これまで住宅というのは、新築(または購入)して手に入れるもの、という考え方が主流でした。
しかし昨今、中古物件を安く購入して、自分たち好みに大胆にリノベーションする、という、新たな潮流が生まれつつあります。
土台となる中古住宅をきちんと選びさえすれば、リノベーションはローコストで自分たちの理想を反映できる、魅力な選択肢となるでしょう。
このページでは、そうした中古住宅のリノベーションに関する基本知識をまとめています。近い将来、家づくりを考えている、という人は、ぜひ参考に読んでみてくださいね。
目次
この記事がおすすめできる人
- 新築にしようか、中古にしようか迷っている
- リノベーションという言葉を聞いたが、今ひとつどういうものか理解できない
- 中古住宅をリノベーションするときの注意点が知りたい
- リノベーションのメリット・デメリットを把握したい
また、本サイトでは、これ以外にも注文住宅に関する様々な記事を掲載しています。ぜひ、本記事と併せてご覧ください!
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中古住宅をリノベーションするメリット・デメリット
リノベーションとは、いわば大規模なリフォームです。すでに建築済みの建物の基礎や構造は活かしつつ、間取りや内装を大胆に変更する工事のことを言います。
中古マンションを中心に注目を集め、今では戸建ての中古住宅にもそのムーブメントは広がっています。
まずは、中古住宅をリノベーションする場合のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリット
住宅というのは、入居した段階で中古になり、中古になった瞬間に価値が3割下がると言われています。もちろん立地や住宅性能などにもよりますが、新築より中古を購入した方が、多くの場合安上がりと考えられます。
しかし、ただ安いからといって中古住宅を購入するのは、ちょっと抵抗がありますよね。せっかく大金を掛けるわけですから、できれば誰かのお下がりではなく、自分たちだけに最適化された住空間を手に入れたいところです。
これを実現できるのが、リノベーションの大きなメリット。中古住宅の基礎や構造を活かしつつ、大幅な改修工事を行うことで、新築するよりも割安で、理想の住宅を手に入れることができます。
また、リノベーションでは、簡単な解体や塗装といった工程では、施主が家づくりに参加することも少なくありません。もちろん希望すればですが、自分たちの手で住まいづくりをしている、という感覚が得られるのも、リノベーションの醍醐味と言えるでしょう。
<中古住宅をリノベーションするメリット>
- 新築するより割安で理想の住まいを形にできる。
- プランの自由度が高い。
- 自分たちの手で住まいづくりをしている感覚が得られる。
デメリット
一見メリットばかりに目がいくリノベーションですが、購入する中古住宅をしっかり見極めないと、反対に損をしてしまう可能性も。
たとえば他の条件が同じ場合、築年数が古い物件ほど値が下がる傾向にあります。しかし安い物件は基礎や構造が傷んでいるケースが多く、相応の費用を掛けて補修しなければ、安全に住むことができません。
必要な補修工事の度合いによっては、新築とほとんど変わらない費用になってしまうことも考えられるわけです。
また、土台や構造がどこまで傷んでいるかは、素人目にはわかりませんよね。プロであっても、解体してみるまで状態がわからないことがあるくらいです。
中古住宅選びの段階から専門家と二人三脚で家づくりをしていく必要があり、またその場合であっても、解体後に予想外の修繕費が発生する可能性がある、というのが、リノベーションの大きなデメリットと言えるでしょう。
<中古住宅をリノベーションするデメリット>
- 中古物件の良し悪しをプロにしっかり見極めてもらわないと、想定外の修繕費が発生する可能性がある。
- 担保価値が低い物件だと、十分な金額を借り入れできない可能性がある。
入居までの大まかな流れ
中古物件をリノベーションしようと考えるなら、普通に戸建てを購入したり、注文住宅を建てたりする場合よりも、多少の手間と時間を覚悟しなければなりません。
以下に、簡単な流れをまとめてみます。もちろん、この通りにステップを踏まなければならないわけではありません。あくまで一般論として、参考にしていただければ嬉しいです。
ウェブ等でリノベーション業者探し
先に物件探しから始めても良いのですが、中古物件は素人目で良し悪しがわかりづらいですし、購入した住宅で必ずしも希望の設計が実現できるとは限りません。
業者を先に決め、一緒に物件を探してもらった方が、家づくりをスムーズに進めることができるでしょう。
不動産会社で中古住宅探し・内覧
立地や築年数、予算などから、候補となる中古住宅を絞り込んでいきます。いきなり不動産会社を訪れても良いのですが、昨今はウェブ上にも豊富に物件情報が掲載されています。
ある程度エリア情報や相場感を把握してからの方が話もしやすいでしょうから、まずは自身で下調べされることをおすすめします。
ちなみに、不動産会社はリノベーション会社の方で紹介してくれる場合もあります。
住宅ローンの事前審査申し込み
目ぼしい物件が見つかったら、住宅ローンの事前審査を申し込みます。この段階では、1つの金融機関に絞らなくてもOK。
条件が有利な銀行を中心に、適宜申し込みを行いましょう。
ちなみに、住宅ローンの事前審査に必要な主な書類は以下の通りです。
- 本人確認書類のコピー
- 収入を確認できるもの(源泉徴収のコピー等)
- 健康保険証のコピー
- 購入物件の資料
プラン固め
リノベーション業者と、完成イメージの詳細を固めていきます。間取りはもちろん、設備仕様や建具などの細かい要望の擦り合わせも行います。
家づくりで最も楽しい工程の1つです。
設計担当に要望を伝える時は、なぜそうしたいのか、という理由も併せて伝えることが大切。本来、予算内では叶わない要望であっても、アイディアによっては別の形で叶えられるかもしれません。
そうした提案にこそ、設計者の実力が表れます。多少わがままかもしれないと思うようなことでも、遠慮せずに意見をぶつけてみると良いでしょう。
中古住宅の売主と売買契約
価格交渉や購入のタイミング等、細かい条件の話がついたら、不動産売買契約を結びます。
この時、できれば契約の前に重要事項説明書と売買契約書を確認させてもらいましょう。自分で判断することが難しければ、リノベーション業者に確認をお願いするのも手です。
特に瑕疵担保責任に関する事項は、抜かりなくチェックしておくことをおすすめします。
リノベーション業者と工事請負契約
設計に納得できたら、リノベーション業者と工事請負契約を交わします。
住宅ローンの本審査申し込み
リノベーション業者との工事請負契約を結ぶか、見積もりが確定した段階で、住宅ローンの本審査を申し込みます。
ちなみに、リノベーション込みで住宅ローンを組む場合は、通常の住宅ローンではなく、リフォーム一体型の住宅ローンを選ぶのが一般的。
場合によっては、売主にリフォームをしてもらって、その分の費用を上乗せして支払ったり、自己資金で中古住宅を買い、リフォームローンでリノベーションをしたり、といった方法もあります。
自身の資金状況や信用状況を鑑みて、最適の選択肢を選ぶことが大切です。
物件の引き渡し&着工
購入した中古物件が引き渡されたら、いよいよ工事開始となります。完成までの期間はケースバイケースですが、半年掛らずに終わることがほとんどです。
その間に、新居に持って行くものや、新調する家具・家電のリストアップをして、スムーズに引っ越しができる準備を整えておきましょう。
必要な費用の相場
中古マンションのリノベーションに特化して住宅施工を請け負っているリノベるは、首都圏エリアでの工事費の平均を以下のように算出しています。
施工面積 | フルリノベーション | 表層替え | 表層替え+設備交換 |
---|---|---|---|
40〜49平方メートル | 850万円〜 | 300万円〜 | 550万円〜 |
60〜69平方メートル | 1050万円〜 | 400万円〜 | 650万円〜 |
80〜89平方メートル | 1200万円〜 | 500万円〜 | 750万円〜 |
※参照元:リノベーションって、費用はどのくらいかかるもの?|リノベーションのリノべる。
また、大手不動産情報ポータルのライフルホームがまとめた資料では、費用別のリノベーション件数は以下のようになっています。
リノベーション費用 | マンション | 一戸建て |
---|---|---|
〜300万円 | 9件 | 2件 |
300〜500万円 | 36件 | 11件 |
500〜700万円 | 44件 | 8件 |
700〜1000万円 | 86件 | 16件 |
1000〜1500万円 | 32件 | 32件 |
1500〜2000万円 | 6件 | 16件 |
2000万円〜 | 4件 | 26件 |
※参照元:リノベーション費用の相場を知ろう【LIFULL HOME’S】
中古住宅をリノベーションする場合の費用は、解体する範囲や施工内容によって、大幅に費用が異なります。
そのため、あくまでざっくりとした目安とはなりますが、おおよそ500〜2000万円がボリュームゾーンと言えます。
リノベーション向きの中古住宅物件の特徴
ある程度の専門知識がないと、中古住宅の良し悪しを判断するのは難しいもの。
基本的には、パートナーとなるリノベーション会社と二人三脚で候補物件を見極めていくのがおすすめですが、それでも少しは自分の目で判断したいですよね。
ここでは、候補物件を見極める上で最低限チェックしておきたいポイントを紹介します。
木造軸組工法で建てられている
RC工法やツーバイフォー工法、SE構法など、住宅には様々な工法があります。
リノベーションを考える場合、選ぶ中古物件がどの工法で建てられているかによって、間取りの自由度に制限が掛かってしまうことに。
RC工法は鉄筋コンクリートで住宅を作りますから、ほとんど変更できませんし、壁で家を支えるツーバイフォー工法も、自由度は低くなります。
その点、木造軸組工法(在来工法)は、文字通り軸で住宅を支えており、しかもこの軸は比較的簡単に移動することが可能。
リノベーションのために中古住宅を選ぶなら、木造軸組構法で建てられているかどうか、というのが、まずチェックすべきポイントと言えるでしょう。
建築条件に不利な制限がない
古い物件や、建築してから周辺環境が変わってしまった物件は、住宅そのものは何も変わっていなくても、違法建築になってしまっている可能性があります。
この場合、建っている分には問題がないのですが、一度取り壊すと、そのままでは再建築ができません。
リノベーションする分には問題ないのですが、再建築不可物件は資産価値が低く、また住宅ローンも組めません。
なるべくなら、こうした物件は避けるのが無難でしょう。
築15〜20年程度が経過している
中古住宅は、築15〜20年で底値となり、そこからはほとんど値が下がりません。
特に築20年建っている住宅は、ほぼ土地代だけで購入することも可能。多少時間が掛かっても掘り出し物件を狙いたい、というような場合は、この辺りの築年数を目処に探されてみることをおすすめします。
よくあるリノベーションの失敗談
基本知識はたくさんあるに越したことはありませんが、経験者の、特に失敗談を知ることはとても価値があります。
リノベーションでよくある失敗談を3つピックアップして紹介します。
断熱を軽く見てた!
築20年強の中古住宅を購入し、表面的な部分をリノベーションして住み始めました。
あまり予算がなかったため、気密性や断熱性を多少犠牲にして、見た目にこだわったのですが、冬は寒く、夏は暑い、という絵に描いたような悲しい状態に。
暑ければ窓を開ければいいし、寒ければ布団を被ればいい、というようなことを冗談半分に考えていたのですが、甘かったです。
光熱費も高くなりますし、湿度が高いと結露もひどいです。長く住むことをもっと真剣に考えて、住宅性能を高めればよかったと後悔しています。
設計の自由度が低すぎた
ガスや水道の配管は動かせないとのことで、後から間取りを変更しようとしても納得のいくものにできませんでした。
概ね満足していますが、最初に水回りの配置をもっとよく考えておけばよかったと後悔しています。
配管の位置については、内覧のときにしっかり確認しておくことをおすすめします。
設備を流用したら不具合続出!
きれい目の築浅物件を購入してリノベーションしました。
設備がまだ新しかったため、大部分を流用して、他の部分に予算を当てることに。住み始めた時はとくにトラブルもなかったのですが、2年、3年と経つうちにあちこちに不具合が出て、100万円単位のお金が飛んでいきました。
中古住宅は、メンテナンスのことも考えて購入しないとランニングコストがひどいことになる、ということを身を以て学びましたね。
まとめ
- 中古住宅をリノベーションする大きなメリットは、新築よりも安く、自分たちの理想の住まいを実現できる点。
- 反対にデメリットは、下地となる中古住宅の良し悪しを見極めないと、逆に損をする可能性がある点。
- リノベーションを考えるなら、依頼する会社を先に選び、物件選びから手伝ってもらった方が失敗する可能性が低い。
- ケースバイケースだた、費用の相場は500〜2000万円がボリュームゾーン。
- 中古住宅の良し悪しを見極めるときは、築年数、工法、土地の建築制限をチェックするといい。
住宅を購入する目的は、理想の住まいを形にすることです。
中古住宅を買うことでも、リノベーションをすることでもありません。家づくりには様々な工程があり、また様々な業者とやりとりをする必要があります。
ともすれば忙しさに取り紛れて、本当に大切な住む人のことをないがしろにしがち。急いで判断するより、時期を見た方がいいことも少なくありません。
判断に迷った時は、常に「それが家族のためになるか」という原点に帰って、慎重に家づくりを進めてみてください。
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