【2022対応版】住宅ローン控除で確実に返済額を安くする計算方法

【2022対応版】住宅ローン控除で確実に返済額を安くする計算方法

住宅ローン控除を利用すると総返済額が安くなる!
その仕組み、あなたは完全に理解できていますか?

住宅ローン控除は、その名前にもあるように、住宅ローンを使って家を購入した場合に適用される減税制度ですが、控除の仕組みがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

中には、住宅ローンを使って家を購入すれば自動的に控除が適用されると勘違いをしている方もいると思います。実際には、自分で手続きをしない限り住宅ローン控除の利用はできません。

そこで今回は、住宅ローン控除の仕組みや手続きの流れ、控除額の計算方法などを紹介していきます。この記事を読み込むことで、あなたに合った控除の手続方法が理解でき、返済金額を安くするコツを実行することができるでしょう。

住宅ローン控除とは?

まずは、住宅ローン控除の基本を解説します。控除の仕組みや適用条件などを、しっかり理解しておきましょう。

住宅ローン控除の仕組み

住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。住宅ローン控除の対象になると、年末時点での住宅ローン残高から1%が10年間控除されます。たとえば、年末時の住宅ローン残高が3,000万円なら、1%の30万円が控除されるという仕組みです。

なお、控除額には上限があり、2021年12月までに住宅を購入した場合には、40万円が各年の控除額上限です。つまり、10年間での最大控除額は400万円になります。平均的な収入の会社員や自営業者が住宅ローン控除を利用すれば、所得税がほぼゼロになるほどの大きな節税効果を期待できます。さらに、住宅ローン控除では、所得税だけではなく住民税も控除の対象になります。

いずれにしても、「住宅ローンを組んでから10年間は所得税と住民税が安くなる制度」と覚えておけば問題ありません。

所得控除との違い

住宅ローン控除は「税額控除」になります。

馴染みのある生命保険料控除や配偶者控除などは「所得控除」なので、「収入」から一定の金額が控除されます。それによって減少した課税所得に税率をかけて、納める税金を少なくするという仕組みです。

一方、住宅ローン控除は「税額控除」なので、確定した「税額」から控除額を差し引きます。

つまり、

  • 課税所得を差し引くだけなのが所得控除
  • 所得税の額から控除額をそのまま差し引くのが税額控除

ということです。

この両者の違いは、節税を考えるうえでも重要です。たとえば、配偶者控除が38万円でも所得税がゼロになることはありませんが、住宅ローン控除の控除額が30万円であれば、所得税がゼロになる可能性もあります。

住民税も控除の対象

所得税から控除しきれなかった「余剰分」は住民税から控除されます。住民税の控除額にも各年で上限はありますが、所得税だけではなく住民税も控除の対象になるのは、住宅ローン控除の嬉しい特徴です。

住宅ローン控除が適用される条件

住宅ローン控除をうけるためには、いくつかの条件に該当しなければいけません。各条件を確認しておきましよう。

住宅ローンを利用する

住宅ローン控除を受けるには「住宅ローンを組んで住宅を購入する」必要があります。住宅とは「自宅」を意味するので、投資用の物件や別荘などを購入しても、住宅ローン控除の対象にはなりません。

ただ、住宅ローン控除が受けられるのは、入居した年から10年間です。また、入居する時期は、住宅を取得してから6ヶ月以内と定められています。ここでいう「取得」とは、新築の住宅なら物件の引き渡しをされた日となり、中古住宅の場合は売買契約を取り交わした日、あるいは、所有権移転の登記日になります。

ローンの返済期間

住宅ローンの返済期間が10年以上である必要があります。

年間の合計所得金額

住宅ローン控除を受けるためには、年間の合計所得金額が3,000万円以下でなければいけません。合計所得金額とは、収入から給与所得控除と必要経費などを引いた所得の合計額です。

買い換えでは利用できないケースも

新規住宅に入居した年と、その前後の合計5年間に、自宅売却による3,000万円の特別控除や、買い替えの特例などを受けた場合は、住宅ローン控除を受けることができません。

ただし、自宅を売却したことによる損失が発生した場合の譲渡損失繰越控除は、住宅ローン控除と合わせて受けることができます。

転勤した場合

住宅ローン控除を受けていた本人が転勤などの理由で単身赴任をしても、残った家族が住宅を「自宅」にして居住し続ければ、そのまま住宅ローン控除を受けることができます。

ただし、家族も転勤先に引っ越しをした場合には、住宅ローン控除の適用は打ち切られてしまいます。なお、控除を受ける資格がある10年の間に、再び住宅を「自宅」にすれば、定められた手続きを行うことで、残っている期間の住宅ローン控除が受けられます。

住宅の条件

住宅ローン控除では、住宅の床面積が50㎡以上、店舗兼住宅の場合は、床面積の2分の1以上を居住用として使っていることが適用条件となります。

マンションの場合は、「専有部分の床面積の広さ」が、住宅ローン控除適用の可否を決める要因となります。なお、マンションは、登記簿上の専有面積が壁の内側の面積(内法面積)になっているため、壁の厚みの中心線を基準とした面積(壁芯面積)よりも狭くなっています。マンションを販売するときの広告には壁芯面積が採用されるので、登記簿の面積よりも広く表記されるのが一般的です。

専有面積が50㎡ギリギリの場合、広告では50㎡を超えていても、登記簿上は50㎡に達してないために住宅ローン控除が適用されないケースもあります。マンションの専有面積は、できるだけ登記簿で確認しておきましょう。

なお、新築住宅の場合、低炭素住宅や長期優良住宅として認定されると、ローンの残高上限が3,000万円から5,000万円に上がり、10年間の控除額も最大で500万円までアップします。逆に、売主が個人で消費税の必要がない中古住宅の場合には、ローンの残高上限が2,000万円に減ってしまうため、控除される最大金額は200万円となります。

中古住宅の適用条件

中古住宅で住宅ローン控除の適用を受ける場合は、築年数も適用の可否に影響します。鉄筋コンクリート造りといった耐火建築物の場合には築25年以内、非耐火建築物は築20年以内です。なお、耐震基準に適合していれば、築年数を超えた中古でも住宅ローン控除の適用を受けることができます。

リフォームや増改築をした場合

リフォームや増改築の費用に対して住宅ローン控除を受けるには、「中古住宅の適用条件」に加えて、以下のいずれかを満たさなければいけません(※1)。

  • 工事費用が100万円を超えていること
  • 工事費全体の2分の1以上が居住部分の工事であること
  • 増築や改築、大規模修繕、大規模の模様替えであること
  • 家屋の居室、浴室、トイレ、洗面所、調理室、納戸、廊下の一室の床、壁の全部または玄関について行う修繕・模様替えの工事であること
  • マンションといった区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床・階段・又は壁の過半について行う一定の模様替え・修繕の工事であること
  • 現在の耐震基準に適合させるための工事であること
  • 一定のバリアフリー改修であること
  • 一定の省エネ改修であること

なお、自分で住む住宅のリフォームでなければ、住宅ローン控除の適用対象にはなりません。

バリアフリーや省エネのためのリフォームでは、住宅ローン控除ではなく、「特定増改築等住宅借入金等特別控除(※2)」を利用する方が有利になる場合もあります。ただし、住宅ローンと特定増改築等住宅借入金等特別控除は重複利用ができないので、事前に確認しておきましょう。

※1:国税庁「増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」より
※2:国税庁「特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」より

住宅ローン控除の種類

住宅ローンの利用方法はさまざまですが、それに応じて住宅ローン控除の適用条件や適用内容も変わります。場合によっては、全く適用されないケースもあるので注意が必要です。

住宅取得資金贈与

住宅の取得資金として、祖父母や父母から住宅取得資金贈与を受けると、「借り入れた住宅ローンの額」と「住宅取得資金贈与額」の合計が「住宅の購入価格」より低くなるケースでは、住宅ローン控除を受けることができます。

具体例を確認してみましょう。

<前提条件1>

  • 住宅購入価格…4,000万円
  • 住宅取得資金贈与額…500万円
  • 住宅ローンの借入金…2,500万円

500万円(住宅取得資金贈与額)+2,500万円(住宅ローンの借り入れ)=3,000万円

この場合、住宅ローンの借入金と住宅取得資金贈与額の合計金額が、住宅購入価格の4,000万円よりも少なくなるので、借入額の2,500万円に対して住宅ローン控除が適用されます。

次の具体例を確認してみましょう。

<前提条件2>

  • 住宅購入価格…4,000万円
  • 住宅取得資金贈与額…1,000万円
  • 住宅ローンの借入金…3,500万円

1,000万円(住宅取得資金贈与額)+3,500万円(住宅ローンの借入金)=4,500万円

このケースでは住宅取得資金贈与額と住宅ローンの借入金の合計額が、住宅購入価格の4,000万円を超過しています。このようなケースでは、借入金と住宅購入価格から住宅取得資金贈与額を引いた額を比較して、金額が少ない方を住宅ローン控除の対象とします。

この例では、借り入れ額の「3,500万円」と、購入価格4,000万円から住宅取得資金贈与額1,000万円を差し引いた「3,000万円」を比較して、少ない方の「3,000万円」が住宅ローン控除の対象となります。

借り換えのケース

借り換えによる新たな住宅ローンは控除の対象になりませんが、下記の条件にあてはまる場合は対象となります。

  • 借り換え後のローンも、住宅ローンの控除を受ける条件に該当している場合
  • 借り換えの理由が「現在の住宅ローン返済」の場合

したがって、借り換えで注意しなければいけないポイントは以下の2つの期間です。

  • 借り入れをしている期間
  • 住宅ローン控除が残っている期間

それぞれ詳しく見ていきます。

借り入れ期間

住宅ローン控除には、「住宅ローンの借り入れ期間が10年以上」という適用条件があるので、借り換えによって返済期間が10年を切った場合には控除が受けられません。

<借り換え後も控除が受けられるケース>

  • 返済期間残り29年
  • 控除残り4年
  • 借り換えで返済期間を5年短縮

この場合、返済期間は24年に短縮されますが、10年以上のローンが残っているので、引き続き、残っている4年分の控除が受けられます。

<借り換え後に控除が受けられないケース>

  • 返済期間残り14年
  • 控除残り4年
  • 借り換えで返済期間を5年短縮

このケースでは、短縮後の返済期間が9年になるために控除対象の条件を満たさないので、住宅ローン控除は適用されません。

ただし、住宅ローンの借り換えを行わずに繰り上げ返済で残りの返済期間が10年未満になった場合には、返済開始日から完済日までの期間が10年以上であれば住宅ローン控除は適用されます。

住宅ローン控除の残期間

住宅ローン控除の適用期間は「住宅の引き渡しから10年間」です。

たとえば、3年間返済した後で借り換えると、適用期間は7年間となります。「借り換えた時点から10年」とはならないので注意しましょう。

住宅ローン控除の手続き方法

住宅ローン控除は自動的に適用されるわけではないので、控除を受けるためには所定の手続きをしなければいけません。少し面倒ですが、大きな節税効果を発揮する制度なので可能な限り活用するようにしましょう。

住宅ローン控除は、住宅を購入した次の年に確定申告をして控除の申請をします。会社員の場合は、最初の年だけ確定申告をすれば問題ありません。2年目からは年末調整で申請を行います。自営業者やフリーランスの場合は、各年の確定申告時に控除の申請をする必要があります。

手続きに必要な書類

必要書類の種類は多いですが、入手困難なものはないので、不備がないように気をつけましょう。

書類名入手方法
源泉徴収票会社員の場合は、12月から翌1月の年末調整後に勤務先から渡されます。なお、年度中に転勤している場合には、現職と前職の2枚が必要です。
住宅ローン年末残高証明書住宅ローンに利用した銀行から送られてきます。通常は11月から12月に送られてきますが、銀行によっては、送付の依頼が必要になるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。
土地・建物の売買契約書住宅の購入時に渡されます。
土地・建物の登記事項証明書入手場所は法務局です。地域の法務局やHPから申し込みます。
工事請負契約書住宅を新築したり、中古物件をリノベーションした場合に必要です。工務店などから渡されます。
マイナンバーカードマイナンバーカードのコピーを添付します。住民票や運転免許証のコピーでも代用可能です。
確定申告書AまたはB会社員は申告書A、自営業者は申告書Bを使用します。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書確定申告時に税務署で作成します。

中古住宅の追加必要書類

築20年以上の非耐火建築物、築25年以上の耐火建築物を購入して住宅ローン控除の申請をする場合には、「耐震基準を満たしている」という証明のために、下記のいずれかが必要になります。

書類名入手方法
耐震基準適合証明書耐震診断の合格書です。建築士が発行します。
既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書既存住宅売買瑕疵保険に加入すると住宅瑕疵担保責任保険法人から発行してもらえます。

なお、どちらの書類も、物件が引き渡される前に取得しなければいけません。

つまり、物件を購入した時点で耐震基準の適合証明を受けているか、瑕疵保険に加入していなければ、住宅ローン控除を受けることができません。また、耐震診断や瑕疵保険に加入している物件を購入した場合には、証明書類の日付が2年以内のものであることを確認してください。2年を過ぎてしまっている場合には、住宅ローン控除を利用できないので注意が必要です。

マンションの耐震については、専有部分だけではなく共用部分も含めて建物の全体を診断する必要があるため、個人で実施するのはまず不可能です。したがって、耐震診断に合格している物件を購入しなければ住宅ローン控除は適用されないということになります。

長期優良住宅の追加必要書類

リノベーションなどで長期優良住宅の認定を受けたり、長期優良住宅を新築したりした場合には、申請時に以下のいずれかを添付しましょう。控除額の上限が年40万円から年50万円にアップします。

書類名入手方法
長期優良住宅建築計画の認定通知書認定を受けると役所から送付されてきます。
住宅用家屋証明書物件の引き渡し時に渡されます。
認定長期優良住宅建築証明書建築士か、国交省が定めた評価機関や検査機関に発行してもらいます。

低炭素住宅の追加必要書類

リノベーションなどで低炭素住宅の認定を受けた場合や、低炭素住宅を新築した場合も、申請時に以下のいずれかを添付しましょう。こちらも、控除額の上限が年40万円から年50万円にアップします。

書類名入手方法
低炭素住宅建築物新築等計画の認定通知書認定を受けると役所から送付されてきます。
住宅用家屋証明書物件の引き渡し時に渡されます。
認定低炭素住宅建築証明書建築士か、国交省が定めた評価機関や検査機関に発行してもらいます。

手続きの流れ

書類がすべて揃ったら、申請を行います。

会社員の場合には、最初の年だけ確定申告をする必要があります。確定申告は税務署に直接行ってもよいですが、郵送やウェブ申請も利用できるので、時間を見つけて申告するようにしましょう。なお、税務署では確定申告シーズンの2月から3月にかけて相談コーナーを設けているので、確定申告の詳細について不明点がある場合には、利用してみてください。

自営業やフリーランスの場合は確定申告を毎年しているはずですので、申告をする各年の申告ごとに所定の場所に記載して控除を受けるようにしてください。住宅ローン控除を受けるために記入する項目は、住宅借入金等特別控除額の計算明細書と、申告書AまたはBとなります。

書類を色々と揃えたり申告書に記入したりと煩わしい手間はかかりますが、住宅ローン控除の恩恵を受けるためにも、ぜひ申告しておきましょう。

会社員の場合は、年末調整時に借入金の年末残高等証明書と住宅借入金等特別控除証明書を提出するだけで問題ありません。

なお、住宅借入金等特別控除証明書は、2年目の10月から11月にかけて税務署から送付されます。残りの年数分がまとめて送付されてくるので、住宅ローン控除の適用が終わる10年後まで大切に保管しましょう。

住民税の手続き

住民税は、住宅ローン控除によって控除される金額が自動的に反映されるようになっているため、特に手続きをする必要はありません。

会社員の場合には1年目は確定申告をする必要がありますが、2年目以降は自動的に住民税が減額されているので、給与明細などで確認してみてください。フリーランスや自営業者の場合も、所得税から控除しきれなかった金額が住民税から差し引かれているので、納付書などで確認しておきましょう。

このように、所得税は控除額を意識して自分で計算もするケースが多くなりますが、住民税に関しては、ほとんど自動的に控除されるため、やがては減税されている意識がなくなってしまうかもしれません。ただし、住宅ローン控除の期間が終わる10年後には住民税額も元に戻るので、そのときになって慌てないためにも、控除されている住民税はできるだけ確認しておきましょう。

申告期間を過ぎてしまったら?

申告期限が過ぎてしまっても、税金の還付申告は5年前まで遡ることができるので心配はいりません。直近5年以内に住宅を建てているにもかかわらず、住宅ローン控除の申請をしていない場合には、すぐにでも申請の手続きをしてください。

住宅ローン控除額の計算方法

ここでは、住宅ローン控除の詳細な計算方法を解説します。

住宅ローン控除可能額の計算

住宅ローンの控除可能額は、年末の住宅ローン残高に1%をかけて計算するため、始めに年末の住宅ローン残高を確認しておく必要があります。

ここでは、住宅ローン控除可能額の算出のための各金額は以下のとおりとします。

<前提条件>

  • 年末のローン残高3,000万円
  • 税込年収400万円
  • 所得税額8万円
  • 住民税18万円

年末での住宅ローン残高が3,000万円なので、住宅ローン控除額は1%の30万円です。各年の最大控除額は40万円ですから、算出した30万円がそのまま控除されます。

ただし、この30万円は「控除可能額」であって、「控除額」ではありません。

住宅ローン控除額の計算

「控除可能額」から、実際の「控除額」を算出してみます。

まずは、所得税から住宅ローン控除額を引きます。

8万円(所得税額)-住宅ローン控除30万円=-22万円

所得税はゼロとなりました。さらに、所得税の控除後も、控除可能額が22万円残っています。この22万円は住民税から控除されます。

住民税の控除額の計算

所得税控除後の「余剰分」は住民税の控除に回されますが、住民税の控除額には上限があるため、全額が控除されるわけではありません。

住民税の控除限度額は、「所得税の課税総所得金額等×7%」、あるいは「13万6500円」のどちらか小さい金額となります。

今回のケースでは年収が400万円なので、

400(税込年収)×0.07=28万円

となります。したがって、住民税の控除限度額は、28万円よりも金額の小さい「13万6500円」です。

住民税は18万円なので、18万円-13万6,500円=4万3,500円が住民税の支払額となります。

つまり、8万円(所得税控除)+13万6,500円(住民税控除)=21万6,500円が実際の控除額となります。控除可能額は30万円だったので8万3,500円の差額がありますが、この8万3,500円を翌年に持ち越すことはできません。このように「控除可能額」と「実際の控除額」に差が生じることは珍しくありません。

また、住宅ローン控除はあくまでも「税金の軽減」が目的の制度なので、納めた税金以上の金額が戻ることはありません。各年の上限が40万円だからといって、40万円全額が還付されるわけではないので注意が必要です。

借入額が多いとお得?

借入額の大きさと住宅ローン控除の減税効果は比例するのでしょうか。まずは各年収別に10年間の減税総額について確認してみましょう。

<前提条件>

  • 借入額3,000万円
  • 金利1.3%
  • 元利均等返済
  • 返済期間30年
  • 扶養家族1人
  • 入居年月 2018年12月
年収400万円500万円600万円
10年間の減税総額169万円235万円252万円

いずれのケースでも最大控除額の400万円には届きませんが、10年間での節税効果はかなり大きいことがわかります。

表を見ただけでは年収が多いほど住宅ローン控除の恩恵を受けられるように見えますが、実際にはそうとも限りません。減税額は住宅ローンの残高で決まるのではなく、納税額で決まるからです。つまり、減税額が多いということは納税額も多いため、節税という意味で考えれば、高年収ほど減税の効果が高いということにはなりません。

借入額と年収別の控除額の違いを確認してみましょう。

<前提条件>

  • 金利1.3%
  • 元利均等返済
  • 返済期間30年
  • 扶養家族1人
  • 入居年月 2018年12月
借入額2,000万円2,500万円3,000万円3,500万円
年収400万円161万円169万円169万円169万円
年収500万円168万円210万円235万円241万円
年収600万円168万円211万円252万円287万円

減税の額にはそれぞれに差がありますが、年収と控除額の関係を正確に知るためには、利息も考慮しなければいけません。年収が500万円で借り入れ額が2,500万円のケースと、借り入れ額が3,000万円のケースを比較してみます。

借り入れ額3,000万円2,500万円控除額の差額
減税額235万円210万円25万円
利息573万円478万円95万円

住宅ローンの借り入れ額が500万円増えれば、減税額は25万円増えますが、利息の総支払額は95万円も増えるので、トータルでは70万円の負担増ということになります。

たしかに、借り入れ額が増えれば減税額が増えますが、総支払額も増えるということです。ただし、それでも、利息の負担増を住宅ローン控除が緩和しているのは間違いありません。

最大400万円の控除を受ける方法

住宅ローン控除では、10年間の最大控除額は400万円となっていますが、実際にこの400万円全額の控除を受けるのはかなりハードルが高くなります。

まず、住宅ローン控除は年末時点での住宅ローン残高の1%が控除額となるため、最大400万円の控除を受けるためには、10年目まで年末のローン残高が4,000万円以上なければいけません。

ローンの返済が進めば、それと比例してローン残高は減っていきます。たとえば、金利を1%、35年ローンで5,000万円を借りたとしても、9年目の返済で年末のローン残高は4,000万円を切ってしまうため、400万円の控除は受けられません。しかも5,000万円のローンを組んだ場合月々の返済額は14万円ほどになります。一般的な会社員にすれば、かなり負担が大きいのではないでしょうか。

最大400万円の控除を受けるためには、これ以上のローンを組む必要があるため、あまり現実的とはいえません。また、納めた税額以上の控除はされないため、控除の対象となる税金を年間40万円以上納付している必要があります。

つまり、最大400万円の控除を受けられるのは「年収750万円以上で、10年間年末時のローン残高が4,000万円を切らない人」となります。

共働き夫婦の住宅ローン控除は「ペアローン」がおすすめ

共働きの夫婦が収入を合算して住宅ローンを組むには、3つの契約方法があります。それぞれの契約形態や特徴を比較してみましょう。

ペアローン連帯債務型連帯保証型
契約本数1本2本1本
契約形態夫:主債務者
妻:主債務者
夫:主債務者
妻:連帯債務者
夫:債務者
妻:連帯保証人
住宅ローン控除夫:適用
妻:適用
夫:適用
妻:適用
夫:適用
妻:適用されない
団体信用生命保険夫:加入できる
妻:加入できる
夫:加入できる
妻:フラット35のみ可能
夫:加入できる
妻:加入できない
物件の所有権夫:あり
妻:あり
夫:あり
妻:あり
夫:あり
妻:なし
収入の合算それぞれの年収から計算合算可能銀行によって異なる

住宅ローン減税の適用や、団体信用生命保険(団信)への加入可否をみると、ペアローン以外の契約方法では不利になる部分が見受けられます。特に妻を連帯保証人にする「連帯保証型」は、住宅ローン控除と団信の加入のどちらもメリットがないので、選択肢から除外するのが賢明でしょう。

なお、これらの契約方法は各銀行によって決められているため、借りる側が選ぶことはできません。共働きの夫婦が住宅ローンを組む時には、各銀行の契約形態を事前にチェックしておきましょう。

まとめ

これから住宅を新築される方や最近住宅を購入した方だけではなく、5年以内に住宅をローンで購入した方も住宅ローン控除の対象になります。そのため、気づかないうちに控除対象になっているというケースも多いのではないでしょうか。

最大400万円の控除を受け取るのはなかなか難しいですが、それでも百万円単位での減税効果があります。ぜひ、住宅ローン控除をうまく活用して、返済の負担を少しでも軽減していきましょう。
以上、「【2019対応版】住宅ローン控除で確実に返済額を安くする計算方法」でした。

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