木造住宅の魅力を総まとめ【耐震・耐久からメンテナンスまで】

木造住宅の魅力を総まとめ【耐震・耐久からメンテナンスまで】

「木造住宅を建てたいな。でも何か欠点はあるのかな?」
「最近、震災も多いし。やっぱり鉄骨の方が丈夫かな?」

あなたは今、そんなことでお悩みではありませんか?

家は一生に一度のお買い物だから、後から欠点がわかって後悔するのは避けたいところ。 もし、木造住宅のメリット・デメリットが先にわかり、欠点の対策もわかるとしたら安心ですよね。

そんなあなたに朗報です! この記事では、木造住宅の魅力を総まとめ。 メリット・デメリットを包み隠さずお伝えします。

確かに昔は、木造住宅は鉄骨住宅より弱いものとされてきました。 しかし、近年は建築技術や法の改正も進み、耐震や耐久は鉄骨住宅に負けません。 実際に、熊本地震でも「耐震等級3」の木造住宅はほぼ無被害でした。

しかも、木造住宅は丈夫なだけではありません。 木の持つ特性<断熱・調湿>を生かした総合的な「住み心地の良さ」があります。 ただし、シロアリ対策などのメンテナンスは必要です。(鉄骨も同じですが……)

今回は……

  • 造住宅のメリット・デメリットとその対策
  • メンテナンスの費用の相場
  • 外観デザインと間取りのポイント等

……を、お伝えします。

木造住宅に詳しくなって、ぜひ後悔のないステキなマイホームを建ててくださいね!

1.木造VS鉄骨の徹底比較

ズバリ!結論から言いますと現在の木造住宅は鉄骨住宅と比べて、耐震・耐火・耐久などの性能において負けるところはありません。 なぜなら震災がある度に建築の法律と技術が見直され、飛躍的に進歩してきたからです。

では、具体的に<耐震><耐火><防音><耐用><耐久><建築費用>について、鉄骨住宅と比べてみましょう。

1-1.木造VS鉄骨<耐震> 木造でも大震災に倒壊しない

現在の木造は地震に強く、鉄骨と比べても遜色ありません。 なぜなら1981年以降の新耐震基準は「大震災で倒壊しない」レベルが前提だからです。 さらに2000年から「住宅性能表示制度」が始まり、住宅の制度を等級で表すようになりました。 等級基準は以下のとおりです。

  • 耐震等級1:新耐震基準を満たすもの
  • 耐震等級2:その1.2倍
  • 耐震等級3:その1.5倍

平成28年の震度7が2回もおきた熊本地震でも「耐震等級3」の木造住宅はほぼ被害がありませんでした。

さらに2008年からは「長期優良住宅法」も施行され、基準を満たした物件はさらに折り紙付きになり、減税や控除、ローンの低金利の特典も受けられるようになりました。

つまり、現在は法律によって耐震構造が高められていて、木造でも鉄骨でも基本的な耐震の心配はありません。 もちろん各メーカーの技術も日々向上しています。 差が生まれる部分は、地盤や家のグレードの部分によるものが大きいでしょう。

1-2.木造VS鉄骨<耐火> 火や熱に強いのは木造

一般的に鉄骨の方が火事に強いとされていますが、実は火や熱に強いのは木造です。 なぜなら木はそもそも熱を伝えづらい細胞構造になっているからです。 また火がついて燃えても表面が炭化するだけで、芯まではなかなか燃えない特性もあります。 10センチ以上の厚みがある柱や梁では、30分経っても表面数センチが燃えるのみで芯は残ります。火事の時はその間に人が逃げるチャンスも生まれるでしょう。

一方、鉄骨は燃えないのですが熱に弱く、600度程度で溶け出します。火事は1200度以上にもなりますからとても持ちません。ぐにゃりと曲がり家を支えられなくなります。

鉄の梁は、燃えて10分後には元の強度の20%しか残りませんが、木は80%の強度が残るデータもあります。 1000度以上で燃え続ければ木造も鉄骨も倒壊しますが、「熱を伝えにくく、強度が残る」のは木造の利点です。

現在の建築基準法では防火構造や不燃材料を使うこと等が厳しく定められていて、それに従えば「防火地域」にも木造住宅が建てられます。 これから家を建てる場合は、昔のような「木造はよく燃える」イメージは当てはまらないでしょう。

1-3.木造VS鉄骨<防音> どちらも対策次第

音については、木造も鉄骨も同じくらいです。 木と鉄が持つ本来の特性としては、木の方が多孔質構造で防音性が高いのですが、家の場合は壁の造りや間取り等によって音漏れ具合が違うからです。

昔の安普請なアパートのイメージで「木造は音漏れがヒドイ」と思っている人も多いのですが、現在では木造の防音対策も進んでいるので、ふつうに暮らす分にはまったく問題ありません。

心配な場合は家を建てる時に天井や壁、床、窓を二重構造にしたり、吸音材を入れたり、遮音タイプのマットやカーテンを使うと良いでしょう。

1-4.木造VS鉄骨<耐用> 資産価値が続くのは鉄骨

耐用年数とは、法的に定められた減価償却資産の耐用年数のことです。 実際の家の物理的な寿命とは関係なく、減価償却の目安になります。

【木造】22年
【鉄骨】軽量鉄骨造の家で19〜27年、重量鉄骨造の家で34年

たいていの戸建ての鉄骨は軽量鉄骨なので、最大27年。木造より5年ほど長くなります。 耐用年数は家を売却する時に関わってきますので、将来家を売る計画がある場合は注意が必要です。 詳しくは、「3-1.築20年で資産価値が実質ゼロ」でご説明します。

1-5.木造VS鉄骨<耐久> 条件次第で木造でも鉄骨以上

メンテナンスによりますが、木造と軽量の鉄骨住宅の実際の耐久年数はほとんど差がないと言えるでしょう。 建て方によっては、木造でも鉄骨以上に長持ちします。

法定耐用年数は22年の木造住宅ですが、実際は30〜40年経ってもまったく問題なく暮らせる家がたくさんあります。 地方に行けば100年以上、兵庫県には400年前の住宅もあり、世界最古の木造建築物「法隆寺」に至っては1300年も健在です。

建築業界では、100年育った木を使って造った家は100年持つと言われ、一般的な住宅でも40〜50年は育った木が使われています。条件次第では木造も40〜50年は期待できるのです。

実際のところ、木造でも鉄骨でも、建て替えは設備や断熱材等の劣化によるものが大きいもの。 そういった意味でも、木造も鉄骨も耐久性は変わらないと言えるでしょう。

以上、イマドキの木造は鉄筋に負けるところがありません。 機能面、安全面では何も心配はないので、安心して希望の家をお選びいただけるでしょう。

2.木造住宅の3大メリット

森林が身近にある日本人には、木造住宅は「建てやすく」「住みやすい」ものです。 木造住宅は1000年以上昔から続き、今でも新築の約6割が木造住宅です。

そんなに長く日本人に愛されている木造住宅のメリットを見てみましょう。

2-1.建築コストが安い

なんと言っても建築費用の安さが人気の理由です。 鉄骨と比べて坪10〜20万円、場合によってはそれ以上安く出来ます。

【木造】1坪あたり30〜80万円程度
【鉄骨】1坪あたり50〜90万円程度

日本の国土の3分の2が森林ですから木は容易に手に入りますし、木が持つ特性のおかげで、鉄骨より断熱材や吸湿材がかからないので安くできるのです。

もちろん反対に、良い木を使って高級な木造住宅もできます。 それぞれの予算に合わせやすいのが木造住宅の良いところです。

2-2. 設計の自由度が高い

材質が木なので、切ったり繋いだりの扱いが簡単で、設計の自由度が高いのも魅力です。 リフォームの場合にも、鉄骨より制限が少なくできます。

日本では木造住宅を扱う住宅会社の数が一番多いので、たくさんの候補の中から自分の好みに合わせて選ぶことができるのもうれしいところです。

2-3. 木の特性で快適に暮らせる

木造住宅は、木が持つ特性のおかげで、湿気の多い日本でも快適に暮らすことができます。 そのありがたい木の特性を見てみましょう。

【断熱性】木の中の空気が断熱材になる
木の繊維は、水が通る導管がたくさん集まってできています。木を乾燥させると、導管の中の水分が飛び、その代わりにたくさんの空気を含みます。 空気は熱を伝えにくい性質があるので、これが断熱材の役目を果たすわけです。

この特性のおかげで、蒸し暑い夏も木造住宅なら比較的涼しく過ごせます。

【調湿性】木が湿気を吸ったり吐いたりする
木は、雨の日には水分を吸い、晴れた日には水分を吐き出す「調湿機能」があります。 これにより部屋の湿度が一定に保たれ、人が快適に暮らせます。

木造住宅が湿度に強いと言われるのは、この調湿機能があるからです。

湿度80%以上は要注意
夏のように気温が高く、湿度80%以上、木の含水率が20%以上になるとさすがに木も負けてしまい、「木を腐らせる菌」が繁殖します。 湿気対策は怠らないようにしましょう。

【香りの効能】フィトンチッドの効果を得られる
木や植物の香りの成分(フィトンチッド)には様々な効能があり、殺菌や消臭、リラックス効果等が得られます。 「木の家に入ると気分がいい」「なんとなく落ち着く」というのは、フィトンチッドによる効果もあるでしょう。

このほか、木は紫外線を吸収したり、目に優しい反射率を持っていたり、肌に優しい温かみを持っていたりと、人に優しいメリットがたくさんあります。

木の特性により木造住宅では「心地よい空間」が生まれ、心身ともに健康に暮らすことができると言われています。

実際に大学の研究で、「コンクリや金属の箱より、木箱のマウスの方が12倍以上長生きする」というものがありますし、学校の校舎が木造の方がインフルエンザの罹患率が低いというデータもあります。

木が生み出す快適空間は、健康にも大きく関わっています。

3.木造住宅のデメリットとその対策

木造最大のデメリットは、将来住み替える時に発生します。 なぜなら法的耐用年数から資産価値が計算されるので、築20年で家の価値がほぼゼロとなるからです。 しかし、売却予定がなく、「自分の後は子どもに譲って、また建て替える」のであれば問題にはなりません。

具体的に、木造のデメリットとその対策をご紹介しましょう。

3-1.築20年で資産価値が実質ゼロ

木造住宅は法的耐用年数が22年なので、基本的には築15年で価格が2割まで下がり、築20年以上になると家の資産価値は実質ほとんどないのが現状です。 将来住み替えを考える人は、あまり年月が経つと売りづらくなることもあるので注意が必要です。

場合によっては、家を解体して土地だけにした方が売却しやすいこともあります。

【対策】

  • 将来住み替えたい人は、家を建てる時に土地の価値が高い場所を選ぶのも手です。家の価値が無くなっても、土地に価値があれば高く売れます。
  • 大手ハウスメーカーや質の高い工務店で建てましょう。資産価値の落下が低いケースがあります。
  • メンテナンスを良く行い、資産価値をなるべく保ちましょう。

3-2.家の出来が職人の腕によって大きく違う

木造住宅で一般的な「木造軸組工法」で建てる場合、家の出来は職人の腕によって大きく変わります。 なぜなら「木造軸組工法」は「在来工法」とも言われ、日本に伝わる伝統的な工法を簡略化したものだからです。そこにはさまざまな職人の技術が必要になります。

いい木造の家を建てたい場合は、建築会社をよく選ばなければなりません。

【対策】

  • 地元で長く続く、評判の良い工務店を選びましょう。地元の工務店は評判が命で、下手なところは続かないからです。
  • ハウスメーカーで建てるのも手です。ハウスメーカーは工場で部材を生産するので、ある程度品質が安定します。
  • 「2×4(ツーバイフォー)工法*」にすると施行が簡単なので、仕上がりが安定します。

*「2×4(ツーバイフォー)工法」 2×4インチの木材で作った枠組みに構造用合板を釘打ちしたパネルを組み合わせ、床、壁、天井などの面を作る工法です。欧米の標準的な工法で、日本では1974年頃から始まりました。面で支えるので地震に強く、気密性、遮音性も高い特徴があります。

4.木造住宅のメンテナンス

良い家に少しでも長く住みたいなら、定期的なメンテナンスは必須です。 よく乾燥した木を使って建てられた物件なら、しっかりメンテナンスを行うことで家の寿命を80年以上に延ばすことも可能だと言われています。

特に木造住宅の場合は資産価値が落ちやすいので、将来売却したい人はメンテナンスを行い、その記録も証拠として残しておきましょう。

4-1.メンテナンスのサイクルと費用の目安

家の修繕サイクルは箇所や状況によって変わります。 以下を目安に点検・修理を行ってください。

*( )の値段はおおまかな相場です。状態やメーカー、施行業者で大きく変わるので、必ず3社以上の相見積もりをオススメします。

【5年周期】

  • シロアリ対策(5〜20万円)
  • 外壁の目地、木部、鉄部の塗装(5〜50万円)

【10年周期】

  • 外壁(モルタル、サイディング)の塗り替え(50〜150万円)
  • 屋根の塗装、防水(50〜100万円)
  • 雨樋の修理、交換(修理 5千円〜、交換15〜50万円)
  • 浴室、トイレ、キッチンなどの水回りの修理、交換(交換トイレ10〜30万円、浴室・キッチン40〜100万円)
  • 壁紙の張り替え(6畳4万円〜)
  • 給湯器の交換(7万〜25万円)

【20年周期】

  • 屋根の葺き替え(120〜200万円)
  • 雨樋の交換(10〜60万円)

【20年以上】

  • 床の張り替え(6畳10〜18万円)
  • 玄関ドアの取り替え(25〜50万円)
  • 窓の修繕、取り替え(1窓5〜25万円)
  • 配管の交換(20〜50万)

上記の年数はあくまで目安です。
実際は、イマドキの木造住宅はこれほどの手間がかからず済むことがほとんどです。 ただ、点検を定期的に行っていれば傷が浅いうちに修理できるので、チェックだけは怠らないようにしましょう。

また、いざ修繕するときに慌てないよう、毎月修繕費を積み立てると良いでしょう。

4-2.湿気とシロアリ対策は必須

湿気対策とシロアリ対策は必ず行いましょう。 なぜなら、木造住宅が痛んでくる主な理由は「湿気で断熱材や設備がダメになって、そこから木が腐る」か「シロアリに食われる」ことだからです。 木そのものの寿命は、よく乾燥した木なら50年も100年も持つと言われています。

【湿気対策】
現在は建築基準法で「24時間換気システム*」が義務づけられていますが、これから家を建てる場合は、

  • 間取りから家全体の風通しの良いものにする
  • 床下換気に気を配る
  • 断熱材に湿調機能が高いものを使う

……等、さらに工夫してみてください。

*24時間換気システム 2003年から新築住宅には、24時間強制的に換気が行われるシステムの設置が義務づけられています。最近の住宅は気密性が良くなっているので、シックハウスやアレルギーを軽減する目的があります。

【シロアリ対策】
シロアリ対策は5〜10年ごとに行うのが一番です。 薬を染み込ませた木材でも、その薬の効果は年月とともに無くなるからです。 「シロアリが食べない木材を使っているから大丈夫」という建築会社の人もいますが、実際はそれでも被害に遭います。

湿気とシロアリ問題は、木造に限らず、日本のすべての住宅の問題と言われています。 気を抜かずに必ず行っていきましょう。

5.木造住宅の外観デザインと間取りの例

後悔しない外観デザインや間取りを考えるには、展示場等に通って、なるべくたくさんの実物を見ることをオススメします。 建築の世界も日進月歩。実際に目で見て情報を集め、気にいったプランを自分流に組み合わせていきましょう。

木造住宅といっても近年は技術が進んでいるので、一見では木造もRC造もわかりません。 木造住宅らしい和のテイストのものから、シンプルモダンまで、様々な外観があります。

いくつか具体的に見てみましょう。

*間取り図がないものもあります。

【1,000万円以下】

980万円

プライバシーデッキで、光と風が気持ちいい。耐震金物で地震にも安心。イージーオーダーで実現

<出典:SUUMO

【1,000万円台】

1000万円台

プロバンス風の外観と希望をかなえた内観で気密性に優れた家

<出典:SUUMO

1490万円

ウォークスルーの収納&回遊動線。デッキ一望の吹抜けリビングは開放的なくつろぎの場所

<出典:SUUMO

1,499万円以下

手頃な価格で充実の標準設備が。子どもの将来にも嬉しいリビング中心のプラン

<出典:SUUMO

ズバリ1400万円×平屋

20代のフレッシュカップルが建てた永住のための平屋は小屋裏収納もたっぷり

<出典:SUUMO

【2,000万円台】

草津×2000万円台

スタッフと意気投合、土地探しも。40代子育て世代にちょうどいい家

<出典:SUUMO

驚きの高断熱“新商品”で自由設計 無垢床、塗り壁で本体2450万円!

<出典:SUUMO

傾斜地×平屋×建築家

絶景を独り占め。傾斜地に建つ建築家デザインの平屋

<出典:SUUMO

【3,000万円】

自然の風の流れや陽差しを活かして省エネで快適に暮らせる家

<出典:SUUMO

3000~3500万円・高気密高断熱×デザイン

ビルトインガレージ+3階建て。3世代が快適に暮らす二世帯住宅

<出典:SUUMO

3500~4000万円・高気密高断熱×デザイン

北欧の趣をもたせた大屋根の明るくのびやかな住まい

<出典:SUUMO

本体価格3000万円台

間仕切りのない大空間と回遊動線で、のびのびと暮らしやすい住まいに

<出典:SUUMO

【4,000万円台以上】

平屋×4,000万円以上

「広々LDKから庭の彩りを楽しむ豊かな毎日です」。伝統美と先進の性能を両立した数寄屋風平屋

<出典:SUUMO

「和」への想い、素材のこだわりを実現。デザインの美しさが際立つ家

<出典:SUUMO

さらに気になる方は、住宅情報サイト等でデザインや間取りのサンプルが見られるので、チェックしてみてください。

6.まとめ

木造住宅の魅力をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。 ポイントをまとめますと……

  • 耐震・耐火・耐久とも、鉄骨に負けナシ!
  • 法定耐用年数は22年。将来住み替えるなら要注意
  • 木の持つ「調湿性」「断熱性」で快適空間ができる
  • イマドキの木造は外観もいろいろ。実際にたくさん見て研究しよう

……でした。 木造のメリットを生かし、デメリットには対策を建てて、後悔のない理想のマイホームを手に入れてくださいね!

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