「いつか自分の希望どおりの家を建てたい!」
こうお考えの方は多いでしょう。皆が憧れるマイホームですが、やはり一番大きな問題は予算。 予算がふんだんにあれば、さまざまな要望も実現しやすいですが、なかなかそうはいかないのが悩ましいところ。
無理をせず、かといって妥協もしない家造りが1000万円でどこまで可能なのでしょうか? この記事では、1000万円前後で建てた住宅の実例を紹介するとともに、コストダウンのポイント、妥協してはいけない点、予算の考え方などをわかりやすく整理してみました。
「安くていい家」を実現するために、この記事がお役に立てば幸いです。
目次
1 資金繰りのメリットがいっぱい
1000万円という低予算だからこそ資金繰りの点で負担が軽く、様々なメリットが得られます。
- ローンの審査が通りやすい
- 月々の返済額が少なくてすむ
- 生活に余裕が生まれる
- 年収が低い20代でも新築一戸建てが購入できる
高価な家を建てる場合、ローン審査が通りにくかったり、月々の返済が大変だったりします。せっかく希望の家を建てても、高額なローン返済が家計を圧迫したり、ストレスになってしまったら台無しです。資金繰りに余裕がある1000万円の家は、家計を楽にし、精神的なゆとりを住む人にもたらします。
2.建築費1000万円で実現できた注文住宅の施工実例3点
まずは建築費1000万円前後でどのような間取りが実現できるのか、具体例を見ていきましょう。 2階建てと平屋の場合をご紹介します。
2-1. 2階建ての外観と間取り
2階建て実例1
出典:はなまるハウス
こちらの物件は32坪(106㎡)4LDKで建築費は998万円。
リビングやキッチンからお子さんを見守ることができるキッズリビングは、お子さんが成長したら間仕切りを設けて独立した子供部屋にすることが可能です。
モノが多くなりがちなキッチンには、食品や飲料、調理道具などを収納できるパントリーを設置。すっきり片付いたキッチンで毎日の料理が楽しく快適に。
大容量な収納スペースも設けているので、整理整頓に役立ちます。
2階建て実例2
〈1階〉
〈2階〉
出典:SUUMO ジブンハウス
こちらの物件は 34坪(113.46㎡)4LDKで建築費は1048万円。
一家団欒の時間をくつろげるものにしたいと、琉球畳を敷き詰めた和室ユニットを増設したのが大きな特徴で、リビングのソファに座ったり、和室に移動して横になったりと、家族が思い思いの態勢でリラックスすることができます。また、外部からの視線を遮りつつ、光や風が緩やかに通り抜けるように設計されているため、居心地のいい空間に仕上がっています。
キッチンは人気の対面式。調理中もリビングにいる家族との会話がはずみます。カウンター越しに料理の受け渡しも簡単にでき、配膳がスムーズに。
2階の広めのバルコニーは周囲を壁で囲い、人目を気にせず日光浴を楽しめるのも魅力です。
2-2. 平屋の外観と間取り
出典:アイパッソの家
こちらの物件は23坪(77.84㎡)3LDKで建築費は1,117万円。
広々とした18帖のリビングキッチンに加え、3つの洋室を配した平屋住宅です。各部屋にクローゼットも設置しているので収納面も安心。コンパクトながら機能性の高い間取りとなっています。5.2帖の洋室2室を子供部屋にし、6帖の洋室を夫婦の寝室にすれば、家族4人で生活することができます。
平屋は家族同士のコミュニケーションがとりやすく、移動が簡単でメンテナンスも楽なため、生活満足度が高い居住空間と言えるでしょう。
3 1000万円の家を建てるのに必要な6つのポイント
一般的にマイホームの建築費用は、建物だけで2,000〜3,000万円程度の資金が必要です。そんな中、1,000万円以下〜1,000万円台で注文住宅を建てられる「ローコスト住宅」が注目を集めています。
通常、家の建築費は材料費・人件費・諸経費からなっています。無駄を省いてこの3つの費用を抑え、比較的安い建築費で建てられるのがローコスト住宅です。ローコスト住宅は一般的に、広さが35坪前後、坪単価が20〜40万円台という物件が多いようです。
ローコスト住宅と言えど、一生お付き合いするマイホームですから、「安かろう悪かろう」にしないためにはそれなりの工夫が必要です。
3-1. メーカーを精査しよう
一口に住宅メーカーといっても、全国規模の大手メーカーから地域密着型の工務店まで、その規模や形態は様々です。優良メーカーに巡り会うために何をしたらいいのでしょうか。
相見積もりを取る
低価格で品質の良い注文住宅を建てるためには、まずは情報収集から着手しましょう。ハウスメーカーに資料請求をし、相見積もりをとって、徹底的に比較します。
注文住宅には定価というものがありません。同じ間取りであっても、メーカーによって仕様や施工方法が違うため、値段が異なるからです。1社だけの見積もりをとっても、その価格が適正なのかを判断することはできないのです。
複数のメーカーから相見積もりを取れば、値段の高い、安いもわかりますし、そのメーカーのサービスや提案の良し悪しが判断しやすくなります。
どこに依頼するか
建築を請け負う大手住宅メーカー、ローコスト住宅メーカー、工務店には、それぞれメリット・デメリットがあるので、把握しておきましょう。
①大手住宅メーカー(坪単価目安80~100万以上)
メリット
- 断熱性、気密性、耐震性、耐久性、省エネ性などの住宅の性能が優れている
- 施工精度が高く、品質が安定しており、欠陥住宅や手抜き工事が少ない
- 住宅ローンの金利が安くできる
デメリット、注意点
- 建築費が高くつく
営業マンなどの人件費やCMなどの宣伝費などがかかっているので、こういった費用は建築費に上乗せされたり、依頼主には見えない材料費などでコストを削減している可能性があります。
- 設計の自由度が高くない
基本的に企画商品が前提となるので細かい要望に応えづらく、フルオーダーにすると高くつきます。
②ローコスト住宅メーカー(坪単価目安45万円程度)
メリット
- 薄利多売、大量発注でコストダウンしているため、建築費が安い
デメリット、注意点
- 広告掲載の金額には付帯工事や外構工事が含まれないことが多い
- 内装・設備のバリエーションが限られていて、変更やグレードアップをするとオプション費用がかかる
- 人件費を抑えているため、職人一人あたりの負担が大きく工事の品質に影響する場合がある
③工務店(坪単価目安60万円〜)
メリット
- 地元密着型の中小規模が多いため、人件費や宣伝費などの経費が大手に比べてあまりかからず、結果的に建築費が安くなる
- フットワークが軽いため、依頼主の要望に臨機応変に対応してくれる
デメリット、注意点
- 工事に未熟な職人が建築に携わる可能性がある
- 住宅ローンの審査が通らない場合がある
総合的に考えると、大手住宅メーカーは品質に安心感があるとはいえ予算的に厳しいでしょう。ローコスト住宅メーカーか工務店に依頼するのが現実的です。
とはいえ、宣伝力のない中小規模のメーカーの場合、どんな会社があるのかそもそもわからないし、優良メーカーを見極めるのも難しい。その上、一社一社にアクセスしてやりとりするのは結構な手間。
そこで便利なのが複数のハウスメーカーからまとめて間取りプランや見積もりを取り寄せられるサイトです。
出典:タウンライフ 家づくり
タウンライフ家づくりとは、全国のハウスメーカーと提携し、
- 希望の間取りプラン
- 注文住宅建設費用の資金計画書
- 土地探しの情報
を無料で送付してくれるサービスです。
利用者はまず自分の居住する地域と家を建てたい地域を選びます。そうすると、その地域で注文住宅の建設に対応できるハウスメーカーや工務店から資料を一括して取り寄せることができます。優良メーカーと出合うため、メーカー選定を効率化するために積極的に活用したいですね。
また、メーカーの良し悪しを判断するには、そのメーカーが過去施工した家を見せてもらったり、家のオーナーに住み心地やメーカーの対応などを聞くのも有効な方法です。
3-2. 家のつくりはシンプルに
1000万円の家づくりの鍵はコストダウン。家は複雑なつくりになると工数が増えたり、資材のロスも出やすくなるため、コストが上がります。なるべくシンプルなつくりにすることがコストダウンのポイントです。
- 家の形
シンプルな箱型にして外壁の表面積を少なくすれば、下地材、仕上げ材に使われる材料や工事の手間も減らすことができます。また角が少ない方が資材が少なくてすみ、コーナー処理にかかる手間も省けます。
- 屋根の形
屋根の形も、単純なデザインの片流れや切り妻屋根にし、傾斜も緩やかにしたほうが安くあげられます。
- 間取り
部屋が多くなると、壁の材料費がかかり、部屋ごとに照明や建具も必要になってコストがかかるので、広めの部屋を少なく設ける間取りにするとよいでしょう。
- 水回り
キッチン、洗面所、バス、トイレといった水回りはなるべく近いところにまとめて配置しましょう。給排水管などの設備を節約することになり、コストダウンできます。
- 全部屋を洋室に
洋風住宅の中で一部屋だけ和室をつくると、畳や障子などそこにしか使わない建材を使うため、材料費が割高になります。洋室だけにすれば費用を削減することができます。
2-3. 設備のグレードを抑える
1000万円という制限がある以上、下げられるコストは下げましょう。具体的には以下のようになります。
- 外壁塗装
外壁塗装のグレードを下げればコストダウンにつながります。紫外線対策のコーティングがされていないものになったりしますが、住むのに問題はありません。
- 設備機器
システムキッチン、トイレ、システムバス、サッシなどの設備機器はメーカーの指定をせず、施工会社が安く仕入れるルートを持っているメーカーのものを採用した方がコストを下げられます。
- 仕上げ材
壁、天井、床の素材は部屋ごとに変えるのではなくなるべく統一しましょう。工数が減り、素材のロスも少なくできます。また量産品の中から選ぶとさらにコストダウンが可能です。
2-4. ライフサイクルの変化に対応できる設計に
部屋を仕切れるようにしておけば、部屋を広くしたり、二つに分けたりとライフサイクルの変化や住む人数に応じた間取りの変更が簡単にでき、無駄な空間をつくらずにすみます。
例えば、子供が小さいうちは広い寝室を家族で使い、子供が成長してプライバシーを気にするようになってきたら、可変式の壁があれば、独立した2部屋にすることが可能です。また、子供が独立した後は、壁を取り外せば再び広い一部屋として使え、使いみちのない狭い部屋が残ってしまうという問題がおきません。
2-5. 安全性・快適性に関わる予算は削らない
コストダウンできるところは削っていくのが基本ですが、安全に関わる部分や、住み心地に悪影響を与える妥協は避けるべきです。
耐震性
地震が多い日本。将来的に大きな地震が高い確率で発生することが指摘されており、地震対策はしっかりと講じておきたいものです。
耐震性能は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)において、倒壊防止と損傷防止能力について、3つの等級が決められています。倒壊防止については、以下のように、地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊のしにくさを示します。
-
極めて希に(数百年に一度程度)発生する地震力が建築基準法で定められており、性能表示制度ではこ れに耐えられるものを等級1としている。
-
想定する地震の揺れの強さは、地域により異なるが、この揺れは、東京を想定した場合、震度6強から7程度に相当し、関東大震災時の東京、阪神淡路大震災時の神戸で観測された地震の揺れに相当。
-
等級は1から3まであり、等級2は等級1で耐えられる地震力の1.25倍の力に対して倒壊や崩壊等しない程度を示しており、等級3では1.5倍の力に耐えることができる。
つまり、等級数が大きいほど耐震性が高いと言え、それに応じて工事費も上がる傾向にあります。「倒壊しない」よりも「揺れない」ことに重きを置いた免震や制振機能を備えられるのが望ましいのですが、それではコストがかかってしまうため、ローコスト住宅では耐震に力を入れることが多いと言えます。
ローコスト住宅でも等級3をクリアしている住宅メーカーは少なくないので、耐震性に力を入れているメーカーを選ぶようにしたいものです。
気密性
気密性はランニングコスト(光熱費)や家の寿命に関わるので、おろそかにしたくないポイントです。いかに効果的に断熱と換気を行うかがポイントになります。
- 断熱
断熱とは、繊維や発泡樹脂などを用いた断熱材を使って空気を固定し、熱伝導率を低くすることです。ローコスト住宅の断熱材としてよく使われるのはグラスウール。そのメリットは安いこと。グレードの高いものは高くなりますが、その分断熱効果を期待できます。防音性に優れ、不燃性なので耐火性能が高いという長所の反面、施工が難しい、湿気に弱いという短所があります。
グラスウールを使う場合、鍵になるのは施工品質。予算上、グラスウールしか使えないというメーカーもあるかと思いますが、クチコミや施工実績などを確認して、そのメーカーの施工品質をしっかりと把握しておくことが大切です。
他にも、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ロックウールなど、様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットがありますので、どの断熱材を使うのか、どんな選択肢が用意されているのかメーカーに尋ね、確認しておきましょう。
- 換気
換気は24時間行うことが義務付けられています。冷暖房した空気を逃さない気密性は大切ですが、換気をしなければ湿度が高くなり、結露やカビが発生して家にダメージを与え、寿命を短くしてしまいます。
住宅によく採用される換気方式には、第一種換気方式と第三種換気方式があります。
①第一種換気方式
- 外気の取り込みと汚れた室内の空気の排出の両方に換気扇を使うシステム
- 外気の取り込みと排気を部屋ごとではなく集中管理し、通常、各部屋にはダクトを配管する
- 室内外で圧力差が生じにくく隙間風などが入りにくいため、効率的な換気が行える
- 冬場など内外の温度差が大きい時に、換気で失う熱量が少ない
- 初期費用、ランニングコストが高い。メンテナンスが必要
②第三種換気方式
- 排気のみ換気扇を使用し、外気の取り込みは各部屋に設置した吸気口から自然に取り込むシステム
- 排気によって家の中を負圧にするため、隙間風が入りやすい
- 気密性を高めた上で空気の流れを適切に設計しないと、家全体をうまく換気できない
- システムがシンプルで低コスト。メンテナンスがほぼ不要
日本の住宅の大半は、安価でメンテナンスが簡単な第三種換気方式を採用しています。北海道などの寒冷地でないかぎりは、第三種換気でも大丈夫でしょう。しかし、換気の質を気にされる方は、メーカーに相談することをお勧めします。
注文住宅の気密性については、以下の記事でより詳しく解説しています。
気密性の高い家ってどんな家?注文住宅を建てる前に知っておきたいこと
4 1000万円の家を建てるために注意すべきお金に関する3つのポイント
最後に、限られた予算ならではの、お金に関して注意したい2つのポイントを整理してみます。
4-1. 建築費以外にかかるコストがある
ローコスト住宅の場合、広告で表示している金額は極限まで下げた値段であることが多いものです。家を建てるには建物本体工事費、付帯工事費、諸費用が発生しますが、広告には建物本体工事費のみで表示されていることがままあります。本体工事費の他に、外構工事費や諸経費が20%ほど上乗せされるということを覚えておきましょう。
また、標準装備となる住宅設備機器もグレードの低い、最安値のものを使う前提で表示価格を組んでいたりするので、その場合は使い勝手が悪い設備機器である可能性も高く、グレードを上げると価格が跳ね上がるケースもあります。
さらには、通常なら標準仕様であろう部分もオプション扱いになる場合があります。例えば和室を作る、コンセントを増やすといったことでオプション料金を取られることもあるのです。
注文住宅の家づくりでは、予想外の出費が発生しがちですので、ギリギリの予算を組まず、最低でも10%程度資金に余裕をもたせるようにしましょう。
4-2. メンテナンスにかかるコストも考慮する
長年住む家を維持していくためには、建築コスト以外にも、一定期間ごとにリフォームやメンテナンスを行う必要があります。予算を組むとき、そういった維持費についても考慮するようにしましょう。
例えば、一般的に値段が安い外装塗料や屋根材は、高性能・高品質ゆえに値もはる高いものに比べ、耐久性においては劣ると言えます。リフォームやメンテナンスを頻繁に行わねばならなかったり、将来的に高額な費用が発生するグレードのものは避けたほうが良いでしょう。
安価なものであっても、なるべく耐久性に優れたものを選ぶよう建材メーカーに確認しましょう。
注文住宅のメンテナンスについては、以下の記事でもより詳しく解説しています。
4-3.注文住宅の経年劣化について
上述した通り、快適な家の維持には適切なメンテナンスが必要です。下記の記事では、築年数ごとにどのようなトラブルが起きやすいのか、またその対策について掲載しています。
場所や素材ごとの特徴についてもまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
5 まとめ
1000万円という予算枠の中で、納得のいくマイホームを建てるためのポイントをお伝えしてきました。 大切なポイントをもう一度おさらいします。
- 資料請求と相見積もりをとり、メーカーを精査する
- 間取りはシンプルに
- 設備や建て具のグレードを抑える
- 将来に備えてライフサイクルの変化に対応できる設計に
- 安全性・快適性に関わる予算は削らない
また、お金の面で考慮に入れておくポイント
- 建築費以外にかかる費用がある
- 10%程度の余裕を予算に入れておく
- リフォームやメンテナンスにかかるコストも考慮に入れておく
以上もしっかり押さえて、ローコスト住宅でも安心、快適に住むことのできるマイホームの実現にお役立てください。
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