住宅ローンは10年間でいくら減税?計算方法や条件を確認しよう

住宅ローンは10年間でいくら減税?計算方法や条件を確認しよう

ローンを利用して住宅を購入した場合、収入から支払っている住民税や所得税など各種税金が控除される「住宅ローン減税」制度が適用されます。

住宅ローン減税は10年間に渡って納税負担を軽くすることにより、家を持つことを後押しして経済を活性化する効果が期待されています。さまざまな減税制度の中でも住宅ローン減税が適用される期間が長いだけでなく、控除・減額される金額も大きいです。

スムーズなライフプランや資金計画のためにも、住宅ローン減税の基本や計算方法、条件などを確認していきましょう。

一生に一度となる大きな買い物、妥協せずにたくさんの会社を検討するようにしましょう。

住宅ローン減税とは?基本を知ろう

よく耳にする住宅ローン減税。「何となくは知っているけど、細かい制度は分からない」という方も多いのではないでしょうか。まず最初に、住宅ローン減税の基本についておさらいしていきましょう。

住宅ローン減税と控除はどう違う?

住宅ローン減税は住宅ローンを利用することで戻ってくる税金のことですが、「住宅ローン減税って、住宅ローン控除とどう違うの?」と思った人もいるのではないでしょうか。住宅ローン減税は正式名称「住宅借入金等特別控除」のことを指し、「住宅ローン減税」「住宅ローン控除」はほぼ同様の意味で使われていると考えて差し支えありません。

2019年に制度拡張!基本制度についておさらい

住宅ローン減税の基本制度について確認していきましょう。住宅ローン減税制度は、住宅の購入資金を住宅ローンを借り入れて取得したりリフォームする場合に、税金を軽減して住宅取得者などの金利負担軽減を図るための制度です。

毎年末の住宅ローン残高または住宅取得対価のうちのどちらか少ない方の1%に当たる金額が、10年間に渡って所得税から控除されます。また、「所得税から控除しきれない」という場合には住民税からも一部控除されます。

現在の住宅ローン減税制度は当初2019年12月末までの入居分が対象でしたが、2019年10月の消費税が8%から10%に増税されることに伴い、2年延長され2021年12月末までに入居した分が対象となっています。また、控除となる期間が従来の10年間から13年間に拡張されました。

【住宅ローン減税の概要】
現行制度(右記以外)2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合
控除額住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%

ただし、長期優良住宅などの場合は年末残高の上限額は5,000万円
(1年~10年目)
住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%

ただし、長期優良住宅などの場合は年末残高の上限額は5,000万円
(11年~13年目)
次のうちのいずれか小さい額

(A)住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%

(B)建物購入価格(4,000万円を限度)×2%÷3年

※長期優良住宅などの場合:借入金年末残高の上限:5,000万円、建物購入価格の上限:5,000万円
控除期間10年間13年間
住民税からの控除上限額総額:400万円
(長期優良住宅などは500万円)
主な要件・住宅ローン利用期間が10年以上であること
・床面積が50平方メートル以上であること
など

参考:国税庁「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」より

参考:国土交通省「マイホーム購入をお考えの皆様へ、住宅ローン減税の控除期間が3年間延長されます!」より

対象となる不動産は?

住宅ローン減税は「新築住宅」「中古住宅」「リフォーム」の3つが該当し、それぞれに一定の条件があります。対象となる不動産を確認しましょう。

対象となる新築物件の条件

10年以上ローンを借り入れて新築物件を取得すれば、全ての場合において住宅ローン減税が適用されるわけではありません。新築のうち「自ら居住すること」「床面積が50平方メートル以上であること」など、新築物件においても住宅ローン減税の適用には諸条件があります。

このため通常は居住しない別荘のようなセカンドハウスは、住宅ローン減税の対象となりませんので注意しましょう。

【住宅ローン減税の対象となる新築物件の条件】
要件対象となるおもな条件
居住新築又は取得の日から6ヵ月以内、および適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて居住
所得特別控除を受ける年分の合計所得金額が3千万円以下
物件住宅の床面積が50平方メートル以上、かつ床面積の2分の1以上の部分が自己居住用
ローン支払い期間が10年以上、かつ分割払い

参考:国税庁「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」より

対象となる中古物件の条件

中古物件の場合、対象となる物件のポイントは国が認めた耐震性の基準を満たしていることです。ただし、もともとの物件が耐震性を満たしていなくても、住宅ローン減税の申請時までに改修して耐震基準を満たせば減税対象となります。

【住宅ローン減税の対象となる中古物件の条件】
住宅ローン減税の対象となるおもな中古物件の要件
居住新築又は取得の日から6ヶ月以内、および適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて居住
所得特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下
物件・家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下

・地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準、又はこれに準ずるもの (耐震基準)に適合する建物

・住宅の床面積が50平方メートル以上、かつ床面積の2分の1以上の部分が自己居住用
取得方法・取得時に生計を共にしていて、取得後も引き続き同一生計となる親族や特別な関係のある者などからの取得ではない

・贈与による取得ではない
ローン支払い期間が10年以上、かつ分割払い

参考:国税庁「中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」より

対象となるリフォームの条件

リフォームの場合は、リフォーム費用が100万円以上の工事が対象となります。

【住宅ローン減税の対象となるリフォーム物件の条件】
住宅ローン減税の対象となるおもなリフォームの要件
居住新築又は取得の日から6ヶ月以内、および適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて居住
所得特別控除を受ける年分の合計所得金額が3千万円以下
リフォーム
内容
下記いずれかに該当すること

・改築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕、又は大規模の模様替えの工事

・マンションなどで区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替え工事

・建築基準法施行令の構造強度等に関する規定、又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事

・一定のバリアフリー改修工事、省エネ改修工事
リフォーム
費用
リフォームにかかる費用が100万円以上で、そのうち2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用
ローン支払い期間が10年以上、かつ分割払い

参考:国税庁「増改築をした場合(住宅借入金等特別控除)」より

「借入金を利用して省エネ改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」より

減税分の具体的な控除方法は?住宅ローン減税のしくみ

住宅ローン減税分のお金は、所得税から直接控除されます。例えば年収500万円の場合、控除分などを考慮した課税所得236万円から計算すると年間の所得税は13万円前後です。この所得税金額から、住宅ローン減税分が引かれるという仕組みです。

ローン残高が3,000万円あればそのうちの1%である30万円が所得税から控除されることになりますが、年収500万円のケースでは控除金額が所得税13万円を上回っています。この場合、控除しきれなかった17万円が現金で還付されるわけではありません。

所得税からの減税は該当所得税が上限となるため、年収500万円のケースでは所得税13万円がそのまま減税され、残り17万円は住民税から控除されることになります。

このように、所得税を超えた分の住宅ローン減税分は住民税から控除されます。住民税から控除される場合は、還付ではなく減税措置により、税金が減額されます。

住宅ローン減税の手続き方法は?

住宅ローン減税は確定申告の「還付申告」に該当します。会社員の方には確定申告はあまり馴染みがありませんが、会社員でも住宅ローン減税の手続きをする場合、初年度は自分で確定申告をして手続きをする必要があります。

一度確定申告をしてしまえば、2年目以降は必要書類を会社に提出して年末調整でOKです。

【住宅ローン減税の手続きについて】
初年度2年目以降
方法確定申告(税務署)年末調整(会社)
手続き時期入居した年の翌年1月1日以降会社規定に準ずる
必要書類・税務署指定の確定申告書A
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・源泉徴収書
・住民票
・年末調整のための住宅借入金等控除証明書
・残高証明書
・土地・建物の登記簿謄本
・売買契約書、または建築請負契約書のコピー
・マイナンバーの本人確認書類
・認定長期優良住宅の特例などを利用する場合の書類のコピーなど
・年末調整のための住宅借入金等控除証明書
・残高証明書

お正月休みなどがありますが上記の表にもある通り、住宅ローン減税に関する手続きは入居した翌年の1月1日以降可能です。確定申告の期間となる2月〜3月上旬は税務署が混み合うため、なるべく早く手続きを済ませると良いでしょう。

慣れない手続きは、書類が不足していたり書類の間違いや記入ミスなどが発生しやすく、再提出を求められる可能性もあります。また毎年必要となる「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」は、住宅ローン減税の申請を行う初年度に、10年分が一度に送られてきます。毎年1枚ずつしか使いませんが、10年間使いますので受け取ったときにしっかり保管しておきましょう。

住宅ローン減税の種類を知ろう

住宅ローンと一口にいっても、取得する物件によって減税方法に種類があります。住宅ローン減税の種類について見ていきましょう。

住宅ローン減税

前述したとおり一般的な住宅ローン減税は「住宅借入金等特別控除」のことを指し、その年の年末住宅ローン残高の1%が所得税から控除されるものです。個人が住宅ローンなどを利用して自分で住むための住宅を新築・取得したり、増改築などのリフォームを行い、2021年12月末までに居住するなどの一定要件下で適用されます。

【住宅ローン減税の主な内容】
住宅ローン減税の対象となる要件
ローン要件支払い期間10年以上
対象となる住宅一般住宅、長期優良認定住宅、認定低炭素住宅
最大控除額総額:400万円(長期優良住宅などの認定住宅は500万円)
控除期間10年(2019年10月1日〜2020年12月31日までに入居した場合は13年)

参考:国税庁「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」より

投資型減税

投資型減税とは「認定住宅新築等特別税額控除」のことで、耐久性や省エネルギー性に優れた住宅を取得する場合に所得税が控除される制度で、住宅ローン利用の有無は問われません。

通常の住宅に比べて性能強化に必要な「割増費用」の10%が所得税から控除されます。原則的に1回きりの減税制度ですが、控除しきれない場合は翌年に繰り越されて控除されます。投資型減税を申請する年は、住宅ローン減税を併用することはできません。

【投資型減税の主な内容】
投資型減税の対象となる要件
ローン要件特になし(支払い期間・ローン利用の有無に関わらない)
対象となる住宅長期優良認定住宅、認定低炭素住宅
最大控除額最大控除額(総額):65万円
控除期間1年

参考:国税庁「認定住宅等の新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」より

投資型減税の申請については、通常の住宅新築等特別税額控除の手続きに必要な書類に加えて、認定住宅区分を証明できる書類などが必要になります。

投資型減税の対象となる「長期有料認定住宅」「認定低酸素住宅」とは?

投資型減税には「長期優良認定住宅」「認定低酸素住宅」が該当します。それぞれの主な認定条件は下記の通りです。

【長期優良住宅・認定低炭素住宅の主な要件】
長期優良認定住宅認定炭素住宅
長期に使用するための構造及び設備を有していること建築物のエネルギーの使用の効率性その他の性能が、省エネ法の判断基準を超え、誘導基準(経済産業大臣、国土交通 大臣及び環境大臣が定めるもの)に適合するものであること
居住環境等への配慮を行っていること都市の低炭素化の促進に関する基本方針に照らして適切なものであること
一定面積以上の住戸面積を有していること省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量が10%以上低いこと
維持保全の期間、方法を定めていることその他の低炭素化に資する措置が講じられていること

参考:住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅とは」「低酸素住宅とは」より

それぞれ住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度の基準が適用され、これらの措置を講じて所管行政庁(都道府県、市または区)に認定申請を行うことで投資型減税の対象となる住宅に認定されます。

10年(13年)でいくら戻る?住宅ローン減税の計算方法を知ろう

それでは具体的に、住宅ローン減税期間の10年間(13年)でどれだけの減税となるのでしょうか。計算方法と具体的な減税金額についてチェックしていきましょう。

まずは住宅ローン減税の上限について理解しよう

現行制度の住宅ローンによる最大控除額は4,000万円の1%の400万円で、年間換算すると40万円(長期優良住宅など認定住宅の場合50万円)となっています。基本的に住宅ローン減税は毎年の住宅ローン残高×1%ですので、住宅ローンの返済が進み、住宅ローンの残高が4,000万円未満の場合は、実際の残高×1%を控除期間で分割した額がその年の最大控除金額となります。

例えば住宅ローン残高が4,000万円である場合、10年間の最大控除額が400万、住宅取得初年度の控除額は40万円ということになります。5年後返済が進みローン残高が3,200万円になっていれば、この1%32万円、年間で32万円が最大控除額ということになります。

ここで注意したいのが、最大控除額分全てが減税されるというわけではないということ。住宅ローン減税はあくまで「減税の制度」であり、自分が実際に納税する金額以上は戻ってきません。例えば年間40万円の控除限度額全てが減税されるケースは、年間の所得税と住民税が40万円を超えている場合のみとなります。

例えば年間400万円の人であれば所得税は約8.5万円、住民税は住んでいる地域により多少の差はありますが、17〜18万円前後となり、合計納税額はおよそ26万円前後になります。そのため、この26万円が住宅ローン減税の最大控除額となります。

住宅ローン減税の計算方法

住宅ローン減税により戻ってくる金額は、「納めた個人的な税金の額(所得税・住民税)から差し引く」ことが前提となります。自分が具体的に住宅ローンによりいくら減税となるのかを知るためには、「自分の所得税・住民税額を知り、そこから住宅ローン減税分を引き算する」ことになります。具体的な計算方法をご紹介しましょう。

課税金額を算出するための控除を知ろう

住宅ローン減税の計算をする場合、まずは課税の対象となる所得を算出する必要があります。所得は給与の額面から、各種控除額を差し引いたもの。基本の控除には次のようなものがあります。

【基本的な控除の種類と内容】
控除の種類控除の内容具体的な金額など
基礎控除所得がある人すべてが受けられる控除で、収入に関わらず一定所得税の基礎控除:38万円
住民税の基礎控除:33万円
給与所得控除会社員が受けられる控除で、パートやアルバイトも受けられる180万円以下収入金額×40%
※65万円に満たない場合には65万円
360万円以下収入金額×30%+18万円
660万円以下収入金額×20%+54万円
1000万円以下収入金額×10%+120万円
1000万円以上220万円(上限)
社会保険控除厚生年金収入金額×9.15%(18.3%を会社と折半)
健康保険収入金額×4.95%(9.9%を会社と折半)
※加入組合により多少異なる。上記は東京協会けんぽの場合
介護保険40歳以上は収入金額×0.785%(1.57%を会社と折半)
雇用保険収入金額×0.3%(農林水産、清酒製造業・建設業は0.4%)

この基礎控除・給与所得控除・社会保険控除を、額面給与から差し引いたものが課税所得となります。

年収400万円の場合の課税所得は?

上記の表に当てはめて、年収400万円の場合の基本課税所得を計算してみましょう。

【年収400万円の基本的な控除額】
控除の種類計算式控除額
基礎控除38万円
給与所得控除400万円×20%+54万円134万円
社会保険控除400万円×14.4%57.6万円
控除合計229.6万円
  • 所得税課税所得 = 400万円-229.6万円 = 170.4万円
  • 住民税課税所得 = 400万円-224.6万円 = 175.4万円

子どもや専業主婦・主夫など、扶養家族がいる場合や離婚している場合などには配偶者控除・扶養控除など、家庭の状況に応じた控除額が追加となります。

年収400万円の場合の所得税は?

上記から年収400万円の場合、課税所得は170万円〜175万円であることがわかりました。その場合、所得税はいくらになるのでしょうか?所得税は所得が多ければ多いほど課税率が高くなる「累進課税」方式がとられています。そのため年収が低ければ所得税は低く、年収が高ければ高い所得税を収めることになります。

【課税所得別税率と控除額】
課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万円〜330万円10%97,500円
330万円〜695万円20%427,500円
695万円〜900万円23%636,000円
900万円〜1,800万円33%1,536,000円
1,800万円〜4,000万円40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

また2011年に発生した東日本大震災以降、2013年1月1日〜2038年12月31日までの25年間は「復興特別所得税」が課税されています。復興特別所得税は基準所得税額の2.1%分の金額で計算します。上記の表と復興特別所得税より、年収400万円の場合、所得税は以下の計算式で求めることが可能です。

  • 課税所得170.4万円×(5%+2.1%)-控除額0円 = 約12.1万円(所得税)

このように年収400万円の場合、所得税は12.1万円であることが分かりました。

年収400万円の場合の住民税は?

次に住民税について計算をしましょう。住民税は所得税のように累進課税ではなく、「所得割」と「均等割」の2つのパートから成り立っています。

「所得割」の部分は基本的に全国一律で10%となり、「均等割」の部分は自治体によって多少の差はあるものの、基本的に5,000円前後になっています。また、住民税には2008年に税源が国から地方自治体へ移ったことにより生じる「調整控除」というものがあります。調整控除は課税所得が200万円以下の場合一律2,500円となりますが、住民税にも復興のための特別住民税が加算されており、2013年〜2038年までの25年間は1,000円上乗せされます。

上記の計算式を年収400万円の場合について、当てはめてみましょう。

  • 課税所得175.4万円×10%+均等割5,000円-調整控除2,500円-復興特別住民税1,000円=17.69万円(住民税)

年収400万円の場合、住民税は17.69万円であることが分かりました。

年収400万円の住宅ローン減税の上限金額は?

所得税と住民税の控除金額の算出方法ついて理解できたと思います。年収400万円の場合住宅ローン減税の上限金額は、以下の通りとなります。

  • 所得税(12.1万円)+住民税(17.69万円)=29.79万円(住宅ローン減税の上限金)

住宅ローン減税の上限は、制度的には1年あたり最大40万円(長期優良住宅などの認定住宅は50万円)に設定されていますが、自分の年収と照らし合わせて「還付が少ない!」と驚くことがないように、実際の減税額を把握をしておきましょう。

年収400万円の住宅ローン減税の金額は?

それでは、実際どれくらい減税となるのか、シミュレーションをしてみましょう。

<前提条件>

  • 年収400万円
  • 借入金2,000万円
  • 金利1.3%

実際は10年間で年収はアップする可能性が大きいですが、個人差があるためここでは便宜上同一年収で計算します。また繰り上げ返済は考慮しないものとします。

【住宅ローン減税早見表】
住宅ローン残債所得税・住民税
(年収400万円の場合)
住宅ローン減税額
1年目19,451,286円297,900円194,128円
2年目18,895,394円188,963円
3年目18,332,234円183,322円
4年目17,761,709円177,617円
5年目17,183,724円171,837円
6年目16,598,182円165,981円
7年目16,004,980円160,049円
8年目15,404,021円154,040円
9年目14,795,203円147,952円
10年目14,178,422円141,784円
10年間合計1,685,673円
2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合
(住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度×1%で計算)
11年目13,553,576円263,100円135,535円
12年目12,920,556円129,205円
13年目12,279,259円122,792円
13年間合計2,073,205円

いかがでしょうか?このケースだと、10年間で約168万円、13年で約207万円ものお金が「減税分」として還元されることになります。

住宅ローン減税で損をしないためのポイント

住宅ローン減税の基本や計算方法についてはおおよそつかめたと思いますが、住宅ローン減税については、そのほかにもおさえておきたいポイントがあります。次の4つは要チェックです。

夫婦共働きの場合はペアローンがお得

夫婦どちらも正社員のような場合は、住宅ローンを夫・妻それぞれ1本ずつ組むペアローンにすることで、住宅ローン減税の限度額が2倍になります。例えば上記のシミュレーションの場合で、5,000万円の物件を購入して4,500万円の住宅ローンを組むと仮定すると、ローンが1本の場合は上限である4,000万円を超える500万円分は住宅ローン減税の対象とはなりません。4,500万円の住宅ローンを夫2,500万円・妻2,000万円に分けてペアローンを組んだ場合は全額減税対象となります。

ただしペアローンで注意しておきたいのが、出産や介護などによる休暇です。出産・育児休暇や介護休暇を取得すれば、その間は有給とは言え給料が下がります。給料が下がる=所得税や住民税も下がるということになりますので、住宅ローン減税の恩恵が少なくなります。ペアローンを組むことで住宅ローン減税分が増えますが、シミュレーションはしっかりしておきましょう。

住宅ローンは10年以上で組む

住宅ローン減税は、10年以上の住宅ローンを対象としています。通常住宅ローンを組む場合はある程度長期間になるとは思いますが、10年未満の住宅ローンは減税対象となりません。また繰り上げ返済にも注意してください。年末残高の1%が減税となるため、繰り上げ返済を行って残高が減った分、減税対象となる金額が少なくなることを念頭においておきましょう。

所得の低い人は住宅ローン減税のメリットは少ない

住宅ローン減税は、支払うべき税金を軽減するための制度です。つまり住宅ローン減税で戻ってくることになるお金は、自分が支払っている所得税・住民税を上回ることはありません。そのため、所得が少ないと支払うべき税金も少なくなるため、所得が多い人に比べて住宅ローン減税の恩恵が少なくなります。

減税だけをベースに借入額や頭金の金額を決めない

住宅ローン減税の上限額は制度上4,000万円(長期優良住宅などの認定住宅の場合は5,000万円)となっており、制度上だけの金額を見れば4,000万円の借入の場合は10年間の控除期間の場合最大で400万円、2,000万円の場合は200万円の減税ということになります。減税される金額だけを見れば借入金額が多い方がお得に感じるかもしれませんが、減税をメインに住宅ローンの借入額や頭金の金額を決めることは避けましょう。

住宅ローンは何十年と長期に渡って支払うことになる「借金」です。住宅ローン減税は活用しつつも、まずはシミュレーションをしっかり行い毎月無理のない返済計画を立てることが大切です。

まとめ

いかがでしたか?数百万円が10〜13年という長期に渡って所得税・住民税から控除される住宅ローン減税。住宅ローン減税の制度をうまく利用するためには、仕組みをしっかり理解しておくことが大切です。

住宅ローンの借入は無理のない返済計画が基本ですが、資金に余裕があれば多めに借り入れて手元資金は運用することなどの応用も可能です。対象となる不動産をしっかりと理解して、ローンの契約期間を10年以上にしたり、ペアローンを組んだりなど、住宅ローン減税の仕組みを理解して上手に制度を活用していきましょう。

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