土地選びについて調べると、膨大な量の情報が出てきます。
難しい言葉も多く、何から手をつけたらいいのか戸惑ってしまう人も少なくないはず。
そこでこのページでは、可能な限りポイントを絞って土地選びの基本知識をまとめてみました。
これから家を建てようと考えている人は、ぜひ参考にチェックしてみてくださいね。
目次
この記事がおすすめできる人
- 土地探しの基本知識が知りたい人
- 土地の良し悪しを見極めるポイントが知りたい人
- 土地の地盤調査と地盤改良について知りたい人
- 南向きの土地、北向きの土地のメリット・デメリットが知りたい人
- 用途地域について把握したい人
なお以下の記事でも「住宅購入」や「注文住宅」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
・ 【2019年最新】マイホームの頭金は平均いくら必要?マイホーム購入に必要な初期費用を徹底解説!
・ 楽しいけど超重要!注文住宅づくりの打ち合わせの流れとは
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家族のニーズを掘り下げる
家づくりで最も大切なのは、家族が満足できる住空間を実現することです。
土地選びをする前に、まず家族が何を望んでいるのかを明らかにしておきましょう。
おすすめの方法は、各人の望みを箇条書きにまとめることです。
要望をリスト化しておけば、自分たちが家づくりについて勉強するたびに手軽にブラッシュアップできますし、いざ業者と話す段になっても、スムーズに打ち合わせを進めることができます。
また、設計の抜け漏れがないかを確認する上でも、チェックリストとして活用することができるでしょう。
各人のライフステージを考慮することも大切
要望を聞き込むだけでなく、各人の1日のタイムスケジュールやライフステージも考慮して、理想の土地や住宅を検討していきましょう。
例えば一見魅力的な土地に見えても、朝夕の通勤ラッシュがすごくて通勤・通学に不便だったり、小さなアップダウンが多くて老後の生活に難儀したりといった落とし穴がないとも限りません。
土地選びにおいて、時系列は見落としがちな項目の1つですから、家族各人の成長過程をじっくりシミュレーションして、堅実な選択肢を選んでいくことが大切です。
土地の価格が何に左右されるかを知る
土地の価格は、路線価という、道路に面する宅地の1平方メートル当たりの評価額や、公示地価などを参考に算出されます。
国が設けた大まかな基準をベースに、売主の希望やこれまでの類似物件の取引事例などから土地の価格が決められていくわけです。
また、その際は、以下のような条件によって、土地の価格は上下します。
- 前面の道路は最低でも4m以上あるか。
- 土地の形が整っているか。
- 周辺に生活の利便性を高める施設(学校、病院、スーパー等)があるか。
- 日当たりは良好か。
- 地盤は強固か。
- ライフラインは通っているか。
- 角地か。
同じ分譲時に隣接している区画でも、これらの条件によって坪単価に差が出てきます。安い土地、高い土地、それぞれの特性を知ることで、予算や要望に沿った物件を購入できる可能性が高まります。
同じような立地なのに価格が違う物件に出会った時は、上記の項目を思い出して、それぞれの良し悪しを比較されてみてください。
立地選びの基準を考える
土地選びは一生を左右する重要な問題です。重視したいものが多すぎて、どう優先順位をつけたらいいのかわからない、という人も少なくないのではないでしょうか。
ここでは、土地選びの代表的な3つの判断基準をピックアップして、それぞれ解説してみたいと思います。
私生活重視型
現代の日本社会では、人の生活は大きく仕事と私生活に分けられます。
そのため土地選びを考えるときも、この2つを大きな基準に据えると頭の中が整理できるはずです。
私生活を重視する場合は、自分たちのライフスタイルをまず振り返り、それにマッチする土地を選ぶことが大切。
まず思い浮かぶのはスーパーや学校など、生活に深く根ざす施設が付近にあるかどうかですが、それに加えて自分たちの趣味や将来などにも踏み込んで、楽しく暮らせる土地を探してみると良いでしょう。
仕事重視型
仕事を重視する場合、まず検討したくなるのが職場への距離でしょう。特に都心部に住んでいると、満員電車のストレスは無視できません。
50代、60代になってまで満員電車に乗り続けるより、いっそ職場の近くに住んでしまおう、と考えるのは無理のないことでしょう。
短縮できる移動時間も、10年、20年と積み重なれば相当な長さになります。一見単純な基準に思えますが、そのメリットは小さくありません。
ただ、慎重に検討したいのが、職場への距離。短い方が良いとは言っても、近すぎてはプライベートとの切り替えがうまくできず、逆にストレスになってしまいます。
予算と相談しつつ、ちょうど良い距離を模索することが大切です。
安全重視型
災害リスクの低い土地、というのも土地選びの大きな基準になります。
地震、洪水、液状化に土砂災害などが代表的ですが、何れにせよ万が一の事態に備えるなら、まずは土地の過去に目を向けたいところ。
急速に進んだ情報化のおかげで、その土地がどういう経緯で作られたものなのか。また、過去に災害の事例はないのか、といったことが手軽に把握できるようになりました。
例えば国土交通省は、身近な災害リスクをまとめたハザードマップポータルサイトを開設しています。
万全を期すなら、土地選びの際にこう言った災害リスクについても検討しておくのがベターと言えます。
区画ごとの特徴を知る
多くの場合、いくつかに区画された土地のうちの1つを選ぶことになります。
そこで知っておきたいのが、区画ごとの特徴です。
一般に、南向きの角地が魅力的とされますが、果たしてそれは事実なのでしょうか。以下に、区画によってどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
南向き
土地選びをする際、大多数の人が日当たりを重視します。したがって、北向きよりも南向きの土地の方が人気が高く、価格も高い傾向にあります。
特に、南側と東側が道路に面している角地は、採光、通気性、アクセスの3拍子に優れ、区画された土地の中では最も資産価値が高くなる傾向にあります。
ただ、注意したいのが、北側にも区画がある場合に高さや後退距離の制限があるという点です。
例えば南側と北側で奥行きが同じ土地の場合、南側の方が北側よりも住宅を小さくしなければなりません。
また、昨今は価格の高い南側の土地をあえて選ばず、狭小地を安く買って家の内側の設計に予算を集中する、という戦略的な買い方をするご家族も増えています。
一般に北向きよりも南向きの方が需要が高いのは事実ですが、一足飛びに飛びつかず、自分たちが本当に望むものと予算を照らし合わせて、慎重に検討することが大切です。
北向き
北向きの土地は、南側に建物が建つと、日当たりや風通しが極端に悪くなります。設計段階から計画的に対策をしておかないと、暗くなりがちな住空間になってしまうという点がデメリットとして挙げられるでしょう。
一方のメリットは、資産価値が低い分、安く購入できるという点。
また、北向きの土地の場合、リビングや私室など明るさを必要とする部屋を南側に配置することが多く、プライバシーを確保しやすいという利点もあります。
他、抜き抜けや天窓を作ったり、インテリアの色を工夫したり、アイディア次第で自分たちならではの住みやすい住まいを実現できるというのも魅力と言えるでしょう。
実際、南向きしか想定していなかった人が、オープハウスなどで北向きの土地の魅力に気づき、方向転換したという体験談も見られます。
土地の形状や向きは、表面的なものです。工夫でカバーできる可能性も大いにありますから、予算と土地購入費のバランスに悩んでしまうようなら、1度選択肢を広げてみるのも効果的なはずです。
地盤調査・改良について知る
日本国内の、住宅を建てやすい平地の大部分は、ここ1万年の間に堆積した比較的新しい地盤です。
年数のスケールが大きいためあまりピンと来ませんが、地盤が固く、盤石になるには1万〜200万年の時間が掛かるとされており、この観点から考えると日本の土地の大部分はまだ軟らかい、と判断できます。
そこで重要になってくるのが、地盤調査と地盤改良です。
地盤調査とは
地盤調査とは、文字通り建物を建てるに足るだけの強度がその土地にあるかを調べるための調査です。
新築住宅を建てる場合、瑕疵保険という保険への加入が義務となっています。地盤調査は、この瑕疵保険に加入する際の必須条件の1つ。
住宅を建てる際は、地盤調査の結果に応じた基礎設計を行い、住宅の強度を担保しなければなりません。
地盤調査にはスウェーデン式サウンディング試験やボーリング標準貫入試験などいくつかの種類があり、それぞれ掛かってくる費用、期間が違います。
ちなみに費用の相場ですが、調査内容によって無料〜30万円ほど幅があります。
一見、安い方がいいように思えてしまいますが、中には地盤調査を安く引き受けて、本来不要な大幅な地盤改良工事を求めてくる業者もいるため、注意が必要。
地盤調査を依頼する際は、その業者の口コミや、資格取得者の情報などを調べて、本当に信頼できるか事前にチェックされることをおすすめします。
地盤改良の種類
地盤調査の結果、もし地盤の強さに難があるようなら、地盤改良工事をすることになります。地盤改良工事の主な種類は、以下の通りです。
表層改良工法
表層(地面から2m前後まで)の地盤が弱いときに採用される施工法です。地盤改良用のセメントを掘り返した土に混ぜ、重機で固めて強化します。
こうすることにより、下のしっかりした地盤と表層が一体化して、揺れに強い土台を作ることができます。
ちなみに、表層改良工法の費用の目安は1坪あたり2万円前後が相場と言われています。
柱状改良工法
8m前後の、比較的深い部分まで地盤が弱いときに採用される工法です。
地盤に専用のセメントを注入・撹拌して、建物の重さを支える円柱を基礎に作ります。
柱は軟弱な地盤を貫通して下のしっかりした地盤に食い込むため、深く弱い地盤でも一定の耐震性を持った建物を建てることができます。
費用相場は1坪あたり5万円前後です。
鋼管杭工法
弱い地盤が約8m以上に及ぶときに採用される工法です。
鋼管杭という名称の通り、セメントではなく鋼管杭を下にあるしっかりした地盤まで打ち込んで、建物を支えます。30m前後の深さまで対応できるとされています。
鋼管杭工法の費用相場は、1坪あたり7万円前後です。
エリアごとの特性を知る
住宅に気を取られて軽く見てしまいがちなのが、エリアごとの特徴です。
高級住宅街、新興住宅地、古くからある住宅街などなど、細かく分ければキリがありませんが、まず考えたいのが、都心か郊外か、という大きな括りでしょう。
以下に、都心部と郊外、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみます。
都心部
都心、ないし都心に近いエリアに住むメリットは、生活の利便性が高い点です。
場所によっては徒歩圏内で生活の全てが事足りてしまうこともあるでしょう。会社や学校にも通いやすいですし、人付き合いも郊外より少なく済ませられる傾向があります。
一方のデメリットは、土地が高く、住宅同士が密集しやすい点。また、住宅も狭くなってしまいがちな点などが挙げられます。
郊外
郊外に住むメリットは、静かなこと。また、同じ予算でも都心部より広い住宅を建てられる傾向にあることなどが挙げられるでしょう。
一方のデメリットは、何らかの移動手段がないと生活が不便であること。モノや人の移動に掛かる時間的、金銭的な負担が都心より大きくなることなどが考えられます。
どちらを選ぶべきか
都心か郊外か、という選択肢に限った話ではありませんが、土地選びをするときに大切なのは、自分たちのライフスタイルにあった土地かどうかを見極めることです。
それも、そのタイミングだけでなく、20年後、30年後まで見越して、その土地に愛着を持って住めるかどうかを判断することが重要です。
判断に迷ってしまったら、自分たちのライフスタイルを振り返ってみましょう。
例えば「車に乗る、乗らない」「都会の喧騒が好き、嫌い」、というように、住まいに関係する自分たちのライフスタイルや感性を箇条書きにしていくと、自分たちに合った土地の条件が見えてくるはずです。
用途地域について知る
住みやすい街を作るためには、ある程度まとまったエリアごとに、建てられる建物を決めてしまうのが効果的です。
例えば多くの人にとって、住宅は穏やかに過ごすための場所ですよね。遊興施設の多い騒がしいエリアより、住宅が集中しているエリアの方が静かに過ごせる可能性が高いはずです。
また、商店があちこちに点在しているより、1つの商店街にまとまっていた方が買い物もしやすいことでしょう。
このように、どの地域にどんな建物が建てられるかを定めているのが、用途地域というわけです。
用途地域の種類
用途地域は、以下の13種類に分けられます。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
工業専用地域以外であれば住宅は建てられるのですが、土地選びの時は、できるだけ購入する土地がどの用途地域に当てはまるかをチェックしておくことをおすすめします。
というのも、どの用途地域に当てはまるかによって、その土地に建てられる建物の形が制限されるから。
建築基準法では、用途地域ごとに以下のような建築条件が細かく決められており、これを無視すると違法建築物となってしまいます。
建ぺい率 | 敷地面積に対する、建築面積(建物を上から見たときの面積)の割合の上限。用途地域ごとに30〜80%の範囲で制限される。 |
---|---|
容積率 | 敷地面積に対する、延床面積(全フロアの合計の面積)の割合の上限。用途地域ごとに50〜1300%の範囲で制限される。 |
高さ制限 | 隣接する敷地の日当たり、風通しを確保するために設けられる、建物の高さの上限。 |
斜線制限 | 高さ制限の一種。敷地の境界線から一定の高さ以上になると、土地側に傾斜するような形で高さ制限が課される。 |
日影規制 | 日陰が敷地の境界線からどの程度まで日影がはみ出しても良いかを定める上限。1年で最も日の短い日(冬至の日)を基準に、各自治体の裁量で定められる。 |
せっかく土地を購入したのに、後から自分たちの希望通りの住宅が建てられない土地だった、ということにならないよう、土地購入時に建築条件をしっかり確認しておきましょう。
また、できれば土地探しの段階で、依頼する住宅会社を決定しておくことをおすすめします。一緒に土地を探してもらえば、前述のようなトラブルは避けられますし、場合によっては値切り交渉を手伝ってもらうこともできるからです。
市街化調整区域との違い
用途地域は、市街化区域という、市街地が形作られている、または10年以内に市街化される予定のある地域で制定されます。
一方、市街地としてまだ開発されていない地域は、市街化調整区域と呼ばれ、建物の建築に厳しい制限が課されています。そのぶん安く買える傾向があるのですが、きちんとデメリットを理解していないと、後悔してしまう可能性も。
例えば市街地化する予定がないため、住宅や商業施設の建築は基本的に認められていません。もし市街化調整区域に住宅を建てる場合は、都道府県に申請して建築の許可をもらう必要があります。
市街化調整区域の建物は資産価値に乏しいため住宅ローンの審査も厳しく、また場合によっては、インフラが通っていない可能性もあります。
付近に住宅地が少なく、購入できそうなのが市街化調整区域の土地だけ、というような場合は仕方ないですが、単純に安いという理由だけで手を出すには、少々リスキーなエリアと言えます。
調べ方
購入する土地がどの用途地域に属しているかを知るには、住所をウェブで検索するのが早道です。
例えば「地名 用途地域」や「地名 都市計画図」などのキーワードで検索すれば、各地方自治体が公開している情報がすぐにヒットするはずです。
もし見つからないようであれば、役所の都市計画化の窓口に直接問い合わせれば、都市計画図を参照させてもらえるでしょう。
まとめ
- 土地選びでまず行うべきことは、どのような住まいを実現したいのかイメージを固めること。
- 土地の周辺環境をチェックする時は、家族各人の生活する時間帯、ライフステージごとの変化もシミュレーションすることが大切。
- 土地の価格は、基本的には国が発表する路線価や公示地価などを参考に大枠が決まり、形や周辺環境、日当たり等の諸条件で上下する。
- 南東の角地が最も人気だが、最近は北向きや狭小地を安く購入し、設計を工夫して住みやすい住宅に仕立てるケースも増えている。
- 地盤調査は義務であり、避けられない。業者によっては本来不要な地盤改良を求めてくることもあり、注意が必要。
土地選びの基準は十人十色です。ある人にとっては全く魅力に思えない土地が、別のある人にとっては非常に魅力的なものであることも十分考えられます。
様々な情報が溢れていますが、「家族が愛着を持って住めるかどうか」という点をぜひ軸に置いて、自分たちならではの土地選びをしていただければと思います。
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