「注文住宅の間取りで失敗しないためには、どうしたらいいんだろう」
あなたは今、そう悩んでいるのではないですか?
注文住宅を建てる際に間取りで失敗したくないけど、何をしてしまうと失敗なのかがよくわからない。 もしこれまでのよくある失敗例がつぶさにわかれば、それを避けて考えることで失敗しなくなりますので、是非知っておきたいですよね。
あなたの悩みにこの記事をお勧めします。 この記事を読めば、注文住宅の間取りでよくある失敗例が具体的にわかります。 しかも失敗例だけではなく、失敗を防ぐための対策法も合わせて解説していますので、間取りを考える際に役立てることができます。
さらに今回は、部屋の配置だけではなく、コンセントやスイッチ、窓など、部屋以外のパーツの失敗例と対策も説明しています。
また、「こんなにたくさんの失敗例はとても覚えきれない」という声にもお応えして、陥りがちな失敗を避けるためにここだけは押えておいてほしい3つの部屋についてポイントを解説します。
記事の内容を把握しておくことで、どうすれば間取りで失敗しないのかがわかり、あなたのイメージする注文住宅の間取りは具体的になることでしょう。
この記事が、あなたが失敗のない注文住宅の間取りを考える際の参考にしていただけることを願っています。
1.間取りでよくある失敗例59選と対策
ここでは、注文住宅を建てた際に間取りで失敗した事例について、9部屋の間取りと4種類のパーツについて全59ケースを紹介します。
合わせて対策法も説明していますので、同様の失敗をしないためにどうしたら良いか、家を建てる前によく確認しておきましょう。
1-1.リビングの間取りの失敗例と対策
①部屋の大きさと配置する家具の大きさが合わず、移動しづらくなった
- 家を建ててからテーブルやソファーを選んで配置したら、大きすぎてソファーの後ろやテーブル周りを移動しづらくなってしまった。
【対策】
- どの程度の大きさの家具をどう配置するのかは、間取りを決めるときに一緒に決めましょう。テレビなどの家電や収納家具もすべて図面に書き込み、室内を移動する生活をイメージします。
②吹き抜けを作ったら、2階が狭くなってしまった
- 解放感を求めて憧れの吹き抜けを作ったら、1階から2階にかけての見晴らしは良いが、そのスペース分だけ2階の床が狭くなってしまった。
【対策】
- 解放感を求めるのであれば、吹き抜けではなく、引き戸などで部屋と階段スペースを仕切ったリビング階段が有効です。上階のスペースを狭くする心配もありません。
※吹き抜けが向いている条件 吹き抜けは、日照時間が短い立地や、すぐ向かいが隣家の壁だったり外からの視線が多かったりなどで圧迫感がある条件の住宅におすすめです。
③リビング階段を付けたら冷暖房効率が落ちてしまった
- おしゃれな部屋に見せられると思い1階にリビング階段をつけたが、2階との間に仕切りがないので冷暖房効率が悪くなって電気代がかかるようになってしまった。
【対策】
- リビング階段には、ロールカーテンや引き戸を活用して仕切りを作り冷暖房効率を維持しましょう。
ロールカーテンで仕切りを作る例
出典:one project
④リビング内を丸見えにしない壁や部屋を作らなかった
- 壁やドアのないリビング階段だと、子供の友達が来て階段を歩いて子供部屋に上がるときなどに、散らかったリビングが丸見えで恥ずかしい。
- リビングの隣に部屋を作っていないので、来客の際に片付ける場所がなく、散らかっていて生活感が丸見えになってしまう。
【対策】
- リビング収納を作って、使い終えたらすぐに片付けられるようにしましょう。
- 小さくても良いのでリビングの隣に和室や洋室を作りましょう。来客時に生活感の出るものを片付けたり、子供用のプレイスペースにしたりできます。
⑤子供のために壁面に固定して付けた勉強机が無駄になってしまった
- 子供が勉強するようにと壁面にデスクカウンターを固定で設置したが、壁に向かって勉強する形が馴染まずに物置になってしまっている。
【対策】
- 子供の勉強する環境は、壁に向かってではなく、家族と向き合ってダイニングテーブル等で行えるようにしましょう。勉強の質問などもしやすくなり家族とのコミュニケーションも図れます。
- 可動式のデスクカウンターを使えば、子供の成長や用途に合わせて自由に配置できるので便利です。
可動式のデスクカウンターを使った例
⑥日当たりが良すぎて暑くなってしまった
- 日差しが室内によく入るようにと部屋を南側に配置したが、日中は日が当たりすぎて暑くなりすぎてしまった。
【対策】
- 日差しが強く差し込むことも想定して、オーニングを取り付けられるように窓上部の壁にビスを刺せる設計をしておきましょう。
- オーニングは柱部分にビスを刺すことでしっかり固定できます。軽量鉄骨やALC素材(軽量気泡コンクリート)の外壁は、構造上ビスを刺すことが難しいのでオーニングの設置には不向きです。
日差しを遮るオーニングの例
出典:タカノ
⑦部屋が広すぎて使いにくくなってしまった
- 憧れの広いリビングを作ったはいいが、広すぎて冷暖房効率が落ちてしまった。室内には声も響いて使いづらい。
【対策】
- 広いリビングは、間仕切りを作って状況に応じて広さを変えられるようにしましょう。
- 実際に広くしなくても、スキップフロアを取り入れて配置する家具の高さを腰よりも低いものにすると、目線が奥まで抜けて広いリビングに見せることができます。
部屋を広く見せるスキップフロアの例
出典:重量木骨の家
1-2.浴室・脱衣所の間取りの失敗例と対策
①浴室とリビングを隣り合わせに配置して、入浴後の移動をしづらくしてしまった
- 洗面所とリビングが直通しているレイアウトにしてしまったので、入浴後に浴室から出てプライベートルームに移動する前に必ずリビングを通過しなければならない。年頃の娘が入浴後に自分の部屋に移動するときに、薄着でリビングを通過しなければならないことを嫌がっている。
【対策】
洗面所や浴室とリビングの間には通路を設けましょう。
②浴室を2階に設置したが、遊び盛りの子供がいることを考慮し忘れていた
- 2階に浴室を配置したが、子供達が外遊びから帰宅したときに汚れた姿のまま玄関から浴室に直行するので、玄関から浴室までの通路がすべて汚れてしまう。
【対策】
- 家に入る前に手足を洗えるように、玄関先に水道を作っておきましょう。玄関先の水道は、園芸や車の掃除などにも活用できます。
※水回りを2階に設置するデメリット 2階に水回りを設置すると、1階に設置する場合と比べて工事費用は高くなります。子供が使う動線も踏まえて本当に2階に浴室があった方が良いのか、よく検討して設置しましょう。
③外に声が漏れることを意識せずにバスルームを配置してしまった
- くもりガラスやフェンスがあれば問題ないと思ってバスルームを道路側に設置したが、子供と入浴中の声が外に聞こえてしまうので、浴室での会話に抵抗がある。
【対策】
- 窓からはニオイや光だけでなく音も漏れます。窓の外はどういう環境なのか事前によくチェックして、人通りや視線がある場合はバスルームを遠ざけるようにしましょう。
1-3.キッチンの間取りの失敗例と対策
①仕切りや壁を作らなかったために使いにくくなってしまった
- 夏のオープンキッチンは調理中の熱がリビングにまで広がって暑くなってしまう。間仕切りがないので冷暖房の効率も悪い。
- キッチンに間仕切りを作らなかったので、ニオイが他の部屋にまで広がってしまう。
- 壁や仕切りを作らず開放的にしていたが、突然の来客の際に、キッチンが片付いていないところが丸見えになってしまった。
【対策】
- 冷暖房効率が気になる場合は、オープンキッチンではなくドアや間仕切りを活用しましょう。
- ニオイが気になる場合は、空気の循環を促す換気扇とニオイや煙を排出するレンジフードを併用すると良いでしょう。
- 来客も想定して、壁を作ったり、目隠しとなる食器やポットを置けるキッチン設備を選んだりなどの工夫で視線を遮りましょう。
②キッチンの生ゴミを玄関まで持って行くたびに廊下が汚れてしまう
- 生ゴミなどが入った重いごみ袋を玄関まで持って行くたびに、キッチンから玄関までの通路が汚れてしまう。ゴミ出しのたびに、キッチンから玄関までの汚れの掃除をするのが手間。
【対策】
- 玄関からキッチンまでの移動距離が長い場合は、キッチンに勝手口を作りましょう。勝手口は食品の買い物帰りの際の入り口に使うと、すぐに食品を収納できて便利です。
③うっかりベビーゲートの設置面を作り忘れて、取り付けられなくなってしまった
- 小さな子供がいるが、ベビーゲートを設置するための対面の壁がなく、ベビーゲートをつけられない構造のキッチンにしてしまった。収納やキッチン設備にばかりこだわってしまっていた。
【対策】
- 危険な部屋の出入り口には、ベビーゲートを張るために最低限必要な横幅と設置面を確保しましょう。ベビーゲートは設置面がないと設置できません。
ベビーゲートで子供の侵入を防ぐ例
出典:Richell
④設置した照明が暗くて作業がしづらくなってしまった
- おしゃれなデザインに惹かれてLEDライトにしたが、手元まで十分な明るさが届かないので調理作業がしづらい。
【対策】
- 家事効率を優先して、照明はデザイン性ではなく、手元が明るくなるような機能性で選びましょう。
- 手元を明るくする照明と、キッチン全体を明るくする照明と、役割を分けて設置した方が便利です。
⑤デザイン性で設置した収納が使いにくかった
- すっきりしたデザインが気に入り壁面収納を作ったが、上の方は手が届きにくいので使いづらい。
- おしゃれに見えるのでパントリーを設置した。しかし、パントリーは換気ができないのでニオイや熱がこもり、傷みが気になる食品も頻繁に出てくるようになった。
【対策】
- 頻繁に使うものは胸よりも下に収納できるように工夫しましょう。コンロ下の収納、シンク下の収納、フロア収納などはすぐに手が届くので使いやすいです。
- パントリーは、入っているものが見えやすいように奥行きが浅いものを選びましょう。家事動線に合わせた構造を考えると便利に活用できます。
家事動線に合わせた3タイプのパントリー
①戸棚タイプ
②ウォークインタイプ
③ウォークスルータイプ
出典:ダイワハウス
【特徴】 ①戸棚タイプ
買い物から帰宅後、すぐに片付けられます ②ウォークインタイプ
容量が多く、中で片付けも取り出しもしやすいです ③ウォークスルータイプ
動線上に作ると通り抜けもできます
1-4.トイレの間取りの失敗例と対策
①生活動線を考えずに付けて、使いにくくなってしまった
- 2階建て住宅で、トイレは1階のみに設置した。しかし寝室が2階にあるので、夜のトイレのたびに1階に降りるのは不便なだけでなく危険。
- 水回りを一カ所にまとめるために、トイレは家の奥にあるキッチンの奥に配置した。しかし、帰宅して玄関から入り、トイレに辿り着くまでの移動距離が長くて不便。
- 小さな子供がトイレを使うとき、広すぎてトイレットペーパーに手が届かない。
【対策】
- トイレは日常的に利用するものなので、生活動線を最優先に考えて、日々のストレスがない場所に配置しましょう。
- 家族全員が使う場所なので、それぞれの動線を踏まえて間取りを考えることが大切です。
②外からの視線を考えずに付けて、使いにくくなってしまった
- 玄関を開けてすぐそこにトイレが見える。訪問客があるときにトイレを使いにくくなるので不便。
- リビングから見えるところにトイレを配置してしまった。トイレに行くたびにリビングから見られているようで入りづらい。リビングにいる方も、トイレに出入りする様子が見えると気を遣ってしまう。
【対策】
- 視線が気になると利用しづらくなってしまうので、事前に外からの視線がどうなっているのかを確認してください。
- 家族であっても、トイレで用を足すときはお互い気になるものです。リビングから見える場所には配置しないようにしましょう。
1-5.寝室の間取りの失敗例と対策
①水回りを隣接させて、過ごしづらい部屋になってしまった
- 寝室の隣にトイレを配置したら、夜に家族がトイレを使う音が気になって落ち着いて眠れなくなってしまった。
【対策】
- 寝室と水回り(特にトイレ、バスルーム)が近くに配置されないように、事前によく確認しましょう。
- 寝室と水回りが隣接するのを避けられない場合は、水回り側にはベッドは配置しないようにしましょう。或いは、防音機能のあるトイレや壁紙を選ぶなどして音を遮りましょう。
- 水回り側の壁に収納家具などを置いて音の聞こえ方をやわらげるという工夫もあります。
②収納に十分な奥行きがなくて、布団をしまえなくなった
- 物をしまえれば大丈夫という程度の意識で奥行きや幅を気にせずに収納を作った。しかし布団が入るだけの奥行がなかったので、布団が収納できなくなってしまった。分厚い掛布団を使わない真夏は、収納場所がなくて特に困る。
【対策】
- 季節によって使う布団が変わるので、使わない布団をしまえる広めの収納を設けておきましょう。3つ折りの布団が入る収納の目安は奥行き75cm、間口(横幅)120~150cmです。さらにトランクが入るスペースもあると外出準備の際にも便利です。
③ベッドを置いたら狭くなってしまった
- 寝るだけの部屋だと思って狭い部屋にしたが、ベッドを置いたら思いのほか狭くなりすぎてしまい、ベッドの周りを歩いて移動するのも難しくなってしまった。
【対策】
- 寝室は快眠できるスペースにすることが重要です。置きたい寝具とのバランスを確認するために、事前に寝具を決め、間取り図に書き入れてください。室内にどの程度の余裕があるか、動きやすいかなどを把握しておきましょう。
1-6.子供部屋の間取りの失敗例と対策
①使わないのに子供部屋を作ってしまった
- 小学校に上がるのをきっかけに子供部屋を作った。しかし子供は、勉強も遊びもリビングでするので子供部屋を作った意味がなかった。
【対策】
- 子供が小さいうちはコミュニケーションがリビングで取れる住環境を整えることも大事です。子供が部屋にこもりきらないようにするためにも部屋は広くても6畳あれば十分です。
- 子供が小さい間は使わないことも想定して、書斎や納戸など他の部屋としても代用できるようにしておきましょう。
②位置をよく考えずに窓を付けて、家具が置けなくなってしまった
- 子供部屋を明るくしようと壁2面の2カ所に大きな窓を設置した。室内が明るいのは良いが、クローゼット収納棚など高さのある収納家具の置き場所がなくなってしまった。
【対策】
- 事前に光の差し込む方向や日差しの強さなどを調べて、採光は窓の大きさだけでなく窓の高さでも調整しましょう。
- 部屋にどのような家具を置くかを事前に決めて、図面に書き込んで窓との位置関係も確認してください。
③隣り合わせの兄弟の部屋を壁一枚だけで仕切ったら、音漏れが気になった
- 兄弟の部屋を隣り合わせて、壁だけで仕切る構造にした。成長するにつれてそれぞれがプライバシーを意識するようになり、隣のお互いの生活音が気になってきたと言い始めた。
【対策】
- 子供の成長を想定して、仕切りとなる壁面には音の遮断を兼ねて収納を配置しましょう。
隣り合う子供部屋の壁面に収納と本棚を配置した例
1-7.玄関の間取りの失敗例と対策
①換気口を付けなかったら、ニオイや湿気が中にこもるようになってしまった
- 家族の靴を沢山しまおうと大きなシューズクローゼットを作ったが、中に靴のニオイがこもってしまう。シューズクローゼットの扉を開けるたびにニオイが気になって不快。季節によって湿気も気になる。
【対策】
- 玄関収納にもニオイの発生源があることを意識して、喚起口や窓を作りましょう。通気を良くしておくと湿気対策にもなります。
②窓を付けず、思ったよりも暗い玄関になってしまった
- 窓は部屋に付けるものという先入観があり、玄関ホールや玄関ドアには窓をつけなかった。玄関全体が昼間でも暗い空間なってしまった。
【対策】
- 玄関を閉めていても採光できるように、光の入る方角や他の部屋の明るさなどを踏まえて窓を取りつけましょう。
- 窓を付けることに防犯の心配がある場合は、窓を高い地位に取り付けたり手が入らない大きさの窓を選んだりなどで対処することができます。
③収納の選び方を間違えてしまい、上手く片付けられなくなってしまった
- すっきりと見せるところが気に入って壁面収納を作ったが、上の方には手が届かず、使える高さより上のスペースは使わなくなってしまった。結局、片付いていないごちゃごちゃとした玄関になってしまった。
- シューズクロークは不要だと思い設置しなかったが、いざ生活をしてみると、アウトドア品やベビーカーなどを置く場所が玄関にないことに気付いた。
【対策】
- 動きに合わせた使いやすい形の収納を選びましょう。頻繁に使う物は胸の高さの位置までにしまえると、出し入れがしやすくて便利です。
- 家族が利用する場所なので、家族それぞれが使う物を置いておけるといいです。玄関にもある程度の収納スペースを設けましょう。
- 靴だけでなく、洋服、アウトドア用品などの収納にも便利なクロークやラックを設置しておくと使いやすいです。
すっきり片付けられるシューズクロークの例
④玄関ポーチに十分な広さを確保しなかった
- 玄関ポーチが狭すぎて、家族が一緒に出入りするときにお互いがぶつかり窮屈になってしまう。雨の日に玄関前で鍵を開ける前に体が濡れてしまう。
【対策】
- 家族全員での外出時など、複数名で使うときの情景もイメージして必要な広さを作りましょう。
適度な広さの玄関ポーチの例
出典:SUVACO
⑤外からの視線を気にせずに玄関付近の部屋の配置を決めてしまった
- リビングのドアを開けたままにしておくと、玄関口からリビング内が丸見えになってしまう。
【対策】
- 玄関扉を開けたその先は、壁で仕切られて家の中が見えない間取りがベストです。
- もし玄関から室内が見えそうであれば、のれんやカーテンなどで外からの視線を遮りましょう。
1-8.階段の間取りの失敗例と対策
①リビング階段だとニオイが広がることまで想定しきれていなかった
- 解放感があるリビング階段を設置した。キッチンのある1階と個室のある2階との間の仕切りがないので、食事の時間前になると調理のニオイが2階にまで上がってしまう。
【対策】
- リビング階段はニオイが上に昇ることが大前提と認識して、ニオイの源の近く(キッチンなど)には設置しないようにしましょう。
- 引き戸を使ってニオイを遮る方法もあります。
解放感は保ちつつニオイを遮断できる引き戸の例
出典:one project
②家族の動線を考えなかったのでコミュニケーションが取りづらくなってしまった
- 玄関に入ってすぐのところに階段を配置したら、子供が帰宅後リビングには寄らずにすぐに自分の部屋に行くようになってしまった。子供がリビングで過ごす時間が少ないので親子の会話が少ない。
【対策】
- 玄関から個別の部屋に行くまでに階段を通るのであれば、階段はリビングから見える位置か、リビングを通過しないと上れない位置に配置しましょう。
- 家の中にいても家族の帰宅にすぐに気付けるような場所に階段を作ると、家族とのコミュニケーションが図りやすくなります。
③上り下りするときの安全面への配慮が欠けてしまった
- 直線階段にしたが、思った以上に傾斜が急になってしまった。小さい子供がいるが、もし階段から転落すると、途中で踊り場がないので衝撃が大きくて危険。
【対策】
- 階段には滑り止めや手すりを作って、家族の安全を最優先に考えましょう。子供が小さい場合は、子供でも手が届く低い位置に手すりを設置してください。
- 子供が小さい場合は、階段の上り口にベビーゲートを設置できるように横幅と設置面を確保しておくことも忘れないでください。
階段上り口に付けたベビーゲートの例
出典:Richell
直線階段のメリット 直線階段には、設置する際に必要な占有スペースが少なくてすむという利点があります。階段下のデッドスペースを収納庫にするという活用方法もあるので、直線階段にも設置するメリットはあります。
1-9.バルコニーの間取りの失敗例と対策
①家族の洗濯物や布団すべてを干すために必要なスペースを想定しきれていなかった
- 横幅は4mあるので中を歩ければ大丈夫だと思い奥行90cmのバルコニーを作ったが、洗濯物や布団を同時に干すには移動がしづらい。家族4人いるが、全員の洗濯物すべてを干そうとすると狭く感じてしまう。
【対策】
- バルコニーの間取りで大事なことは横幅よりも奥行なので、余裕のある奥行きを確保しておきましょう。布団も洗濯物もゆったりと干せる奥行きの目安は最低で150cmです。
②中に置きたい物や使い方をイメージできていなかった
- バルコニーでお茶や団らんを楽しめるようにテーブルや椅子を置こうとしたが、実際に置いてみると狭くて使いづらくなってしまった。
【対策】
- テーブルや椅子を置きたいときは、置きたい物を間取り図に書き入れて大きさや動きやすさを確認しましょう。
③必要ないと思い水道の設置をしなかった
- バルコニーには土埃がよく溜まり汚れやすいので、水で流す掃除が必要と気付いた。掃除のたびに洗面所でバケツに水を汲んでバルコニーまで持って行くのは、とても面倒で大変。
【対策】
- 洗面ボウルがない蛇口だけでもいいので、バルコニーには水道を設置しましょう。掃除や園芸、子供の水遊びなど、何かと便利に使えます。
1-10.コンセントの配置と数の失敗例と対策
①いざ家電を使おうとしたら、コンセントの場所や数が合わなかった
- 家を建てた後にテレビを置いたら、テレビ台のちょうど裏側にコンセントが来てしまい、テレビのプラグを差し込むには手が届かない。
- 冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、湯沸しポット、ミキサー、泡だて器などよく使う調理家電は多いのに、キッチンのコンセントの数が足りない。コンセントの位置も離れすぎているので調理がしづらい。
【対策】
- コンセントの配置は、家電の数と、家電を使う場所で決めてください。
- 間取りを決めるときの図面に、どこにどの家具を置いて、どこでどの家電を使うのかなど具体的に書き込んで、コンセントを使う情景をイメージしましょう。
- 水回りのコンセントは、水が飛ばない場所に配置するように注意してください。
- オープンキッチンやアイランドキッチンは壁がないので、特に配線計画には念を入れましょう。
②家事作業の流れや電気製品の使い方を考えずに付けて、不便になってしまった
- 部屋の隅にコンセントを取りつけたが、掃除機を部屋の隅々までかけようとすると、移動のたびにいちいちプラグを差し替えなければならないので面倒。
- コンセントの位置が低すぎて、掃除機をかけているときに掃除機本体がひっかかってしまい危険。
- 寝室内のベッド近くにコンセントを付けていなかったので、ベッドの上で横になってスマホを充電しながら使いたいときに不便。
【対策】
- コード付きの掃除機をかけるときには、コンセントの差し替え回数が最低限に抑えられるように気を付けてください。部屋の隅よりも中心につけた方が、差し替え回数が少なくてすむ場合もあります。
- 電気製品を使うときに人はどのように動くのか、電気製品はそのときどの場所にあるのか、動線や配置をよくイメージしましょう。
コンセントを作ると便利な場所3カ所
- キッチンの吊戸棚の下
調理家電を使うときに家事動線をコンパクトにまとめられて便利です。
- クローゼットのように大きな収納
掃除機やプラグ式芳香剤など電気製品の電源確保や充電などに使えて便利です。
- ダイニングテーブルの下にあたる床部分(下の写真参照)
家族で鍋料理や鉄板料理などを食べたいときにプレートの電源をすぐ下で取れて便利です。
埋め込みコンセントを取りつけた例
出典:RoomClip
ポップアップコンセントを活用する例
標準的なコンセントの数
■キッチン6個
■ダイニング4個
■トイレ2個
■玄関1個
■洗面所と脱衣所2個
■廊下1個
■個室/5㎡あたり2個、同7.5~10㎡3個、同10~13㎡4個、同13~17㎡5個、同17~20㎡6個
1-11.照明スイッチの配置と数の失敗例と対策
①動線上の使いやすい位置になくて不便になってしまった
- 照明のスイッチが、開けたドアの裏側にあって使いにくい。
- 寝室の照明スイッチを部屋の出入り口の壁にしか付けなかった。寝るときに、横になったまま消灯したいが、近くにスイッチがないのでできない。
- シューズクローゼットの中に照明スイッチを付けたが、収納している物が邪魔をしてスイッチを押しにくい。
【対策】
- 照明スイッチは、生活動線に沿って配置しましょう。スイッチを押すまでに余計に歩かないで済むか、動線の中で触ることのできる場所にスイッチがあるか、スイッチを邪魔する物がないか、よく確認してください。
②用途別にスイッチの数を作ることを忘れてしまった
- キッチンにダウンライトとペンダントライトを付けたが、照明の種類別にスイッチを分けないで、1つのスイッチですべてが一緒に点灯する配線のみにしてしまった。ちょっとした作業だけのときや深夜に使うときでも明るすぎて不便。
【対策】
- 明るさや種類が異なる照明はスイッチを変えましょう。
- 同じ種類の照明でも、部屋の奥と手前など配置が分かれている場合はスイッチも分けた方が便利です。
1-12.窓の大きさや配置の失敗例と対策
①隣家と自分の家の窓や駐車場の位置関係を確認し忘れてしまった
- 隣家のリビングと自分の家のトイレの窓が向かい合っていて、隣家の視線を意識してしまいトイレを使うときに抵抗がある。
- 隣家の駐車場と隣接するところに子供部屋を配置してしまった。隣家が夜に車庫入れする音がうるさくて、睡眠中の子供が起きてしまう。
【対策】
- 隣家の窓と自分の家の窓の位置関係は事前に把握しておきましょう。
- 隣家の窓や換気扇、駐車場がどこにあるのかを事前に確認しましょう。隣家の調理のニオイや車の音が気になるところの近くには、自分の家の窓は配置しないように気を付けましょう。
- 窓の位置を高くして隣家の視線を遮ることもできます。
②取りつけた窓が大きすぎて外からの視線が気になってしまう
- 採光を考えてリビングに大きな窓を付けたら、あまりにも開放的で外からの視線が気になってしまった。
- 窓が大きい分、家具の置き場所が少なくなってしまった。
【対策】
- 大きい窓は、採光を良くする一方で防犯の強度が落ちるという心配もあります。採光目的であれば、高い位置に付ける、手が入らない小さめの窓にするなどの工夫で防犯面の問題を解消しましょう。
- 配置する家具を事前に想定して、窓の大きさと家具の高さのバランスをよく確認しましょう。
③風の流れを無視した窓の配置にしてしまった
- 光を採り込むことだけを考えた窓の配置にしてしまった。風の動きに合わせて対面している窓がないので風通しが悪く、夏は暑くて湿気もこもりがち。室内干しだと洗濯物が乾きにくい。
【対策】
- 窓や通気口などの開口部は対面させて設置しましょう。日本の場合、自然に吹く風は南北に流れやすいので、開口部も南北に取りつけるとより通気性を確保しやすくなります。
1-13.建具の配置の失敗例と対策
①ドアを開けきったときにどのような状態になるのかを十分想定していなかった
- トイレのドアを開けきると、向かいのクローゼットの折れ戸を開けきった時に互いにぶつかりあってしまう。
- 廊下の収納の一番上の段の扉を開けると、天井に設置された照明とぶつかりあってしまい、扉が完全には開かない。収納に物を入れるときに使いづらくて不便。
【対策】
- すべてのドアを開けきった状態を、図面を見ながらよくイメージして、設計士などの専門家にも念入りに確認をしましょう。
2.間取りで失敗しないために押えてほしい3つの部屋
これまで9部屋と4種類のパーツの全59ケースにわたって失敗例をあげてきましたが、数が多くてこれらすべてを網羅した間取りを考えるのは難しいかもしれません。
そのような場合、LDK、水回り、プライベートルームの3つの部屋の間取りを先に押さえておくと、失敗を防ぎやすくなります。
ここでは、各部屋の間取りを考える際にここだけは押さえてほしいというポイントを説明します。注文住宅で失敗しない間取りのプランに是非活用してください。
2-1.LDKの中の配置を決めるのが最優先
注文住宅の間取りで失敗を避けるためには、LDKの中の家具や家電の配置を優先して決めましょう。
LDKは住宅の中でもっとも場所を取る部屋であり、家族の生活のベースにもなる重要な部屋です。1階に作るのか2階に作るのか、どういった過ごし方をしたいのか、どの程度の広さをイメージしているのかなど、他の部屋の間取りを考えるよりも先に考えてください。
LDKの間取りで失敗しないために押えておきたいポイントは次の5つです。
【LDKの間取りで失敗しない5つのポイント】
- 置きたい家具や家電を事前に決め、それらを置いた間取り図面を書いて移動しやすいかどうかを確認する。
- 来客の際に、生活感のあるものをすぐにどけて視線を遮れるように、隣に小さい和室などの部屋を配置する。それが難しい場合は、リビング収納を隣接させる。
- 窓の外には、隣家や通行人などの視線がない設計にする。それが避けられない場合は、窓の位置を高くするなどの方法で視線を遮る対処法を取る。
- LDKから、トイレ、脱衣所・浴室、玄関のそれぞれが直接は見えない配置であることを確認する。
- 家族が帰宅してから個室に行くまでにLDKを通過して、家族がコミュニケーションを取れる作りにする。
LDKの間取りに関しては、家具や家電と部屋の広さのバランスが合わないという失敗談をよく聞きます。 注文住宅は、家具や家電とのバランスもトータルで考えた細かいオーダーができるところが魅力です。LDKの間取りを考えるときは、他の部屋に移動する動線だけでなく、室内の家具や家電の周りを移動しやすいかどうかもよく確認するようにしてください。
2-2.水回りはデザイン性よりも実用性
注文住宅の間取りで失敗を防ぐためには、キッチン、風呂、洗面所、脱衣所、トイレなどの水回りそれぞれの広さと場所を考えましょう。
水回りは、生活する上で必要になる重要な部屋です。毎日使うところでもありますので、LDKの次に押えておくべき空間と言えます。
どの水回りについても、間取りで失敗しないために共通して言えるポイントは次の5つです。
【水回りの間取りで失敗しない5つのポイント】
- デザイン性よりも実用性を考えた配置や設備を選ぶ。
- 水回り全体の掃除動線を考えて、できるだけ一カ所にまとめて配置する。
- 外からの視線を遮る壁や仕切りが作られているかどうかを確認する。
- 動線にそって使いやすい収納を近くに配置する。
- 配置する収納は手が届いて出し入れしやすい高さのものを選ぶ。
特にキッチンの間取りに関しては、デザイン性に惹かれて実用性を見落とした結果、使いにくい空間になってしまったという失敗談が多いです。まずは実用性を第一に重視して、生活動線や家事動線の中で効率よく移動できる水回りの間取りを考えましょう。
2-3.プライベートルームの数と広さを決める
注文住宅の間取りで失敗をしないために、必要なプライベートルームは何か、その部屋数と広さを考えましょう。 例えば、寝室や子供部屋、書斎、趣味の部屋、仕事をする部屋などがプライベートルームになります。
プライベートルームは個人が落ち着いて過ごすための部屋なので、共有スペースとなるLDKや生活に不可欠な水回りとは利用目的が違います。生活の中ではプライベートな空間も大切なので、間取りを考える際に優先して押える場所となります。
どのプライベートルームについても、間取りで失敗しないために共通して言えるポイントは次の5つです。
【プライベートルームの間取りで失敗しない5つのポイント】
- 水回りが隣接しない場所に配置する。それが避けられない場合は、入口が別な方向を向くように工夫し、壁には収納等を置いて音を遮断する工夫を施す。
- 隣家や通行人の視線、音が気にならない配置であることを確認する。それが避けられない場合は、窓や外構、防音壁紙等で対処する。
- LDKには極力隣接させない。(部屋のメリハリがつかなくなり、モノを片付けるべき部屋に片付けなくなってしまうのを避けるため)
- 必要最低限の広さに止める。
- 時間の経過に合わせて利用目的が変わることも想定した作りにする。(子供の成長に合わせて間仕切りをするなど)
特に子供部屋の間取りに関しては、子供が小さいうちは家族とのコミュニケーションを妨げるような部屋になってはいけませんので、広さや配置場所には注意が必要です。 いずれのプライベートルームも、家族が一緒にLDKで過ごす時間をベースにしながら、個室での時間も有意義に使える間取りにできるように心掛けましょう。
3.まとめ
注文住宅の間取りでよくある失敗例は、部屋や部位別にさまざまあげられますが、事前に把握しておくことで同様の失敗を防ぐ対策を図れます。
大切なことは、事前に綿密なプランを立てて、実際に生活しているシミュレーションを念入りに行うことです。実際に使う家具や家電と、実際の生活動線や家事動線を想定して、あなたの生活の流れにあった注文住宅の間取りを考えましょう。
そして、家族と共有する部屋とプライベートの部屋それぞれの目的を考えて、一定の間隔を空けた間取りを意識することも忘れないでください。
あなたが注文住宅で失敗のない間取りを考えるときに、この記事がお役に立てることを願っています。
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