけてしまう恐れがあります。確かに自己破産は裁判所により借金や負債の返済義務を免責してもらえますが、それは自己破産した当人だけです。連帯保証人の負債は免責されていないので、今後督促は連帯保証人に矛先が向くということになるのです。
夢のマイホームは魔法では手に入れられません。しっかりと実現可能な返済計画を立てて、ただの一度も滞ることなく支払いを続けることが必要なのです。
住宅ローンを払えない時の相談先は?
「住宅ローンが支払えず破綻寸前」あるいは「実際に破綻してマイホームを手放した」、実はこのような事態に毎年住宅ローンを支払っている人の100世帯のうち何世帯かは陥っている可能性があります。
住宅ローンを支払えずに破綻してしまった世帯数や、具体的な住宅ローンの延滞状況の統計データが発表されているわけではありません。しかしある程度参考データにできる資料があり、それが住宅金融支援機構「リスク管理債権」です。
住宅ローンが破綻あるいは3ヶ月以上もの遅延となったことを表す「破綻先債権額」「3ヶ月以上延滞債権額」「延滞債権額」の合計金額が「平成29年度リスク管理債権」によると全体の1.69%に上ることが分かりました。
(※1)リーマンショック発生時などの不景気のピーク時には、3%の大台に乗ったこともありますから半分に減少したともいえます。
しかし、それでも100世帯につき数世帯は何らかの事情で「住宅ローンが支払えない」あるいは「家を手放した」という事実は重く受け止める必要があります。
ここでは、あなたが何らかの事情によって「住宅ローンを支払えない事態に陥ってしまった」、そんなときに真っ先に相談すべき対象についてご紹介します。
返済先金融機関に相談
何らかの理由で住宅ローンを支払うことが難しくなった場合、最初にするべきことは何でしょうか?結論から言えば、住宅ローンの支払いが「払えない」「続けることが難しい」と自覚したとき、すみやかに住宅ローンを契約した金融機関に相談しましょう。
「住宅ローンが払えないなんてとても言えない」と考える人は多いと推測されますが、先に述べた通り住宅ローンが破綻する人の割合は住宅ローン全体の数パーセントを占める可能性があります。あなたが相談する担当者にとって、このような事案は起こりうるケースとして想定範囲内の顧客対応のひとつなのです。つらくても「大切な家族の生活を守るためにすべきことをする」、その覚悟が必要です。
「金融機関側が相談に乗ってくれなかったらどうしよう?」と危惧されるかもしれませんが、住宅ローンの支払いに困っている利用者に対して、金融機関が相談に乗らないということはまず考えられないことです。平成21年11月30日に国会で可決し、その後平成25年3月31日まで継続された「金融円滑化法」によって金融機関の顧客への態度も大きく変化しました。
多くの金融機関がこの法制度を重く受け止め、自らのホームページで引き続き顧客対応の基本スタンス(※2)としていくことをうたっています。住宅ローンの返済について相談があった場合は、なるべく利用者に負担のないような提案をすることが当たり前のこととなっています。
金融機関側の立場としても、引き続き返済を続けてもらうことが最善の道であることに変わりはありません。返済を継続するための打開策についてアドバイスをしてくれることでしょう。
※2:三菱UFJ銀行「金融の円滑化に関する基本方針及び体制の概要」より
返済時期を交渉する
金融機関の立場に考えてみれば当然ですが、自己破産によって住宅ローンをなかったことにする利用者よりも、返済しようという意志をもって相談に来る利用者のほうが望ましいものです。たとえ住宅ローン返済条件を変更してでも返済を続行してもらうほうがよほどありがたいのです。
住宅ローンの返済を続けられる見通しが立たないと判断したら、まずはその住宅ローンの返済条件の変更、すなわち返済計画の変更「リスケ(リスケジュール)」の相談をしてみましょう。
返済期間を延長することで毎月の支払額を減らす、もしくは一定期間は元金返済を据え置き利息のみにするなど、毎月の支払いを軽減するプランを提案してもらえる可能性があります。
ただ覚えておきたいのは、リスケによるデメリットとして優遇金利が適用されなくなることです。結果的にローン支払い額がアップしてしまう可能性があることに注意して、慎重に対処する必要があります。
ローンを借り換える
リスケを行ったことは一度もなく、返済に遅れたこともないなら、住宅ローンの借り換えも検討すべき一案です。
長期にわたって返済する住宅ローンは金利の差によって支払合計額に大きな差が生じます。最近では各金融機関のホームページに借り換えメリットの有無が分かるツール(※3)が用意されているところもあります。直接金融機関の窓口を訪ねることがおっくうならば、自宅で一度チェックしてみるのも良いでしょう。
親兄弟に相談
あくまで最後の手段ですが経済的に余裕のある親兄弟、または親族がいれば相談に乗ってもらいましょう。相談相手が両親ならば、「相続遺産を前倒しで渡す」と申し出てもらえる可能性があります。また兄弟によっては「自分の親族から破産者を出すくらいなら貸す」という人もいることでしょう。
時間がかかっても必ず返済するという決意を持ち、門前払いされることを覚悟の上で相談してみてください。また返済がうやむやになりがちな家族間、兄弟間だからこそ借用書を取り交わしておくなど、文書として残しておく配慮も大切です。
勤め先に相談
企業によっては福利厚生の一環として「従業員貸付金制度」が準備されているところは少なくありません。またいわゆる財形貯蓄をしている人なら、それを原資にすることも可能です。とにかくあきらめることなくお金を調達する手段が残されていないか、最後まで探してみることが大切です。
従業員貸付金制度を利用する
実は会社は従業員にお金を貸すことが可能です。本来お金を貸す業務を行うには「財務局への登録」が必要であり、勝手に行うことはできないと法律で定められています。しかし、会社すなわち事業主から従業員へお金を貸し付けることは、「貸金業法」適用除外となっているのです。
ただしこの制度で借りることができる限度額や金利は会社によって異なります。まずは人事部や総務部で従業員貸付金制度の詳細を確認してみましょう。
財産形成貯蓄担保貸付け、もしくは払い出しを利用する
給与天引きで行う「財産形成貯蓄」、通称「財形」を続けている人はこの貯蓄を原資に払い出し、あるいは貸し付けを受けることが可能です。
財産形成貯蓄は大きく分けて「一般財形貯蓄(※4)」と「ゆうちょ財産形成貯蓄(※5)」の2つがあります。どちらも特に払い出し時に使途目的は問われず、かつゆうちょ財産形成貯蓄は貸し付けを利用することが可能となっています。
財産形成貯蓄の種類 | 払い出し可能タイミング | 貸付期間 | 払い出し/貸付金額の上限 |
---|---|---|---|
一般財形貯蓄 (金融機関) | 積立開始から1年後 | 貸付不可 | 【払い出し】 積み立てた全ての金額 |
ゆうちょ財産形成貯蓄 (ゆうちょ銀行) | 積立開始から1年後 | 2年 | 【払い出し】 積み立てた全ての金額 【貸付金】 預入金額+利子の90%相当額 ※契約ごとに上限300万まで |
相談先がない!マイホームを手放さずに済む方法はある?
「これ以上支払いを続けられる見込みもない。」 「借金を申し込めるような親兄弟、親族もおらず、会社や財形貯蓄での貸し付けも難しい。」 「自己破産や消費者金融から借金することだけは避けたい。」
そう考えている人たちにまだ対処策が残されていることをお伝えします。それが「個人再生手続き」「リバースモーゲージ」です。
個人再生手続き
マイホームを手放すことを選択するなら、住宅ローン支払が困難になった時に不動産会社の仲介で自宅を売却する「任意売却」も選択肢の一つです。任意売却であれば競売よりも有利な価格で売却できる可能性がもあります。
もし親族に購入してもらえればマイホームに住んだままでいられますが、そのような援助が期待できないケースの方が多いことでしょう。しかしどうしてもマイホームを手放したくないという場合には「個人再生手続き」「リバースモーゲージ」という方法があります。
個人再生手続きと自己破産との違い
自己破産と個人再生手続き、どちらも借金に苦しむ人の救済措置になりますが、両者には大きな違いがあります。
まず自己破産とは、借金の返済を免責する制度のことを指します。とはいえ、すべての借金が一度に免責されるわけではなく、裁判所から破産開始決定を受けた後に借金一件ずつに免責許可の決定を受けるという流れになっています。
自己破産すればすべての借金が帳消しになると誤解されがちですが、あくまで免責を受けられた借金に限定されます。また自己破産にともなって、身の回りから必要最低限の家財道具以外(正確には20万円以上の物品)をすべて失うこととなります。
換金できるものはすべて管財人の手に渡され、債権者への返済に充てられます。また宅地建物取引業、警備員などに就けない職業制限があります。さらに7年間はローンやクレジット、およそ借金と名の付くものは一切利用不可となるためにクレジットカードも使えなくなり、現金払いの生活をする必要があります。
これに対し個人再生手続きは、借金を帳消しにするのではなく、返済可能な金額を取り決め期日通りに返済を行えるようにするための制度です。そのため具体的な返済計画の準備が必要です。また返済しながら生活していく個人再生手続きの場合、制活基盤としての住宅を失わずに済むように「住宅ローン特則」が設定されています。自宅を売却せずに返済を行うことができるのが自己破産との大きな違いです。
個人再生手続きのメリット
自己破産ではなく個人再生を選ぶ人の多くが「マイホームを失いたくない」という動機を持っています。その希望を叶えるのが住宅ローン特則です。破産することなく返済を続けることを選んだ個人再生者に、生活の基盤となるマイホームを残そうという発想から生まれました。マイホームを残したまま借金が減額できるという、まさに救世主のような制度です。
住宅ローン特則が適用されるには、まず住宅ローンとその他の債務とを分けてそれぞれの返済計画を立てます。ただし、住宅ローン返済については減額されません。誤解されやすいのですが住宅ローン特則とは、住宅ローン以外の総額5,000万円以下の債務を減額し、減額された債務を3~5年ほどにわけて分割返済し、完済するというものです。返済計画が承認されれば、債務総額の1/5もしくは100万円のいずれか多いほうまで減額されることになります。
結果としてこの減額された債務および住宅ローンのふたつを支払っていくことになります。
個人再生手続きのデメリット
個人再生手続きにおいて借金減額の承認を得ることは、自己破産で免責を受けるよりハードルが高くなります。住宅ローンやその他借金に苦しむ人にとっては財政を立て直すために借金の減額が見込める非常にメリットの大きい個人再生ですが、その分返済計画の承認を得ることは難しいといわれています。
リバースモーゲージ
「年金生活に入ったため月々の住宅ローン支払額が重荷」「バリアフリー化のためリフォームしたいが預貯金を減らしたくない」そんな悩みを持ちながらも自宅はなくなるその時まで手放したくない。そんな人たちのために導入されたのが、住宅ローンを減額しながらマイホームに住み続けられる「リバースモーゲージ」です。
リバースモーゲージとは?
55歳より上の世代の人たちであれば、重くのしかかる住宅ローンの返済に「リバースモーゲージ」を利用することが可能です。
リバースモーゲージとはアメリカの高齢者たちの間でよく利用されている制度で、高齢者がマイホームを担保として融資を受ける制度のことです。生存している間は利息のみを返済すればよく、毎月の返済額を低く抑えることが可能です。
亡くなった後は、金融機関がマイホームを売却し、残債を返済に充当するという仕組みになっています。精算後にお金が残った場合には残された遺族に渡されます。リバースモーゲージの資金用途は事業や投資用の資金以外であれば原則自由です。しかもリバースモーゲージの融資額は最後はマイホーム売却益を金融機関が得られるというだけあって、1億円から2億円までの融資を受けられるところがほとんどです。
リバースモーゲージを利用して住宅ローンを一括返済し、年金や退職金で生活費を賄う高齢者が増えてきた背景には住宅ローンから解放されたいという高齢者の強い願いがあると考えられます。
その一方、リバースモーゲージは、最終的に金融機関が住宅が売却できないことには不良債権化してしまうことから、リバースモーゲージ対象となる物件は首都圏や阪神間など値下がりの少ない人気エリアに限定されています。
また融資額の上限設定が億単位であったとしても、担保評価基準が非常に厳しく、希望通りの満額融資を受けられるケースはごく少数にとどまっています。そこで、リバースモーゲージの利用者層を増やすべく2009年に誕生したのが「リ・バース60」です。
ノンリコース型のリバースモーゲージ「リ・バース60」
首都圏など大都市にマイホームを持つ高齢者以外無縁だったリバースモーゲージに風穴を開けたのが「リ・バース60」です。
住宅金融支援機構が住宅ローン融資を受けた金融機関と保険契約を結び、契約者の代わりに住宅ローン残金を支払います。契約者が亡くなった後は、住宅支援機構が住宅ローン対象物件を売却することで回収を行います。
このように利用者にとってはマイホームを担保として融資を受け、亡くなった後はマイホーム売却益を充当するという仕組みは従来のリバースモーゲージと共通なのですが、いくつか大きな違いがあります。
まず、リ・バース60では、担保割れリスクを保険でカバーする仕組みのため、値下がりリスクのある物件も融資対象としていることです。首都圏や大都市圏のみならず日本全国の物件をカバーしています。
もう一つ大きな特徴が、リ・バース60は一般的なリバースモーゲージは担保物件の売却価格が残債に満たない場合、相続人が残債を返済する必要がありますが、契約時に住宅ローン残金は金融機関に支払い済のノンリコース型だと相続人が返済する必要はありません。
このしくみは「ノンリコース(非遡及)型」と呼ばれ2017年の取り扱いスタート直後から好評を呼び、リ・バース60利用者が大きく増えたきっかけとなりました。
唯一気を付けておきたい点は、リ・バース60で受けた融資の使途は住宅建て替え工事や、住宅ローンの借り換えなどの住宅関連に限定されるということです。
リバースモーゲージのメリット
なんといっても生きている間に住宅ローンから解放されて、その後は利息だけの支払いで済むという金銭的負担から解放される点が大きなメリットとしてあげられます。精算のためのマイホーム売却タイミングも、契約者または契約者の夫婦2人がそれぞれ亡くなってから目安として3ヶ月後としているところが多くなっています。
リバースモーゲージのデメリット
リバースモーゲージを利用するうえにおいての心理的ブレーキともなるデメリットが、亡くなった後にマイホームが売却されることにあります。つまり、後に残された子供にマイホームを残すことが難しくなるという点です。子どもたちとはよく話し合い、リバースモーゲージのメリットをよく理解してもらうことが大切なのです。
住宅ローンが払えない!そんな事態を避けるために必要なこと
国土交通省が発表した「平成29年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅ローンを払っている世帯に住宅ローンの負担感の度合いについて調査したところ、「非常に負担感がある」もしくは「少し負担感がある」とした世帯数は全国で72.0%にのぼるという結果が出ました。
実に7割以上の人たちが家計において住宅ローンの負担が大きくのしかかっていると感じていることがうかがえます。家族と暮らすマイホームを持つことは何にも勝る喜びですが、その代償は決して小さいものではありません。
ここでは住宅ローンをスタートした直後から取り組むことが望ましい、返済プランの組み立て方について取り上げます。
ライフプランに基づいた返済プランを立てる
長期間にわたって支払い続ける住宅ローンに取り組むには、収入を大きく減らさないように心掛けることがとても重要です。少なくとも住宅ローンをスタートした時点の収入を維持できるだけで住宅ローン破綻リスクは大きく下がります。
そのためにはできるだけ夫婦共働きを続けることをおすすめします。
女性は出産、妊娠によって一時的に仕事が行えない時期が訪れることが多く、保育所が見つかったとしても保育費用により、家計を圧迫することが予測されます。夫婦で協力して世帯収入を維持・増加できるように話し合い、支え合うことが大切なのです。
毎月および半年ごとのキャッシュフローを把握する
家計が破綻する原因は、入ってくるお金と出ていくお金が極端にアンバランスであることから起こります。それを防ぐためには毎日の支出を記録し、毎月および3ヶ月、6ヶ月おきにキャッシュフローを確認する習慣をつけましょう。
そのためにはぜひ一度家計簿をつけてお金の流れを確認しておきましょう。昔ながらのノートタイプ以外にも、今は便利な家計簿アプリが豊富に提供されています。
つけた家計簿を見返してみると、意外と無駄な部分が多いことが見えてくるものです。例えば携帯電話の料金プランは一番最適なコースを選べているでしょうか?あるいは外食費がかさんでいることに気づく人も多いです。
家計管理に役立つ家計簿をつけるコツは会社運営と同じで、予算を立てて効率的なお金の使い方を研究することです。日頃のお金の流れを把握して資金計画の予定に沿った出費を心がけることが、住宅ローン返済プランニングの基本なのです。
収入額を減らさない工夫をする
安全な住宅ローン返済のためには、支払期間中のライフイベントを思い描き、必要な出費を試算して事前に備えておくが重要です。10年、20年後時点の状況を予測し、どのような費用がいくらくらい必要になるかの概算をあらかじめ出しておきましょう。
たとえば「6年後と8年後に子供たちがそれぞれ大学進学時期を迎える。それぞれの前年には入学金やその他の資金として150万円口座にプールできるように準備しておこう。」というように、事前に住宅ローン返済期間の家計プランのアウトラインを準備しておくことで、返済可能な住宅ローンのプランも見えてきます。
住宅ローン審査を通過して住宅ローンがスタートできたとしても、そのあと返済不能に陥ってしまっては元も子もありません。一度じっくりとライフプランのシミュレーションを行ってみてください。
まとめ
「住宅ローンが支払えなくなった!」そんな最悪とも思える状況は、実は住宅ローン返済中の全ての人に起こり得る事態です。
長い人生の中では何が起こるかわかりません。自分や家族のケガや急病で多額のお金が必要になること、地震や災害でマイホームを失うこと、思っていたように保険金が下りないこと、あるいは仕事を失うようなこともないとは限りません。
どんなに支払いが滞る可能性が低いと思っても、実際に住宅ローンの返済中ならば、返済できなくなった時のシミュレーションを行い、万一の時の状況に備えておくことが大切です。
備えあれば憂いなし。この記事が万一あなたが住宅ローンが払えなくなったその時、参考になれば幸いです。
プレゼントキャンペーン
今なら相談・見学予約で「ギフト券5,000円分×相談見学社数分」、
資料請求で注文住宅で失敗しない成功マニュアル3つをe-booksでプレゼント!
あなたの夢を叶える
工務店・ハウスメーカーを検索しましょう。