「住宅ローンは繰上げ返済した方がお得」
マイホームを買った人なら誰でもこんな話を聞いたことがあるでしょう。
「周りも繰上げ返済しているし我が家もしようかしら‥」
こんな風に繰上げ返済を検討しているそこのあなた!
ちょっと待ってください!
実はあなたの家計事情によっては繰上げ返済をすることで、かえって損をしてしまうこともあるかもしれないのです。
このページでは繰上げ返済とはそもそもどういうことなのか、繰上げ返済した方がお得になるのか見分けるポイントを分かりやすく解説しています。
このページを読むことで繰上げ返済をするかどうかを含めて、あなたが一番お得に住宅ローンを返済する方法が把握出来るようになるでしょう。
目次
1.項目別で見分ける繰上げ返済すべきかどうか見分ける3つのポイント
ここからは住宅ローンの支払い期間・残高・金利ごとに、あなたが繰上げ返済をするべきなのか・すべきではないのかを解説していきます。
1-1.利用しているローンの種類で見分けるポイント
もしあなたが住宅ローンの他に下記のようなローンを利用している場合は、住宅ローンの繰上げ返済を行わない方が良いでしょう。
- カードローン
- 自動車ローン
- クレカのリボ払い
- ブライダルローン
上にあげたようなローンは基本的に住宅ローンよりも金利が高く設定されています。 ※カードローンの上限金利でおおよそ18.0%
住宅ローンを繰上げ返済を行うと、金利の高い自動車ローンなどの借入元本を減らすことができず、より多くの利息を支払うことになってしまいます。
このことから上のリストのようなローンを利用している場合には、住宅ローンの繰上げ返済を行わずに他の金利の高いローンを返済した方が良いでしょう。
逆にあなたが住宅ローンの他にローンを利用していない場合は、住宅ローンの繰上げ返済を検討すると良いかもしれません。
1-2.ライフイベントで見分けるポイント
もしあなたが下のリストのようなライフイベントが間近に控えている場合は、繰上げ返済をしない方が良いでしょう。
- 出産
- 子供の進学
これらのライフイベントのタイミングでは多額の出費がかかります。
参照:文部科学省 『平成28年度子供の学習費調査の結果について』より 参照:国民健康保険中央会 『正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)』より
住宅ローンの繰上げ返済に余裕資金の大半を使ってしまうと、このようなライフイベントのタイミングで家計的に苦しくなってしまうことがあります。
貯蓄に余裕がないため高い金利のローンを新たに借り入れてしまうという本末転倒な状況にもなりかねないので、上記のようなライフイベントが予定されている場合は住宅ローンの繰上げ返済よりも貯蓄を行った方が良いでしょう。
1-3.住宅ローンの返済期間と金利で見分けるポイント
またあなたが住宅ローンを低金利で借りていて返済を始めてから10年以内ならば、今はまだ繰上げ返済をしない方が良い可能性があります。
下の表は住宅ローン減税を利用しつつ、繰上げ返済を1年目から行ったパターンと、10年間貯金をして11年目にまとめて返済を行ったパターンの節約金額を比較しています。
金利が0.6%で住宅ローンを利用できている場合には毎年コツコツと繰上げ返済をするよりも、貯金をして11年目に返済して住宅ローン減税の恩恵を最大限に利用した方が約12万円節約できるという結果になりました。
このことからあなたが住宅ローンの金利が低く、まだ返済し始めて早い段階ならば繰上げ返済をしない方が良いと言えるでしょう。
しかしながら、あなたの住宅ローン金利がシミュレーションの0.6%よりも高い場合は、繰上げ返済した方が節約できる金額が大きいかもしれません。
下のサイトで返済の節約額をシミュレーション出来るので、一度計算をしてみると良いでしょう。
2.住宅ローン繰上げ返済のメリット・デメリットの解説
ここからは住宅ローンを繰上げ返済するメリットとデメリットを解説していきます。
2-1.繰上げ返済のメリット
住宅ローンの繰上げ返済のメリットは、繰上げ返済しない場合と比較してローン返済の総額が少なくなりお得に返済できることです。
下記のシミュレーション条件で計算をしてみると、繰上げ返済を行うことでなんとローン返済総額で1,792,073円もの差が出ることになります。
参照:keisan
※シミュレーション条件
- 住宅ローン金額:3,000万円
- 金利:年利2%
- 返済期間:30年
- 繰上げ返済の金額:返済1年目から毎年12月に50万円
- 繰上げ返済の回数:10回
2-2.繰上げ返済のデメリット
2-2-1.団体信用生命保険の適用期間が短くなる
住宅ローンの繰上げ返済を行う際のデメリットとして、団体信用生命保険(いわゆる団信)の適用期間が短くなり、貯蓄できる金額が少なくなる点が挙げられます。
団体信用生命保険とは、借主(主に夫)が亡くなるなどの万が一のことがあり返済できなくなった際に、住宅ローンの残債がゼロになる生命保険のことです。
この団信は住宅ローンを借りている期間適用されます。 そのため繰上げ返済を行って住宅ローンの返済期間が短くなると、団信が適用される期間も同じく短くなってしまいます。
団信が無くなったとしても住宅ローンもゼロなのだからデメリットは無いのでは無いのかと思われるかもしれませんが、4章でも解説する資産運用の方法によっては、これが大きなデメリットになる可能性があるのです。
2-2-2.万が一の場合の備えが出来なくなる可能性がある
こちらの表は住宅ローンを返済しながら貯蓄を行うことを表している図です。
返済と貯蓄をしている途中で返済者が事故に遭い返済不能になったと仮定します。 その場合、団信から保険金が支払われ住宅ローンの残債がゼロになります。
しかしながら貯蓄自体は過去から積み立てていたため、残された家族は当面の生活費が確保された状態になります。
一方、貯蓄に回すお金を全て繰上げ返済に回し、途中で返済不能になった場合を見てみましょう。
こちらの場合も返済不能になった段階で、団信から住宅ローンの残りの残債が返済されます。
貯蓄を行っていた場合と違うのは、余裕資金を全て繰上げ返済に回していたため返済不能になった時点で残された家族のための生活費が確保できていない点です。
これは極端な例かもしれませんが、繰上げ返済を行った場合には貯蓄に回せるはずだった余裕資金が削られることになります。
そのため繰上げ返済を行った場合には、団信の期間が短くなったり、残された家族への貯蓄ができない(あるいは貯蓄が少なくなる)というデメリットが発生することが想定されます。
3.繰上げ返済をする際に検討すべき2つのパターン
住宅ローンの繰上げ返済を行う際には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つのパターンがあります。
それぞれの返済方法にもメリット・デメリットがありますので、それぞれ解説していきます。
3-1. 期間短縮型
期間短縮型は、その名前の通り住宅ローンの返済期間を短縮することができる住宅ローンです。
期間短縮型の繰上げ返済を行うと、繰上げ返済を行った額の元本が減らされ、その元本に発生するはずだった利息が節約できます。
期間短縮型の特徴は大きく分けて2点です。
3-1-1.早い段階で繰上げ返済を始めた方が節約できる金額が大きくなる
1点目は、早い段階から繰上げ返済を行うことでより大きな金額を節約できるようになる点です。
上の図の赤枠と青い部分が重なっている箇所の面積が繰上げ返済額にあたります。
元利金等返済方式では、返済が始まった当初は返済額のうちに占める元本の返済額の割合が少なく、支払い利息の占める割合が大きくなっています。
この段階で繰上げ返済を行うことで支払うはずだった利息(赤い枠とオレンジ部分が重なっている箇所)を節約することができます。
一方、住宅ローンの支払いの終盤で同じ額(赤枠と青い部分が重なっている箇所の面積)の繰上げ返済を行うと、節約できる利息の額は少なくなってしまいます。
このことから期間短縮型は、早い段階で繰上げ返済を始めた方が大きな額を節約できるためお得だと言えるでしょう。
3-1-2.返済額軽減型よりも節約できる額が大きくなる
「とにかく住宅ローンの支払額を少なくしたい!」
もしあなたがこのような返済方針の場合は、期間短縮型の繰上げ返済がピッタリでしょう。
期間短縮型の繰上げ返済は、次の章で解説する返済額軽減型という繰上げ返済の方法よりもより大きな額を節約することが出来ます。
これは期間短縮型で繰上げ返済する金額が、返済額軽減型よりも早期の元本返済に充てられるためです。
返済額軽減型と比較して期間短縮型の方がどれくらい大きな額を節約出来るか下の表を参考にしてみてください。
※シミュレーション条件
- 住宅ローン金額:3,000万円
- 金利:年利2%
- 返済期間:30年
- 繰上げ返済の金額:返済11年目の12月に500万円
この表を見ると分かる通り同じ金額を同じ時期に繰上げ返済した場合、期間短縮型と返済額軽減型では約100万円の違いが生まれることがわかります。
より大きな額を節約したい場合は、期間短縮型の繰上げ返済を選ぶと良いでしょう。
3-2. 返済額軽減型
「住宅ローンの支払い額は減らしたいけど、毎月の返済も楽にしたい…!」
もしあなたがこのように感じているならば、返済額軽減型の繰上げ返済がオススメです。
返済額軽減型はその名の通り、住宅ローンの返済額を軽減する繰上げ返済の方法です。
返済額軽減型の繰上げ返済を行うと、それ以降の毎月のの返済額が減るため、月々の支払い負担を軽くすることが出来ます。
期間短縮型の解説でも説明しましたが、支払う金利を節約したい場合は返済額軽減型の繰上げ返済ではなく、期間短縮型を利用した方が良いでしょう。 一方返済額軽減型の繰上げ返済は、今は資金に余裕があるものの将来的に住宅ローンの支払いが厳しくなることが想定される家庭にぴったりな繰上げ返済と言えます。
もしあなたが将来的に住宅ローンの支払いが難しくなることがわかっている場合は、返済額軽減型の繰上げ返済を利用すると良いでしょう。
3-3.繰上げ返済の具体的な手続き方法を解説
繰上げ返済を行う際には、どの住宅ローンもおおよそ下の表の流れになります。
3-3-1.ステップ1.繰上げ返済の申し込みを行おう
まずは住宅ローンの繰上げ返済を行う申し込みを行いましょう。
ほとんどの住宅ローンではWEBから繰上げ返済の申し込み手続きを行うことが出来ます。 WEBから繰上げ返済を申し込んだ場合、ほとんどの住宅ローンは手数料ゼロ円で繰上げ返済を行うことが出来ます。
また電話や店頭での手続きもできる住宅ローンもありますが、そちらは実印や申し込み書類の用意、手数料がかかることがあります。 ※A社の住宅ローンの場合、電話で繰上げ返済の申し込みを行うと、下記の手数料がかかってしまいます。
期間短縮型:10,000円(消費税別)
返済額軽減型:30,000円(消費税別)
特段事情がない限り、WEB申し込みで繰上げ返済の手続きを行うと良いでしょう。
3-3-2.ステップ2.繰上げ返済額を口座へ入金しよう
繰上げ返済の申し込みを行ったら引き落とし口座へ繰上げ返済額の入金を行いましょう。
一部の銀行では、口座に申し込んだ繰上げ返済額に満たない残高しかないと、繰上げ返済がキャンセルされてしまうことがあります。 繰上げ返済の手続きを行った際には、引き落とし口座の残高に十分注意してください。
3-3-3.ステップ3.口座から繰上げ返済の金額が引き落とされる
口座に入金が完了したら、あとは金融機関が引き落としを行うだけです。
以上のサイクルで繰上げ返済の手続きが完了です。 また繰上げ返済を行う際にはステップ1に戻って手続きを行うようにしてください。
4.繰上げ返済をしない場合の選択肢
これまでは繰上げ返済の方法について解説してきました。 住宅ローンを借りている場合は繰上げ返済をしないことは、損するだけなのでしょうか。
実はあなたのご家庭の資産運用方針によっては繰上げ返済しなくてもお得に返済をしていくことが出来るのです。
この章では住宅ローンの繰上げ返済をせず、その資金を投資に回して資産運用を行う場合を考えてみましょう。
シミュレーションの条件として、繰上げ返済を行う場合と投資を行う場合の、どちらも住宅ローン返済1年目から10年目まで50万円ずつ返済もしくは投資に回していくと仮定します。
また、投資する商品は国内債券のインデックスファンドに投資するものとします。
結果、両者が返済を終える30年後までに節約あるいは増やせる金額はこちらになります。
住宅ローンを繰上げ返済した場合のシミュレーションでは、30年間で1,792,073円節約できます。 これは2-1章でのシミュレーションと同じです。
一方、債券インデックスファンドへ投資した場合は、30年間で2,245,318円資産を増やすことができました。
結果、両者では約45万円の差額が出ることになりました。
もちろん債券インデックスファンドは収益性が変動するので、実際はこの通りにはいかないかもしれません。 しかし、余裕のある資産を繰上げ返済に使うか投資に回すかどうかで金額に大きな差が出ることになります。
もしあなたが資産をコントロールすることに関心がある場合は、繰上げ返済だけでなく投資することも検討してみるのも良いでしょう。
5.まとめ
以上、住宅ローンの繰上げ返済についての解説でした。
住宅ローンの繰上げ返済は、あなたの家庭の状況によってすべきかすべきでないかが変わってきます。 1章で解説した通り下のパターンに当てはまる場合は、住宅ローンの繰上げ返済よりも他の用途に資金を使った方が良いでしょう。
- 住宅ローンよりも金利の高いローンを抱えている場合。
- 出産や子供の進学などのライフイベントが控えている場合。
- 低い金利で借りていて、まだ返済を始めたばかりの場合。
もし、あなたが住宅ローンの繰上げ返済を検討している場合は、下記のメリット・デメリットを把握しておくと良いでしょう。 - 繰上げ返済を行うメリット 支払う住宅ローンの総額が減る - 繰上げ返済を行うデメリット 団体信用生命保険の適用期間が短くなる 貯蓄をしにくくなる
また、住宅ローンの繰上げ返済には2つの繰上げパターンがあります。 1. 期間短縮型 2. 返済額軽減型
期間短縮型は、その名の通り繰上げ返済した金額を直近の元金返済に充てる返済方法です。 返済額軽減型は、返済完了期間までの元金を減らすことで月々の返済額を軽くする方法です。
住宅ローンの支払い総額を減らす効果は期間短縮型の方が大きいため、節約額を抑えたい場合は期間短縮型の繰上げ返済を行うようにすると良いでしょう。
もしあなたが住宅ローンの繰上げ返済を行わない場合は、その余剰資金を投資に回すこともできます。
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