注文住宅で家づくりを目指そうとするとき、どのハウスメーカーに依頼すれば良いのか非常に悩むところです。知名度の高い老舗企業から最近人気が出てきたハウスメーカーまで、気になる会社を挙げていくだけでも選択肢は膨大な数に上ります。
人生におけるもっとも高額な買い物といえるマイホームを建てるにあたり、失敗はできません。少しでも理想の住まいに近づけられるようにするためには、ハウスメーカーについての知識を持っておくことが重要です。
ここでは注文住宅を建てようとする人ががどのような基準でハウスメーカーを選んでいるのか、そのポイントについて基礎知識と併せてご紹介していきます。
そもそもハウスメーカーとは?
家を建てようと考えたときにまず頭に浮かぶのは、いろいろなメディアで目にすることの多いハウスメーカーではないでしょうか。しかし、そもそもハウスメーカーとはどのような企業を指すのでしょう。まずはハウスメーカーについて、基礎的な知識を確認しておきましょう。
一般的なハウスメーカーの定義
ハウスメーカーはニュースや雑誌などでもよく目にする言葉ですが、実は正式な定義がありません。
元々は積水ハウス、セキスイハイム、ヘーベルハウス、パナソニックホームズ、大和ハウス工業、ミサワホーム、三井ホームといった大手住宅メーカー8社を指す呼称として使われていました。
現在ではこれらの企業に限らず、日本全国で展開する住宅会社を示すことが多くなっています。そうした企業ではテレビやラジオ、新聞広告などマスメディアを使った宣伝や、住宅展示場・モデルハウスなどによって知名度の向上を図っており、世間一般にも企業名がよく知られています。
住宅を作る会社の中でも全国規模で展開し、ある程度の知名度をもつ企業がハウスメーカーとして扱われると考えておけば良いでしょう。
工務店とハウスメーカーの違い
注文住宅の依頼先としては、ハウスメーカーのほかにも工務店が候補に挙げられます。現在ではモデルハウスを構えるなど、ハウスメーカーと変わらない展開を見せる工務店もありますが、一般的には事業展開規模がハウスメーカーと比較すると小規模であることが特徴です。
工務店は地域密着の地場産業的な立ち位置、それに対して全国的に展開しているのがハウスメーカーと区別されています。
もっとも大きな違いとしてハウスメーカーでは独自の生産設備を持つことにより、設計・施工を規格化・量産化できる業務体制を整えています。ハウスメーカーが建築している多くの住宅は工業化住宅と呼ばれ、国土交通省による「型式適合認定」を受けたものです。「型式適合認定」は予め工材や工法、それを生産する工場などの認可を受けることで、住宅建築時の審査や手続きを簡略化しています。
つまり、工場で規格化された建築資材を使うことで工期が短縮できて、検査や手続きの手間を省略しています。そのため、ハウスメーカーの注文住宅は、工務店よりも比較的工事期間を短くて済ませることができるのです。ハウスメーカーではある程度パターン化された資材や技術を用いることで、価格を抑えたり工程を簡易化したりしていると言えるでしょう。
ただし、ハウスメーカーでもパターン化できないような完全注文に対応する部署を置いている企業もあります。そのような企業に依頼する場合、規格化された材料や工程に比べて費用は高額になりますが、ハウスメーカー独自の技術を使いながら、完全オリジナルの家づくりを実現することも可能です。
ハウスメーカー選びをみんなはどうしてる?
インターネットを検索すれば星の数ほど見つけられるハウスメーカーの中から、みんなはどうやって依頼先を選択していくのでしょうか。ハウスメーカーが選ばれる要素について、見ていきましょう。
イメージとハウスメーカー選びのポイント
他の商品やサービスと同様に、ハウスメーカー選びでも利用者から持たれるイメージは大きな影響を与えます。ハウスメーカーに対するイメージと、依頼したい理由を具体的に紹介していきます。
ハウスメーカーのイメージとは
マイボイスコム株式会社が実施した「住宅メーカーのイメージ」に関するアンケート調査(※1)によると、全体では「積水ハウス」「タマホーム」「ミサワホーム」「パナソニックホームズ」「積水化学工業」の認知率がいずれも7割と、良く知られていることがわかります。
認知率には地域ごとの違いがあり、北海道や北陸では「スウェーデンハウス」、東北や中部では「一条工務店」、関東では「飯田産業」「三菱地所ホーム」といったように、それぞれに高い比率を獲得している企業が見られます。
また各ハウスメーカーへの利用者のイメージとして、「信頼性・安心感がある」、「品質・技術が優れている」と思う住宅メーカーには「積水ハウス」「積水化学工業」が上位3位を獲得しています。
また、「省エネ・エコ住宅というイメージがある」住宅メーカーは、「パナソニックホームズ」が他を引き離して1位となっています。
一方で「家を建てる際に依頼したい住宅メーカー」の問いに関しては、約6割が「特にない」と回答しており、高い認知や良いイメージを持ちながらもそれだけではハウスメーカー選びの決定打にはならないことが伺えます。
認知度が高いことはハウスメーカー側にとって有利に働きますが、食品や日用品を選ぶのとは違い、自分の家を建てることは人生の中でも大きな出来事です。依頼するハウスメーカーを選ぶ際には、ハウスメーカーへの印象だけではなく、決め手となる重要な要素があるようです。
※1:マイボイスコム株式会社「住宅メーカーのイメージに関するアンケート調査(第12回)」より
そのハウスメーカーに依頼したい5つの理由
「注文住宅を依頼する業者に求めるもの」あるいは「依頼したくなる理由」とはどのようなものなのでしょうか。
理由1.評判が良い
もちろん評判だけで最終的な決断をするというわけではありませんが、最初にハウスメーカーの候補を集める際には、周囲の評判は大きな参考となります。特に知人や近隣住人でそのハウスメーカーを利用しており、オーナーの満足感が高ければ「ぜひうちもお願いしたい」と考えても不思議はありません。
インターネット上の口コミは一般的に辛口に評価されていることが多いものですが、その中でも良い意見が目立つハウスメーカーであれば、リストアップの対象にされやすくなります。
理由2.認知度が高く信頼性がある
先のアンケートによると、認知度がそのままハウスメーカー選びの決定打とはならないという結果でしたが、やはりまったく無名の企業に比べると優位性があるといえるでしょう。マーケティング用語として使われるザイオンス効果とは「接触回数が多いほど好印象が得られやすい」ことを説明する際に利用されます。大手のハウスメーカーは、テレビCMや看板、チラシなどによって消費者の目に触れる機会が多いため、それだけ良い印象を得られる可能性が高くなるわけです。
また大手企業は何かとニュースになりやすいため、社会的な責任を果たしていて監視の目も行き届いているという印象をはじめから持つ人が多いでしょう。業界での歴史が長く、認知度が高ければそれだけ実績もあると認識されるため、信頼性につながっていくことが考えられます。
理由3.ショールームでの対応
オリコンの顧客満足度調査(※2)からの声を見ると、施工担当者、営業などショールームで受けた対応の良さが注文住宅の依頼理由に挙げられているケースが目につきます。
依頼者の多くは、複数のハウスメーカーのショールームを回り、自分の目で情報を確認しようと努めます。家づくりへの疑問点や不安について、スタッフが真摯に対応する姿勢が見られれば、ハウスメーカーへの好感度は自然とアップします。
ハウスメーカーの企業規模が大きくなればなるほど、ショールームや担当者による対応の善し悪しのばらつきは増幅していくものです。企業理念がしっかりと社員全員に行き届き、顧客満足に徹しているハウスメーカーは、消費者からの信頼も厚くなります。
安心して家づくりを任せられるかどうかの決め手は、実際に対応にあたる個別のスタッフに委ねられているとも言えるでしょう。
※2:オリコン顧客満足度ランキング「ハウスメーカー 注文住宅のランキング・比較」より
理由4.実績・ノウハウ
家を建てる際には当然、ハウスメーカーの技術力も選択の基準となります。機能性に富み、暮らしやすい住まいを手にするためには、作る側にそれなりの力量がなければ実現できません。その根拠となるのが、ハウスメーカーの実績や蓄積されたノウハウです。独自の工法や設備、建材など、自分の建てたい家にマッチする技術をもつハウスメーカーが見つかれば、依頼先の候補にできます。
気密性や安全性、省エネ設計など、重視したい技術は人それぞれですが、より多くの条件を満たすハウスメーカーであれば依頼への可能性が高まります。
理由5.モデルハウスが良かった
家づくりのイメージをもっとも具体化に確認できるのが、モデルハウスです。モデルハウスが気に入って、契約を決めたという施主(せしゅ)はかなり多いようです。
自分たちの暮らしがもっとも身近に感じられ、間取りや内装、設備類を感覚的に確かめられるモデルハウスは、ハウスメーカーの全体的なコンセプトが集約されてる場所ともいえます。
各ハウスメーカーの坪単価はどのくらい?
リクルート住宅総研が実施した住宅購入検討者に関するアンケート調査(※3)によると、土地購入を含めて注文住宅を検討している人のうち75.5%が、注文住宅を購入する際の条件として「価格」を挙げています。
もちろん購入する土地の広さや立地により、価格条件は大きく左右されますが、ここではハウスメーカーの坪単価を見ておきましょう。
※3:リクルート住宅総研オリジナル調査「住宅購入 検討者調査」より
認知度の高いハウスメーカーの坪単価は?
以下の一覧表は、住宅関連情報を中心に発信している住宅産業新聞の情報から、坪単価の数値を作成しています。
ハウスメーカー名 | 坪単価 |
---|---|
レオハウス | 25~50万円 |
アイフルホーム | 20~55万円 |
タマホーム | 30~45万円 |
ユニバーサルホーム | 40~50万円 |
ヤマト住建 | 40~60万円 |
ダイワハウス | 40~80万円 |
住友不動産 | 50~60万円 |
東急ホームズ | 50~60万円 |
積水ハウス | 50~80万円 |
日本ハウスホールディングス | 55万円~ |
ヤマダ・エスバイエルホーム | 55~65万円 |
三井ホーム | 55~80万円 |
ミサワホーム | 65~75万円 |
セキスイハイム | 65~75万円 |
ヘーベルハウス(旭化成ホームズ) | 70~80万円 |
パナソニックホームズ | 70~80万円 |
三菱地所ホーム | 70~80万円 |
スウェーデンハウス | 80~100万円 |
坪単価とは床面積1坪(約3.3㎡)あたりにかかる、建築費用を指します。
ローコストと言われる坪単価の安い住宅を提供しているメーカーでは、標準化仕様の部分を多くしたり材質を工夫したりするなどして低価格への努力を行っています。坪単価が高くなるにつれ、工法や材質などへのこだわりが多く見られ、他社との差別化が図られるようになります。
坪単価についての注意点
注文住宅の依頼先を決める際に、予算との折り合いから坪単価を重視するという人も少なくありません。しかし、坪単価はあくまで選考条件のひとつであり、単に金額だけで決めるのはおすすめできません。
理由として大手ハウスメーカーほど坪単価が高い傾向が見られますが、坪単価の中にはCM広告費用やモデルハウスの維持費、人件費などが上乗せされているからです。また坪単価はあくまで「本体価格」です。家をつくる際には、付帯工事やオプション費用などの上乗せがあります。そのため最終的には最初に提示されていた坪単価よりも、数十万円程度高くなることがほとんどです。
坪単価は家の大きさや形状によっても左右されます。一般的には家が小さくなるほど、坪単価が高くなります。また平屋の方が、2階建てよりも割高になる傾向があります。
このように坪単価はさまざまな条件で変わるため、坪単価が高い家ほど質が良いとは一概には言えません。坪単価を参考にする際には、必ず複数社で比較を行い、どのような違いがあるのかを見極めていく必要があります。さらに見積もりを見る際にも、割高になっていないかを疑ってみることも大切です。
みんなはどうやって情報収集している?
注文住宅による家づくりをする際に、みんなはどのようにして情報を収集しているのでしょうか。
国土交通省の「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」(※4)によると、注文住宅の施工者に対する情報収集の方法としてもっとも多いのは「住宅展示場で」が48.8%となっています。次いで「知人等の紹介で」が24.3%、「勤務先で」が16.2%です。
分譲住宅や分譲マンションなど、ほかの物件ではインターネットによる情報収集が1位、2位の上位に挙がっているのに対して、注文住宅についての情報収集方法は、実際に見聞きした情報が重視されていることがわかります。注文住宅は最初から形があるわけではないため、実際に目で見て、手で触れて、知見のある人の話を参考にすることで、ハウスメーカーについての情報を得ていくのが確実です。
今はハウスメーカーがWeb展示場といったサービスを提供していますが、注文住宅の依頼先候補を絞り込んでいくにあたっては、単なる見た目以上の情報を早くから収集していこうとするユーザーの姿勢が伺われます。
情報は多いに越したことがありませんが、あまりに選定要素が多すぎても逆に目移りをし、混乱を招きます。ハウスメーカーのパンフレットやインターネット検索を活用する場合にも、選定要素に優先順位をつけるなど、最初から自分なりの手順を決めておくと効率的に絞り込みをかけていけます。
※4:国土交通省「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」2.1.3 施工者・物件に関する情報収集方法より
ハウスメーカーを選ぶ4つのポイント
これまでハウスメーカーを選ぶための要素や情報の集め方について見てきましたが、ここではハウスメーカーを選ぶポイントをまとめていきましょう。
ポイント1.信頼性があること
ハウスメーカー選びの条件でも「信頼性」を挙げる声は多数聞かれます。しかし、目に見えない信頼性を測るのはなかなか難しいものです。どのような点に注意していけば良いのでしょうか。
評判を確認する
周囲に注文住宅を建てた人がいて、該当するハウスメーカーを利用していれば「もっともわかりやすい生の声」を聞くことができます。ただし、印象や捉え方は人によって異なることを忘れず、どのような点が良かったのか、不満に感じるところはなかったのかを客観的に質問するようにしていきます。
まったく同じ家を建てるわけではないため、そのハウスメーカーが得意とする技術が、自分の家にも適用できるのかを確認していきましょう。
身近で直接感想を得られない場合には、インターネット上の顧客満足度調査を活用すると、各ハウスメーカーの特徴をとらえながら、幅広い意見を収集できます。
オリコン顧客満足度ランキング(※5)では、総合のランキングに加え、14個の評価項目別や地域別、世帯別、男女別、工法別、築年数別から顧客満足度を確認することができます。担当者の対応や要望に対する技術的な解決など、各ユーザーの目線からの評価が見られます。また母数が多いため、統計的な観点から信頼性を見比べられ、ハウスメーカーを知る上での参考になります。
※5:オリコン顧客満足度ランキング「ハウスメーカー 注文住宅のランキング・比較」より
契約をせかさない
ハウスメーカー側の立場から考えれば、一刻も早く「売上」を確定したいのは当然です。しかし、建てる側にとっては家づくりが重大事であることを十分に理解している顧客重視型のハウスメーカーであれば、疑問や不安を解消し、納得するまでとことん付き合ってくれるはずです。
少なくとも未定の事項が多い時点で仮契約を迫ったり、「今が決め時です」などの根拠の薄い発言をしたりはしないでしょう。
何度でも質問に答え、幾度も提案を重ねてくれるような対応が見られる担当者であれば、顧客の信頼は増していきます。逆にまだ疑問が解決していないのに、「他でもそうしている」「これで問題ありません」で済ませ、契約をせかすような場合には、検討し直す必要があります。
誠意のある対応
自社の提供する商品やサービスに自信がある企業では、客観性のある説明をします。むやみに他社の悪口をいうのではなく、特徴について比較情報として提供してくれるような話し方であれば信用できます。
顧客の不安や不審点にはしっかりと向き合い、専門用語でごまかさずに誠実な対応をしてくれる担当者であれば、家づくりへの理解を深めていけるでしょう。面談の都度、疑問点がないかを確認し、あとから電話で問い合わせをしても、面倒がらずに常に的確な回答を与えてくれるような姿勢があれば、プロとして信頼がおけます。
ポイント2.家づくりに求めているものを把握する
先程紹介したオリコン顧客満足度ランキングで「注文住宅 利用者が重視した項目」として挙げられた第1位は「住居の性能」でした。
住まいに求めるものは、家を建てたい人それぞれによって異なります。知人が良いといったからといって、必ずしもそのハウスメーカーの得意技術が、自身の要望と一致しているかどうかはわかりません。パンフレットや住宅展示場、モデルハウス、担当者の説明をもとに工法など技術的な部分もできる限り理解するように努める必要があります。
耐震構造や省エネ設計など現代の住宅に欠かせない技術はどのハウスメーカーでも売りにしていますが、例えば標準装備でどこまでできるのかといった詳細まで確認しなければなりません。オプション部分やそこにかかる費用について、後から誤算とならないよう吟味しておきましょう。
家づくりに求めているものを、確実に提供してくれるハウスメーカーであることは、選択条件の要となります。
ポイント3.アフターケアが充実している
住宅を建てるときに忘れてはならないのが、建てた後のフォローです。失念しがちですが、大切な我が家を長く維持するためには、アフターケアについてもハウスメーカー選びの選択条件に入れるようにしていきましょう。
定期点検の無償期間
注文住宅の「定期点検」という考え方は、ハウスメーカーによっても多少異なります。例えば、ミサワホームの場合では住宅の引き渡し後6ヶ月、11ヶ月、23ヶ月の3回行われるのは「定期巡回サービス」と呼び、定期点検はその後の5年ごとに実施されるもので20年までは無償としています。
一方スウェーデンハウスでは、「50年間の無料定期検診システム」をうたっており、最初の10年までは3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、4年、7年という間隔で実施されます。10年目まではチェックシートにもとづいて入念な検査が行われますが、それ以降は要望に応じて5年ごとの検査となります。
傾向としては、施工費が高めのハウスメーカーほど点検期間が長く見られます。
ただし、点検の無償と無償補修はまた別の話です。無償点検にしてもどの程度詳しく調べてもらえるのかは、ハウスメーカーの契約によっても違いがあります。点検に関しての取り決めについて、施工時にはなかなかイメージしにくいのですが、各メーカーの定期点検の期間やその後のフォロー体制についても比較しておくと安心です。
瑕疵保証の範囲
新築住宅については「住宅品質確保促進法」の定めるところにより、10年間の瑕疵(かし)担保責任が義務づけられています。「瑕疵担保責任」とは注文住宅などを購入した際に、外部からは気づかない欠陥(瑕疵)について、販売した側がその責任を負うことを指します。
対象となるのは、基本構造部分の基礎、柱、床、屋根などで「構造耐力上主要な部分、または雨水の浸入を防止する部分に発生した瑕疵」とされています。
法律で定められる範囲は建物の骨組みである躯体や屋根、外壁となるため、内装や配管に不具合が起きても基本構造が原因となっていない場合には対象外です。
一方、宅建業法40条では、売主側の瑕疵担保責任を2年としています。この法律により、引き渡しから2年間は家全体の瑕疵についてハウスメーカー側に責任を問うことができます。
法律以外ではハウスメーカー保証書に記載されている内容によって、履行される範囲が変わってきます。契約を結ぶ際に補修箇所の有償・無償で不明点があれば、可能な限り確認しておくようにしましょう。
メンテナンスやケア方法を教えるサービス
業者による定期点検はもちろん重要ですが、プロの手が入るのは数ヶ月、数年の間隔になります。しかし、家は時間の経過とともに常に劣化していきます。少しでも状態を良く保つためには、そこに住む人が適切な手入れ方法を知っておくことも大切です。
ハウスメーカーによっては、住宅のメンテナンスやケア方法を教える教室を開催しているところもあります。また定期点検の際に、スタッフが丁寧な指導を行うハウスメーカーも見られます。
家のメンテナンスについても、わからないときに問い合わせる窓口が開示されており、すぐに質問に答えてもらえる体制があれば一層心強く感じられます。
ポイント4.情報提供
注文住宅を建てると決めた場合にまず行うのは情報収集ですが、先述したように「住宅展示場」で直接情報を得るという人が多いのも事実です。ハウスメーカーが提供している住宅を実際に見てみるほか、営業担当者に家づくり実現に向けた相談ができるのも住宅展示場を訪れる大きな目的となります。
最初のコンタクトから疑問に対して常に明快に回答し、的確な情報提供をしてくれるハウスメーカーに対しては好印象が生まれます。自社製品のメリットを強調するだけではなくデメリットとなる部分や、プランについての選択肢それぞれを比較した場合のマイナス面なども予め開示してもらえれば、より正しい判断が行えるようになります。
結果的には依頼者が十分に納得した上で結論が出せるため、将来的にマイホームの購入で失敗するリスクを軽減することができます。より正確で偽りのない情報を与えてくれるハウスメーカーであれば、信頼感を持てるようになるでしょう。
ハウスメーカーに依頼するメリット
冒頭でハウスメーカーと工務店の違いに触れてきましたが、工務店ではなくハウスメーカーに住宅づくりを依頼するメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。
独自の構法や技術を研究開発している
ハウスメーカーの大きな魅力として挙げられるのは、開発力や企画力に優れていることです。大手ハウスメーカーでは独自の研究施設を持ち、長期に渡って家づくりの研究が行われています。代表的なハウスメーカーの構法を紹介しておきましょう。
例1:積水ハウス(シャーウッド構法)
木造2・3階建てに使用される構法です。地震や台風といった自然災害、火事に強いだけではなく、自由度の高い設計を可能としています。進化した木造住宅を実現しているのが「シャーウッドプレミアム構造材」。木の弱点をなくし、安定した強度によって、安全・安心な家づくりを提供しています。
例2:パナソニックホームズ(パワテック構造)
パワテックは大地震だけではなく、くり返し発生する地震や揺れによる変形にも対応した鉄骨構造の技術です。住宅のタイプによって、大きな空間を確保できる「制震鉄骨軸組構造」、快速施工を実現する「大型パネル構造」、7階建てまで対応する「重量鉄骨ラーメン構造」があります。
工期が比較的短い
ハウスメーカーではある程度規格化されたパーツを工場で製作、工場内でできるところまで組み立てを行ってから現場で仕上げていきます。そのため工務店などの住宅建築と比較すると、工期が短期間で終わります。
工期を比較すると工務店の場合は一般的に半年程度、ハウスメーカーでは3~5ヶ月です。プランによっては2ヶ月など、超短期で済む場合もあるようです。施主にとって完成が待ち遠しいのは当然です。技術力さえ確かであれば、工期は短いに越したことはありません。
施工精度のばらつきが少ない
ハウスメーカーでは工材、施工方法に一定の基準があります。規格の範囲内で決められた設計、施工を実施し、部分的に工業化された資材を使って家を作ります。そのため、工程のひとつひとつが現場に任せられる工務店のような作業体制と比較すると、施工作業の精度に関してのばらつきが少なくなります。
規格化されていることで多少の制限はありますが、逆にいえばそれだけ建物の品質が一定の水準に保たれているという魅力があります。
長期保証
ハウスメーカーは企業規模が大きく、上場している会社も少なくありません。そうしたハウスメーカーでは、住宅を建てた後の保証も充実しています。小規模な地場の工務店にも、親しみやすさや対応の細やかさといった良さがありますが、長期保証の観点からはハウスメーカーに劣ります。企業の永続性についても、大手ハウスメーカーであれば安心感があります。
ハウスメーカーの多くが20~30年の保証を備え、先に紹介したスウェーデンハウスのように50年にわたる点検保証を実施しているところもあります。住宅は建てた後から歴史を刻み始めます。完成後のメンテナンスや長期保証は、ハウスメーカーの持ち味のひとつといえるでしょう。
住宅ローンの組みやすさ
ハウスメーカーでは銀行と連携し、住宅を販売する現場で住宅ローンの手続きがスムーズに行える体制を整えています。
住宅ローンの中には「提携ローン」というしくみがあり、特定のハウスメーカーからの住宅購入で金利が優遇されるなどの措置があります。審査についても、個人で申し込むよりも有利に進められるケースがあって、手続きの手間も軽減されます。
地場の小さな工務店では、こうした特殊な住宅ローンの利用は期待できません。住宅ローンを利用する予定であれば、ハウスメーカーが提携ローンを提供しているかという点についても、確認しておくと良いでしょう。
まとめ
予算や土地、技術、工期などさまざまな視点からどこのハウスメーカーに依頼をするのか、綿密に検討していくことが重要です。
大手ハウスメーカーでは、家が完成するまでの仮住まいとなる場所を提供してくれたり、引っ越しについての相談に乗ってくれたりと、注文住宅の建築以外にも幅広く頼ることができます。そうした面からも、初めての注文住宅はハウスメーカーに任せることを勧める意見が多く見られます。
その反面、規格化された資材などを使うため、完全なフリースタイルとはいかないところも出てきます。ひと口にハウスメーカーといっても、自由度や対応の柔軟性には違いがあります。任せるハウスメーカーをしっかりと選択し、満足感に満ちた家づくりの実現を目指していきましょう。
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