やさしくわかる次世代住宅ポイント制度

やさしくわかる次世代住宅ポイント制度

国が用意する補助金や助成金などの制度は、ほとんどの場合、利用すれば得をします。

しかし、手続きが複雑だったり、一見すると難しそうに見えたりして、手間を惜しんで無視してしまう人も少なくありません。

数百円、数千円程度の得であればそれも1つの考え方ですが、数十万円単位となると、少々勿体無いですよね。特に、住宅購入やリフォームのように大きなお金が動く買い物の場合はなおさらです。

このページでは、2019年の消費増税以降に住宅を購入する人にぜひ知っておいて欲しい、次世代住宅ポイント制度の基本的な知識を解説していきたいと思います。

この記事がおすすめできる人

  • 次世代住宅ポイントに関して基本的な概要を把握したい
  • 申請の流れや必要書類について知りたい
  • 住宅を新築・購入する際に利用できる助成金制度が知りたい
  • 助成金制度に関連する住宅の種類(長期優良住宅や低炭素住宅等)が知りたい

なお以下の記事でも「注文住宅」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
・ 知っておくとトクする各自治体の新築補助金まとめ【全国版】
・ 注文住宅づくりで得する補助金・助成制度ガイド【2019年版】
・ 【最新2019年】リフォーム補助金で税制優遇!補助金&助成金でお得にリフォームしよう

そもそも次世代住宅ポイント制度とは

次世代住宅ポイント制度公式サイトキャプチャ

※画像引用元:次世代住宅ポイント制度

まずは、次世代住宅ポイント制度がどういった制度なのか、基本的な知識をまとめてみます。

なんのための制度?

次世代住宅ポイント制度は、一言で言えば、住宅を新築・購入・リフォームする人に対する、増税の負担を軽くするための制度です。

2019年10月に、消費税が8%から10%に引き上げられます。

2%の増税は、数字だけ見ればわずかですが、住宅購入のように金額の大きい買い物の場合は数十万円、場合よっては百万円単位で金額が変わってきます。

不動産業界の生産額はGDPの10%以上を占めており、消費が落ち込むと日本経済に悪影響を及ぼしてしまう可能性が。

そこで政府は、不動産の消費を促すために、すまい給付金の増額や住宅ローン減税の控除期間の延長といった、さまざまな対策を打ち出すことにしました。

次世代住宅ポイント制度も、その流れで新設された優遇措置の1つというわけです。

どういう住宅が対象?

制度の対象となる物件は、以下の通りです。

-契約
注文住宅(持家)・リフォーム ・2019.4~2020.3に請負契約・着工をしたもの(※)
分譲住宅 ・2018.12.21~2020.3に請負契約・着工し、かつ売買契約を締結したもの
・2018.12.20までに完成済みの新築住宅であって、2018.12.21~2019.12.20に売買契約を締結したもの
※税率引上げ後の反動減を抑制する観点から、2018.12.21~2019.3に請負契約を締結するものであっても、着工が2019.10~2020.3となるものは特例的に対象とする

参考:次世代住宅ポイント制度の概要

いずれも2019年10月以降に引き渡しされた住宅に限られます。また、注文住宅も分譲住宅も、新築でなければなりません。

ちなみにポイント制度全体の予算は、1300億円(新築分譲住宅・注文住宅で1032億円、リフォームは268億円)となっており、この予算枠を越えたら終了となります。

利用を検討される場合は、早めに行動されることをおすすめします。

給付されるポイントの上限は?

注文住宅・分譲住宅を購入する場合は、1戸あたり合計35万ポイントまで。リフォームの場合は、1戸あたり合計30万ポイントまでが上限です。

ただ、特例が2つあり、若者・子育て世帯がリフォームを行う場合は45万ポイント(中古住宅を購入してリフォームする場合は60万ポイント)まで。

若者・子育て世帯以外が安心R住宅(建物状況調査等が行われた良質の中古住宅)を購入してリフォームを行う場合は、45万ポイントまで上限が引き上げられます。

ポイントは何と交換できる?

次世代住宅ポイントは、以下のようなカテゴリの商品と交換することができます。

  • 家電
  • インテリア
  • 雑貨・日用品
  • 地場産品
  • 食料品・飲料
  • スポーツ・健康増進
  • 福祉・介護用品
  • 防災・避難用品
  • ベビーキッズ用品

はっきり換算できるわけではありませんが、概ね1ポイント=1円に見合う、幅広い商品がラインナップされています。

ポイント交換の対象商品は2020年3月31日まで随時追加されていますから、具体的な商品名が知りたい場合は、次世代住宅ポイント公式サイトにある交換商品の検索機能を試してみてみることをおすすめします。

申請について

契約書

続いて、次世代住宅ポイント制度を利用するために必要な申請について見ていきましょう。

制度利用の大まかな流れ

次世代住宅ポイントを制度を利用するには、以下のようなステップを踏む必要があります。

  1. 工事完了前・工事完了後、いずれかのタイミングで事務局に対してポイント発行申請を行う(ポイント発行申請は2019年6月3日から可能)。
  2. 事務局からポイントを発行してもらう。
  3. 次世代住宅ポイント制度の公式サイトやキュレーションサイトなどで欲しい商品を探す。
  4. 事務局に対して商品の交換申請を行う(商品交換申請は2019年10月頃から可能)。
  5. 申請が通ってから3〜4週間ほどで、事業者から商品が送られてくる。

商品の交換申請は、ポイントを使い尽くすか、2020年6月30日の期限を迎えるまで、何度も行うことができます。

申請のタイミング

ポイント発行申請のタイミングは、以下の3つが考えられます。

  • 工事完了前…工事請負契約(分譲の場合、売買契約)を締結した後。
  • 工事完了後…工事が終わって引き渡された後。
  • 分譲予約(業者の場合)…住宅購入者が決まり、契約を結んだ後。

工事完了前に申請を行うと、入居よりも早い段階でポイントを確保し、使える可能性があります。

ただし、申請後に工事の変更などが発生した場合、内容によっては交付されたポイントを1ポイント1円換算で返金しなければなりません。

申請タイプとは

次世代住宅ポイント制度の申請は、どのタイミングで行うかや、新築かリフォームかといった諸条件によって、11個のタイプに分けられています。

申請タイプによって条件が微妙に違いますので、自身のケースがどのタイプに当てはまるのか、事前にしっかり確認されておくことをおすすめします。

ちなみに次世代住宅ポイント制度の公式サイトには、申請タイプがわからない人に向けた診断ツールが用意されています。

細かい諸条件を確かめるのは手間が掛かりますから、該当タイプがわからない時は、ぜひ活用してみると良いでしょう。

必要な書類と提出方法

必要な提出書類は、どの申請タイプによって該当するかによって違ってきます。

たとえば注文住宅を建てようとしており、工事完了前に申請を行う場合は、以下のような書類が求められます。

工事完了前の申請で必要なもの

  • ポイント発行申請書の原本
  • 工事請負契約書のコピー
  • 建築基準法に基づく確認済証のコピー
  • 工事計画書(注文用)の原本
  • 申請者の本人確認書類のコピー

場合によって必要なもの

  • 分離発注業者一覧の原本
  • 代理申請者の本人確認書類のコピー(※代理申請の場合)

また、工事完了後には、以下のような書類も提出する必要があります。

工事完了報告の申請で必要なもの

  • 完了報告書の原本
  • 建築基準法に基づく検査済証明
  • 工事証明書(注文書)
  • 申請者の住民票の写し

場合によって必要なもの

  • 分離発注事業者一覧
  • 工事管理報告書のコピー
  • 住宅の性能基準の認定通知書のコピー
  • 住宅設備の性能証明書等のコピー
  • 除却住宅の不動産登記閉鎖事項証明書の原本
  • 除却住宅の解体に伴う産業廃棄物管理票(マニフェスト)のB2票のコピー

ほか、建て替えの場合、古い住宅が耐震基準を満たしていなかった場合、性能評価機関から各種証明書を発行してもらい、それを提出する必要があります。

申請タイプで必要書類が変わるうえ、このように同じ申請タイプであっても細かく条件が分かれます。書類の数も多いですから、もし不安な場合は事務局の相談窓口に確認されることをおすすめします。

ポイント別に見る交付の条件

ToDoリスト

次世代住宅ポイント制度では、建てる(あるいは購入する)住宅がどういった性能を持っているか。また、どういった設備を導入しているかによっても、発行されるポイントが変わります。

もらえるポイント別に、交付の条件をチェックしてみましょう。

30万ポイントの条件

新築住宅の場合、以下のいずれかの条件をクリアすると、30万ポイントが交付されます。

  • エコ住宅…断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 長持ち住宅…劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上
  • 耐震住宅…耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
  • バリアフリー住宅…高齢者等配慮対策等級3以上

いずれも基準となるのは、品確法に基づく、日本住宅性能表示基準で定められた等級です。

35万ポイントの条件

30万ポイントの交付条件を満たした上で、以下のいずれかの住宅性能をクリアしている場合、さらに5万ポイントが上乗せされます。

  • 認定長期優良住宅
  • 低炭素認定住宅
  • 性能向上計画認定住宅
  • ZEH

15万ポイントの条件

15万ポイントは、耐震性のない住宅を建て替える場合、または、リフォームでホームエレベーターを設置する場合に交付されます。

ちなみに建て替えの場合は、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 耐震性のない住宅を除却(取壊しなどにより固定資産の計上をやめる手続き)した人が、自分が住む目的で住宅を建築・購入する場合。
  • 住宅の除却が、2018年12月21日以降に行われていること。

10万ポイント

  • 若者・子育て世帯が、中古住宅を購入して100万円上のリフォームを行う場合。

10万円以上の大きなポイントが交付されるのはここまでで、以降はリフォームの内容や箇所、指定の家事負担軽減設備を導入する場合に細かくポイントが加算されていきます。

その他

ここからはリフォームの内容や導入設備別に交付ポイントをまとめていきます。

ちなみに、導入することでポイントが得られる設備は、次世代住宅ポイント制度の「対象商品の検索」ページで探すことができます。参考にしてみてください。

断熱改修リフォームの場合

改修箇所交付ポイント
内外窓、ガラス0.2〜2万×改修箇所
ドア2.4、2.8万ポイント×改修箇所
外壁5、10万ポイント
屋根、天井1.6、3.2万ポイント
3、6万ポイント

エコ住宅設備を導入する場合

改修箇所交付ポイント
太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器2.4万ポイント
節水型トイレ1.6万ポイント
節湯水栓0.4万ポイント

バリアフリー改修工事を行う場合

改修箇所交付ポイント
手すり0.5万ポイント
段差解消0.6万ポイント
廊下幅等拡張2.8万ポイント
衝撃緩和畳の設置1.7万ポイント

家事負担軽減設備を導入する場合

改修箇所交付ポイント
ビルトイン食器洗機、掃除しやすいトイレ、浴室乾燥機1.8万ポイント
掃除しやすいレンジフード0.9万ポイント
ビルトイン自動調理対応コンロ1.2万ポイント
宅配ボックス1万ポイント

その他

改修箇所交付ポイント
リフォーム瑕疵保険の加入、インスペクションの実施0.7万ポイント

制度に関連する住宅の種類

設計書

最後に、助成金や補助金制度について調べる中で少なからず目にするであろう、様々な住宅の種類について見ていきましょう。

エコ住宅/エコハウス

エコ住宅(=エコハウス)とは、環境省が推進する「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」で普及を目指している、環境に優しい住宅です。

具体的な条件としては、環境基本性能(通気性・気密性・断熱性など)を備え、消費エネルギーが最小限に抑えられていること。必要なエネルギーを、太陽光発電や地熱発電など、各地域の特色に併せた方法で確保できること、などが挙げられます。

また、地域の木材を使うなど、そのエリアの特色に根ざした家づくりを行う、というのも重要な条件です。

現在は、全国各地の20の自治体を対象に、エコハウスモデルの整備が進められており、市町村によっては、該当する条件をクリアすることでエコハウス補助金をもらえる可能性があります。

耐震住宅

住宅について調べていると、「耐震住宅」という単語を少なからず目にします。しかし実は、耐震住宅にははっきりとした定義がありません

優遇措置の対象として耐震住宅という表記が用いられるケースも少なくありませんが、その場合は必ず耐震等級いくつ以上、というような具体的な条件が付いています。

ただ耐震住宅という単語を単体で使う場合、具体的な定義がないことは知っておくとよいでしょう。現在の建築基準法を守って建てられた住宅は、すべて耐震住宅と言うことができます。

バリアフリー住宅

バリアフリー住宅は、高齢者や幼児、何らかの障害のある人に配慮された住宅のことを指します。たとえば段差を極力減らしたり、手すりを設置したり、通路等の幅を広くしたり、といった事項です。

住宅性能表示制度には、7段階の高齢者等配慮対策等級が定められており、どこまで条件をクリアするかによって、その住宅のバリアフリー性能が決まります。

長期優良住宅

長期優良住宅は、文字通り長年にわたり資産価値の減らない、快適に住める住宅のこと。

バリアフリー性や、間取りの可変性、耐震性、省エネ性能、住環境など、構造や設備に一定の条件をクリアした上で、所管の行政庁に申請をすると、長期優良住宅として認定をもらうことができます。

世界的なエコ意識の高まりや、人口減少などを受けて、国は長期優良住宅の普及を急いでいるという背景が。建築を希望する人に対する、さまざまな助成制度が用意されているので、興味がある方は調べてみると良いでしょう。

ちなみに当サイトでも、「注文住宅づくりで得する補助金・助成制度ガイド【2019年版】」というページでまとめています。

認定炭素住宅

認定炭素住宅は、外皮の熱性能と一次エネルギー消費量。そして、2つ以上の低炭素化対策が施された住宅のことです。

低炭素化対策とは、たとえば節水機器の設置や、屋上の緑化。木造、といった項目です。

着工前に諸条件をクリアして所管行政庁(都道府県や市・区)に申請を行い、認定が通れば、金利優遇や税制優遇を受けることができます。

性能向上計画認定住宅

性能向上計画認定住宅も、長期優良住宅や認定炭素住宅と同じように、一定の評価項目をクリアすることで所管の行政庁に認定をもらう住宅。

性能向上計画認定住宅には税制優遇はありませんが、金利優遇や容積率の緩和といったメリットが受けられます。

ちなみに評価される項目は、外皮の熱性能と一次エネルギー消費量の2つです。

ZEH

ZEH(ゼッチ)は、ゼロエネルギーハウスの略で、ゼッチなどとも呼ばれます。

文字通り、消費エネルギーを見かけ上ゼロに近づけるための工夫が施された住宅で、高気密・高断熱等による省エネ、太陽光発電、エコキュートなどによる創エネを両立しているのが特徴です。

消費量を抑えつつ、住宅自身がエネルギーを作り出すことで、エネルギー的な独立を目指すわけです。

日本政府は2030年までに、ZEHを平均的な日本の新築住宅にすることを目指しており、普及を後押しするためにZEHを建てる人に対する補助金制度なども用意しています。

まとめ

  • 次世代ポイント制度は、増税の前後に住宅を購入したり、リフォームしたりする人に対する、増税の負担を軽くするための制度。
  • 所定の条件をクリアすることで、1戸あたり35万(リフォームの場合30万)を上限にポイントが交付される。
  • お金として使える訳ではないが、1ポイントあたり1円換算として、様々な商品と交換することができる。
  • 商品は2020年3月31日まで随時追加されており、ラインナップされている商品は次世代ポイント制度の公式ページで確認できる。
  • ポイントの交付申請は2019年6月2日から、ポイント交換期限は2020年6月30日までとされている。

次世代ポイント制度は、数十万円、他の制度と組み合わせて利用すれば、百万円単位のお金を節約できる魅力的な制度です。申請書類が多く手続きは少々ややこしいですが、相談窓口なども充実しており、大きな手間にはならないはず。

増税の前後に住宅の新築や購入、リフォームを検討している人は、この機会にぜひ詳細をチェックされてみることをおすすめします。

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