住宅ローンの諸費用は360万円?100万円以上節約する5つの方法

住宅ローンの諸費用は360万円?100万円以上節約する5つの方法

「住宅ローンを組んでマイホームを購入するとき、諸費用っていくらぐらいかかるの?」
「諸費用を安くできる秘訣ってあるんだろうか?」

あなたは今、こんな疑問を抱えていませんか?

結論から説明すると、住宅取得に関わる諸費用にはかなりまとまった額が必要です。また、諸費用は基本的には現金で支払う必要があり、住宅を購入する頭金だけ用意すればよいという訳ではありません。既に相当な金額の見積もりが手元にあるあなたの場合も、決して不相応な金額ではないのです。

しかし、節約する方法は確かに存在します。
安く抑えられるならそれに越したことはないですよね。

本記事では、住宅を取得する際の諸費用がそれぞれどの程度必要なのかを分解して解説します。その上で、諸費用を節約する方法と、諸費用が安く抑えられるおすすめの金融機関までご紹介していきます。
この記事を最後まで読み込んで、後々公開することのなきよう納得した住宅ローン設計を行いましょう。

目次

諸費用は住宅購入費用のおよそ5~10%!いついくら払えばいい?

住宅購入に関わる諸費用は、土地と建物の値段を合算した価格のおよそ5~10%と言われています。多くの人はフラット35や銀行の住宅ローンを利用しますので、この2パターンについて、諸費用の内訳と3,000万円の住宅ローンを組んだ場合の諸費用を具体的にご紹介します。

フラット35の諸費用内訳

住宅購入の際、多くの人が利用する住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「フラット35」を利用する際の諸費用についてみてみましょう。

支払時期費用の名称金額内容
住宅購入手続きのとき印紙税
(※1)
契約金額1万円以上で発生

200円~60万円

ただし平成32年3月31日までは軽減措置あり
主に以下の契約書を作成するとき、契約の金額に応じて印紙税が必要です。

・土地や建物の売買契約書
・金銭消費貸借契約証書
(住宅ローン、中古住宅のリフォームローンなど)
・工事請負に関する契約書
登録免許税
(※2)
【土地の所有権の移転登記】
売買の場合、不動産の価額の1000分の20

ただし平成31年(2019年)3月31日までの間に登記を受ける場合は1000分の15

【新築の場合:建物の所有権の保存】
不動産の価額の1000分の4

【中古の場合:建物の売買又は競売による所有権の移転】
1000分の20
取得した土地や建物を登記するときに必要な税金です。

住宅ローンを組む際、物件に抵当権を設定するために登記する際にも払う必要があります。
消費税建物の代金等 × 税率8%
(国税6.3%+地方税1.7%)
消費税の対象となる金額は、建物の価額と不動産の仲介手数料です。土地は課税対象外となります。

中古住宅を購入してリフォームをする場合は、リフォーム代にも消費税が必要です。
登記手数料登記事項証明書(謄抄本):500円など(※3)

所有権保存登記:関東地区平均24,707円
など(※4)

土地地目変更登記:全国平均43,580 円
など(※5)
登記手数料は大きく分けて2種類あります。

1.法務局へ届け出る際の手数料
2.不動産登記に関わる手続き一切を司法書士へ依頼したときの報酬

法務局での手続きは1回につき数百円ですが、住宅購入の際は複数の登記がありますので、見積もりとしては数千円程度です。

これらの手続きが複雑な場合など、司法書士や土地家屋調査士に書類作成をすべて任せる場合は、依頼する事務所にもよりますが20万~40万円かかかることもあります。
不動産仲介手数料
(※6)
【不動産仲介手数料の上限】
・取引額200万円以下の金額
 取引額の5%以内

・取引額200万円を超え400万円以下の金額
 取引額の4%以内

・取引額400万円を超える金額
 取引額の3%以内
土地の売買や中古住宅の建物売買で不動産会社を利用した場合に必要となる費用です。

法律で、手数料の上限は定められています。例えば、土地の取引金額が500万円の場合、200万円以下の部分は5%、200~400万円の部分は4%以内、400~500万円の部分は3%以内、というように分解してそれぞれのパーセンテージで計算します。

不動産仲介手数料は、法令以上の高値で請求されていないか、上限を把握しておきましょう。
火災保険料<前提条件>
・建物の補償額1,500万円
・契約年数10年
・土地面積100平方メートル
・長期一括払い

<火災・風災など基本的な保険料>
【M構造:マンション構造】
33,150~66,450円
【T構造:耐火構造】
33,150~66,450円
【H構造:上記以外の構造】
77,550~139,650円

<水害や破損などの特約を付けた保険料>
【M構造:マンション構造】
29,500~39,710円
【T構造:耐火構造】
29,500~39,710円
【H構造:上記以外の構造】
136,200~204,940円
火災や風災などの被害に遭った場合に備えて、建物と家財道具にかける保険です。

火災保険料の費用に大きく影響するのは建物の構造で、燃えにくさが高い構造ほど保険料は安くなります。

マンションや耐火構造を持つ一戸建ては保険料が安く、そうでない一戸建ては保険料が倍ほど高くなります。
地震保険料
(※7)
火災保険の30~50%までの金額(上限:建物5,000万円、家財1,000万円)火災保険とセットでなければ入れない任意の保険です。火災保険料が決まると自動的に金額も計算できます。
団体信用生命保険料
(※8)
<前提条件>
・3,000万円を借り入れ
・35年ローン
・夫婦連生団信あり
・金利年1.410%固定

総支払金額の目安:3,167,900 円
1年目 :164,000円
10年目:129,600円
20年目:84,500円
30年目:32,300円
35年目:3,300円
住宅ローンを支払っている人が死亡や高度障害になって支払える状態ではなくなったときに備える保険です。加入しておくと、住宅ローンが全額返済となります。

基本的に加入しますが、病気などで加入できない場合でも、フラット35は利用できます。
保証料不要フラット35では不要です。
銀行事務取扱手数料
(※9)
みずほ銀行(機構買取型):32,400円
りそな銀行:融資額 × 1.836%
三井住友銀行:32,400円

楽天銀行ハッピープログラム適用:融資額 × 1.08% (最低融資事務手数料108,000円)
住宅ローンの実行に関わる銀行事務の手数料です。銀行によって金額は異なります。

定額を支払うパターン、融資額に応じたパーセンテージで決まるパターンといろいろありますが、フラット35の公式サイトで検索して各金融機関の手数料を確認できます。
保証会社事務取扱手数料不要フラット35では不要です。
つなぎ融資の手数料・利息必要な金額の2~4%の年利+手数料

例:着工金500万円を5ヶ月間(150日)年率3%で借りる場合の利息は
500万円 × 3% × 150/365=約61,644円

<つなぎ融資の諸費用>
・事務手数料:約10万円
・印紙代:1万円
・印鑑証明書の発行手数料:400円
フラット35や、住居引き渡しの際に融資が実行されます。住居新築の際、着工までに支払うべき諸費用(工事会社への手付金など)が必要になります。
これがつなぎ融資で、年率2~4%と通常の住宅ローンよりも高めの金利で借りなければなりません。
入居開始のとき引越し代時期や人数、移動距離により変動します。

家族2人で平均64,594~114,112円(※10)
新居へ引っ越す際に引っ越し業者に支払う代金です。荷物の量や移動距離、引越しの多い時期かどうかなどで大きく変動します。
入居した後不動産取得税本来は住宅の価格 × 税率(3%)=税額

ただし、一般居住用で床面積が50~240平方メートルの場合は以下の軽減措置が受けられる

(住宅の価格-控除額1,200万円) × 税率(3%)=税額
不動産取得税は、土地や家屋を取得したときに発生する税金です。ただし、相続の場合にはかかりません。購入または新築の翌年に1回だけ課税されます。
固定資産税・都市計画税
(※11)
【土地】
課税標準額 × 税率1.4%

【家屋】
課税台帳に登録されている価格 × 税率1.4%
固定資産税は、土地や家屋を取得したときに発生する税金です。不動産を所有している間、毎年課税されます。

(「土地の課税標準額の算出方法」参照)
繰上返済手数料不要フラット35では不要です。
支払条件変更に関わる手数料不要フラット35では不要です。

フラット35を利用する場合、銀行ローンでは必要とされる保証料や保証会社の事務手数料は不要です。その代わり団体信用生命保険料が必要になりますが、病気などで加入できない場合は加入しなくてもよいため、自分がすでに入っている生命保険などで補えるという判断なら、加入せずにその分の費用を節約することはできます。

ただ、団体信用生命保険は営業費などがかからず原価に近い状態で販売されている生命保険なので、逆に団体信用生命保険料の方がお得かもしれません。シミュレーションをして確認してみましょう。

また、フラット35は2018年4月から諸費用も融資対象となったため、より少ない自己資金で住宅購入が検討できるような状況が整いました。ただし、借入額と年収のバランスには注意して借り過ぎないようにしましょう。

※1:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」より
※2:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」より
※3:法務省「登記手数料について」より
※4:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)」より
※5:日本土地家屋調査士会連合会「日本土地家屋調査士会連合会」より
※6:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」より
※7: SBI損保「知っておきたい地震保険の基礎知識 - SBI損保の火災保険」より
※8:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)「機構団信特約料シミュレーション:機構団体信用生命保険特約制度のご案内」より
※9:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)「最新の金利情報:長期固定住宅ローン【フラット35】」より
※10:価格.com「家族の引越し料金相場」より
※11:国土交通省「土地の保有に係る税制」より

住宅ローン3,000万円を組んだ場合の諸費用内訳

では、具体的にどれぐらいの諸費用が必要なのか、実際に3,000万円のローンを組んだと仮定して、諸費用の内訳をみてみましょう。

<前提条件>

  • フラット35にて3,000万円の借り入れ
  • 土地1,000万円を不動産会社の仲介により購入
  • 新築の建物価格:2,000万円
  • 夫名義とする
  • 借入に利用する銀行はみずほ銀行
費用の名称計算式など合計金額
印紙税不動産売買契約…1万円
建設工事請負契約…1万円
金銭消費貸借契約(ローン契約)…2万円
4万円
登録免許税【土地の所有権の移転登記】
土地:1,000万円 × 1000分の15=15万円

【建物の所有権の保存】
建物:2,000万円 × 1000分の4=8万円
23万円
消費税建物:2,000万円× 8%=160万円160万円
登記手数料司法書士に一任30万円
不動産仲介手数料土地:1,000万円(200万円 × 0.05+200万円 × 0.04+600万円 × 0.03) × 1.08=38万8,000円38万8000円
火災保険料<前提条件>
・東京
・保険金2,000万円
・契約年数10年
・土地面積100平方メートル
・長期一括払い
約8万円
地震保険料期間5年約9万円
団体信用生命保険料<前提条件>
・融資額3,000万円
・35年ローン
・三大疾病なし
・夫婦連生団信なし
・段階金利なし
・金利年1.410%固定

総支払額の目安:2,016,000円
1年目
10万4400円
保証料なし0円
銀行事務取扱手数料みずほ銀行(機構買取型):32,400円32,400円
保証会社事務取扱手数料なし0円
つなぎ融資の手数料・利息みずほ銀行のつなぎ融資:変動金利2.475%

・土地引渡代金:6ヶ月…1,000 万円
1000万円 × 2.475%÷12ヶ月 × 6ヶ月=12万3,750円

・着工金:4ヶ月…500万円
500万円 × 2.475%÷12ヶ月 × 4ヶ月=8万2,500円

・中間金:2ヶ月…500万円
500万円 × 2.475%÷12ヶ月 × 2ヶ月=4万1,250円

諸費用総計…24万7,500円
印紙代…2万円
事務手数料…3万2,400円
29万9,990円
引越し代家族2人で同一県移動と仮定約7万円
不動産取得税<前提条件>
・土地の課税標準額:1,000万円の70%と仮定
・家屋の税台帳に登録されている価格:2,000万円の60%と仮定
・軽減対象と仮定
(1,900万円ー控除額1,200万円) × 税率(3%)= 21万円
21万円
固定資産税・都市計画税前提条件は不動産取得税と同じ

・土地
700万円 × 税率1.4%=9万8,000円

・家屋
1,200万円 × 税率1.4%=16万8,000円
26万6,000円
繰上返済手数料なし0円
支払条件変更に関わる手数料なし0円
合計:371万700円

不動産仲介手数料は、土地だけの場合は38万8,000円ですが、建売住宅や中古住宅など、土地と建物の両方が対象の場合は、さらに高くなります。

また新築住宅の場合はつなぎ融資が必要になるため、何らかの形で別のローンを探さなくてはなりません。みずほ銀行のように、つなぎ融資用のローンを組んでいる銀行もありますので、注文住宅を購入したい方はつなぎ融資はどうなるかについてもよく確認してください。

銀行ローンの諸費用内訳

では、フラット35ではなく銀行で住宅ローンを組んだ場合の諸費用はどうなるでしょうか。フラット35と同じように一覧表にして、違いのある部分について説明します。

支払時期費用の名称金額内容
住宅購入手続き印紙税フラット35と同じフラット35と同じ
登録免許税
消費税
登記手数料
不動産仲介手数料
火災保険料
地震保険料
団体信用生命保険料0円(銀行側が負担)団体信用生命保険料は、ほとんど銀行側で保険料を負担しています。
保証料【店舗型銀行の場合】
<例:みずほ銀行で1,000万円借り入れた場合>
・保証料の一部を一括前払い
206,110円~721,470円

・保証料分割支払い
年率0.2%上乗せした金利適用

【ネット銀行の場合】
・無料が多い
(楽天銀行、ソニー銀行など)
住宅ローンを支払っている人の返済が滞った場合、支払いを肩代わりしてもらう保証会社に支払う費用です。

保証料を一括前払いにするか、分割支払いとして月々の支払に年0.2%などの金利を上乗せして徴収されるか、選択できる銀行もあります。

ネット銀行では保証料を必要としない銀行が多いのですが、そのかわり「事務手数料」が店舗型の銀行よりも高めに設定されている傾向があります。
銀行事務取扱手数料みずほ銀行:10,800円(固定金利手数料)
常陽銀行:21,600円
楽天銀行:324,000円(変動金利)または借入額の1.08%(長期固定金利)
ソニー銀行:43,200円+借入額の2.16%
住宅ローンの実行に関わる銀行事務の手数料です。銀行によって金額は異なり、店舗型の銀行は数万円ですがネット銀行では数十万円するなど差があります。

店舗型の銀行とネット銀行で諸費用の比較をする際、保証料と銀行事務取扱手数料はセットで比較すると分かりやすいでしょう。
保証会社事務取扱手数料三菱UFJ銀行:32,400円
常陽銀行:32,400円
保証会社に支払う事務手数料も必要です。
つなぎ融資の手数料・利息計算方法はフラット35と同様

つなぎ融資不要の銀行もある

【着工前に融資】
・常陽銀行
・阿波銀行

【分割融資】
・りそな銀行
フラット35と同様、銀行ローンも基本的にはつなぎ融資が必要です。

ただ、銀行によっては、着工前に融資してくれたり、分割融資ですなぎ融資を不要とする住宅ローンを販売している場合もあります。
入居開始時引越し代フラット35と同じ
入居後不動産取得税フラット35と同じ
固定資産税
繰上返済手数料
支払条件変更に関わる手数料

フラット35と比べて大きな違いは、団体信用生命保険料は銀行負担で無料です。ただし、保証会社の保証料や銀行取扱手数料が高いため、諸費用も含めてどちらが安いのかを検討してみてください。

また、つなぎ融資については、着工前に融資してくれる銀行や分割融資という形でつなぎ融資を不要にしてくれている銀行もあるなど、銀行によって対応が大きく異なります。

店舗を持つ大手銀行とネット銀行にも大きな差があります。大手銀行は保証料がかなりかかる代わりに銀行取扱手数料は安く、ネット銀行は保証料がかからない代わりに銀行取扱手数料が割高です。諸費用の安さを比べるには、ひとつの項目だけではなく、トータルコストを計算して比べるようにしましょう。

住宅ローン3,000万円を組んだ場合の諸費用内訳

では、具体的にどれぐらいの諸費用が必要なのか、実際に3,000万円のローンを組んだと仮定して、諸費用の内訳をみてみましょう。

<前提条件>

  • みずほ銀行にて3,000万円を借り入れ
  • 土地1,000万円を不動産会社の仲介により購入
  • 新築の建物価格:2,000万円
  • 夫名義とする
  • 35年ローン
費用の名称計算式など合計金額
印紙税不動産売買契約…1万円
建設工事請負契約…1万円
金銭消費貸借契約(ローン契約)…2万円
4万円
登録免許税【土地の所有権の移転登記】
土地:1,000万円×1000分の15=15万円

【建物の所有権の保存】
建物:2,000万円×1000分の4=8万円
23万円
消費税建物:2,000万円×0.08=160万円160万円
登記手数料司法書士に一任30万円
不動産仲介手数料土地:1,000万円
(200万円×0.05+200万円×0.04+600万円×0.03)×1.08=38万8000円
38万8000円
火災保険料<前提条件>
・東京
・保険金2,000万円
・契約年数10年
・土地面積100平方メートル
・長期一括払い
8万円
地震保険料期間5年9万円
団体信用生命保険料みずほ銀行が支払い0円
保証料保証料分割支払い選択のため諸費用として用意しない0円
銀行事務取扱手数料みずほ銀行(機構買取型)3万2,400円
保証会社事務取扱手数料みずほ銀行 保証会社事務手数料1万0,800円
つなぎ融資の手数料・利息みずほ銀行のつなぎ融資:変動金利2.475%

・土地引渡代金:6ヶ月…1,000 万円
1,000万円×2.475%÷12ヶ月×6ヶ月=12万3,750円

・着工金:4ヶ月…500万円
500万円×2.475%÷12ヶ月×4ヶ月=8万2,500円

・中間金:2ヶ月…500万円
500万円×2.475%÷12ヶ月×2ヶ月=4万1,250円

諸費用小計…24万7,500円
印紙代…2万円
事務手数料…3万2,400円

合計:29万9,900円
29万9,900円
引越し代家族2人で同一県移動と仮定7万円
不動産取得税<前提条件>
・土地の課税標準額…1,000万円の70%と仮定
・家屋の税台帳に登録されている価格…2,000万円の60%と仮定

軽減対象と仮定すると
(1,900万円ー控除額1,200万円)× 税率(3%)= 21万円
21万円
固定資産税・都市計画税前提条件は不動産取得税と同じ

【土地】
700万円×税率1.4%=9万8,000円

【家屋】
1,200万円×税率1.4%=16万8,000円
26万6,000円
繰上返済手数料全額繰上返済手数料…3万2,400円
一部繰上返済手数料…3万2,400円(インターネットバンキングに登録しておけば無料)
必要に応じて
支払条件変更に関わる手数料1万0,800円必要に応じて
合計:361万7,100円

具体例には、大手銀行のみずほ銀行を取り上げました。ソニー銀行や楽天銀行などのネット銀行の場合は、保証料の代わりに銀行取扱手数料が高くなりますので、他行もご自身で計算してみてくださいね。

中古住宅や注文住宅では諸費用が高くなる傾向に

住宅ローンの諸費用は新築よりも中古住宅の購入の方が、不動産会社の仲介手数料などで高くなります。また、建売住宅と注文住宅では、外構の工事などにも諸費用が掛かってくるために注文住宅にかかる諸費用の方が割高です。

マイホームを購入する際は、建物の状態や購入の仕方によって諸費用も大きく変わることを頭の隅に入れて選ぶようにしましょう。

諸費用の支払方法3パターンとそれぞれのおすすめポイント

諸費用を支払う方法には3パターンがあり、それぞれ特徴があります。それぞれの違いを確認して、自分に最適な支払方法のパターンを決めましょう。

諸費用を住宅ローンに含めるパターン

諸費用を住宅ローンに含めることを認めている銀行は増えています。特に、ネット銀行の場合は柔軟に対応していますので、諸費用を自己資金で用意するのが難しい場合に利用を検討してみると良いでしょう。諸費用を住宅ローンに含められると、以下のメリットがあります。

一般ローンよりも低金利で諸費用分の金額を調達できる

住宅ローンは、一般的なローンよりも低金利です。諸費用もかなり高額になりますので、低金利で借り入れ可能な点は大きなメリットになります。長期・低金利で住宅ローンが組めるフラット35では、従来住宅取得用のお金しか借りられませんでした。しかし、2018年4月より仲介手数料や融資手数料、司法書士報酬などの諸費用を含めた金額を借りることが可能になっています。

貯金を一部残せる

諸費用を自己資金で払ってしまうと、その分手持ちの現金は少なくなります。手持ちの現金が少なくなると、万が一の場合に困ることも…。自己資金が少ない方にとっては、貯金を一部残せるメリットは大きいです。

比較的少ない自己資金で住宅が購入できる

諸費用は原則現金で用意すると言われていますが、諸費用を用意しなくてよい分、比較的少ない自己資金で住宅が購入できます。

諸費用を住宅ローンとは別に組むパターン

諸費用を住宅ローンとは別に、一般ローンとして組むパターンもあります。この場合、どうしても住宅ローンよりも金利が高くなる傾向があるので、住宅ローンに諸費用を含められない場合の次の手段として検討することになります。

この方法にもメリットがありますので確認していきましょう。

住宅ローンの一部を諸費用に回せない場合でも使える

大手の銀行では、そもそも諸費用を住宅ローンの一部に回せません。そのような場合でも利用できるのが一般ローンです。一般ローンを利用することは住宅ローンに含めるパターンよりも少々金利は高くつきますが、手持ちの現金が心もとない人にとっては心強い支払方法です。

現金を手元に残せる

住宅ローンに諸費用分を上乗せできない場合、現金を手元に残す次善の手段としておすすめです。

諸費用を現金で支払うパターン

最後に、諸費用を現金で支払うパターンについて解説します。20年ほど前は、諸費用については現金で用意することが当然のように言われていました。この支払方法はどのようなメリットがあるでしょうか。

住宅ローンをすべて住宅用に回せる

諸費用を現金で支払えば、その分自分がこだわりたい部分に予算を回せる点は大きなメリットです。諸費用まで住宅ローンで支払うと、当然住宅購入に充てる金額が約5~10%目減りしてしまいます。

諸費用分の金利が節約できる

現金で支払うことで、諸費用分のローン金利が節約できる点もメリットのひとつです。諸費用は高額なため、金利分の出費もばかにできません。

毎月の支払金額が減少する

諸費用分の返済をしなくて済むため、毎月の支払額が減少して、その分家計が楽になります。現金で支払うことにより、将来的な負担が少し楽になるお金を貯蓄に回すことも可能でしょう。

諸費用の支払方法各パターンでおすすめのケース

ケースごとに、諸費用のおすすめの支払いパターンについても見ていきましょう。

諸費用を住宅ローンに含めるパターンがおすすめのケース

まだ若いなどの理由で自己資金が手元に少なく、すべてを支払いに回すと緊急時の出費などが心配なら、諸費用を住宅ローンに含めて調達し、手元に現金を残す方向で考えましょう。

ただし、諸費用の分の借金は増え、毎月の支払いは増えてしまいます。そのため、支払総額が手取り月収の4分の1は超えないように事前に確認してください。将来的に貯蓄ができないほど苦しい状況になりそうなら、もう少し自己資金が貯まるまで住宅取得を延期するのも一つの考え方です。

諸費用を住宅ローンとは別に組むパターンがおすすめのケース

住宅ローンに諸費用を含められないパターンの住宅ローンを借りる予定の場合、原則諸費用は現金で用意します。しかし、諸費用を自己資金で払ってしまうと「手元に現金がほとんど残らずに何かあったときが不安」という方は諸費用を別のローンで補う形がおすすめです。

諸費用を現金で支払うパターンがおすすめのケース

自己資金にある程度余裕があるケースや、毎月の支払いをできる限り抑えたいと考えている方は、諸費用分を自己資金から一括で現金払いすることを検討しましょう。どのパターンの支払いでも問題ないという方は可能な限り現金で支払うことで、諸費用の借り入れでかかるはずだった利息分のお金や事務手数料などの節約にもなるのでおすすめです。

諸費用を節約するため実践したい5つのポイント

住宅取得にはいろいろな諸費用が必要ですが、いくつかの費用については、工夫次第で節約できることがあります。ここでは、諸費用を少しでも節約する方法を紹介します。

不動産の仲介料がかからない物件を選ぶ

不動産の仲介手数料が安い場合や、無料になる場合があることをご存知でしょうか。不動産の売買において、売主から直接購入できれば、仲介手数料はかかりません。不動産会社が直接売主になる建売住宅を購入する場合は、仲介手数料が必要ないのです。

また、不動産の仲介手数料は上限額が決まっているだけなので、仲介手数料を安くすることは不動産会社の裁量に委ねられています。他の不動産会社との差別化を図るために、仲介手数料を安くしている不動産会社もあります。そのため、仲介手数料を安く抑えたい場合は、そのような不動産会社から物件を購入すると諸費用を節約することができます。

諸費用の安い住宅ローンを探す

フラット35をはじめ、さまざまな金融機関の住宅ローンを見ていると、つい年利の安いローンに目が行きがちです。しかし、住宅取得にかかる総費用は、住宅ローンの金利だけではなく諸費用の額にも大きく左右されます。金利だけでなく、諸費用の負担が少ない住宅ローンを探すようにしましょう。

登記を自分で行う

登記関連を一括して司法書士に一任すると20~40万円かかると言われています。この費用を節約するために、自分で登記を行うことも可能です。ただし、平日に手続きを行う必要があって、それなりに時間と手間がかかります。そのため、ある程度時間を確保してから、住宅取得にかかわる不動産の登記を進めていきましょう。

登記を自分で行う場合は、不動産会社や住宅ローンを借りる金融機関に自分で登記をしたいということを申し出て、了承を得ることも忘れないでください。特定の司法書士と付き合いのある不動産会社の場合は、自身で登記を行うことは難しいかもしれませんので、前もって確認しておきましょう。

火災保険料の安い耐火構造の物件を選ぶ

火災保険料の安い耐火構造の物件を選ぶと、保険料が2分の1ほどになります。建売住宅を購入する際は、耐火構造(T構造)になっているかどうかを確認しましょう。注文住宅の場合も、耐火構造と認められるような設計をお願いしておくと、保険料だけではなく火災への備えになり安心です。

団体信用保険が本当に必要かどうかを検討する

銀行の住宅ローンでは、団体信用生命保険を銀行側が支払う形で無料となっている場合がほとんどです。フラット35の場合は団体信用生命保険が任意なので、自分が現在加入している生命保険があれば団体信用生命保険に加入する必要がない可能性もあります。

特に若い世代は他の生命保険で問題ない場合があるため、一度ファイナンシャルプランナーに相談してみてください。この結果団体信用生命保険に加入する必要がないと判断できれば、保険料をその分節約できます。

諸費用を安く抑えるおすすめの住宅ローン5選

最後に、諸費用を安く抑えるおすすめの住宅ローンを紹介します。それぞれおすすめポイントがありますので、まずは比較表で特徴を押さえましょう。

銀行名ARUHIみずほ銀行三井住友信託銀行ソニー銀行常陽銀行
ローン名スーパーフラット8S(Aプラン)フラット35S(手数料定率)フラット35S
(金利Aプラン、手数料定率)
住宅ローン住宅ローンフラット35(住宅金融支援機構買取型)
ローンの条件団信込み
頭金20%以上
20年超
頭金10%以上
20年超
頭金10%以上
20年超
頭金10%以上
20年超
頭金10%以上
該当ローン公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
金利1.310%1.41%1.41%1.648%1.760%
保証料0円0円0円0円年0.2%~年0.4%
事務手数料は3万2,400円
銀行取扱事務手数料借入額×2.16%借入額×1.026% ~ 1.404%借入額×0.972%4万3,200円2万1,600円
諸費用借入が可能かどうか諸費用・リフォームローンあり住宅ローンに以下の諸費用を含められる

・仲介手数料
・融資手数料
・印紙代
・抵当権設定費用
・火災保険料
・地震保険料
など

火災保険、地震保険は掛け捨てのみ可
住宅ローンに以下の諸費用を含められる

・建築確認や完了検査、適合証明など検査費用
・売買契約書や請負契約書に貼付された印紙代
住宅ローンに銀行取扱事務手数料を含められる

借り換え以外では諸費用をローンに含められない
住宅ローンに以下の諸費用を含められる

・庭園や門、塀、ガレージ、冷暖房設備、インテリア等の設備費用
・長期火災保険
・保証費用
など
つなぎ融資に対する対応があるかどうかARUHIフラットつなぎにてつなぎ融資可能つなぎ融資用のローンを用意ハウスメーカーが提携している場合のみつなぎ融資可能なし着工前にローン実行されるのでつなぎ融資不要
向いているタイプ・建売住宅
・注文住宅
・建売住宅
・注文住宅
・建売住宅
・提携ハウスメーカーの場合は注文住宅
・建売住宅
・注文住宅
・注文住宅

ARUHIは、人気のある住宅ローンを提供しており、金利の低さだけではなく多くの銀行ローンで必要となる保証会社の保証料が不要で諸費用を安く抑えられています。つなぎ融資も用意しているため、建売、注文住宅ともにお勧めで使いやすいローンです。

みずほ銀行のフラット35Sも保証料が不要で、低金利で借りられる住宅ローンです。銀行取扱事務手数料も他行と比べると低めに抑えられているほか、諸費用を含めた借入やつなぎ融資用のローンを用意するなどの幅広い対応で建売・注文住宅ともに利用しやすい内容です。

三井住友信託銀行のフラット35Sは、みずほ銀行よりもさらに銀行取扱事務手数料が安くて、金利は同程度の低さが大きな特徴です。ただ、つなぎ融資は、三井住友信託銀行が提携しているハウスメーカーでなければ使えません。そのため、三井住友信託銀行のフラット35Sは、つなぎ融資の不要な建売住宅または、三井住友信託銀行が提携しているハウスメーカーの注文住宅を購入する場合に、利用を検討することになります。

ソニー銀行は、住宅ローンの中でも銀行取扱事務手数料が定額の4万3,200円と格安で保証料も必要ないため、諸費用はかなり抑えられます。また、諸費用のうち銀行取扱事務手数料は住宅ローンに含めることが可能です。

ただし、銀行取扱事務手数料以外の諸費用については、住宅ローンの借り換えのときのみ住宅ローンに含められます。つまり、住宅購入目的で住宅ローンを組む場合は、諸費用をローンに含めることはできません。また、つなぎ融資は他行のものを使う必要がある点には注意しましょう。建売・注文住宅ともにおすすめです。

常陽銀行は、他の4つに比べて保証料が必要です。しかし、ローン実行が着工前に可能なためにつなぎ融資が不要な点が大きな魅力です。銀行取扱事務手数料も安いため、常陽銀行の営業地域にお住まいで注文住宅を購入したいと考えている方には特におすすめです。

まとめ

住宅ローンを利用して住宅を購入する際の諸費用は、税金、手数料などさまざまな種類があり、支払時期もいろいろです。いつ何が必要なのかを忘れないようにスケジューリングして支払いを進めていきましょう。

また、税金を安くすることは難しいですが、その以外の諸費用については、住宅ローンの選び方や自分で登記を行うなど、安く抑える工夫はできます。どこの住宅ローンを利用するかは特に慎重に検討し、申し込むときは審査のことも考えて複数の金融機関に申し込んでおくと安心です。

住宅ローンを選ぶ際は、諸費用をしっかりと確認して、少しでも安く抑えるように検討しましょう。ただし、不動産仲介手数料のように、手数料の安さだけで業者を選ばず、その業者が良い業者かどうかという観点も忘れずにチェックしてください。

賢く節約してマイホームが手に入るように、調査やシミュレーションをしっかり行ってくださいね。
以上、「住宅ローンの諸費用は360万円?100万円以上節約する5つの方法」でした。

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