これまで平屋住宅を建てるのは、子育てを終えたシニア世代が多い傾向にありました。
しかしここ数年、20〜40代の若い世代で、平屋の人気がじわじわと高まっています。少子高齢化や核家族が進んだこともあって、上下階で居住空間を分けるより、平面のコンパクトな間取りの方が生活の利便性が高い、というのが大きな理由。
実際、国土交通省が発表している建設着工統計調査でも、平屋の需要は右肩上がりに伸びており、2020年代に入ってもこの勢いが続くものと見られています。
このページでは、令和の時代にさらなる注目度の高まりが予想されている、平屋の注文住宅に関する基本知識を紹介してみたいと思います。
この記事がおすすめできる人
- 平屋の注文住宅を建てたい人、または建てようか迷っている人
- 平屋のメリットとデメリットが知りたい人
- 平屋に強いハウスメーカー・工務店が知りたい人
- オシャレな平屋を実現するポイントを把握したい人
- 家づくりのコストダウンのノウハウが知りたい人
なお以下の記事でも「注文住宅」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
目次
注文住宅で平屋を選ぶメリット・デメリット
まずは、平屋のメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
メリット
平屋は、文字通り平たい家屋です。2階建てに比べ、住空間が限られます。
ただ、住空間が小ぢんまりしているからこそのメリットというものも少なからずあります。
こだわりたい所に費用を集中できる
まず考えられるのは、同じ面積で2階建ての住宅を造る場合と比べて、トータルコストを抑えられるということ。
階段や二階部分の資材、工事に掛かる費用を丸ごと節約できるわけですから、その金額も馬鹿になりません。
そのぶん住空間も小さくなってしまうわけですが、浮いた分の費用を内装や設備に回すなど、こだわりの実現に振り向けることで、より満足度の高い住宅に仕上げることができます。
家族で空間を共有できる
平屋では、同じフロアに家族全員の生活空間があります。そのためコミュニケーションが取りやすく、自然な形で家族の絆を育むことが可能。
プライバシーを確保するのが難しい、という側面もありますが、将来的に仕切りを追加するなど、あらかじめ間取りを変えることを考えて設計しておけば、大きな問題とはならないでしょう。
安心・安全に過ごせる
高さがないため、構造的に地震に強いというのも、平屋のメリットの1つ。
極力段差の少ないバリアフリー仕様を採り入れれば、将来にわたって安心・安全に過ごせる住まいを実現できます。
デメリット
平屋のデメリットは、基本的にはメリットと表裏一体のものです。
まだ注文住宅の住宅スタイルに迷っている、という場合は、メリット1つ1つに対して、その裏にあるデメリットを慎重に検討し、自分たちの理想の実現に最適な選択肢を丁寧に選んでいくことが重要と言えます。
必ずしも割安になるわけではない
建築面積が同じ場合は、二階建てよりも平屋の方がコストは抑えられます。
ただ、同じ延床面積(フロアの合計面積)を確保しようと考えた場合は、この限りではありません。
居住部分の工事や資材はほとんど変わりませんが、基礎と屋根に関しては、二階建てよりも平屋の方が、倍のコストが掛かってしまうからです。
コスト重視で平屋と二階建てを比較する時は、必要十分な居住空間を割り出した上で、そのコストパフォーマンスを判断することが大切です。
土地が限られる
日本の住宅市場では、まだまだ二階建てが主流です。
既存住宅にも二階建てが多いわけですから、購入する土地をしっかり選ばないと、十分な採光や通風を確保するのが難しいという事実があります。
特に都市部で平屋の注文住宅を建てる場合は、希望する立地と価格の物件を見つけるのに苦労することが少なくありません。
土地の購入から家づくりを始める場合は、土地探しに時間が掛かることを前提に、早め早めに行動を起こすことをおすすめします。
プライバシーを確保しづらい
プライバシーをどう確保するか、というのも、平屋の悩ましいポイントです。
子供の成長や家族構成の変化など、将来を見越して限られた空間をやりくりしていかなければなりません。
また、家族間だけでなく、周囲の視線をどう遮るか、という課題もあります。歩行者はもちろんですが、隣家の二階からの見え方なども考慮しなければなりません。
このように、設計時に検討しなければならない項目が多いというのも、平屋の注文住宅を建てるデメリットと言えるでしょう。
注文住宅づくりの費用について知っておくべきこと
家族の希望を最大限叶える形で予算を配分するためには、まず何にいくら掛かるのかを知っておく必要があります。
続いては、平屋における建築費の相場や、見積もり時に知っておきたい坪単価に関する基本知識を見ていきましょう。
建築費の相場は1500〜2000万円前後
選択する設備や、購入した土地の周辺状況(工事や資材運搬のしやすさ)、建築面積などによっても異なりますが、建築費の相場は2000〜2500万円の範囲に収まるでしょう。
あまり広い間取りは厳しいですが、2〜3LDKの住宅は実現できるはずです。
平屋のコストパフォーマンスは悪い
同じ建築面積の住宅を建てる場合、平屋は二階建てよりも割安となります。
ただ、二階建てと同じ機能を求める場合、よほど工夫しない限り、平屋の面積を広げることで対応しなければなりません。
より多くの敷地面積が必要となり、また基礎や屋根の資材、工事費も発生するため、コストパフォーマンスの観点から言えば、二階建てよりも平屋の方が、分が悪くなります。
空間的なゆとりを確保したい、という希望があるなら、平屋よりも二階建ての方が、コストを抑えて希望を実現できる可能性が高いでしょう。
もちろん、条件がよく、しかも安い土地を見つけることができればこの限りではないわけですが、誰しもがそうした優良物件を見つけられる訳ではありません。
コスト重視で平屋を選択するのは、間違いではないにしても、ケースバイケースで結果が異なるということは知っておくとよいでしょう。
業者ごとに坪単価の内訳が違う
坪単価とは、1坪(約3.3平方メートル)あたりの建築費用のこと。一般に、以下のような計算式で求められます。
- 坪単価 = 住宅の建築費用 / 建物の全フロアの合計面積
坪単価は、案件ごと、業者毎の家づくりのトータルコストを把握するためによく用いられます。
ただ注意したいのが、この坪単価の算出に使われる費用項目が、業者によって違うということ。必ずしも同じ成果物を前提に見積もられる訳ではないため、坪単価だけを根拠に業者を選ぶと、損をしてしまう可能性があります。
見積もりを比較するときは、その金額の根拠となっている項目にも、しっかり目を向けることが大切です。
平屋が得意なハウスメーカー・工務店5選
人気の高まりにより、平屋を標準プランにラインナップしているハウスメーカーや工務店が増えています。
ただ、なるべくなら実績の多い会社を吟味した方が、満足度の高い注文住宅を建てられる可能性が高まるはず。
参考までに、平屋の実績が豊富な業者を5つピックアップして紹介します。
パナソニックホームズ
画像引用元:パナソニック ホームズ - Panasonic
パナソニックホームズは、その名の通りパナソニックグループに属するハウスメーカー。
1977年に設立されたパナホームブランドを起源としており、以来、紆余曲折を経ながらも着実に実績を積み上げている実力派です。
前身となる松下電工が一番最初に手掛けたのは、松下一号と呼ばれる、軽量鉄骨を用いた平屋。
そうした背景もあってか、平屋の提案力も確かで、施主のライフスタイルに応じて、豊富なラインナップの中からフォルムやテイストを選択可能。また、「HIRAYA」という住宅シリーズも完備するなど、ワンフロアに贅沢な住宅性能を詰め込むノウハウには定評があります。
タマホーム
画像引用元:品質も、価格も、叶う家 | 家を建てるならタマホーム株式会社
タマホームは、木造住宅の注文住宅を得意とするハウスメーカー。
完全オーダーメイドではなく、ある程度決められた枠組みの中から希望に合う選択肢を選んでいくタイプの注文住宅ですが、その分ローコストで家を建てられる点が大きな特徴です。
また、コストを抑えながらも、気密・断熱・耐震といった基本性能は高水準。全国展開する大手だけあって、実績も折り紙つきと言えるでしょう。
平屋に関しては、ガレリアートという、平屋とガレージを組み合わせたデザイン性の高い住宅シリーズを用意。特に趣味や芸術を楽しみたい層から、多くの支持を得ています。
ミサワホーム
画像引用元:住宅のミサワホーム|住宅メーカー|ハウスメーカー
ミサワホームは、商品開発力に定評のあるハウスメーカーです。
54の住宅をはじめ、合計で156点ものアイテムでグッドデザイン賞を受賞(2019年11月時)。中でも大収納を効果的に実現した「蔵のある家」は、1996年の受賞から現在に至るまで、廃れることなく高い人気を誇っています。
平屋に関しては、「Granlink HIRAYA」という住宅シリーズをラインナップ。庭や入り口から玄関までの空間を指すソト。家族の共用スペースを指すウチ。プライベート空間を指すオク、という3つのキーワードを軸に、施主家族が過ごしやすい住空間を体系的に提案しています。
クレバリーホーム
画像引用元:【公式】クレバリーホーム (cleverlyhome) 自由設計の住宅メーカー
クレバリーホームは、不動産事業や建設事業、分譲マンション事業などを多角的に展開する、新昭和株式会社が手掛けるフランチャイズチェーン。
全国におよそ150店舗(2019年11月現在)を展開している大手で、外壁タイルを日本でいち早く標準仕様に採用したことでも知られています。
平屋に関しては、「平屋」というそのものズバリなコンセプトモデルを完備。安全・安心・快適という住宅の基本性能を追求しながら、機能性・快適性を両立する家づくりを行っています。
一条工務店
画像引用元:家は性能。こだわりの家づくりなら一条工務店|住宅メーカー(ハウスメーカー)
「家は、性能。」を合言葉に、性能に優れる住宅を数多く手掛けている一条工務店。
社名に工務店と入っていますが、全国各地に450箇所以上もの拠点を展開しており、建築実績も20万棟オーバーと、その実態はもはやハウスメーカーと言えるでしょう。
公式サイトで紹介されている平屋の実例は少ないですが、問い合わせフォームから資料請求できる、「Focus VOICE of ICHIJO」というカタログの中に、平屋の実例をまとめた号が。施主の声も豊富にまとめられており、実績は確かです。
また、過ごしやすい平屋を実現するためには、通気性、断熱性などにもこだわる必要があります。性能を重視する一条工務店であれば、そうしたノウハウにも期待が持てるでしょう。
オシャレな平屋を実現するコツ
家族が快適に過ごせる、というのはもちろんですが、せっかく大金を掛けるのですから、可能な限り見た目にもこだわりたいところですよね。
続いては、平屋をオシャレに演出するポイントについて見ていきましょう。
開放感について
平屋は高さがない分、ともすれば窮屈な印象を与えてしまいます。
空間的なゆとりはオシャレを演出するための大切な要素ですから、できる限り閉塞感の出ない仕上がりを目指したいところ。
大きな窓を設ける、というのが窮屈さをなくす手軽な方法ですが、人間はたとえ一部分であっても、視線が遠くに抜けると開放感を感じます。
しきりの一部をくり抜いたり、壁に小窓を設けてみるだけでも、印象は大きく変わることでしょう。
また、リビングなど、くつろぎスペースの天井を高くしたり、中庭を住宅の中央に配置するというのも効果的です。
外構について
平屋の注文住宅の面白さ、難しさは、屋外との距離のバランスにあります。法律的な縛りや、採光・通風などの実際的な理由もあって、手持ちの土地を全面住宅とすることはほとんどないでしょう。
少なからずの空間を、庭や駐車場として確保することになります。
見た目にオシャレな住宅にこだわるなら、こうした住宅の外側と内側のバランスをどのように配分するかというのが、重要な要素となります。周辺環境やライフスタイルによって、最適な選択肢は違ってきますが、いずれにせよ、全体から見たときに一体感のある仕上がりになるよう、意識してみることをおすすめします。
採光について
平屋は、戸建てよりも低く、また面積も広くなりやすい傾向にあります。周囲を二階建ての住宅に囲まれていることも少なくありません。
そのため、採光をしっかり意識しておかないと、住み始めてから暗さに悩まされてしまう可能性が。
暗さを逆手にとって、落ち着いた照明でオシャレさを演出するという手もありますが、自然光を多く取り入れた方が、選択できるデザインスタイルが広がりますし、何より健康的です。多少のコストを掛けてでも、積極的に確保していきましょう。
1000万円台で平屋は建てるには
可能な限りコストを抑えて理想の注文住宅を建てたい、と考えるのは人情ですよね。最後に、家づくりのコストを抑える定番の方法を紹介します。
業者を吟味する
予算内でできることは限られています。
そのため家づくりのパートナーを選ぶときは、最初の見積もりの段階で、こちらの希望をどこまで盛り込んだ提案をしてくれるか、という点を抜かりなくチェックしましょう。
またその際は、一社、二社を比較して決めるのではなく、納得できるまで粘り強く足を使うことが大切。
ある業者が、予算的に無理があると回答した案件でも、別の業者が持つ知見で解決できるケースは無数に存在します。技術力の高い業者は、たとえ無理難題であっても、希望を深く掘り下げて、別の形で実現する方法を模索してくれるものです。
こちらの予算、希望を踏まえて、真摯に提案をしてくれる業者を徹底的に探しましょう。
規格住宅より注文住宅を選ぶ
多くの業者は、二階建て住宅の商品を中心に規格住宅を展開しています。需要が高ければ生産コストは下がりますが、平屋の需要は上昇傾向にあるとはいえ、二階建てほど高くありません。
平屋の規格住宅は、多少なりとも割高となっているわけです。昨今はローコストの注文住宅も増えていますから、規格住宅よりも注文住宅を選択した方が、お得になる可能性も。
もちろん最適な選択肢はケースバイケースで異なりますが、コストを抑えたいからといって、規格住宅を選べばいいわけではない、ということは、知っておくと良いでしょう。
コストダウンのポイントを知る
家の形や設備の配置など、設計を工夫することでコストダウンを図るのも効果的です。
その際、ポイントとして押さえたいのは、資材費や工事費をいかに削減するかということ。家の形で言えば、四角四面に近い方が。設備で言えば、水回りを一箇所に集中する方が、資材費も工事費も小さくできます。
また、資材や設備のグレードを上げなくても、色使いや素材の組み合わせ方で高級感を演出することは可能です。100万円の素材を10万円に値切ることはできなくとも、10万円の素材を使って100万円に近い仕上がりを実現することはできるかもしれません。
専門知識がなければ難しいですが、忌憚なくコミュニケーションが取れる、信頼できる業者を見つけられれば、妥協することなく予算内で希望を叶えられる可能性は十分にあります。
まとめ
- 住空間が平面的である分、家族のつながりを感じられ、また構造的に強いというのが平屋のメリット。
- トータルコストは抑えられるが、コストパフォーマンスで言えば必ずしも高くない。
- 価格よりも、平屋の過ごしやすさに魅力を感じるかどうかが選択の分かれ目。
- 選ぶ土地によって家の過ごしやすさが大きく左右されるため、土地探しは慎重に行うことが大切。
- 平屋の建築費の相場は2,000〜2,500万円前後。
長寿化、核家族化が進んだこともあって、段差が少なく、かつ無駄の少ないコンパクトな住宅の需要が高まっています。これからの時代、さらに平屋の注目度は増していくことでしょう。
家づくりを考えたときに、このページの内容が少しでも参考になれば幸いです。
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