市街化調整区域の建築条件とは?家を建てるときに注意したいポイント

市街化調整区域の建築条件とは?家を建てるときに注意したいポイント

市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき) は、マイホームの建築に適していないという意見があります。そもそも、市街化調整区域とはどのような地域なのでしょうか? 本記事では、土地売買やマイホーム購入に役立つ「市街化調整区域」の基礎知識と、市街化調整区域で家を建てる時に気をつけたいポイントを3つ紹介します。

市街化調整区域とは?

市街化調整区域(しがいかちょうせいちく) とは、都市開発を制限しているエリアであり、自然環境などを守るために、開発や建築の制限が設けられています。

市街化調整区域の制限内容

市街化調整区域は自由に開発や建築ができません。このため、建物の規模や建て方に一定の制限があるのでマイホームの建築には向いていません。

しかし、市街化調整区域の中にも自治体が一定の条件で、家を建てることを認めています。その条件とは都市計画法第43条許可のことで、広くは「建築許可」と呼ばれています。

都市計画法第43条には、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域では、都道府県知事の許可無くして建築や改築ができないとの記述があります。

ただし、市街化調整区域にも建てられる建物や開発が許されているものがあります。

例えば、都市計画事業の一環として進められる開発、非常災害のために建設される建物、仮設建築物、他の法律で認められた開発許可、自治体や国が認めた建築物や開発については、都市計画法第43条において建築が認められています。

高齢者施設、社会福祉施設、医療施設などは、市街調整区域において建築が認められており、郊外の豊かな自然環境のなか、療養や病気の治療、高齢者が快適に生活できるよう「建築」は認められやすいです。

都市計画法第43条許可 の全文は、非常に長いため本記事では省略しますが、全文は以下のページにて内容を確認してください。

参考資料:都市計画法第43条許可(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)

市街化調整区域と市街化区域の違い

市街化調整区域は「開発に制限」があるのに対し、市街化区域は「市街化を積極的に計る区域」のことであり、優先的に市街化が推進されているエリアになります。

(開発は控えて)市街化調整区域 ⇔ 市街化区域(どんどん開発しよう!)

なお市街化調整区域は、既に市街化されたエリアだけでなく、10年以内に市街化を進めたいエリアも含まれます。市街化調整区域は、開発・建築が推進されているため(市街化調整区域と比べて)土地価格が高めに設定されています。

特に、今後の発展が予定されているエリアは、地価や不動産の価格が値下がりしにくく、土地売買・不動産売買では活発に取引が行われます。

これに対し、市街化調整区域は制限がある分、土地や家屋の売買が難しく、売却取引が成立しない場合もあり注意が必要 です。

市街化調整区域の用途変更が、今後認められやすくなる?

2001年の都市計画法改正以降、市街化調整区域の用途変更や開発は、認められやすくなっています。以前までは、自然環境を保全する目的で厳しく建築の制限が設けられていました。

しかし、都市部での地価高騰や、市街化調整区域において土地が十分に活用されていないことから、一定規模以上の宅地開発や都市計画が許可が下りるようになったのです。

なお市街化調整区域は、農村部ではなく都市部に多いのをご存じでしょうか? 都市部の自然や景観を守るために市街化調整区域が多く設けられており、市街化調整区域は農村部や漁村とは性質が異なります。

例えば、横浜市やさいたま市、川崎市、相模原市、堺市などは、市の約50%以上が市街化調整区域に指定されています。

市街化調整区域の農地転用

農地転用(のうちてんよう) とは、農地を住居や工場、倉庫、駐車場、山林などに転用することです。なお市街化調整区域、市街化区域の区別無く、登記で「農地」とされている場所を、無許可で宅地や農地など、その他の用途での転用が行えません。

農地の転用については、農地法と呼ばれる法律に定められており、許可無しでの転用は法律で罰せられます。

参考資料:農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)

市街化調整区域のメリット

市街化調整区域は、通常の市街化区域よりも土地の価格が安く、少ない予算で家を手に入れたい方にメリットがあります。場所にもよりますが、最寄りの市街化区域と比べて約3分の1程の価格で土地が買えると思って良いでしょう。

市街化調整区域のメリット

  • 土地の値段が安い
  • 都市計画税がかからない
  • 固定資産税が安い

市街地と比べて静かで、自然環境に恵まれているのも市街化調整区域のメリットです。空気が良い、人が少ないのでのびのび暮らせるというのは「自然を愛する」人にとって、この世の天国では無いでしょうか?!

市街化調整区域のデメリット

市街化調整区域のデメリットは、建築条件に制限があることです。また建物が自由に建てられないという理由で、売却先が見つかりにくく、土地利用が制限されているので全体の土地価格は安くなってしまいます。

このほか、電気や下水道が通っておらず光熱費は高くなります。そして近くに駅やバス停、商業施設、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、公共の施設、病院、学校・保育園、郵便局などが無いため(自動車が無ければ)不便な暮らしが強いられます。

市街化調整区域の固定資産税はどのくらい安い?

メリットの部分で**「市街調整区域の固定資産税は安い」**と説明をしましたが、市街化を抑制するエリアにあるため、駅や店舗、公共施設などが周りにありません。結果、土地価格が低くなり固定資産税も安くなります。

固定資産税は路面価の約70%、また市街化区域の約「3分の1」の価格で土地が購入できるので、最寄りの都市部の土地が120㎡=2,400万円で販売されていた場合、市街調整区域では120㎡の土地が約800万円で手に入る計算です。

固定資産税の求め方は次の通りです。

【固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準額)×軽減措置(適用される場合)×標準税率(1.4%)】

固定資産税が市街化区域の場合、計算式は以下のようになります。

2,400万円 × 0.7 × 1/6(軽減措置)×1.4%(標準税率)=39,200円

市街化調整区域の固定資産税は、次のようになります。

800万円 × 0.7 × 1/6(軽減措置)×1.4%(標準税率)=13,066円

また市街化区域の場合には、別途「都市計画税」が0.3%掛かります。上の場合であれば+8,400円が必要なので、一年で47,600円の固定資産税が掛かる計算です。つまり、市街化区域の3.6倍、税金が高いという計算になります。

【注意】税額は、各地域の地価や、購入した土地の価格によって異なります。

このように、税金を安くしたい、安くマイホームが欲しいという場合は、市街化調整区域に購入するというのも一つの手です。

市街化調整区域の調べ方

市街化調整区域の調べ方は、Googleを開き、「住みたい市町村の名前」と「都市計画図」というKWを入力すれば、各自治体の都市計画図が閲覧できます。この都市計画図の中にある「凡例(はんれい)」と書かれた部分に注目してください。

写真:東京都の市街化調整区域(用途地域マップ)

例えば上の写真の場合、地図中青色の市街化区域、オレンジ色の部分は市街化調整区域を示しています。このように、都市計画図を見れば、住みたい場所が「どのような土地なのか」一目で分かります。

なお都市計画図は、最寄りの市区町村役所でも閲覧できる場合があります。必要があれば、自治体に問い合わせてみましょう。

市街化調整区域の建築条件

市街化調整区域の建築条件は、前述の都市計画法43条において規定があります。 参考資料:都市計画法第43条許可(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)

なお、法律ではわかりにくい部分は多いと思われます。市街化調整区域について、より分かりやすく説明をしてくれるのは、最寄りの自治体窓口です。例えば、各自治体の「都市整備部」 に行けば、市街化調整区域の建築条件や許可申請について詳しく説明をしてくれます。

また自治体によっては、許可申請前に「事前相談」の時間を設けてくれます。まずは、都市整備部に電話をかけ、市街化調整区域の建築相談(要予約)についてアポイントメントを取ってみましょう。

市街化調整区域で気をつけたいポイント

市街化調整区域の土地を購入したり、家を買う場合に気をつけたいポイントを3つ紹介します。

気をつけたいポイント① 農地ではないか?

まず、市街調整区域の売買は、先に**「農地かどうか」確認**をしましょう。農地の場合、許可申請が必要な上に建築の制限が厳しくなります。

気をつけたいポイント② 既存の宅地かどうか?

①と共通しますが、同じ市街調整区域でもすでに宅地として売り出されている土地や、建物が建っている土地については、買い手がつきやすく安心できます。

気をつけたいポイント③ 上下水道やガスなどの有無

市街調整区域で土地を購入しても、上下水道やガスが通っていない場合、自分でインフラ(=上下水道、ガスなどの生活の基盤)を整備する必要があり、余計なお金が掛かります。

市街調整区域で不動産を購入する場合は、インフラが整備されているのか。無かった場合の光熱費や工事費用は「高くなる」ことを覚えておきましょう。

市街化調整区域で開発許可を申請する方法

市街化調整区域に家を建てる場合、特別な事情がなければ開発や建築はできませんが、市街地化が推進されるおそれが無い建物、すでに小さな地域や集落がある場所、都道府県の条例に認められた建物などは、例外的に建築が許可されます。

なお、個人で市街化調整区域に土地を買い、許可申請を行うというのは現実的ではありません。まずは信頼できる不動産業者にて、購入したい土地が「市街化調整区域なのか」確認し、市街化調整区域だった場合には、どのような条件で家が建てられるのか確認しましょう。

また、既に宅地として売り出されている市街化調整区域の建物については、比較的売買もしやすく、インフラも整備されていることがほとんどですが、市街化区域に比べると売買はしにくくなります。

購入をする場合には、将来的なことも見据えた(例:土地価格、売却後の値段など)上で決断をしましょう。

まとめ|市街化調整区域の購入は慎重に!

市街化調整区域で家や土地を購入するのは、購入価格が安いこと、税金が少なく済むなどのメリットがあります。

しかし、市街化調整区域は建物の規制が厳しく、無許可で土地を転用して住むことができません。また、インフラなどにもお金と時間が掛かるので、建築条件や売買条件を良く見た上で(購入は)慎重に検討しましょう。

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