地下室付きの住宅ってどう?5つのメリットと2つのデメリット

地下室付きの住宅ってどう?5つのメリットと2つのデメリット

地下室にはロマンがあります。

シアタールーム、カラオケルーム、バー、スタジオ、プライベートジム等々、アイディア次第で実に多彩な使い方ができます。

もちろんコストは掛かりますが、普通の住宅にはない非日常な空間を手に入れることができるのは、大きな魅力でしょう。

このページでは、そんな地下室付きの住宅について、基本的な知識を解説してみたいと思います。

この記事がおすすめできる人

  • 地下室のある住宅を建てようと考えている人。
  • 地下室を作る場合に、どういった費用項目があるのか知りたい人。
  • 地下室のメリット・デメリットを把握したい人。
  • 地下室の定義が知りたい人。

なお以下の記事でも「オリジナリティのある注文住宅」について詳しく解説しています。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください!
・ 新築住宅を豊かに!シアタールームのススメ
・ こだわりのある注文住宅を建てるためのポイント
・ 理想の注文住宅を建てるためにこだわりぬいたアイディア事例5選

そもそも地下室とは

辞書

一般に地下室という場合、文字通り地面より下にある部屋、というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

実際その理解は正しいのですが、地下室を作るメリットは法律がらみのものが多いため、まずは建築基準法が定める定義を把握しておきましょう。

地下室とは、厳密には地階にある部屋のことです。地階の定義は、建築基準法施工令の第1章第1節の第2条に記載があります。

地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。

引用元:建築基準法施行令

表現がややこしいのですが、地盤面を「地面」に読み替えればわかりやすくなるかと思います。

要は、そのフロアが3分の1以上地面にめり込んでいれば、地階と判断できるわけです。

地下室は居室として使える?

法的な定義は上記の通りですが、もし地下室を居室として使う場合には、以下の条件をクリアする必要があります。

  • からぼり(ドライエリア)などの開口部が設けられていること。
  • 建築基準法が定める換気設備が設置されていること。
  • 湿度を調節する設備が設置されていること。
  • 外壁、床に適切な防水処理が施されていること。

なお、一般的な居室の条件には採光に関する項目もありますが、地下室については採光のための窓は設ける必要はないとされています。

地下室を居室として使う場合の詳しい条件は建築基準法施行令の第1章第22条、第2章第28条にそれぞれ記載がありますので、興味がある人は参照してみると良いでしょう。

地下室を作るメリット

3つの顔

地下室は、酔狂な趣味に使うもの、というイメージを持つ人も少なくないでしょう。実際にそうした側面もありますが、実は近年、全く違う理由から地下室を作る人が増えています。

以下に、あまり知られていない地下室のメリットを紹介してみたいと思います。

床面積の上限を3割以上増やせる

土地には容積率という、その土地の面積に対する、建物の延床面積(全フロアの合計面積)の上限が定められています。

これは、特に都市部に多い狭い土地に家を建てる場合に、大きなネックとなります。容積率の上限ギリギリまでの家を建てても、ゆとりある生活を送るには住空間が足りない、という事態に陥ってしまうケースが少なくないからです。

そこで注目したいのが地下室です。

地下室は、「その建物が住宅として使われており、かつ地階の天井が地面から1m以下の位置にある」という条件を満たしていれば、延床面積の1/3までがカウントから除外されます。

つまり、本来のルールよりも、実質3割以上も容積率が緩和されるというわけです。

耐震性が上がる

地震による建物の揺れを考える時は、普通地面より上で想像しますよね。地面の揺れを追いかけるように建物が揺さぶられる様は、比較的イメージしやすいかと思います。

一方、地下室はどう揺れるのでしょうか。当たり前のことですが、地下室は地面に埋まっています。つまり、地面と一緒に揺れているわけです。

この時、地下室の壁に接する地盤がバネのように作用し、揺れの影響を軽減してくれます。

また、そもそも地下室は、常時掛かる土の圧力を前提に設計されています。地震によって地下室に力がかかるのは、ごくごく短い間であり、前述のように制震作用も働きます。

その分コストも掛かるわけですが、一般的には地下室のない家よりある家の方が、耐震性に優れていると言えるでしょう。

防音性に優れる部屋が手に入る

地下室は地面に囲まれています。

また、床や壁も、耐久性を考慮した設計になっています。意図しなくとも、必然的に防音室のような機能を兼ね備えているわけです。

そのため、空間を大きく取ってシアタールームやダンスフロアにしたり、カラオケや楽器演奏を楽しむプレイルームにしたり、といった使い方もできます。

また、周囲の雑音からも隔離されるため、書斎や読書部屋として活用するのも良いでしょう。

気温・湿度の安定した部屋が手に入る

地下室には、建築基準法で調湿・換気のための設備の設置が義務付けられています。

他の部屋に比べて、室内の気温や湿度の変化も小さいため、少し手を加えて飲食料の保管庫にしてしまう方法もあります。

実際、ワイン好きな人の中には、自分だけのワインセラーを手に入れるために地下室を作ってしまうケースも少なくないようです。

もしものときのシェルターにもなる

地下室は耐震性に優れ、飲食料の保管にも適しています。

そのため、何らかの災害に見舞われた際のシェルターとしても活用することができます。

嘘のような本当の話ですが、永世中立国であるスイスは国民が自宅に核シェルターを設置することを勧めており、所定の条件を満たすことで補助金まで給付しています。

日本が核攻撃される可能性は今の所高くはありませんが、もしものもしもを考えて避難先を作っておく、というのも選択肢の1つでしょう。

地下室を作るデメリット

悲しい顔

土地の狭い都心部では、地下室を作るメリットは小さくありません。ただもちろん、デメリットもあります。

続いては、地下室のデメリットについて掘り下げて見ていきましょう。

費用が掛かる

最も大きなデメリットは、費用が嵩んでしまうことです。

地下室を作ると、そうでない場合に比べて床面積を約3割増やすことができます。

しかし、コストはそれ以上に高くつきます。ケースバイケースですが、5割以上増えることも少なくありません。

地盤が崩れないよう対策を施し、重機を入れて土を掘り、それを捨て、防水工事を行って、鉄筋を配置し、コンクリートを打つ。このように、基本的な構造を作るだけでも、相当な規模の工事を行う必要があります。

この他に換気や調湿の設備工事なども加わるわけですから、地下室の実現に掛かるコストは推して知るべしと言えます。

土地を選ぶ必要がある

地下室は、どんな土地でも作れるわけではありません。

例えば地面のすぐ下に水脈があって、土を掘ると浸水してしまうような土地では、施工してもらうことができません。

また、区画整理等で周辺に道路の拡張計画などがあったりする土地は、コンクリートの打設が制限されるため、施工不可であることが多いです。

ほか、万が一のトラブルを避けるために、隣り合っている敷地や建物から一定の距離を取らなければなりません。

具体的な幅は掘削する深さによって異なりますが、仮に土地に問題がなくても望んだ広さの地下室が作れるとは限らない、ということは知っておくとよいでしょう。

もし自宅に地下室を作りたいと考えているなら、土地探しの段階できちんと調査をしておかないと、購入後に希望が通らない、ということにもなりかねません。

あらかじめ業者に希望を伝えておき、地下室が作れる土地であることを確認した上で契約されることをお勧めします。

いくら必要?地下室を造るのに掛かる費用

硬貨

地下室を作ると、普通の家を建てる場合に比べてコストが上がります。

では、実際にどのようなものに費用が掛かるのでしょうか。

地下室建築にかかる費用の内訳

費用項目相場概要
地盤調査(ボーリング調査)30万円前後地下室が作れる地盤かどうかを確かめるための調査。
構造計算費20〜30万円前後外から加わる力に対して、構造物がどう変形するか、どこまで耐えられるかを判断するための計算。
設計費30〜80万円前後文字通り、地下室の設計費用。
山留め工事費200万円前後(地下室の広さによる)鉄筋コンクリートの躯体が完成するまで、周囲が崩れないように仮設壁を設置する工事。
掘削工事費200万円前後(地下室の広さによる)地下室を作るために地面を掘り返す工事。
防水工事80万円前後(地下室の広さによる)地下室に水が侵入しないよう、防水膜を張るなどして水密性を高めるための工事。
各種設備工事100万円前後空調や換気、排水のための設備を設置する工事。

あくまで一般的な相場感ですが、地下室の坪単価は50〜200万円ほどになるのが一般的です。

地下室に特化して建築を請け負っている専門業者ほど割安で依頼でき、反対に大手ハウスメーカーほど割高になる傾向があります。

大手メーカーのオプションは割高?

地下室は、どのハウスメーカーでも、依頼すれば作ってもらえる可能性があります。

ただ注意したいのが、大手メーカーのオプションプランで地下室を作ると、割高になる可能性が高いということ。

というのも、規格化に力を入れている大手住宅会社は、地下室などのある意味で特殊な施工を外注することが多いからです。

自社だけで地下室の設計・施工ができる建築会社であれば、坪単価100万円未満で施工(内装工事費等除く)を請け負ってくれるケースが多い反面、ハウスメーカーに依頼すると倍近く跳ね上がってしまうケースも見られます。

もちろん、自力で業者を探すのは相応の手間と時間が掛かりますから、そうしたコストパフォーマンスも踏まえた上で、依頼先の業者を決定することが大切です。

地下室は広いほど割安になる?

地下室を作るのにかかる費用のうち、少なくない部分が、山留め工事や掘削工事のための重機に掛かります。

それ以外の施工に関しては費用の割合が小さいため、狭い地下室よりも広い地下室を作った方が、コストパフォーマンスは高くなる傾向があります。

地下室に関するよくあるQ&A

Q&Aの看板

最後に、地下室を作る上で押さえておきたい知識をQ&A形式で紹介します。

どんな種類がある?

深さや選ぶ土地の状況によっていくつかの種類があります。代表的な種類は以下の通りです。

収納庫タイプ高さ1.4m以下で、その階の広さの1/2以下の部屋は、収納に分類され、延床面積のカウントに含まれません。収納スペースを確保するために地下室を作る場合は、このタイプが向いているでしょう。
半地下タイプ地盤より高い位置に天井のある地下室です。窓を取り付けることで、地下室でありながら明るい空間を作ることもできます。
全地下タイプ地盤より低い位置に天井のある地下室です。断熱性・遮音性に優れる地下室の定番です。

地下室は木造?

強度の問題をクリアしなければならないため、地下室部分はほとんど鉄筋コンクリートです。

ただ、1階以上の住宅部分は、工法・構造ともに自由に選択することができます。

ドライエリアって何?

別名からぼりとも呼ばれる、地下室の外側に設けられる空間です。ベランダの地下室版のようなイメージで、地下室と外を繋げます。

ドライエリアの目的は、採光や調湿、換気など。ドライエリアのある側に窓を取り付け、部屋としての環境を改善する、という方法もよく見られます。

建っている家に地下室を追加することはできる?

既存の住宅に後から地下室を追加するのは、非常に難しいとされています。建物の構造や地盤の強度次第では対応可能なケースも考えられますが、ごく稀と言っていいでしょう。

地下室を作ると、施工期間はどのくらい伸びる?

土地の状況や、依頼する業者がどのような工法を採用するかにもよりますが、伸びても長くて2ヶ月前後でしょう。短ければ10日程度で施工が終わることもあります。

結露しやすいって本当?

本当ですが、計画的に換気・除湿を行えば解消できます。

地下室は、地上階よりも空気が冷たくなります。そのため、地上階の空気が流れ込むと空気中に漂う水分が気体でいられなくなり、結露が発生してしまうわけです。

結露を防ぐためには、地下室の温度を下げすぎないための断熱と、空気中の水蒸気を外に出す換気が不可欠と言えます。

ちなみに、コンクリートは施工から1年ほどは水蒸気を発します。そのため、住み始めてしばらくは、特に除湿に気をつけることが大切です。

メンテナンスは必要?

業者によっては、5年毎、10年毎の定期点検を実施しているところもありますが、地下室は基本的にメンテナンスをする必要がありません。 もちろん、換気や排水設備が故障などした場合には交換が必要ですが、能動的な点検は不要です。

まとめ

  • 地下室は、床から地面までの高さが、天井の高さの1/3以上のフロアにある部屋のこと。
  • 条件を満たせば、法的にも実用的にも居室として使うことができる。
  • 地下室を作るメリットとしては、「容積率を最大で1/3まで緩和できること」「耐震性が高まること」「防音・断熱に優れる部屋が手に入ること」などが挙げられる。
  • デメリットは、「作らない場合と比べてコストが倍以上掛かる可能性があること」「土地を吟味する必要があること」など。
  • 地下室自体の坪単価は、50〜200万円。専門性の高い業者に依頼するほど、コストパフォーマンスも高くなる傾向がある。

普通の住宅に比べて、地下室付きの住宅に関する情報は多くありません。業者に相談してみて、初めて分かる事実も多いことでしょう。

このページの内容が、そうした専門家と打ち合わせをする上での下地になれば幸いです。

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