「まずは注文住宅の見積もりを依頼したいんだけど、どのような準備をしておけばよいか分からない…」
「見積もり内に記載される情報にはどんなものがあるんだろうか。知識がないので心配だ…」
あなたは今、そのように不安になっていませんか?
家づくりは人生の中でも最大級のイベントです。自分の好みの家にするためには、注文住宅という選択肢は最上級の答えとなるはずです。しかし理想的な住まいを建てるためにはそれなりの予算が必要で、後悔しないためにもできるだけ正しい見積もりを行うことが大切です。
今回の記事では、見積もりを取る前の準備段階から、依頼の仕方や業者の選び方と比べ方、さらに知っておくべき注意点についてご紹介していきます。最後まで読み込むことで、どのような手順で注文住宅の見積もりを依頼するか、あるいは集まった見積もりをどのように比較すべきかが理解でき、要望に沿った内容の発注と業者選定を行うことができるようになるでしょう。
注文住宅の見積もりを依頼する準備
注文住宅の見積もりを依頼する前には、施主(せしゅ)として希望する方向性を定めておく必要があります。事前の準備として考える項目や、手順について見ていきましょう。
どんな家にするのかプランの要となる案を作る
最初に考えるのは「どんな家にしたいのか?」という大まかな指針です。家づくりは「こんな家に住みたい」というところからスタートします。まずはイメージを持つことが大切です。
家族会議を開き、家族それぞれの要望や具体的な意見を自由に出し合いましょう。そこから例えば伝統的な和風建築が良いのか、ログハウス風にしたいのかなど、漠然としたイメージから具体的な外観・内装・間取りの「形」に落とし込んでいきましょう。
最初から無理にまとめようとしなくても構いません。希望は希望として集めておき、実際に専門家に相談する際に、実用性のある意見を家族の要望から選択できます。
次にポイント的な構成要素を付加していきます。将来的な予測を含めた家族構成や、世帯の暮らし方などにより、間取りなどへの要望がより具体的になっていきます。例えば家族の人数が増えたり、自宅で教室を開いたりするなどの予定があれば、それに合わせた間取りや設備が必要になります。
意見が出尽くしたら、優先順位を付けておきましょう。重要度の高い要素を明確にしておくことで、施工業者に対しても要望が伝えやすくなります。
またプランの最終段階で予算との折り合いをつける際にも、優先度の高い条件がはっきりしていると迷いが少なく、誤った決断をする可能性を低くできます。
予算を決める
注文住宅を作るとなると、あれこれと夢がふくらみます。しかし予算を決めておかなければ、家が建った後で生活費が残っていないという事態ともなりかねません。家を建てるときの予算は、何を目安に決めていけば良いのでしょうか。
住宅資金の金額の出し方
家は建てればそれで終わりではありません。住宅資金を考えるときには、その前後の生活にかかるお金も含めて予算立てをしていく必要があります。
移転するための引っ越し費用のほか、新築住宅で必要となる、カーテンや家具などの家財道具、さまざまな契約の更新にかかる費用も忘れてはなりません。貯蓄のすべてを住宅資金に充ててしまい、まったく余力がなくなると何かあった際に現在の生活が立ちいかなくなる恐れもあります。会社勤めであれば、一般的には3か月程度の家計費の貯蓄が必要と言われます。
家づくりが始まると、そこにばかり目が行きがちですが、生活の基盤がゆらぐようでは本末転倒です。住宅資金とは別枠で生活費用を確保しておきましょう。
特に教育費などの「手を付けてはいけないお金」については、しっかりとキープしておかなければなりません。家づくりの予算捻出を優先するあまり、後先を考えない予算の組み方となるのだけは避けたいところです。貯蓄の中から「手を付けてはいけないお金」に必要なお金を差し引いて、どれだけが貯蓄の中から住宅資金として使えるのか計算し、生活費や将来に向けた準備金額を除いた部分が住宅購入の自己資金となります。
【計算式】貯蓄-(生活費+予備費+将来の準備金)=住宅購入資金
住宅ローンの借入金額
自己資金で賄えないお金については、住宅ローンを組むことになります。住宅ローンの借入金額は「返済可能な額」から割り出していきます。
家計の中からどれだけの金額を毎月の返済に充てられるのかは、それぞれの世帯によって大きく異なります。一般的には、年間返済額が年収の25%程度までであれば安定的な返済が可能と言われています。国土交通省が発表している平成29年度住宅経済関連データ(※1)によると、可処分所得に対する返済負担率の平均は18.2%です。過去20年のデータを見ても、最も多い平成23年度で20.8%となっています。
同データによる住宅ローンの年間返済額の全国平均値は130.5万円(※2)です。注文住宅だけでの住宅ローンの年間返済額の分布(※3)を見ると、最も多い金額は100万円以上150万円未満で31.3%を占め、次に50万円以上100万円未満が26.7%とこの2つの返済額だけで6割程度を占めています。
全国の返済負担率18.2%から各年収の年間返済額を割り出してみましょう。
手取り年収 | 年間返済額 | 月返済額 |
---|---|---|
300万円 | 54.6万円 | 4.5万円 |
400万円 | 72.8万円 | 6.1万円 |
500万円 | 91万円 | 7.6万円 |
600万円 | 109.2万円 | 9.1万円 |
700万円 | 127.4万円 | 10.6万円 |
この例から見ると、年収400万円の家庭が35年ローンを組んだ場合、無理なく返済できる借入金額は72.8万円×35年で、2,548万円という結果となります。
世帯収入から見たときの住宅ローンで借入ができる上限の目安があれば、プランやデザインの設計においても、無理な計画を避け、慎重に家づくりを進めていけるでしょう。
※1:国土交通省「(3)住宅ローン返済支出割合(住宅ローンを返済している勤労者世帯)」より
※2:国土交通省「(5)住宅ローンの年間返済額の平均値、住宅ローンの年間返済額の分布」より
※3:国土交通省「(4)勤労者世帯の負債現在高」より
スケジュールを組む
注文住宅を手に入れるまでには、相当な期間が必要です。婚姻や子どもの入学など、イベントに合わせて新居に入りたいという希望がある場合には、できるだけ早めにスケジュールを作成していく必要があります。
注文住宅完成までの流れ
注文住宅は建売と異なり、最初の相談から最終の引き渡しに至るまで、確認や打ち合わせが何度も行われます。
見積もり依頼から完成までは、一般的には以下のような流れで行われます。
- 相談・見積もり
- 現地調査
- プラン作成
- 契約
- 地盤調査
- 設計図最終確認
- 着工
- 検査
- 引き渡し
依頼する施工会社によって、打ち合わせの回数などに違いもあり、多少の手順が変更される場合もあります。相談・相見積もりをお願いする業者が決定したときにスケジュール表などをもらっておくと、自分たちの家づくりがどの段階にあるのかが常に把握できます。
家づくりの進行具合がわかれば、各手順において必要となる書類の入手や入居準備なども慌てることなく、スムーズに進められます。
注文住宅完成までの期間
ハウスメーカーにもよりますが、注文住宅の着工から完成までは一般的には8~15か月程度かかります。しかし、相談・見積もり、施工業者の比較、プラン作成、設計図の調整などを合わせると、全体ではさらに長期にわたります。平均的には注文住宅を検討し始めてから、1年以上をかけて完成にこぎつける人が多いようです。
特にこだわりのある家づくりを希望する施主の場合には、見積もり依頼から完成まで実に15か月以上にも及ぶ例も見られます。入居するタイミングを決めている場合には、その日から逆算し、引っ越しにかかるさまざまな手続きも考慮しながら、十分な余裕をもって着手することをおすすめします。
注文住宅の見積もりの取り方
ここからは実際に注文住宅の見積もりの取り方について、ご紹介していきます。
見積もりは何社に頼むべきか
見積もりをもらうときには、複数社に対して相見積もりを依頼するのが一般的です。見積もりしてもらう業者は、通常であれば2~3社が適当であると言えます。
1社のみに依頼した場合では他社との比較ができないので、相手の言いなりになってしまう恐れがあります。知人に勧められたなどの理由で、いきなり施工業者を決めてしまう人も少なくありませんが、注文住宅を成功させるためには、賢い方法とは言えません。
一方、見積もりに際してはプランの設計のために家族構成や希望する間取りなどの情報を伝え、確認しながら各社と打ち合わせをする必要があるので非常に手間がかかります。4社以上に依頼するのは、時間がかかり過ぎる上、煩雑さが増し、効率が良いとは言えません。
またあまりに提案プランが多すぎても、見ているうちに目移りしたり、混乱してしまったりする可能性もあります。気になる業者があれば、ピックアップしておき、その中から厳選して絞り込んでいくようにします。
見積もり依頼をする業者選び
見積もり依頼をする業者を選ぶ前に、どのようなハウスメーカーや工務店があるのか広く情報収集を行います。気になる業者があれば、得意とする工法や技術について詳しく調べてみましょう。
大手には大手なりの、地場の小規模な業者にはそれなりの良さがあります。ネームバリューがあるからと言って、いきなり飛びつくのは賢明ではありません。
ハウスメーカーのカタログを取り寄せ、これというところが見つかれば、展示場に足を運び、実際に確認するようにしてください。初めのうちはあまりひとつの業者に集中せず、先入観なしに複数の展示場を回るようにすると良いでしょう。
営業担当者に家づくりについての疑問点を投げかけて反応を見たり、話をよく聞いてくれるかを確認したりすることも必要です。カタログに記載されている内容と社員の話との一貫性なども、業者選びのチェックポイントとなります。
さらにインターネットや住宅情報誌などを活用し、ユーザーからの評判や施工についての口コミをできる限りチェックしていきます。実際に依頼をした人がプランの提案のうまさなどに言及されている例があれば、良い参考となります。
概算見積もりと詳細見積もり
業者では客からの要望や付帯する状況からプランを提案し、見積もりを出しますが、そこではあくまで参考価格となる「おおよそ」の金額でしか提示できません。相見積もりの時点では、各社が施工面積などから割り出した一般的な金額を出し合います。
「面積 × 単価」で出された見積もりを概算見積りと呼び、実際に施行を依頼する業者が決まったあとで出されるさらに詳細な見積もりを、詳細見積もりと言います。
詳細見積もりは図面が決定した後で、具体的な要望を取り入れて作成されます。注文住宅の場合は、内装や各部位の材質、つくりなどにこだわりが反映されるため、概算見積もりよりも高額になるのが普通です。実現してほしい希望が増えるほど、見積もりの額も大きくなります。
概算見積もりについては、最低ラインという認識を持つことが大切です。ここでの違いを理解しておかないと、選んだ施工業者に対して不要な不信感をもってしまう原因となります。
また、概算見積もりで利用されている素材や設備が、どのグレードになっているのかを、必ず確認しておく必要があります。
ところで、どのようなハウスメーカーや工務店があるのか情報収集はできていますか?
持ち家計画の資料請求なら、住んでいる地域で自分のわがままな夢をかなえてくれるハウスメーカーを検索でき、一括で資料請求まで行うことができます。
一生に一度となる大きな買い物、妥協せずにたくさんの会社を検討するようにしましょう。
見積もりの読み方・比較の仕方
せっかく見積もりを出してもらっても、その読み方がわからないのでは意味がありません。見積もりの読み方がわかれば、業者の比較もしやすくなります。見積もりの見方と比較する際のポイントについて、ご紹介していきます。
見積もり表の項目を正しく把握
見積書の様式には、定型というものがありません。オーダーメイドである注文住宅の見積書は、特に素人が理解するのはなかなか難しいものです。
しかし基本的には自分が求めているオーダーの内容が図面に反映され、見積書にはそれを構成する詳細と金額が記載されていなければなりません。見積書の文字だけでは、施工内容の詳細を確認するのは困難です。 よって図面と見積書を付き合わせながら、内容を確認していく必要があります。
見積書は全体から詳細へ、大きい部位から小さい部位へという流れで記載されています。この法則に従って確認することで、見積もりの理解が容易になります。
施工内容の抜けやもれをチェック
見積書で最初に確認するのは合計金額ですが、この費用に何が含まれているのかを把握しておくことが大切です。特に以下には注意が必要です。
- 希望した施工内容通りの仕様となっているのか?
- どこまでが標準仕様なのか?
- どこからがオプション扱いなのか?
例えば2社に見積もりを依頼していた場合、片方に希望した施工内容の抜けがあれば、正しい比較ができなくなります。要望したものについて、見積もりに計上されていない場合には、図面にも反映されていない恐れが出てきます。
図面と良く見比べ、自分たちが想定していたプラン通りとなっているかを見ながら、抜けやもれがないかをチェックしていきましょう。
本体工事費以外の費用をチェック
住宅本体以外にも、工事が必要な箇所は数多くあります。家づくりにかかる費用の割合は、以下の割合になると言われています。
- 本体工事:付帯工事:諸費用=7:2:1
このうち諸費用は、見積書に載らない申請費用や登記費用などが含まれます。
見積書で問題となるのは、本体工事以外の付帯工事の部分です。見積もりによっては、この本体工事費以外の費用が盛り込まれている場合とそうでない場合があります。
例えば上下水道を住宅内で使用するための屋外給排水工事は、生活上は絶対に外すことはできませんが、必ずしも見積書には記載されていないこともあります。屋外給排水工事費は、敷地面積などによって大きな違いが生じるため、記載がない場合には見積もりに加えてもらうように依頼すると安心です。
そのほかにも屋外電気工事やガス工事など、住宅の立地や環境によって必要となる工事があります。見積書の記載されている内容以外に、想定される工事費がないかを業者に尋ねてみると良いでしょう。
素材のグレードをチェック
住宅の建築費用を大きく左右するのが、素材や設備のグレードです。少しの素材の変更で、数十万円、数百万円の違いとなることもあります。特に壁紙や床材、外壁、屋根、断熱材など、使用する分量の多いものや面積の広い箇所などは、わずかなグレードアップが最終的な請求額に大きな影響を与えます。
また、キッチンやバス、トイレなどの水回り設備も、予算オーバーの原因となりやすい部位です。
希望するイメージの伝え方によっては、施工業者がグレードの高い素材や設備を選んでしまうこともあります。標準仕様のものに落とすだけで、見積額を大きく下げられる可能性があるので、提示金額が気になるときには素材変更を申し出て見積もりの調整をしてもらうようにしてください。
見積もりの比較のポイント
複数の業者に見積もり依頼をした際の比較のポイントについて紹介していきます。
会社によって項目表記が異なる
注文住宅を請け負う業者には、以下のように大きく3つのタイプに分けられます。
- 各地に支社や支店などを置き広範囲に展開するハウスメーカー
- 比較的地域密着型が多い工務店
- 設計事務所
3者の営業形態やコスト管理の違いが、見積書にも表れます。主な特徴を見ておきましょう。
ハウスメーカー
本社が素材や設備の発注管理を行っていたり、自社工場で各部品をシリーズ化して製作していたりすることが多いため、標準仕様から外れるものについては、高額化しやすい傾向があります。内訳明細による記載ではなく、「一式」「一か所」といった表記が多く見られます。
工務店
工務店では各工程の単価と、面積や素材の数を記載する方式が多く見られます。例えば「壁・石膏ボード〇枚」といった内訳明細を表記しているのが普通です。工務店の場合には、各部位について専門の下請けが見積もりを出すため、詳細にわたって記載されていることが多いようです。
設計事務所
設計事務所の見積もりは、以下のような流れとなります。
- 設計事務所がプラン設計と概算見積もりを行う
- 依頼主からOKが出た時点で設計監理契約を結ぶ
- 設計事務所が依頼主の代理となって工務店を選択する
- 施工業者から詳細な見積書が依頼主に提出される
依頼主は設計事務所に対して、設計料に概算見積もりをプラスして支払うことになります。そうした意味では設計事務所へ依頼した場合の見積もりの位置づけは、ほかの2業種とはやや異なると考えた方が良いでしょう。
項目から取り組み姿勢が見える
見積もりの項目の観点から信用できる施工業者を見つけるためのポイントを紹介します。
項目の内容が明確な見積もりは信用度が高い
項目によっては、概算見積の時点では一式単位での表示とせざるを得ないものもあります。それでも、可能な限り具体的な単価や数量が記載されている見積書であれば、かなり信用度が高くなります。図面ができていれば壁や床の面積はわかっているため、ある程度精度の高い見積もりを出すことは可能です。
数量は面積の単位などの数値が多い見積書であれば、それだけ基本的なラインを正しくつかむことができます。標準タイプの素材や設備の品番や型番まで記載があれば、かなり良心的な業者であると言えそうです。
項目名が多すぎるケース
見積書を比較したときに、項目名があまりに多すぎるときには、工賃や手数料の上乗せがないかを確認する必要があります。例えば材料運搬費が場所別に記載している場合などは、作業工程を細かくわけ、重複して請求される可能性があります。項目名が極端に多いようであれば他社の見積もりと見比べ、工事の項目が水増しされていないかを見極めるようにしてください。
項目名が少なすぎるケース
項目名が少なすぎるのも、要注意です。例えば材料については安価に記載しておき、工賃をまとめて表示しているというケースもあります。つい目先の価格に惑わされがちですが、作業にかかる費用の詳細が見えないので、どの作業に対していくらかかるのかが判断できません。
あまりに内容を簡略化して表記している見積書については、詳細を明らかにするよう要求してみましょう。
担当者の疑問点についての説明
住宅の購入は、人生の中でもまれに見る大きな買い物です。そのため、売り手側には詳細にわたる説明責任が求められます。購入者には疑問点について、どれほど些細なことでもそのままにせず、尋ねる姿勢が大切です。誠実な業者であれば、見積書に記載されている膨大な項目について、一字一句まですべて説明しようとする姿勢が見られるはずです。
担当者が説明を面倒がっていたり知識不足で要領を得なかったりするような業者は、信用ができるとは言えません。わからない点や不審点は、納得するまで多少しつこいくらいの質問をすることは、将来的な後悔の原因を軽減します。
また「このほかにもかかる費用には何があるのか」といった質問をぶつけて見るのも、良い方法です。良心的な業者であれば、「これ以上はかかりません」などとは安易には答えないでしょう。
素人の目からの判断がどうしても不安であれば、見積もりを第三者の観点からチェックする専門サービスを活用するという方法もあります。
「一式」とは何かを確認する
注文住宅の見積もりでは、業者側が何らかの意図をもっていなくても、「一式」という表記が必要となることも多々あります。例えば窓ひとつとっても、窓枠やガラス、施錠部品など、さまざまなパーツが含まれます。そうした場合、施工業者ごとにセットで記載するというのが通例化されているケースは少なくありません。
しかし、施主の側からすれば、少しでもブラックボックスな部分はなくしておきたいと考えるのは当然のことです。「一式」の内容について確認して価格の根拠を問うのは、業者側に対して施主としての一種の態度表明にもなります。言われるままにはならず、筋の通った説明を求めることで、施工を任せる業者への責任の在り方を問う姿勢が示せます。
注文住宅の見積もりの際の注意点
これまで、注文住宅の見積もりについて基礎的な知識や流れを見てきました。ここでは、実際に見積もりを業者に依頼する際に、特に注意しておきた点についてご紹介します。
相見積もりは同条件にそろえる
見積もりを複数社に依頼する場合には、注文住宅の建築プランの方向性や各設備の希望を同じ条件にそろえておく必要があります。
各社に違う条件を出してしまうと、正しい比較ができません。A社、B社それぞれの良い点、悪い点をしっかりと見極めるためには、同条件での見積もり作成を依頼することが重要です。建築プランの条件がそろっていると各社の見積もりを見比べたときの比較が容易で、例えば値引き交渉をする際にも具体的な根拠を示すことができます。
値引き交渉に執心しない
比較は大切ですが、値引き交渉にばかりとらわれてしまうのも良くありません。
無理に値引きをしたばかりに、見えないところで作業工程を省略されたり材質のグレードを落とされたりするようなことがあっては取り返しがつきません。どの程度の譲歩が得られるかは、その業者のコスト感覚にもよります。
注文住宅は家族の希望に沿った住まいづくりが最終的な目標となります。コストダウンにばかり気を取られて、肝心のプランニングがスムーズにいかないということのないようにしたいものです。
違うタイプの施工会社に依頼する
見積もり依頼を行うときには、なるべく違うタイプの施工会社に依頼すると思いがけない発見や気づきが得られます。
せっかく相見積もりをとってもらうからには、バラエティに富んだプランを提案してもらえる方がイメージの広がりが大きくなります。見積もりを作成してもらうことで、自分たちでは気づかなかった発想にも気づかせてもらえる可能性があります。
ハウスメーカーと工務店といった業態の異なる業者それぞれに依頼をしても良いですし、同じ業態であっても規模の違う会社に依頼してみるという方法もおすすめです。
見積もり依頼をする際には、タイプの違いにも注目して業者をピックアップしていきましょう。
基本的には見積もり以下にならないことを理解する
どこの施工業者に依頼をしても、実際の家づくりでは見積もりの金額を下回ることはないと十分に覚悟しておく必要があります。
見積もりで出されている数字は、標準的な仕様を基に試算されたものです。注文住宅に対しての具体性が増していく中で、小さなこだわりが重なるうちにどんどん予算は膨らんでいきます。概算見積もりで出されたもののうち、構造などの安全性に関わる項目はそれ以上削れることはまずありません。
また、家を建てる土地が準防火地域に該当するなど、防火構造の施工が追加されるといった思いがけない費用負担が発生してくる場合もあります。
どこかで予算を削らなければならないときには、一番初めに打ち出していた優先順位に乗っ取り、必要・不要のバランスを取りながら、賢く予算調整を行っていきましょう。希望案を減らすことは決して楽しい作業とは言えませんが、現実を見据え、家族全員が納得できる結論を引き出せるようにしていきます。
ちなみに、断熱材や配管など、居住性の根本に関わる部分に手をつけることはおすすめできません。価格を抑えるためには、壁材や設備のランクを下げるほか、デザインをシンプルなものへと変更する方法があります。
依頼から見積もりが出るまでの期間に注意
見積もりの依頼後、心を躍らせて待っているのになかなか業者からの連絡がこないという話も聞かれます。
見積もりの作成依頼から、プラン設計の提案までは業者によってかなりの期間の違いがあるようです。ラフプランと概算見積もりを出す通常のケースの場合は、1~2週間程度で連絡があるのが一般的です。
しかし、ハウスメーカーによっては細かい打ち合わせを経て、完成度の高い見積もりを作成するところもあります。そうした場合には、ひと月以上かけて精密なプランと見積もりが提案されます。
早く比較したくても、提案がそろわないと先に進められません。見積もりがどれくらいで出されるのか、依頼する前に業者に確認しておくと良いでしょう。特に住宅の完成に期限があるのであれば、見積もり作成についても締め切りを設定し、施工業者に伝える必要があります。
敷地の情報は早めに伝える
住宅を建築する土地については、地盤や形状などにより注文住宅を設計するプランが大きく左右されます。せっかく良いプランを作成しても、実現できなければ何にもなりません。住所や広さなどの敷地の情報については、早めに見積もりを依頼する業者に提供するようにしましょう。
敷地内のどこに家を配置するのか、隣接する道路との関係をどうするのかなど、土地の条件によって建て方に制限がある場合もあります。また家を建てることについて、特別に対象となる法律がないかも確認しておかなければなりません。
必ず必要となる地盤調査は、できれば見積もりの前に済ませておけば施工業者にわたる情報がより、確実なものとなります。
土地の状況によっては補強が必要となり、数十万~数百万円もの費用が上乗せとなる可能性もあります。地盤の調査にかかる費用は、3万~5万円程度が相場です。ハウスメーカーでも対応しているので、見積もり作成と同時に依頼する方法もあります。
すでに土地を保有している場合には、できるだけ早い段階で事前にプロの調査を受けておくと、家づくりに向けて良いスタートを切ることができるでしょう。
まとめ
一から自分たちの好みの家づくりをしていくことほど、心躍る作業はないのではないでしょうか。しかし、後悔のない注文住宅を作り上げるためには、見積もりの段階から慎重に計画を進めていく必要があります。
信頼できる施工業者を選定するためには、見積もりの内容をしっかりと確認し、すみずみまで理解できるようにするのが理想的です。不明点をそのままにしておくと、完成後に「こんなはずではなかった」という事態にもなりかねません。
見積書は選ぶ施工業者によっても、書式や含まれる項目、表記方法が変わります。価格のみで決めてしまうと、希望通りのプランが実現できなくなる場合があるために要注意です。
家族の幸せを守る家にしていくためにも、見積もりの段階で確認すべきポイントを知り、施工業者と良好な連携を取れるようにしていきたいものです。
以上、「注文住宅の見積もり100%ガイド!間違えないための教科書とは?」でした。
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