住宅ローンには、変動金利と固定金利という2つの金利タイプがあります。
変動金利は5年ごとに金利が見直され、固定金利は、返済開始から完済まで金利が変わりません。
金利上昇のリスクがある分、変動金利は低め。反対に、変動リスクのない固定金利には、高めの金利が設定されています。
低金利時代が続いて久しいですが、2019年現在は、まだまだ変動金利を選ぶ人が多数派。ただ、そろそろ気にしないといけないのが、金利がいつ上がるのか、という点です。
そこでこのページでは、ウェブ上に確認できる変動金利に関する先行き予想をピックアップしてまとめてみました。
変動金利の住宅ローンを検討している人は、ぜひ参考に目を通してみてください。
目次
この記事がおすすめできる人
- 住宅ローンの変動金利が今後どうなっていくのかを知りたい人。
- 現在返済中のローンを借り換えるタイミングを探っている人。
- 変動金利の基本的な知識を知りたい人。
- 変動金利を選んで損をしないか知りたい人。
なお以下の記事でも住宅ローンの金利や押さえておきたい基本知識について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
・ 賢く使えば大幅な利息軽減に!住宅ローンの変動金利を正しく知ろう
・ はじめてでも損をしない!よくわかる住宅ローンの金利ガイド
・ 全体像を把握しよう!住宅ローンの事前審査から融資開始までの流れ
変動金利は上がる?下がる?みんなの予想を調査
それでは早速、変動金利の先行きに関する予想を見ていきましょう。
2019年は現状維持で推移する予想が大半
日本では年2%の物価上昇が見えてこない限り金利アップはなさそう。あとしばらく、半年~1年、2年くらいは低金利が続くのではないでしょうか。ただ、株価がもっと上がれば日本の政策金利の利上げもありえるため、住宅ローンの金利アップも考えられます。
引用元:2018年版 住宅ローンの金利予測と金利推移から考える、金利が低いと買い時? 上がる可能性は?
今の消費増税直前のタイミングで住宅ローンの金利が上がってしまったら、家を買おうという人が減ってしまいます。なので、急激に金利が上がりそうになったら、これまで通り金融市場に介入して金利の上昇を抑えつけるだろうと考えるのが妥当でしょうね。
引用元:2019年3月の民間住宅ローン金利を予想!日銀が金利上昇を容認したことによる影響は? - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
変動金利について、小松氏は「2019年の水準は2018年と変わらないと見ている。2020年以降も、よほどのことがない限り、変化は見られないのではないか」と予想しています。
引用元:2人の専門家による2019年住宅ローン金利動向を大胆予想。自身の住宅ローン選びに参考ください。ファイナンシャルプランナー・豊田眞弓さんが解説。ノムコム住宅ローンコラム
深野氏も「2019年中に変動金利の水準が変わることはないだろう。2020年も変わらず、確信は持てないが2021年も変わらない可能性が高い」と予想しています。
引用元:2人の専門家による2019年住宅ローン金利動向を大胆予想。自身の住宅ローン選びに参考ください。ファイナンシャルプランナー・豊田眞弓さんが解説。ノムコム住宅ローンコラム
所感
先進諸国ではすでに利上げの動きが見られており、日本もそれに追随することが見込まれていますが、少なくとも2019年は、まだ現状のままの金利で推移していくであろうという予想が多いです。
その根拠として、景気の回復を示す物価の上昇が日銀の目標を下回っていること。消費増税のタイミングで増税を行うことで、せっかく回復基調にある経済が冷え込む恐れがあることなどが挙げられます。
金利が上昇するタイミングは2023年以降?
2023年には、ほぼすべての銀行は、以下のような気持ちになるということです。
・横並びで一斉に金利を上げれば、他行に借り換えられない
・繰上げ返済されても、元々赤字の金利だから気にせず、損切りする
つまり、2023年に変動金利を一斉に引き上げる可能性があるということです。
引用元:住宅ローンの変動金利が上がる時期を大胆予測!高い貸出金利の人が激減して、銀行が一斉に金利を引き上げるのは「2023年」|住宅ローンの選び方[2019年]|ザイ・オンライン
2023年になると2008年以前の金利水準で借りている人はほぼ居なくなっていて、2016年以降の超低金利で住宅ローンを借りている人しか残っていない状態になります。しかも、全ての銀行で。 これは、住宅ローンに返済期限がある限り全ての銀行に等しくやってくる収益の減少です。
引用元:【金利予想】変動金利が上がるXデーは銀行の営業戦略から2023年~2028年が濃厚 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
意外と2018年・2019年は上方修正されていますが大勢に影響はありませんね。現状の金融政策が続く限り2023年まで金融緩和の縮小・終了はない、つまり「少なくとも2023年まで住宅ローン金利は上昇しない」ということになります。
引用元:住宅ローン金利はやっぱり2023年まで上昇しない IMFの最新予想をチェック | 住宅ローン金利比較/人気口コミランキング
所感
2023年に金利が上昇する、という予想は、住宅ローンやマイホーム選びの専門家として名高い有名ブロガー、千日氏が提唱して一気に注目を集めたもの。
その根拠は、現在と比較して高い金利で住宅ローンを返している層の完済が2023年に見込まれていること。
また、母数の多い団塊ジュニア世代の銀行員の給料のピークが、同じく2023年以降に重なることとされています。
また、別の切り口として、IMFのインフレ率の見通しを参考に、日本の金利は少なくとも2023年まで上がらないと予想するケースも。
金利の引き上げは、インフレ率が2%を達成し、金融緩和が縮小したタイミングで行われるという見通しが大半です。
IMFでは、日本のインフレ率は2021年以降、0.1%ずつ上昇していくものと予測されており、2023年の時点では、金利を引き上げられるほど物価が上昇していない、と判断できます。
どちらもあくまで予想の話ですが、何れにせよ変動金利の住宅ローンを選ぶ場合は、金利の動向を注視しておく必要がありそうです。
これから先、変動金利が下がることはある?
今後、変動金利が下がるという予想は見つけられませんでした。
初感
現在、各金融機関とも前代未聞の低金利競争を行っています。もともと低水準だった住宅ローンの金利は、ここ10年でさらに低くなりました。
金利を引き下げることによる金融機関間の競争は限界に近づいていると言われており、これ以上金利が下がる理由がほとんど見当たりません。
これから金利が上がるのは既定路線です。
もちろん、多少下振れする可能性もありますが、基本的には、下がる可能性はほとんどゼロで、いつ上がるのかを見極めるフェーズにあると言えます。
前述の通り、現状維持を予想している人の多くも、概ね5〜10年以内には金利が上昇すると考えていることが伺えます。
これまでは、変動金利の住宅ローンを乗り換えることで低金利時代の恩恵を受けることができていました。
しかしこれから住宅ローンを組む場合は、変動金利のリスクを強く意識しておく必要がありそうです。
逆に言えば、住宅を購入するなら、2019〜2020年がチャンスとも言えます。消費増税によって経済が冷え込むことを懸念し、金利は安定して推移するでしょうし、増税の影響を和らげるための税制優遇制度を利用することもできます。
増税前と増税後、どちらがベターかはケースバイケースですが、金利上昇が既定路線である以上、長い目で見れば住宅購入のラストチャンスとも言えるわけです。
今後の金利変動を予想する上で知っておきたいこと
変動金利で住宅ローンを組む場合、押さえておきたいのが、金利が上昇するタイミングをどう見極めれば良いのか、という点です。
金利動向を予想する上で押さえておきたいポイントを紹介します。
日本経済の先行き
金利と景気には相関関係があります。景気が回復すれば金利も上昇し、反対に後退すれば金利も下がります。
景気が回復するということは、企業や家庭がお金を使うようになるということ。金利はお金を融通する手数料のようなものですから、お金の需要が高まるのにつれて金利も緩やかに上昇していきます。
ただ、景気が過熱しすぎると、今度は消費を抑えるために金利を引き上げます。お金を借りにくくなるわけですから、投資意欲や購買意欲が減退し、景気も減退していくこととなります。
金利は、お金の量を調整するバランサーのような役割を果たしており、その動向は景気と連動しているわけです。
海外金利
経済は世界規模で連動していますから、海外金利の影響を無視することはできません。
複雑な要素が絡む分、知識がないと予想するのは困難ですが、専門機関が行った分析をウェブで公開していることも少なくないため、興味がある人はそうした情報からまず参照されてみることをおすすめします。
たとえばニッセイ基礎研究所が2017年に行った分析によると、日本の変動金利はアメリカの変動金利に追随する傾向があるとのこと。
アメリカは2015年から段階的に利上げを行っており、2019年にも追加利上げの実施を予定しています。
経済がもう少し回復したら、日本が利上げする可能性も十分考えられるでしょう。
長期金利と短期金利
お金や債券など、金融資産の金利は大きく長期金利と短期金利に分けられます。
長期金利は、取引期間が1年以上の金利。短期金利は、取引期間が1年未満の金利です。
金融の分野では、長期金利という場合は新規発行の10年物国債の金利を指し、短期金利という場合は、銀行間の無担保翌日返済の借り入れ金利(無担保コールレートオーバーナイト物)を指すのが一般的です。
それぞれが固定金利、変動金利と連動しているため、住宅ローンの金利の先行きを判断する上では、これらの動向をチェックすることも大切です。
変動金利の仕組みをおさらい
変動金利の住宅ローンを損なく選ぶために、その仕組みやメリット・デメリットについてもおさらいしておきましょう。
仕組み
変動金利は、経済状況を反映して、定期的に金利が変わります。
返済額に反映されるタイミングは5年に1度ですが、実際には年2回(一般的には4月と10月)見直しが行われており、その帳尻合わせをした金利が5年に1度適用される、という形になっています。
過去5年間に金利が上昇していた場合、次の5年間にその返済分が持ち越しされる、というわけです。
青天井に返済額が上がってしまうことがないよう、引き上げ後の返済額は直近の返済額の125%まで、というルールが設けられていますが、超過した分は次の見直し時まで持ち越されるため、最終的には全額支払うことに。
現在は変動金利を選ぶ人が多数派ですが、今後35年以上にわたり現行の低金利が維持される可能性は低いでしょう。
変動金利には返済額が膨らむリスクがあり、将来的に適切なタイミングで借り換えしないと損をする可能性もある、ということはぜひ知っておくことをおすすめします。
優遇金利と基準金利
変動金利は、日銀の意向を反映して、各金融機関が決める短期プライムレートに連動しています。
注意したいのが、変動金利には基準金利と優遇金利という内訳があるということ。
基準金利は、住宅ローンを算出するときの基準となる金利で、各金融機関とも大きな差はありません。いわば住宅ローンの定価のようなものです。
一方の優遇金利は、基準金利から差し引く金利のこと。住宅ローンの割引率のようなイメージです。
各金融機関は、基本的には基準金利を据え置き、優遇金利を拡大することで金利を低くしています。
優遇金利は、一律で適用されることもありますが、適用のための条件を課しているところも少なくありません。
具体的な条件は金融機関によって違いますが、たとえば頭金の金額や、所定の期限までに住宅ローンを申し込めるかどうか、といった事項です。
一見魅力的に思える金利でも、条件によっては利用できないこともありますから、注意しましょう。
金利の呼び名について
住宅ローンについて調べていると「●●金利」という表現が多くて混乱してしまうかと思います。
以下に簡単にまとめてみますので、この機会にぜひ覚えてみてください。
実際には、同じ意味の言葉も多いので、住宅ローンについて勉強しているならスムーズに覚えられるはずです。
基準金利 店頭表示金利 表面金利 | 市場金利を元に、各金融機関が決めている金利。どの金融機関もほとんど差がない。 |
---|---|
優遇金利 キャンペーン金利 | 基準金利から引き下げられる割引率のこと。期間限定のタイプと全期間適用されるタイプがある。金利を引き下げる時は、基準金利ではなく優遇金利の幅を広げている。 |
適用金利 | 基準金利から優遇金利を差し引いた、実際に適用される金利のこと。 |
申し込み時金利 | 申し込んだタイミングでの適用金利。 |
借入金利 実行金利 | 実際に返済が始まるタイミングでの適用金利。 |
メリット
変動金利のメリットは、固定金利に比べて当座の金利が低いことにあります。仮にこの先も金利が上昇しなければ、固定金利よりも変動金利を選んでいた方が間違いなくお得でしょう。
リスク
変動金利のリスクは、金利が上昇した場合に返済総額が膨らむ可能性がある、ということです。
リスクヘッジとして、返済額が調整されるのは5年に1度、上昇幅は直前の1.25倍まで、というルールがありますが、金利上昇の度合いによっては、このルールのせいで月々の返済額より利息の方が大きくなってしまう、ということもあり得ます。
このときのはみ出た分の利息を未払い利息というのですが、未払い利息が発生すると、毎月しっかり返済をしているにも関わらず、残債が増えてしまうということに。
変動金利の住宅ローンを選ぶ時は、この未払い利息が発生してしまう金利をシミュレーションしておき、金利上昇がその分岐点を超える前に何らかの対策を取るよう、備えておくことが大切です。
変動金利が適している人
変動金利に向いているのは、以下のような人です。
- 借入額や残債が少ない、または繰り上げ返済を頻繁に行っていて、短期間で完済できる見込みの人。
- 金融に関する情報を集めるのが得意で、金利が上昇するタイミングを見極めて借り換えできる人。
変動金利のリスクは、金利の上昇です。将来的に金利が上昇するのはほぼ既定路線ですから、本格的に上昇する前に完済するか、適切なタイミングで借り換えできる人に向いていると言えます。
反対に、手放しで長期間返済したい、という人は、固定金利の住宅ローンを選択した方が無難でしょう。
住宅ローンを選ぶ上で気をつけたいこと
金利や返済期間、返済方式、付帯する特約など、住宅ローンにはチェックすべき項目が無数にあります。
いくつものプランを見比べていると、一体どれが自分たちにマッチしているのか、わからなくなってしまうこともあるでしょう。
住宅ローンを選ぶ基準は人それぞれですが、ここではどのようなケースにも当てはまりそうな、普遍的な注目ポイントについて解説してみたいと思います。
「無理なく返済できるかどうか」を意識する
住宅ローンは借金です。
当たり前のことですが、借金である以上、完済するまで滞りなく返済を続けなければなりません。
そのために大切なのが、無理のない範囲で返済できるかどうか、という点です。
例えば返済総額を抑えようと、返済期間を短くしたり、返済額の設定を多くしてしまうと、その分、自由に使えるお金が削られます。
きちんと万が一の余剰資金を想定して決めたのなら良いのですが、何とかなるだろうと曖昧な想定で決断してしまうと、後になって返済のために生活の質を犠牲にしなければならなくなるかもしれません。
おそらく多くの人にとって、苦しい生活をして浮かせたお金より、負担のない生活の方が価値が高いはずです。
住宅ローンの返済は長期に及びますから、無理のない範囲で返済していけるか、という点については、石橋を叩く気持ちでしっかり検討されることをおすすめします。
安いというだけで選ばない
住宅ローンを選ぶ際、金利の低さをまずチェックする人が多数派でしょう。
実際ここ十年以上にわたり、金利の高い固定金利よりも、変動金利を選ぶ人の方が多くなっています。
とは言え、金利の先行きは誰にも予想できません。現在の時点で考えれば、金利は下がり続けてきましたから、変動金利を乗り継いできた人が最も得をしていることになります。
しかし、今後も同じ方法が通用するかと言えば、怪しいところです。
すでに金利は底を打った感があり、これから住宅ローンを組む人は、目先の金利の低さに捉われず、先を見据えて慎重にプランを比較・検討していくことが大切と言えます。
複数のパターンをシミュレーションする
住宅ローンを選ぶ際は、可能な限り自分たちでシミュレーションすることをおすすめします。
借入額が大きい分、金利や返済方式、返済期間などの小さな数字1つで、返済総額は驚くほど変わります。
数千万円にも及ぶ借金をするわけですから、万が一にも損をしないよう、できるだけたくさんシミュレーションを行いましょう。
手計算では手間が掛かり過ぎますから、金融機関がウェブで公開している無料ツールを使うのがおすすめです。
最初はどの項目がどう返済額に関係してくるのかわからないかもしれませんが、何パターンか検討すれば、どういったプランがお得なのか掴めてくることでしょう。
途中の借り換えも視野に入れる
固定金利にせよ変動金利にせよ、加入しているプランによっては、他のプランに借り換えた方がトータルでお得になる可能性もあります。
例えば団信は、残債を保障するためのものです。完済が近づいてきたら、手厚すぎる保障はコストの無駄、と考えることもできます。
万が一の保障は必要ですが、負担を小さくする手段の1つとして、特約のない住宅ローンに乗り換えるという手も考えられるわけです。
もし返済途中に「月々の返済が厳しい」「このままだと返済総額が膨らみすぎる」「金利上昇の不安を無くしたい」というような思いがよぎったら、それは借り換えを検討すべきタイミングかもしれません。
もちろん、借り換えには審査があり、相応の手間とコストが掛かります。
手軽にできるものではありませんが、昨今はウェブで借り換えの無料シミュレーションツールなども公開されていますから、もしもの時はそうしたツールを活用して、借り換えで自身の望む結果が得られるかどうかをチェックされてみると良いでしょう。
まとめ
記事の内容まとめ
- 2019年〜2023年まで、変動金利は安定的に推移していく。
- 消費増税が控える2019年前後に利上げされる可能性は低い。
- 将来的にインフレ率が2%を超えた場合、利上げされる可能性が高い。
- 変動金利には、単に返済額が膨らむだけでなく、返済しているのに元本が減らなくなるリスク(未払い利息のリスク)がある。
- 変動金利の住宅ローンを組んだ場合、単純に返済し続けていると相対的に損をする可能性が高い。得をするためには、定期的に借り換えや金利交渉を検討する必要がある。
よく言われることですが、固定金利は借りるまで、変動金利は借りてからの行動が最終的な損得を分けます。
特に現在のように近い将来に金利上昇が見込まれるタイミングでは、慎重に情報を集めて、自分たちの性格やライフプランにあった住宅ローンを吟味することが大切です。
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