基本はコレ!二世帯住宅で失敗しないための5つのコツ

基本はコレ!二世帯住宅で失敗しないための5つのコツ

長寿化が進んでいることもあり、住宅を新築するタイミングで親世代との同居を考えるケースも増えています。

しかし単世帯で住宅を建てる場合と比べ、二世帯住宅を建てる際にはさまざまな配慮が不可欠。お金の負担割合など、デリケートな話し合いも必要です。

そこでこのページでは、二世帯住宅で失敗しないために押さえておきたい、重要なポイントをまとめてみました。

これから親世帯との同居を考えている人は、ぜひ参考に目を通してみてください。

この記事がおすすめできる人

  • 二世帯住宅がどういうものか知りたい
  • 二世帯住宅の定番の間取りが知りたい
  • 親世帯との費用負担の割合や、建築費の相場が知りたい
  • 二世帯住宅を建てるときに利用できる助成金制度を知りたい

なお以下の記事では「注文住宅」を建てる時のお役立ち知識を解説しています。ぜひ、本記事と併せてご覧ください!
・ 土地ありで注文住宅を建てる時に知っておきたい6つのこと
・ おしゃれ!マイホームデザイン集-外観を決める3つの鉄則とは?
・ 予算4000万円台で建てた注文住宅のデザイン事例10選

そもそも二世帯住宅がどういうものかを知る

大きな住宅

二世帯住宅は、文字通り2つの世帯が暮らせる大きな住宅のことです。

ただ、一口に二世帯住宅といっても、いくつか種類があり、それぞれにメリット・デメリットが違います。

まずは、種類ごとの二世帯住宅の特徴を押さえましょう。

完全分離

完全分離型は、文字通り入り口も設備も別々の、それぞれの住空間にはっきり線引きがされたタイプの間取りを採用する二世帯住宅です。

メリット・デメリットは以下の通り。

メリット

  • 世帯同士、それぞれのプライバシーを確保できる
  • ライフライン等の請求をきっぱり分けられる
  • 相続税の負担を減らせる
  • 実質的には独立した2棟という形になるため、賃貸や売却が楽

デメリット

  • 設備を共有しないため、建築費・購入費が高くなる
  • 意識しないと世帯同士で顔を合わせることがない

一部共有

一部共有型は、玄関やリビング、水回りなど、住宅の一部を共有する形の二世帯住宅。

世帯間の適度な距離感が保て、また費用も比較的安く抑えられる、バランスの取れたタイプと言えるでしょう。

メリット

  • プライバシーの確保と世帯間のコミュニケーションを両立できる
  • 完全分離より、建築コストを抑えることができる

デメリット

  • 共有空間のルール決めをしておかないと、片方の世帯にストレスが生まれる可能性がある
  • 設備を共有しているため、賃貸や売却に不都合

完全同居

完全同居型は、1つの住宅に2つの世帯が同居する、お互いの住空間の境界が曖昧なタイプの二世帯住宅です。

日曜の夕方に放送している国民的アニメの家族形態をイメージするとわかりやすいでしょう。

メリット

  • 家事の分担により、1人あたりの負担が減る
  • 多様性のある家族構成となり、子供の情操教育にもプラスになる可能性が高い
  • 設備を共有するため、建築コストや入居後の光熱費などを抑えられる

デメリット

  • 義家族と1日に何度も顔を合わせることになり、気疲れしてしまう可能性がある
  • お金のこと(特に生活費)が曖昧になりやすい

二世帯住宅の間取りは将来のことも考えて決める

家族は仲良く同居した方が良い、というような社会通念があります。

しかし昨今の二世帯住宅の流行は、完全分離型。お金の負担は大きいですが、親子世帯で折半することを考えれば、多くの場合、単世帯で住宅を建てるよりもコストパフォーマンスは上がります。

また、核家族化が進んだこともあって、義家族と微妙な距離感を保ちたいと考える人も増えています。

どのタイプの間取りを採用するかを決定するときは、一般論や周りの雰囲気に流されず、住む人全員にとっての最適解を模索するようにしましょう。

また、子供が大きくなったときや、自分たちの老後、両親の介護が必要になった場合などを考えて、調整しやすい間取りを意識することも大切。

住み始めるタイミングだけでなく、将来のことも踏まえて、理想の住宅イメージを固めていくと良いでしょう。

費用相場について知る

巻いたお金

国土交通省が毎年発表している住宅市場動向調査によると、ここ10年の注文住宅の建築費の相場は3,000〜3,500万円の範囲に落ち着きます。

一般に、二世帯住宅の建築費は単一世帯の1.5倍前後と言われていますから、4,500〜5,250万円が相場と考えることができます。

用意すべき頭金について

昨今は頭金ゼロで借り入れできるプランもありますが、その場合、金利が高くなり、返済期間も長引いてしまいます。

資産の運用効率を考えて、本来払う予定だった頭金を投資に回す、というような場合を除いて、頭金は入れておいた方が無難。

頭金の目安ですが、住宅というのは入居して中古になった瞬間に価値が3割下がると言われています。そのため一昔前までは、物件の担保価値からはみ出る3割前後を頭金の目安とするのが一般的でした。

昔ほど厳しくはなくなりましたが、今でも借入額の3割というのが1つの目安となるでしょう。

費用負担の割り振り・考え方を知る

コストのイメージ

二世帯住宅を建てる上で考えておきたいのが、お金に関係すること。

建てるときは、建築費について意識する人は多いかもしれませんが、同居、ないしそれに近い生活を送る以上、生活に必要な諸費用の負担割合をどうするのかということも、早めに考えておくことが大切です。

建築費は半々の負担割合を考えている世帯が多数派

株式会社インタープライズ・コンサルティングが発表した「二世帯住宅についての関心度調査レポート」によると、二世帯住宅の建築費の負担割合について、親子世帯の考えは以下のような割合となっています。

親世帯の意見

  • 32.0%…親世帯と子世帯がほぼ同等
  • 19.7%…親世帯が60%以上、子世帯が40%未満
  • 18.9%…親世帯が80%以上、子世帯が20%未満

子世帯の意見

  • 31.7%…親世帯と子世帯がほぼ同等
  • 19.3%…子世帯が100%
  • 15.1%…親世帯が60%以上、子世帯が40%未満

建築費を半々に分けると考えている世帯が最多、というのは共通していますが、子世帯の2割弱が全額負担と考えているのは、意外と言えば意外な結果ですね。

どちらが話を提案したかによっても違ってくるため、一概にこういう割合で負担すべき、というのは言えませんが、1つの目安として知っておくと良いでしょう。

生活費について

住宅ローンは子世帯、生活費は親世帯、という形で分けたり、住宅ローンは折半で、光熱費は使用量に応じて負担したり、というように、生活費の負担割合についても、様々な意見があります。

こちらも、お互いに不満を感じない割合はケースバイケースで違いますから、世帯間で適宜相談しておくことが大切。

ただ気をつけたいのは、事前にルールをはっきり決めておくということです。できれば同居する世帯の親族が進行役となって、取り決めた支払いルールを紙などに書き出しておくと良いでしょう。

二世帯住宅を建てるための打ち合わせの中で、少なからずお金の話題が出る機会があるはずです。お金のことを持ち出すのは抵抗があるかもしれませんが、そうした機会を捉えれば、自然な形で話し合いを進めることができるでしょう。

二世帯同居のよくあるトラブルを知る

衝突する矢印

義家族が絡む分、単世帯で住宅を建てる場合に比べてデリケートな判断が必要になる二世帯住宅。

失敗を避けるために知識を蓄えるのは大切ですが、普遍的な情報だけでなく、経験者の声にも注意しておくと、より失敗する可能性を下げることができます。

続いては、二世帯住宅でよくある失敗、トラブルを見ていきましょう。

光熱費や税金の負担割合に納得できない

各種設備を2つずつ設置する完全分離型の二世帯住宅であれば別ですが、完全同居型、一部共用型の場合、光熱費を折半で支払っていくことになります。

この割合を感覚で決めてしまうと、長年暮らしていく中で小さな不満が積み重なり、トラブルに発展してしまう可能性が。

住宅に長くいる方が、当然電気やガス、水道を多く使うわけですから、ライフスタイルを省みて、根拠のある負担割合を探ることが大切。

また、各種税金の支払いについても、払える方が払う、というようなスタイルだと片方の世帯に負担が大きく偏ってしまいます。継続的な支払いが発生するものに関しては、お互いに気持ちよく生活できるよう、しっかりルールを決めておくことをおすすめします。

十分なプライバシーがない

生活空間が繋がっていると、プライバシーを十分に確保できません。

たとえ家族であっても、その時の精神状態によっては、鬱陶しく感じてしまうものです。

また、世帯間で生活リズムにズレがある場合、こちらは寝ているのにあちらの生活音がうるさい、あちらが寝ているから好きな音楽もかけられない、というように、お互いが気疲れしてしまうということも考えられます。

採光や広さに目が行きがちですが、部屋の配置を考えるときは、音や臭いも考慮しておくことが大切です。

リビングを通るのが苦痛

リビングを共用スペースにする二世帯住宅はよくありますが、その場合、動線をしっかり考えておかないと、移動のたびにリビングを通る形になってしまう可能性が。

家族の顔を見られる、と考えればいい間取りかもしれませんが、家の中をちょっと移動したいときに毎回義家族と顔を合わせることに抵抗を感じる人も少なくありません。

義家族の距離感やライフスタイルにもよりますが、世帯同士の動線は可能な限り分けておいた方が無難でしょう。

インテリアの趣味が合わない

ちょっと悲しい話ですが、世帯間でインテリアの趣味が合わず、どちらかがどちらかに合わせて我慢をしてしまうというケースも少なくありません。

夫婦間でも同様の問題が持ち上がることはありますが、義家族が相手だと率直に意見を言いづらいのが難点。

もし明らかに趣味が合わないことが同居前からわかっている場合は、血の繋がっている方が間に立って話を進めることを考えましょう。実の親、あるいは子の意見であれば、角の立たない形で意見をすり合わせることができるはずです。

また、パプリックスペースとプライベートスペースで、インテリアテイストを分ける、という方法も効果的。みんなで使う場所だから個性は抑える、という理由づけを行えば、1人の意見だけが反映される事態を避けられるはずです。

相続時の遺産分割が難しい

親世帯が健在のときは問題がなくとも、もし2人とも亡くなってしまった場合、相続の面でトラブルに発展する可能性があります。

二世帯住宅は親世帯の資産でもあり、相続の対象となるからです。住み続ける場合は他の相続人との話し合いが不可欠ですし、売却するにしても住宅を失ってしまいます。

完全分離型や一部共用型であれば、賃貸として貸し出すという選択肢もありますが、いずれにせよお金が絡むデリケートな選択をする必要が。

遺産トラブルを避けるためにも、親世帯が健在のうちに、相続についてしっかり話し合いの場を設けておくことをおすすめします。

補助金制度・優遇制度を知る

最後に、二世帯住宅を建てるときに利用できる補助金制度・優遇制度を紹介します。物件によっては条件にマッチしていなかったり、引き渡し前に制度が終了してしまうものもあるかもしれません。

しかし、質の高い住宅を増やしたい政府は、毎年のように補助金制度を補強・拡充しています。どのような補助金制度があるのかを知っておくだけでも、自分で調べる際の参考になるはずです。

すまい給付金

住まい給付金のキャプチャ

※画像引用元:すまい給付金

住まい給付金は、増税後の税率が適用される住宅を建築・購入する場合に、一定額(申請者の収入や持分割合により決定)の現金が支給される制度です。

実施期間は平成26年4月から令和3年12月まで。給付の条件は、以下をクリアした上で申請書を作成し、各種証明書類とともに住まい給付金事務局へ提出することです。

  • 不動産登記上の床面積が50平方メートル以上の住宅
  • 施工中等に現場検査を受け、「住宅瑕疵担保責任保険に加入した住宅」「建設住宅性能表示を利用する住宅」「住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅」のどれかに該当する住宅。 ※上記は住宅ローンを借り入れた場合の条件。現金取得の場合は別途条件あり。

申請は、持分保有者ごとに行うことになっています。二世帯住宅の場合、出資資金の割合で住宅の持分割合を決めるのが一般的ですから、それに則って手続きを進めると良いでしょう。

住宅ローン減税

住宅ローン減税のキャプチャ

※画像引用元:住宅ローン減税制度の概要|すまい給付金

住宅ローン減税は、住宅ローンを利用する人を対象にした、金利負担の軽減制度です。住宅取得から10年間、毎年の年度末の残債、または住宅取得額のうち小さい方の金額の1%が、所得税から控除されます。

ちなみに、増税が始まる令和元年から10月1日から令和2年12月31日までに入居の場合は、さらに3年控除期間が延長されることになっています。

主な要件は、以下の通りです。

  • 不動産登記上の床面積が50平方メートル以上の住宅
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上

二世帯住宅を建てる場合、親子ローンを組むケースも少なくありません。もちろん、事前にしっかり話し合いやシミュレーションを行うことが前提ですが、住宅ローン減税の節税効果を高めるなら、所得税の多い世帯の返済割合を厚めにしておいた方が得をする可能性が高いです。

長期優良住宅化リフォーム事業

長期優良住宅化リフォーム事業のキャプチャ

※画像引用元:長期優良住宅化リフォーム事業

長期優良住宅化リフォーム事業は、既存住宅のメンテナンスや、多世帯同居のためリフォームを行う場合に、業者に対して補助金が給付される制度です。

業者側が手続きを行ってくれるため手間はほとんどありませんし、補助金は依頼主に還元されます。

ただ、この事業に対して事業者登録されている業者でないと、そもそも制度を利用できないため、依頼先は吟味する必要があります。

同居対応改修に係る所得税額の特別控除

同居対応改修に係る所得税額の特別控除のキャプチャ

※画像引用元:住宅:同居対応改修に関する特例措置 - 国土交通省

個人が返済期間5年以上の住宅ローンを組んで、自分が住んでいる住宅に同居のためのリフォームを行う場合、「同居対応改修に係る所得税額の特別控除」という制度が利用できます。

具体的には、借り入れから5年間は、毎年残債の2%が控除されます。

利用の条件は、以下のいずれかに当てはまる工事で、かつ工事費から補助金等を差し引いた額が、50万円を超えていることです。

  • キッチンの増設
  • 浴室の増設
  • トイレの増設
  • 玄関の増設

また、適用を受けるためには、確定申告時に「明細書」「増改築等工事証明書」「工事の年月日や費用の額がわかる書類(請負契約書等)」「登記事項証明書等」などの原本(または写し)を提出しなければなりません。

次世代住宅ポイント制度

次世代住宅ポイント制度のキャプチャ

※画像引用元:次世代住宅ポイント制度

次世代住宅ポイント制度は、所定の機能を満たす住宅を建築・購入、またはリフォームすることを条件に、1ポイント1円で様々な商品と交換できるポイントを交付してもらえる制度です。

ポイントの発行申請は令和元年6月3日から、ポイントの交換申請は令和元年10月1日〜令和2年6月30日までとなっています。

交付されるポイントは物件の条件や導入する設備などによって変わりますが、最大60万ポイントと、決して小さい額ではありません。特に二世帯住宅の場合は、比較的予算が多いこともあり、次世代住宅ポイント制度が求める高性能な住まいを実現しやすい傾向にあります。利用を検討しておいて損はないでしょう。

まとめ

  • 二世帯住宅には、大きく「完全分離」「一部共用」「完全同居」の3パターンがある
  • 間取りタイプにもよりが、二世帯住宅の費用相場は4,500〜5,250万円と考えられる
  • 建築費の費用負担は、親子世帯で半々というケースが多い
  • 補助金制度・優遇制度は無数にあり、新たな制度も次々登場している
  • 併用できるものも少なくないため、目ぼしい制度には積極的に問い合わせてみるのがおすすめ

住宅を建てるときにもっとも大切なのは、家族の望みを具現化し、末長く快適に住めることです。これは、二世帯住宅でも変わりません。

ただ、単世帯に比べ、二世帯の住宅は世帯間のデリケートな意見の擦り合わせが不可欠。感覚的に物事を進めると、お互いに気持ちがすれ違ってしまわないとも限りません。

そうした事態を避けるためには、可能な限り客観的な事実をベースに打ち合わせをすることが効果的と言えます。

このページで解説した内容を、少しでも活用していただければ幸いです。

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