「マイホームを考えているけど、自分は住宅ローンの審査に通るんだろうか…?」
「審査が通るためのコツはあるのかな?審査の前に準備しておきたい。」
あなたは今、こんなふうに考えていませんか?
住宅ローンは大抵の人にとって一生に一度の大きな買い物の対価、そう借金です。
すなわち借り手に対する審査が発生するもの。もちろん、無知識で申し込んでしまうよりは準備しておくことで通るようになるコツが存在します。
本記事では、住宅ローンの審査に落ちてしまった実例の解説を含めて、審査内容やその対策、そして万が一審査不合格になった場合の対処法まで徹底的に解説しています。この記事を読み終える頃には、自信を持って住宅ローンの申し込みができ、あなたが希望する金額の借り入れができるようになっていることでしょう。
住宅ローンの審査とは?
住宅を購入するする場合、多くの方は住宅ローンを利用することになると思います。ここでは、住宅ローンの審査の概要についてお伝えします。
引用:SUUMO「住宅ローン審査の基準、通らないのはどんな理由? 初心者が知りたいQ&A」より
仮審査(事前審査)
住宅ローンの審査には、仮審査(事前審査)と本審査の2種類があります。
仮審査(事前審査)は、住宅の売買契約を結ぶ前に住宅ローンが受けられそうかどうかをできるだけ迅速に、必要最小限の書類で判断します。
中古住宅の市場では、この仮審査(事前審査)の承認通知書がなければ購入申し込みを受け付けない不動産会社もあります。仮審査(事前審査)のスピードが遅いと、他の購入希望者に契約されてしまって購入できないこともあります。
ただし、仮審査(事前審査)に合格したからといって100%本審査に合格することを保証するものではありません。
審査日数
仮審査(事前審査)は、早く売買契約を結びたいという要望がありますのでスピードが求められます。概ね申し込みから1週間で結果が出ます。
ネット銀行が住宅ローンに参入してから、各金融機関のスピード競争が始まり、即日審査をウリにしている金融機関もあります。都市銀行もこぞってインターネットを使った住宅ローンに参入しています。
必要書類
金融機関は必要書類もできるだけ少なくして素早く審査できるようにしています。金融機関によって多少の違いはありますが、概ね仮審査(事前審査)に必要な書類は以下の表のとおりです。
サラリーマン・公務員 | 会社代表者・会社役員(取締役等) | 個人事業主 |
---|---|---|
・源泉徴収票(写) ・本人確認書類(表・裏の写) ※運転免許証やパスポート ・健康保険証(表・裏の写) ・認印 ・購入予定の物件資料 | ・会社決算書(3期分の写) ・源泉徴収票(3期分の写) ・本人確認書類(表・裏の写) ※運転免許証やパスポート ・健康保険証(表・裏の写) ・認印 ・購入予定の物件資料 | ・確定申告書(3期分の写) ・本人確認書類(表・裏の写) ※運転免許証やパスポート ・健康保険証(表・裏の写) ・認印 ・購入予定の物件資料 |
本審査
本審査は、購入の契約を結んだ後に行われ、正式な審査になります。
仮審査(事前審査)より詳細な確認が必要になり、収入証明も公的な物を要求されたり、売買契約書や重要事項説明書などの契約関係の書類も要求されたりします。審査日数も仮審査(事前審査)より長くかかります。
審査日数
本審査にかかる日数の目安は2週間程度です。申し込み内容によっては、金融機関から追加の資料の提出を要請されることもあり、その場合は2週間以上かかることもあります。
必要書類
仮審査(事前審査)時に提出した物に加えて以下の書類が必要になります。
- 個人に関係する書類
書類名等 | 備考 |
---|---|
住民票 | ・市役所(区役所)で取得する ※取得後3ヶ月以内のもの ※家族全員の記載があるもの ※本籍地の記載は不要 |
印鑑証明書 | ・市役所(区役所)で取得する ※取得後3ヶ月以内のもの |
課税証明書(住民税決定通知書) | ・市役所(区役所)で取得する |
源泉徴収票 | ・勤務先 ※原本が必要になります |
実印 | 申込書に実印を押印する |
団体信用生命保険申込書兼告知書 | 住宅ローン申込書セットに同封されている |
住宅ローン申込書 | 住宅ローン申込書セットに同封されている |
- 物件に関係する書類
書類名等 | 備考 |
---|---|
売買契約書 | 必須(住宅建設の場合を除く) |
重要事項説明書 | 必須(住宅建設の場合を除く) |
工事請負契約書 | 住宅建設の場合は必要 |
見積書 | 住宅建設の場合は必要 |
パンフレット・チラシ等(間取図) | 必須 |
案内図・住宅地図 | 必須 |
建築確認済証 | 新築の場合は必要 |
固定資産税評価証明書 | 必須 |
公図 | 必須 |
不動産登記簿謄本 | 必須 |
マンションの価格表・建築概要書 | 新築の場合は必要 |
審査に落ちた実例5選
住宅ローンの審査は、後述するように審査基準自体が明らかにされていませんし、審査に落ちた場合も原因を教えてくれるわけではありません。以下にあげている事例は、住宅ローンアドバイザー資格と注文住宅・中古住宅の25年の営業経験を持つ私が、業務に携わった中で経験したものです。
実例1.個人信用に問題があった例
Aさんは、大手企業にお勤めで、年収800万で年齢は30代半ばの方でした。購入を希望される物件は中古マンションで価格2,700万円です。
これは問題ない案件だろうと都市銀行に住宅ローンの仮申し込み(事前申し込み)を行いましたが、まさかの非承認の通知がありました。私は納得できなかったので、金融機関のローン受付担当者にしつこく問い合わせたところ、個人信用情報に問題があったようなニュアンスの回答を得ました。
そこで、Aさんに確認したところ、クレジットカードのカードローンを限度額一杯利用していることが分かったのです。
つまり、個人信用情報に問題があったのです。
実例2.物件に問題があった例
Bさんは子供が小学校に入学するのを機に、とても気に入った中古の一戸建て住宅を購入しようと考え、住宅ローンを申し込みました。しかし、金融機関の結果は非承認でした。
Bさんは、どうしてもその物件が購入したかったので、私のところへ相談に来られました。そこで、物件を詳細に調べると、売主(個人)による増築が行われていました。しかも、その増築部分は不動産の登記がされていないうえに、増築部分を加えると建築法規に触れることがわかりました。
つまり、物件自体の問題が審査に影響したのです。
実例3.勤務先に問題があった例
Cさんは某有名企業の営業マンで、年収も1000万円を超えていました。そこでCさんは、人気のタワーマンションを購入しようと住宅ローンを申し込みましたが、結果は非承認でした。
非常に落胆しているCさんから詳しく話を聞いたところ、Cさんの年収の大半はコミッション(歩合)によるもので、今年は1000万円でも来年はどうなるかわからないとのことでした。
住宅ローンは、長期間支払っていかなくてはならないので、収入の不安定さは審査に影響があるようです。
実例4.健康状態に問題があった例
Dさんは建売住宅の購入を考えて住宅ローンを申込みましたが、結果は非承認でした。Dさんは地方公務員であり、勤務先に問題なく収入も安定しています。また、購入の資金計画も自己資金を20%ほど準備し、返済額も年収の25%に抑えるなど、資金計画の見本のような内容でした。
しかし、結果は非承認。Dさんは2年前に内臓の疾患による入院・手術の経験がありました。住宅ローンは団体信用生命保険加入が条件になっているものが大半なので、この団体信用性保険加入の審査に通らなかったのだろうと思われます。
実例5.資金計画に問題があった例
Eさんは新築のマンションは高額の割に狭くて住みにくいので、中古マンションを購入して自分好みにリフォーム・リノベーションをしようと考えていました。
近年住宅ローンには、住宅購入資金だけでなくリフォーム資金も一緒に融資してもらえるようになっています。Eさんは、なるべく自己資金は使わずに、マンションの購入資金だけでなく、リフォームの資金も合わせて融資可能額目一杯の金額で住宅ローンを申し込みました。結果は非承認でした。
住宅ローンの受付担当者によると「確かに住宅本体だけでなく、購入の諸費用にも融資する諸費用ローンやリフォーム資金に融資するリフォームローンも合わせて融資できますが、その分審査は厳しくなります。」とのことでした。
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気になる審査基準の内容
前述しました住宅ローンの審査に落ちた事例をみてもお分かりのように、一見大丈夫なようでも様々な理由により非承認になっているようです。住宅ローンの審査基準が分かっていれば、事前に対策をして申し込みをすればいいわけです。
審査基準は各金融機関とも明らかにしていない
しかし、各金融機関は、住宅ローンの審査基準を明らかにしていません。手がかりになるのは、各金融機関による住宅ローンの商品概要です。そこで、代表的な金融機関の住宅ローン商品概要を調べてみました。
下記の表で商品概要から審査基準につながりそうなものを、抜粋してハイライトをつけてみました。
三井住友銀行 (※1) | 三菱東京UFJ銀行 (※2) | みずほ銀行 (※3) | |
---|---|---|---|
ご利用いただける方 | 以下の条件をすべて満たされる方 ・お借入時満20歳以上で満70歳の誕生日までの方、完済時は満80歳の誕生日までの方 ・当行指定の団体信用生命保険に加入できる方 ・当行指定の保証会社の保証を受けられる方 | ・年齢が借入時に20歳以上70歳の誕生日まで、完済時に80歳の誕生日までで、保証会社(三菱UFJ住宅ローン保証(株))の保証を受けられるお客さま ・団体信用生命保険にご加入が認められるお客さま(保険料は当行が負担いたします) ・日本国籍のお客さま、または永住許可等を受けている外国人のお客さま | 以下のすべての条件を満たす個人のお客さま ・満20歳以上71歳未満で、最終ご返済時の年齢が満 81 歳未満の方 ・みずほ銀行が契約する生命保険会社の団体信用生命保険に加入が認められる方 ・安定した収入のある方 ・保証会社の保証を受けられる方 ・原則、日本国籍の方または永住許可等を受けている外国人の方 |
資金使途 | ご本人が居住される住宅・宅地の購入資金、新築・増改築資金 | ご自身がお住まいになる住宅の建築・購入・増改築資金、住宅ローンの借替資金・借り替えに伴う諸費用 ※購入物件の所在地や面積等によりご利用いただけない場合があります ※不動産は、建築基準法およびその他法令の定めに合致していることが必要です | (1)本人居住用の土地・住宅の購入、住宅の新築・増築・改装、底地の買取資金 ※賃貸の目的にはご利用できません (2)火災保険料、保証会社手数料・保証料、仲介手数料、担保関連費用、印紙税、引越費用、修繕積立金、リフォーム費用、付帯工事費用、管理準備金、水道加入金 |
お借入金額 | 100万円以上1億円以内(10万円きざみ) | 30万円以上1億円以内(10万円単位) ※返済計画に無理のないよう年収による制限があります | 50万円以上1億円以内(1万円単位) |
お借入期間 | <変動金利型> 1年以上35年以内 <固定金利特約型> 2年以上35年以内 <超長期固定金利型(全期間固定金利型)> 10年超35年以内 (それぞれ1ヵ月きざみ) | 2年以上35年以内(1年単位) ※中古物件の場合等は一部制限があります | 1 年以上 35 年以内(1 年単位) ※固定金利選択方式は2年以上35年以内 ※全期間固定金利方式は11年以上35年以内 |
担保 | ご融資対象物件に、当行指定の保証会社を抵当権者とする抵当権を設定していただきます | ご購入になる土地・建物または借替対象となる土地・建物に保証会社を抵当権者とする抵当権を設定していただきます ※担保設定費用は、別途ご負担いただきます 建物には長期火災保険をつけていただき、保険金請求権に保証会社を質権者とする質権を設定していただく場合があります ※担保設定費用は、別途ご負担いただきます | 保証会社がご融資対象となる土地および建物に、原則として第一順位の抵当権を設定登記させていただきます 担保設定に要する費用については、お客さまにご負担いただきます マンションを除く借地上の建物または保証会社が必要と判断する場合は、建物に火災保険をつけていただき、保証会社が保険金請求権に質権を設定させていただきます |
保証人 | 当行指定の保証会社の保証をご利用いただきます 保証人は原則として不要です | 保証会社の保証をご利用いただきますので原則として保証人は必要ありません | 保証会社の保証をおつけいただきますので、原則として別途保証人は必要ありません |
団体信用生命保険 | 当行指定の団体信用生命保険にご加入いただきます 保険料は当行が負担いたします | 加入者が万一保険期間中に死亡または所定の高度障がい状態になられた場合に保険金によりローンの残額が返済される「団体信用生命保険」にご加入いただきます これにより原則として、ご家族に負担が残ることはありません(保険料は当行が負担いたします) | 団体信用生命保険にご加入いただきます (保険料はみずほ銀行が負担いたします) ご希望により3大疾病保障特約をご利用いただけます この場合、保証料のお支払方式に応じた金利に年率0.3%上乗せした金利が適用されます |
※1:三井住友銀行「三井住友住宅ローン」より
※2:三菱東京UFJ銀行「住宅ローン」より
※3:みずほ銀行銀行「みずほ住宅ローン」より
上記の表から見えてくることは以下の4つのことです。
- 各行共通して団体信用生命保険に加入しなければならないとしています。団体信用生命保険に加入できるかどうかが審査基準となることがうかがえます。
- 各行共通して指定の「保証会社の保証を受けられる方」を条件に挙げています。これも審査基準となるようです。
- みずほ銀行は「安定した収入のある方」を、三菱東京UFJ銀行は「返済計画に無理のないよう年収による制限があります」を明記しており、審査基準となりそうです。
- 三菱東京UFJ銀行は、対象物件について言及しており、審査基準になることがうか予想できます。
ここで少し「保証会社」について解説しておきます。住宅ローンは最長35年間という超長期間にわたって支払続けなければならないものです。もしも住宅ローンの債務者がローンを支払えなくなった場合は、保証会社が債務者の代わりに金融機関にローン残額を一括して支払うことを約束します。金融機関はローンが焦げ付く心配がないので、安心して住宅ローンを融資することができます。
保証会社は、保証をすることの対価として、債務者(住宅ローンを申し込んだ人)から保証料を受け取ります。保証会社は、万が一の場合に債務者に代わって支払うリスクを負うことになりますから、債務者を保証して良いかどうか審査することになります。
例えば三井住友銀行では、ホームページ上で「お申込にあたっては、当行および当行指定の保証会社の審査がございます。審査の結果によってはお断りする場合がございますので、あらかじめご了承ください。」と注意書きを記載しています。
国土交通省が発表する民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
国土交通省では、毎年住宅ローンの実態を調査しており、「融資を行う際に考慮する項目」の調査結果を公表しています。
引用:国土交通省「平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」より
「融資を行う際に考慮する項目」として、以下の20項目あがっています。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 担保評価
- 融資可能額(融資率)借り換えの場合
- 年収
- 連帯保証
- 勤続年数
- 金融機関の営業エリア
- 返済負担率
- 融資可能額(融資率)購入の場合
- 雇用形態
- 国籍
- カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
- 申込人との取引状況
- 業種
- 家族構成
- 雇用先の規模
- 所有資産
「完済時年齢」(97.2%)、「健康状態」(95.7%)、「借入時年齢」(95.6%)、「担保評価」(95.5 %)、「年収」(93.6%)、「連帯保証」(92.8%)、「勤続年数」(92.7%)については、引き続き、9割以上の機関が融資を行う際の審査項目としている。
参考:「国土交通省 平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」より
国土交通省が発表した「平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」の中では、総評として上記のように語られています。
以上から、住宅ローンの審査において考慮される項目はわかりましたが、その具体的な審査内容はまだ漠然としています。なぜなら、各金融機関で内容が違うからです。そのため、不動産会社では各金融機関の住宅ローンの受付担当者から日々聞き取り調査を行なっています。例えば、「A銀行では年収が200万円以上ならOK」、「B銀行なら返済負担率40%までいける」というような具合です。
審査基準が明確なフラット35
申込条件を見ただけでは審査基準が分かりくい民間の住宅ローンに対し、フラット35は利用条件(※4)で審査基準を明確にしています。
どのような人がフラット35を利用できるのかを下記のように示しています。
申込者 | ・申込時の年齢が70歳未満で、80歳時点までに完済できる人 ・日本国籍の人、または永住許可などを受けている人 |
収入基準 | ・住宅ローンの返済額と他のローンの返済額の合計が、返済負担率以内に収まっていること ・返済負担率 年収400万円未満‥‥返済負担率 30% 年収400万円以上‥‥返済負担率 35% |
どのような住宅(物件)であればフラット35を利用できるのかも、下記のように示しています。
新築の場合 | 中古の場合 |
---|---|
・住宅の床面積が 一戸建て‥‥70㎡以上 マンション‥‥30㎡以上 ・住宅金融支援機構の定める技術基準に適合する住宅 ・建設費または購入価格が1億円以下 | ・住宅の床面積が 一戸建て‥‥70㎡以上 マンション‥‥30㎡以上 ・住宅金融支援機構の定める技術基準に適合する住宅 ・建設費または購入価格が1億円以下 ・借入申込日において築後年数が2年を超える住宅、または既に人が住んだことがある住宅 ・建築確認日が1981年5月31日以前の場合、住宅金融支援機構の定める耐震評価基準などに適合している住宅 |
ちなみにフラット35とは、独立行政法人である「住宅金融支援機構」が提供する長期(35年)固定金利型の住宅ローンです。言わば「国の住宅ローン」です。
民間の住宅ローンに比べてフラット35の融資の仕組みは少し複雑になっています。民間の住宅ローンでは、金融機関が直接融資をしますが、フラット35の場合は住宅金融支援機構は直接融資をしません。各金融機関がフラット35の申込者に融資します。そして、そのローン債権(融資金を回収する権利)を金融機関から住宅金融支援機構が買い取る方式になります。
住宅金融支援機構は、良質な住宅を安定的に供給することを重視しており、機構の定める技術水準に適合する住宅かどうかが一番重要なポイントになっています。個人の信用は、返済負担率をクリアしているかを審査ポイントにしています。
審査に通るために重要な9つのポイント
さて、住宅ローンの審査に通るためのポイントとはどのようなものになるのでしょうか?前述の国土交通省の調査結果で金融機関の多くが審査対象にしている9つの項目について見ていきます。
貸し手である金融機関の立場に立って考えてみると答えが見えてきます。大きな金額を毎月滞りなく長期間払い続けて、最後まで支払い終わってくれる人に融資したいはずです。
完済時年齢
住宅ローンの完済時年齢の上限は殆どの金融機関で80歳としています。しかし、年金暮らしの人が住宅ローンを支払い続けるのはハードルが高いのではないでしょうか?定年退職の年齢までに完済できる年数で住宅ローンを申し込みできれば、金融機関の評価は高いでしょう。具体的には、35歳の人なら25年ないし30年のローンが望ましいです。
ご自身の勤務先の定年制度と照らし合わせて資金計画を検討されることをお勧めします。
健康状態
殆どの民間の住宅ローンは、団体信用生命保険に加入することを義務付けています。手足の欠損や機能障害がある場合はまず加入できません。高血圧、糖尿病、肝臓病の方も加入のハードルは高いです。しかし、団体信用生命保険を受け付ける保険会社の基準は各社異なりますので、一社でダメでも他社で加入できる可能性はあります。
借入時年齢
借入時年齢とは、住宅ローンを申し込める年齢のことです。多くの金融機関では、20歳以上65歳ないし70歳未満としています。住宅ローンの期間の最長は35年、そして完済時年齢の上限は80歳です。従って35年の住宅ローンを組むなら申込の上限は45歳ということになります。
また、定年年齢を考慮に入れると、60歳定年なら25歳、65歳定年なら30歳が適齢になります。この適齢には、繰り上げ返済は考慮されていないため、繰り上げ返済を予定するならもう少し高齢でも問題ありません。
このような定年を見据えた基準は審査側の金融機関も持っていますので、30歳から40歳の間に申し込みを行うと審査が通りやすくなります。
担保評価
住宅ローンを借りると、金融機関から購入した住宅に抵当権を設定することを求められます。万一ローンの支払いが滞った場合に、物件を競売して回収するためです。そのため、ローンを使って購入する物件の担保価値も審査されます。極端に築年数の古い物件や、建築法規に違反する物件は審査で落とされることがあるので、注意が必要です。
勤続年数
貸し手側から見ると勤続年数が長いほど安定感があるので、高い評価が得られます。勤続年数は3年以上としている金融機関もあります。1年未満だとマイナス評価されたり、門前払いされたりします。ただ、1年未満でも同じ業種、同じ業務内容の転職であればマイナスに評価されない場合があります。金融機関によっては、経歴書の書式を用意しているところもあります。
年収
年収は高いほど金融機関の評価が高くなると思いがちですが、実は違います。前述のように、長期安定して返済可能な人ほど評価されます。従って、年収1億円のプロ野球選手より、年収400万円の公務員の方が金融機関の評価は高くなります。
また、年収と借入額とのバランスが重視されますので、年収が高く借入可能額も高額であっても、借入可能額一杯まで借りるのではなく、年収の5から6倍に抑えておくことをお勧めします。
連帯保証
住宅ローンでは、原則として保証会社に保証料を支払って保証してもらう仕組みになっています。連帯保証人も原則不要です。
ただ、ペアローンや共有にする場合には、一方が他方の連帯保証人になることを求められケースがあります。連帯保証人になる場合は、主債務者(住宅ローンの申込者)と同様の審査があります。
個人信用情報
個人信用情報とは、個人のクレジットカードの利用状況や、カードローンなどの契約内容・支払い状況・残高等です。過去に支払いの遅れが頻繁にあったり、不払い等の事故の記録が残っていると、住宅ローンの審査は通りません。
また、問題の記録がなくても、多額の借入があったり、ローン機能の付いたカードを所有しているだけで使っていなくても借入があると想定して審査されることがあるので注意が必要です。
もう1つ注意しておかなければならないのは、携帯電話やスマートフォンを分割で購入している場合です。これも借入として審査される可能性がありますので、支払いに遅れがないようにしましょう。
返済負担率
返済負担率とは、年収に対する年間の返済額の割合のことです。返済負担率以内に収まっていなければ、住宅ローンの審査には通りません。返済負担率も概ね30%から40%と各金融機関によって異なっています。
注意が必要なのは、フラット35であれば借入金利で計算すればOKですが、民間ローンでは各金融機関で異なることです。そのため、不動産会社は、住宅ローン受付担当者に返済負担率計算の金利を聞き取り調査を行なっていて、その金利は概ね3%から4%のようです。
ご自身で計算される場合は、インターネット上に多数ある住宅ローン支払い計算ができるサイトを利用してください。具体的には、「住宅ローン審査基準シミュレーション」というサイト(※5)をお勧めします。
このサイトは、実際に不動産仲介を行なっている会社が運営しています。前述したように不動産会社は金融機関の住宅ローン受付担当者から絶えず情報収集を行なっています。返済負担率を含めて詳しくシミュレーションできるようになっていますし、結果の解説も詳しいので、一度試してみられると良いと思います。
※5:レジデンシャル不動産法人株式会社「住宅ローン審査基準シミュレーション」より
審査に落ちた場合にできる対処法
不幸にも住宅ローンの審査に落ちてしまっても直ぐに諦める必要はありません。以下の5つの対処法で審査を通過できる可能性があります。
他の金融機関にあたる
何度もお伝えしているように各金融機関によって審査基準が異なりますし、申し込みのタイミングによっても結論が異なります。そのため、1つ2つの金融機関の住宅ローン審査で不合格になっても諦めないでください。
実際に、9行の銀行に断られても10行目で承認してもらえたことがありました。その銀行は、丁度その地域に支店を出したばかりで実績を出したかったというケースでした。
フラット35に変える
フラット35なら団体信用生命保険の加入は任意なので、これが理由で民間ローンの審査落ちした人にはお勧めです。また、収入が不安定な自営業の方もフラット35なら、過去3年分まで不要で直近の収入証明でOKです。何行もの金融機関にあたるより簡単な方法かもしれません。
借入期間を調整する
住宅ローンの申込時の年齢が高いために承認を得られなかったのなら、借入年数を短縮することを検討してみてください。ただ支払額は増えますので、返済比率に収まる必要があります。
逆に、「親子リレーローン」を使って借入期間を伸ばす方法もあります。親子リレーローンとは、親がローンを申し込んで、一定期間後にローン残額を子供が引き継いで支払うことでローンの期間を伸ばすことができるものです。
自己資金を増やして借入金額を減らす(住宅資金贈与)
返済比率に収まらな場合や、住宅の購入金額100%ローンや、諸費用ローン・リフォームローンのオーバーローンを申し込んで非承認になったのなら、資金計画を見直すことをおすすめします。そして、自己資金を増やしましょう。
手元に資金がない場合には、親から援助してもらえないか検討するのも良いでしょう。贈与税の特例に「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」という制度(※6)があります。この制度を使えば、700万円まで贈与税がかからずに資金援助してもらえます。
※6:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」より
借りる人を増やす(ペアローン等)
ご自身だけでは住宅ローンが組めないなら、借りる人を増やす方法もあります。これには3つの方法があります。
- ペアローン:夫婦それぞれの名前で別個に住宅ローンを借入する方法
- 連帯保証:夫婦の内の一方が単独で住宅ローンを借入して、もう一方が連帯保証人になる方法
- 連帯債務:夫婦が連名でひとつの住宅ローンを借入する方法
いずれの方法でも、住宅ローンを組める確率が上がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
住宅ローンの審査の概要や実際に審査に落ちた事例、審査基準と審査で重要視される9つの項目、審査に落ちた場合の対象法までお伝えしました。
マイホームを手に入れるためには多くの労力が必要ですが、マイホームはそれに見合うだけの価値があります。ご自身の貯蓄や将来設計、ライフスタイルなどを考慮して、無理のない住宅ローンに申し込んでください。
この記事があなたご自身が望む住宅を手に入れられる一助になれば、この上ない喜びです。
以上、「住宅ローン審査に落ちた実例から証明する!絶対に通す9つの攻略方法」でした。
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